R ―再現計画―

夢野 深夜

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第1章 楽園は希望を駆逐する

第3話 崖っぷちの平穏(3日目) その7

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 実に珍しい顔ぶれが並ぶ。

 朝から晩まで“むい”をストーキングしていた葉高山蝶夏とその一派。
 裏で行動をしていた和泉忍たち頭脳派三人娘。
 変わらぬ日常を送る中川加奈子や西嶽春人などのマイペース組。

 ――その他<再現子>が18名揃っていた。
 いまだ意識を取り戻さない大浜新右衛門を除いた全員がいた。

「……南北さんもいるッ」
「“むい”の決めたルールに“呼び掛けには素直に応答すること”ってあったもんな。ルールを破った先の未来でも予知したんだろうよ」
 織田流水が口走り、空狐が補足する。

 南北雪花は依然、テンションが低いようだ。
 ――だが、テンションが低いのは”他”にもいた。

『皆、よく集まってくれたね! まったく、今日は朝から散々だよ!』
「わざわざ全員集めて言うことが愚痴なの?」と、深木絵梨が野次を入れる。
「そうだそうだ! オレたちの貴重な時間を返せー!」と、風間太郎が追い打ちをかける。

『はぁ……皆の態度の悪さに、“むい”は涙が出そうだよ』
「はぁ~ッ? いつものギョロ目じゃん。せめて泣く真似してから言ってよねー」と、峰隅進が悪態を吐く。
「ほう。お前、涙も出るのか?」と、和泉忍が興味深そうだ。

『分かったよ、もう。読者も待ちきれないだろうから、さっさと本題に入ろうか。本人はもう分かってるよね! 先生は短気なので、自首するまで待てません!  

「「「「えッッ!?!?」」」」

 たくさんの驚きの声が重なった。
 その場にいた全員の視線が“彼女”に向けられる。

「…………え?」

 “当の本人”は何が起こったのか分からないといった風だ。

「おい、どういうつもりだ! お前、ルール違反がどうなるか、忘れたわけじゃねぇだろうな?」と、詰め寄る美ヶ島秋比呂。
「え、いやいや、何のことッ!? 私は何も! 思い当たることなんて、何もないよッ!」と、臼潮薫子は慌てて否定する。
「? どういうことだ? だが“むい”は……?」と、鬼之崎電龍の頭に「?」が出る。
「“むい”の出任せってことー? あっそう、じゃあ終わりだね。おやすみー」と、中川加奈子がアイマスクを目に下ろし、テーブルにうつ伏せになる。

『結論が早いよッ!? “むい”がこんなことで皆を呼び出すわけないでしょ!? 臼潮さんは、嘘を吐いています!』

 復活した葉高山蝶夏が臼潮薫子に向かって叫ぶ。
「なっ!? 臼潮くんッ!? 君は嘘を吐いているのかッ!?」
「吐いてないよッ!」
「吐いてないそうだッ!」
『もう少し疑ってッ!?』

「これでは埒が明かん。やったやってないの水掛け論では終わりがないぞ。人を疑うなら証拠があるんじゃないのか? “むい”、あるならさっさと出して、話を進めろ……」
 時時雨香澄が溜息を吐く。

『むぅ~。少し気が引けるんだけど、本人が認めない以上、しょうがないよねッ。じゃ~ん、“アレ”が証拠です!』

 “むい”が外を見るように合図する。<再現子>たち一同は外を見る。

 現在、朝8時代。
 眩しいほどの朝日が外に待機している武装集団たちを照り付ける。

「……あ?」「あれは――」
 全員が武装集団を――いや、その1人が手に持つ、“鳩”を見た。

「――あ」
 臼潮薫子が声を漏らした。それは自供とも言える嘆息だった。

『なんと! 臼潮さんは! あろうことか! 昨晩に! 外部との連絡を取るための! ”伝書鳩”を飛ばしていたのです!』

「――なッ!?」「なんだってッ!?」
 “むい”の発表に思い思いの反応を見せる中で、白縫音羽が感心する。
「なるほど。南北の『予知』とGPSの追跡を避ける手段に、そんな方法があるのか……」

「…………あ、あはは…………あ」

 臼潮薫子はペタリとへたり込み、乾いた笑いを出す。
 先ほどのいつも通りの振る舞いと全面的な否定をしていた彼女の変わり様に、周囲にも動揺が走る。
「なっ、本当だったのか!?」「なんてことを……」「あらら」

 そんな中、葉高山蝶夏が“むい”と臼潮薫子の間に割って入る。
「ま、待てッ! その伝書鳩、本当に彼女が出したものなのかッ! 貴様たちが捏造したものではないのかッ!」

『何を言っているんだよ、現に臼潮さんは――』

 最後まで言わせまいと、空狐が“むい”の発言を遮る。
「こういうリアクションを取っている以上、潔白ではないかもな。でも、それはそれとして、鳩を見せられただけで”証拠”と言われてもなぁ。少々お粗末じゃないか? なあ、<探偵>」
「ああ、そうだな。鳩なんて、B棟の植物園で飼育されている1羽を適当に見繕っただけで、意味深に吊るし上げて臼潮を嵌めようとしていたんじゃないのか?」
 空狐にバトンを渡された和泉忍が臼潮薫子のフォローに回る。

 西嶽春人が臼潮薫子の傍に寄る。
「臼潮サン、大丈夫? えっとね? “ルール違反者”の心得としてね、たとえ心当たりがあるとしても、裁判所で有罪判決になっても、決定的な証拠がない場合は認めちゃあダメだよ」
 <殺人鬼>が臼潮薫子に教訓を授けた。
「そんな後ろ向きなことを善良な一般人に教えるな。教育に悪いぞ、貴様」
「しかも、フォローになってないっていうね……」
「どれだけ取り繕うとも、お天道様は見ているよ、西嶽くん」
 狗神新月と織田流水と矢那蔵連蔵の四面楚歌とも云えるツッコミをものともせず、西嶽春人は涼しい顔だ。

 “むい”はそれでも調子を崩さない。
『あ~、そんなこと言っちゃうんだ~。ふぅん、じゃあ~、証拠見たい~?』
 “むい”がギョロリと目を動かし、武装集団に指示を出す。

 1人が懐から手紙を取り出した。

「だめ―――ッッッ!!!」

 臼潮薫子が絶叫して立ち上がり、カーテンウォールに駆け付ける。
「うわッ」
 その勢いは、近くにいた西嶽春人が圧され尻餅をつくほどだ。

 普段の振る舞いからは想像もできない取り乱しように、仲間の<再現子>たちは反応できず――“むい”の行動にも反応できなかった。


『ボロ、はっけーーーんッッッ!!!』


 “むい”の口(?)の部分が――メリメリと上下に別れ、大きく開く。そしてその奥から、黒いロープが臼潮薫子に向かって飛んで行った。

「――あぐっ!?」

 臼潮薫子が辿り着く前に、彼女の全身を縛り上げ、ギシギシと音を立てる。
 彼女は立てないほどに締め付けられ、苦しさに呻き、床に倒れた。

「お、おいッ!?」「ちょっと!? 大丈夫!?」
 <再現子>の何人かが臼潮薫子に駆け寄る。

『ぷぷぷっ、臼潮さんはボロを出したけど、証拠を見せないといけないもんね~ッ? おっと? 怪我をしない程度のロープだから、気にしないでよ。だから、怖い顔するなって、二人ともッ』
 戦闘の気配を察知された鬼之崎電龍と狗神新月が牽制され、その拳と銃を下ろす。

「“むい”の体型からロープって、どういう仕組みなんだ? 物理的に不可能だよな?」
「うぅ~ん、気になるわね。忍、やっぱり次の調査から私も交ぜてよ」
 和泉忍と白縫音羽が騒動を無視して勝手な会話を始める。
「ちょっと! そこの賢いバカどもッ、そんなこと考察をしてる場合じゃないでしょッ」
 峰隅進が2人に注意する。

「……う、……ぐぅっ……!」
 臼潮薫子の全身をギチギチとロープが縛り上げている。彼女が被っていた帽子も床に落ちている。臼潮薫子は苦悶の表情を浮かべ、頭も腕も腰も太腿もまったく動かせない状態だ。

「ぬっ……くっ……か、固いッ! 人力じゃ、解けないぞ、これッ!?」と、美ヶ島秋比呂がロープを掴んで引っ張るもびくともしない。
「ロープが解けないのなら、無理に引っ張ってはダメよ。ガチガチに締まったロープを引っ張った衝撃は人体にそのまま伝わって、身体を痛めるから。まず鬱血にならないようにラクな体勢を取り、全身の血の流れを確保しましょう。その間に、刃物を用意してそれで裂きましょう」と、深木絵梨がテキパキと指示を下す。
「おい、美ヶ島。貴様の薙刀は長すぎる。もう少し刃渡りの短い得物を用意するべきだ。臼潮の身体を傷つけるなよ」と、時時雨香澄が美ヶ島秋比呂を止める。
「…………ふぅ、縛られる<アイドル>も可愛いな」と、風間太郎がイケナイ扉を開こうとしていた。
「死ねッッ!!」と、峰隅進がすかさず冷水を浴びせる。

 臼潮薫子の周りに集った<再現子>たちに“むい”が叫ぶ。
『ちょっと~ッ! 仲間を大切にするのはいいんだけどさァッ、今はこっちに注目してよねッ!』

 “むい”はいつの間にかカーテンウォールを背にするように移動しており、テーブルの上に乗っていた。
 “むい”の後方少し上の位置に、先ほどの武装集団の1人が、取り出した”手紙の文面”を[食堂]側に向けていた。

「な、何が書いてあるの?」
 織田流水がおずおずと聞く。
 葉高山蝶夏を始めとした面々が、カーテンウォールに近づく。
 <再現子>たちはガラス越しに武装集団と向き合い、ガラス越しに手紙を読んでいた。

「…………っ」
 臼潮薫子は床に顔を伏せて、表情が見えない。
「どう? 決定的な証拠だった?」
 西嶽春人が声を掛ける。

「…………いや、臼潮くんが自分の友人に現状を伝える内容と、助けを求める内容で……正直、今の僕たちなら誰が書いてもおかしくない内容だが…………」
「う~ん、パッと見た限りはそんなに気になるところも…………あ」
 葉高山蝶夏が読んでる中、矢那蔵連蔵が短く声を挙げる。

「どうかしたのか」
 鬼之崎電龍が素早く反応するが、矢那蔵連蔵は珍しく口ごもる。
「……う、うん、いやでもこれは……」
「矢那蔵、説明できないなら、写真に撮って端末に流せ」
 和泉忍のセリフを受けた矢那蔵連蔵は、意を決して話す。

「……“卒院した後”にその友人たちと合流する待ち合わせをしていたみたいで…………会えなくてごめん、て長文で謝ってる……それと……その、彼女たちの”夢”について触れてて――」
 矢那蔵連蔵は居たたまれない表情を浮かべ、手紙から目を逸らした。

「…………」「…………」「…………」「…………」「…………」
 <再現子>は全員口を閉ざす。

 我々にとっては何でもない内容だが、“今”の彼らの置かれた状況の理不尽さ、何もできず時間が流れていくもどかしさ、『卒院』後に明るい”未来”を描いていた彼らの歯痒さ、それらを想像すると臼潮薫子の行動を責めることはできない。
 むしろ、彼らにとっては特に他人事とは思えず、自分たちの”心”と重ね合わせてしまい、矢那蔵連蔵はそれで目を逸らしてしまったのだ。

 この場にいる<再現子>たちも、ある者は顔を逸らし、ある者は気まずそうに目を泳がせ、ある者は同情する目を臼潮薫子に向け、ある者は目に涙を浮かべたのだった。
 彼女の無念を、今身を以て味わっている彼らは、何も言えなかった。

「…………ううっ! うぅぅぅっ!」
 床に顔を伏せていた臼潮薫子が泣き出した。

『…………ニヤニヤニヤニヤ』
 “むい”は嬉しそうにテーブルの上でバウンドしだす。


 この場にいた全員が気づく。
 ――なぜかは分からないが、臼潮薫子を……<再現子>を追いつめている!


「ううっ! ううううっ!」
 臼潮薫子が気丈にも泣くのを堪えようとして、結局心のダムが決壊している痛々しい姿を見せていた。
 本当だったら、彼ら彼女らは日本の本土に上陸し、晴れ晴れしたデビューを飾り、国民のためにその培った能力や知識を発揮する筈だったのに……。

 沈黙が場を支配する、かと思いきや――、
「臼潮、泣く気持ちは分かるが、気をしっかり持て」
 ――仲間が臼潮薫子の身体を優しく叩く。

 空狐だった。

「皆、口に出さないけれど、お前と同じ気持ちだよ。安心しろ……」
 臼潮薫子の泣き声が落ち着いてくる。
「……ぐすっ、何がッ! 何が同じ気持ちなのさッ! ……私は、本当だったら……私は、本当は違うのにッ!」

 空狐がポンポンと臼潮薫子の背中を叩く。
「皆、お前にきっと感謝してるよ」
「……ぐすっ、なんで」

「――

 空狐が臼潮薫子の頭をナデナデして慰める。
「皆、お前と共に悲しんでいるよ、安心しろ。他人は自分を映す鏡と云うだろう? 他人を見る目は巡り巡って自分を見る目だ。お前を通してウチらはウチら自身を見ていたんだよ」
「……ぐすっ、何言ってるの……意味分かんないよ……っ」
 臼潮薫子がクスリと笑って、顔を見上げる。

「臼潮。辛いだろうけど、お前は元気でいてくれ。身勝手で我が儘なウチらのお願いだけど、元気なお前を通してウチらは元気になれるから。ウチらはそんなお前を今度こそ支えるから」
 臼潮薫子を見下ろす皆が恥ずかしそうに頷く。

 空狐は慰めるような雰囲気を出しつつも、口から出したセリフに“慰め”はなく、“励まし”だった。
 その言葉が――いや、心が臼潮薫子に届いた。
「……うん……」
 臼潮薫子は複雑な表情をしていたものの、多少落ち着いたようだった。

 どうやら<再現子>たちの明るい雰囲気がアダとなったようだ。
 臼潮薫子は自分だけが不安を抱えて、恐怖を感じているのだと、思いつめていた。
 それを一番最初に察したのが<僧>の空狐というのに、因縁めいたものを感じる。

『あーあー、うまく着地したのはさすがだけど、”むい”のことを忘れてないかな? これで、この伝書鳩……もとい手紙は臼潮さんの仕業という証拠になったかな。脱出のために外部に連絡を取るなんて、これは重大なルール違反だよ』
「ぐっ、ぐぬぬぬぬっ」
 葉高山蝶夏が悔しそうに歯を食いしばる。



『――そして、残念なことに、まだルール違反者は続くのさ』



 “むい”が言い切ったと同時に――
 ドオオォォォンッッッ!!!
 ――と、轟音と衝撃が[食堂]に、否、建物に伝わる。


「な、何事ッ!?」「今度は何ぃーッ!?」「総員、警戒ッ」「そこ、ガラスから離れろッ!」
 <再現子>たちがまた右往左往する。

『うぷぷ。“不幸”はまだ終わらないみたいだね』
 “むい”はそう言い終わるや否や、テーブルに溶けて消えてなくなった。相変わらず、そこにいた痕跡は毛ほども見当たらない、まるで最初からいなかったようだ。

「今の衝撃は何だったんだッ!? まるで爆撃みたいな――!」と、美ヶ島秋比呂が焦った声を上げる。
「この衝撃と轟音は、まさしく”爆撃”だ。この施設のどこかで起きたな」と、狗神新月が冷静に言う。
「もう、いややーッ! お家に帰りたいーッ! って、ここがお家やったーッ! もうダメだーッ!」と、風間太郎が泣き言を言う。
「貴様、うるさいぞッ! もっと実りのある悲鳴を上げろッ!」と、時時雨香澄が理不尽を言う。

「ややッ!? 武装集団が足早に駆けて行くぞッ! あの方向は――ッ!」と、葉高山蝶夏がゴーグルの上から双眼鏡で観察する。
「エントランスホールだッ!」と、織田流水が叫ぶ。

「――まずいッ!? 皆、すぐに移動するぞ! 今ならまだ追いつけるッ! “むい”の透過は!」と、和泉忍が指示を飛ばす。
「そんなことを、もう分かってるのッ? さすがは<探偵>だねッ。ボクとはエライ違いだッ」と、西嶽春人は称賛する。

「待ってッ! 臼潮さんだけ置いていけないよッ!」と、矢那蔵連蔵が引き留める。
「じゃあ私が残るわ。あと西嶽、アナタも残りなさい。アナタ、刃物を使う類の<殺人鬼>だったわよね? なら刃物もお手の物でしょ。臼潮は傷つけずに、ロープだけ切って頂戴」と、深木絵梨が決断する。
「ううぅ、重ねて申し訳ない」と、臼潮薫子が端的に謝罪する。

「念のため、俺も残ろう。“爆撃”ということなら、狗神の専門分野だ」と、鬼之崎電龍が役割分担を伝える。
「分かった。それならすぐに行く。和泉がもう出発してしまったからな。こんな時でも本当に猪突猛進だ」と、狗神新月が言うが早いが[食堂]を立ち去った。
「――ユキがいないッッ!!??」と、峰隅進が立て続けに叫ぶ。
「え、あれ? 本当だ。アイツ、いつの間に」と、空狐が周囲を見渡す。

 雪崩のように畳みかけてくる怒涛の展開に、彼らは慌てふためくばかりだった。
 ――だが、冷静な声が届く。

「南北なら、少し前に出て行ったよ。“もう1人”を追ってね。モグモグ」

 中川加奈子はアイマスクを額に上げ、テーブルでハンバーガーを食べていた。彼女だけ、この騒動の始まりから変化がない。今食事中ということは、先の騒動の最中に厨房に寄って、朝食を用意してきたということだろうか。
 驚きのマイペースさである。

「アンタ、何のんびり食べてんのッ!?」
 峰隅進が怒髪天を衝く勢いで中川加奈子に噛みつく。
「何って……今は朝食の時間だからね」
 中川加奈子はモグモグとマイペースにハンバーガーを食べ続ける。

「なっ……!? ア、アンタねぇ……ッ!?」
 憤る峰隅進を止めて、白縫音羽が薄ら笑いを浮かべる。
「今は構っている時間がないわ、放っておきましょう。“もう1人”って、彼女のことね。やけに静かだと思っていたら……なら、“ルール違反者”ってのも……」
「皆、急ごう――!」

 ロープで拘束された臼潮薫子と、深木絵梨、西嶽春人、鬼之崎電龍、食事中の中川加奈子を[食堂]に残し、一同は[エントランスホール]に向かった。
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