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第2話~冷たい雨と、冷たい彼~

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ピッピッピッピッ
規則正しくなる目覚まし。
心地よい睡眠を邪魔する朝の敵。
そいつに1発チョップを食らわせると、だるい体を起こし、光を浴びようとカーテンを開けに行く。
シャーー
……最悪だ。
私が浴びたのは、優しくて淡い黄色の光ではなく、グレーの雨だった。
今日は雨かーー。
桜の季節も過ぎ、1年で一番憂鬱な梅雨。
雨音と一緒に響いてくるのは、雨の敵、頭痛だ。
まるで生きているかのように潜んでいる。
雨の日は嫌いだ。
まだ慣れないブレザーに袖を通し、1階のリビングへと向かう。
その間にも頭痛は消える気配はない。
「お母さん、薬」
「あら優、おはよう。今日雨だもんね、はいコレ。学校にも持ってく?」
「うん、そうする。」
頭痛持ちの私にとって、薬はなくてはならないものだ。
効くかどうかを聞かれると、正直わからない。
でも、気持ちは楽になる。

軽く朝食を済ませ、真っ赤な傘をさし、いつもの通学路を歩く。
私の通う松坂高校までは家から歩いて20分のところにある。
自然豊かなこの町。
田舎とも都会とも言えない雰囲気を持つこの町は、結構好きだ。
いつもなら自然豊かなこの道。
花や木、空とふれあいながら学校へと向かうのだが、雨の日はただ濡れないように傘の中に縮こまりながら早足で学校へと向かう。
今は紫陽花が綺麗な季節なのに、もったいない。
雨、止まないかなーー。

ドンッ

ふと、誰かにぶつかった。
顔を上げ謝罪を申し上げようとしたが、顔を見て動きが止まった。
「新くん……」
彼はいつもみたいに冷たい目で私を見下ろしてる。
その視線に囚われた私は、目をそらすことが出来ない。
「……なに」
昔とは違う、低くて男の子らしい声。
それだけで私の心臓は、今にも爆発してしまいそうだ。
「用がないなら行くけど」
「あ、うん……。ごめんね」
「別に」
そう言うと彼は、行ってしまった。
今日の雨は、6月にして珍しい、冷たい雨だったーー。

学校につくと、いつもいない人たちがもう既にいた。
おそらく、雨で外部活の朝練はなくなったのだろう。
「あ、優!おはよ~」
まっさきに声をかけてくれたのは、私の小学校からの友達、真実だ。
「おはよ、優」
次に声をかけてくれたのは、高校生になってから出来た大切な友達、朝日だ。
2人には新たくんのこととかいろいろ相談に乗ってもらってる。
信頼できる親友達だ。
「おはよ」
「雨すごいねぇ~」
「おかげで朝練なくなったよ」
朝日は陸上部に所属していて、この高校も陸上の推薦で入ったと言ってた。
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