最強辺境伯令嬢

吏人

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幼少期

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翌日 町の方に行くと領民の皆が話しかけてくれる。

「アイリス様 おはようございます!」
「アイリス様 焼きたてのパンです!どうぞ」
「アイリス様 今度のお披露目私達も行きますからね!」

幼い頃からよく町に遊びに来ていたため皆顔なじみだ。今日は町ではなくその近くにある森に向かう。
途中パン屋のおばさんから貰ったパンを食べてから人気のないひらけた場所に出た。

「皆 出てきて」

私がそう言うと 複数人の男女が現れた。前世12使と呼ばれていた皆だ。定期的に皆を呼び出しているがまだ家族以外にはごく一部しか彼らのことを話していないので人気のないところで定期的に呼び出している。
菊花は既に私の専属侍女としてそばにいるので呼び出して現れたのは11人だ。

「お嬢!なんでこの間俺の事呼んでくれなかったんだ!」

私にぐわぁっと寄ってきたのは2mはある大男だ。彼は犬神の松葉、姿は黒髪をオールバックにして黒いスーツを着ている。まるでヤクザのような風貌で顔もかなりコワイ ただ顔の作りは綺麗なため 前世で2人で歩いているとお姉様方から熱い視線を向けられていた。

「……松葉 うるさい……主が困ってるだろ」

私の後ろから覆い被さるように体重をかけ気だるげに喋るのは白虎の蘇芳だ。 白髪で白いスーツを着ているホストのような格好だが良く似合う美男子だ。いつも眠そうだが私に対しては過保護でよく抱き抱えようとしてくる。 

「あの時の憑依は滅茶苦茶良かった!!」
「ずるいよ椿!僕も呼ばれたかったぁ」

そう言ったのはほかの12使とは年齢がだいぶ下の中学生くらいの男の子と女の子だ男の子は麒麟の楓、女の子は先日刀に憑依させた朱雀の椿だ。2人ともどこのか分からないブレザーの制服を着ている。2人とも私に頭を撫でられながらなにか言い争っているがいつものことなので気にしない。

「主様 次は是非私をお呼びくださいね」
「抜けがけは感心せぬぞ 紫苑殿!」

私に微笑みかけるのは丸メガネをかけ長く白い紙を三つ編みにしてチャイナ服を来た糸目のイケメン、大蛇の紫苑とさすらいの侍のような格好をした松葉ほどではないが190はあるだろう身長のイケメン鬼人の柊だ。 

「みな元気じゃの」
「姫様が困っておるから程々にしなんせ」
「全く 姫を困らせるとは使えるものとしての自覚が足りん!」
「み、皆様 落ち着いてください……」

少し離れたところで微笑みながら見ているのは仙人のような長い髭と白髪が目を引くナイスミドル玄武の山吹 、軽く嗜めている白髪の着物を来た旅館の女将のような姿のおばあちゃんは猫魈の桔梗、強い口調で苦言を呈しているのは青い長い髪をポニーテールのように後ろで結び中国の武将のような格好をして眉間に深いシワを刻んでいる美中年青龍の瑠璃 真っ白いローブに身を包みフードで顔を隠して恐る恐る皆を制しているのは白鹿の百合だ。

「アイリスちゃん 元気そうで何よりだわ しっかりご飯食べて しっかり寝るのよ!」

お母さんのように言って私の頭を愛おしそうに撫でるのは花魁のような着物を着流した美女女郎蜘蛛の竜胆だ。 菊花が優しげな雰囲気の美女なら 竜胆は妖艶な雰囲気をした美女だ。

「皆元気そうだね。この間椿に憑依してもらって上手くいったからこれからどんどん力を借りると思う!」
「「「「「お任せ下さい!!」」」」」

ウンウン、しかし彼らは皆顔がいい。彼らは自分が思い描いたような姿になれるらしく前世で私がよく見ていた恋愛漫画のキャラクターを参考にしたり テレビで見た俳優を参考にしているので顔がいいのは仕方がない。
私の契約している人達の中で神の使いと呼ばれているもの達がいるが まあそこは色々あったのだ。
私は皆とお昼ご飯を食べながら楽しい一時を過ごした。

「お嬢様 そろそろ帰りましょうか」

菊花の言葉をきっかけに皆に別れを告げ戻ってもらう。
私は菊花を伴い家へと帰路に着いた。
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