私の幸せな結婚生活

吏人

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私の幸せな結婚生活

後編

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「それについては私から話してもいいかしら?」
「お久しぶりですお義母様」
「母上なんでここに?」

その方は私がアレクとのことを手紙で相談した義母であるリリア様だったのです。お義父様は、第1騎士団から第3騎士団まである騎士団全てを統括するこの国の軍部を司る大臣職にあられます。そんな義両親は、私達がいては私が大変だろうと我が家から少し離れたところに屋敷を構え住んでいらっしゃいます。義母は子供のできない私にも優しく寄り添ってくれ、よく手紙で相談事をしたりして本当の娘のように可愛がってくださいます。今回の訪問もきっと私を心配してのことでしょう。どうやらお義父様もいらっしゃるようですが…

「お久しぶりです。お義父様…あのその頬はどうなされたのですか?」

義父の頬は真っ赤に腫れていたのです。

「アイリス気にしなくていいのよ」
「はい…」
「そんなことより母上何故ここに?」
「そんなのアイリスからあなたが浮気してるかもしれないなんて手紙を寄越して来たから…心配になって…」
「旦那様申し訳ありません…私が内緒にして貰うよう頼んだのです…」
「いや、アイリスに怒ってはいないよ…ごめん急に現れたから驚いて。」
「ホントはもっと早くアイリスに会いに来たかったんだけど、ちょっと気になることがあって色々調べたかったから今日にしたのよ。アイリス遅くなってごめんなさいね。」
「そんなお義母様謝らないでください。来ていただけただけで嬉しいです!」
「アイリスはホントに可愛いわね!…さて今回アレクが愚かにもアイリスに素っ気ない態度を取ったり、女騎士と浮気まがいのことをさせたのは全部これのせいなのよ。」

お義母様が指さしたのは頬を真っ赤に腫らしシュンとなっているお義父様です。

「どういうことなのですか?」
「軍部を司る大臣でありながら公爵が実力もない女を第1騎士団に入団させるのを黙って見ていたのですよ…しかも自分の息子にその女を誘惑しろと指示したのよ!」
「それは、公爵には黒い噂が絶えなかったからこれを機に尻尾を掴んでやろうとだが別に誘惑しろとは言ってない!アレクに好意があるようだったから何か情報をと…」
「お黙りなさい!そのせいでアイリスが傷ついたのですよ!」
「すまない…」
「いえ宜しいのですよ。お仕事なのですから仕方ありません。」
「いいえ、アイリスこれはさらに罪深いことをしたのよ…もうホントに聞いた時は呆れたわ。」
「罪深いこと?」
「アレクは最近あなたが昔のように構ってくれないとこれに言ったらしいのよ。」
「え?そうなのですか?」
「ああ、昔のように君に沢山かまって欲しいのに、君はいつもハグだけで終わってしまうでは無いか…」
「それは…そのもう30ですし、恥ずかしくて…」
「分かっているのだが、もっと君にかまって欲しくて父上に相談したら、押してダメなら引いてみろと…」
「は?」
「はぁ。アレクにアイリスに対して素っ気ない態度を取るようにアドバイスしたそうよ。全く何を考えてるんだか…」
「それは…その…」
「では…旦那様は私の事好きじゃなくなったわけではないのですね?」
「当たり前だ!玄関で出迎えた君と目を合わせて話でもしたら抱きしめたくなるから、目も合せないように急いで書斎へ行った。それにあんな臭い匂いがしたまま君に触れられなくて早く洗い落としたかったんだ。けど偶に寂しくなって眠っている君を覗きに行ったりもした…すまない。」
「全く気づきませんでしたわ。」
「アレクの1番の罪は、男女のことをコレに相談したことかしらね。話を聞いてすぐコレに制裁を加えたのだけどアイリスの気が済まないならまだ殴ってもいいわよ。曲がりなりにも国の軍のトップにいるんですもの。多少のことじゃ死なないわ。」
「リリ流石にこれ以上は私もキツ…」
「あなたに拒否権などある訳ないでしょう…危うく息子夫婦が離婚の危機だったのですよ。もし離婚となれば私もあなたと別れましたわ。アイリスが娘でなくなるなんて有り得ませんもの。」
「すまない。」
「私に謝られても困るのですが、これだからアホは困りますわ。」
「お、お義母様流石にそれは…」
「いいのよアイリス。アレクも含めこのアホ共は反省しなければ、あなたを傷つけるなんて万死に値するわ。」
「お義母様…嬉しいです。こんなに大事に思って頂けるなんて」
「うふふ 当たり前じゃない。幼い頃からあなたを見ているのよ娘同然だったのが、やっと本当の娘になったんですもの。」

お義母様の言葉に涙が溢れてくる。私はなんて恵まれているのでしょう。

「アイリス泣かないで。次もし同じようなことがあれば、慰謝料ふんだくって2人で旅行でもしながら過ごしましょう。」
「離婚しなくても、お義母様とは旅行行きたいです…」
「まあ!!そうね旅行行きましょう!すぐにでも準備初めて気ままに旅行しましょう!」
「はい!」
「待ってくれ!アイリス旅行は私と行くのではないのか?」
「あ」

そう言えばそんな話してたような…

「何を言ってるのかしら。アイリスを傷つけておいて旅行?笑わせるわ」
「そ、それは…父上に言われたから」
「あなた一体幾つなのよ。35でしょ?あの女の気を引いたりするのはまだ命令されたことだからいいとして、このアホに言われたらなんでも信用するわけ?やっていいことと悪いことぐらい自分で判断なさい!あなたも留守番よ!」

お義母様に怒鳴られてお義父様の横でシュンとなってしまったアレク…凄くスッキリしました。流石お義母様。そんなアレクを見て可哀想になったのかマルクがある提案をしました。

「大奥様旅行中お買い物を沢山なされますよね。荷物持ちが必要なのでは?」
「確かにそうね。」
「俺がやります!いえやらせてください!」
「旦那様?荷物持ちだなんて」
「いいんだよアイリス君のためなら荷物持ちでもなんでも喜んでするさ。」
「そうですよ奥様。旦那様だって騎士団長を務めていらっしゃるのですから護衛にもなりますよ。」

アンからもアシストが入り無事?アレクの旅行同行が決まりました。

「あの…私は?」
「荷物持ちはアレクで充分ですし、今回アイリスに不快な思いをさせたあの女の処罰が残っているでしょう?旅行に出発するまでに全て終わらせれば同行させて差し上げますわ」
「すぐに終わらせる。」

お義父様は急いで屋敷を出ていかれました。 よっぽど行きたかったんですね。お義父様…

「それじゃ私も帰るわね。ホントは泊まるつもりだったんだけど旅行の準備したいし!アイリスまた後日会いましょ!」
「はい!楽しみにしております!」

お義母様も帰られてアレクと2人っきりになった。気まずい… 先に口を開いたのはアレクだ。

「アイリス あのもし良かったらお茶でもしないか?…」
「ええ、喜んでご一緒させて頂きますわ。アンお茶の準備お願い。」
「かしこまりました。」

アンが準備してくれて2人でお茶を飲む。茶菓子は私がお義母様に食べてもらおうと作ったクッキーだ。

「久しぶりにアイリスとお茶する気がするよ。」
「そうですね…旦那様はお忙しかったですから…」
「こ、これからは沢山お茶をしよう!!いやお茶だけじゃ足りないな!デートもしよう!」
「うふふ ええ、そうしましょう。」
「ああ!!楽しみだ!  このクッキー美味しいな。ちょっと生姜が入ってる。君が昔作ってくれたクッキーに似てるな。」
「あらあら、旦那流石ですね。それは奥様がお作りになられたものですよ!」
「そうなのか? アイリス凄く美味しい。」

気づいてくれるなんて思ってもみなかった。凄く嬉しい… 

「ありがとうございます。」
「なあ、アイリス昔みたいにアレクと呼んでくれないか?」
「え?」
「ダメかな?」
「…アレク」
「アイリス。ごめんな…これからは君を傷つける言うな事は絶対にしない。」

それから私達は10年目の結婚生活をやり直すかのように色々な話をした。
その後マリア様がどうなったかは聞いていない。きっと聞いても憂鬱な気分になるだけだから。
家族4人での旅行はとても楽しいものになった。なんとその旅行から帰ってきて妊娠が発覚アレクもお義父様も大喜びで、お義母様に騒ぐなと怒られていた。
お義母様はそばにいていつも助けてくれた。お義父様は早くもベビーベッドや子供用の服を用意してる。お義母に性別も分からないのに早とちりよ!と怒られながら。
アレクにお義母様みたいになりたいと話すと凄く微妙な顔をされた。
そんな他愛のない会話をしながら結婚11年目もうすぐ新しい家族が増える。
これが私の幸せな結婚生活

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無理矢理終わらせた感ありますが
これで一応完結です!
如何でしたでしょうか?
反響があればアレク視点とかお義母様視点書いてみようかな?




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