私の幸せな結婚生活

吏人

文字の大きさ
上 下
3 / 8
私の幸せな結婚生活

中編

しおりを挟む
あの日から3日がたった、今日は大事なお客様がいらっしゃる。アレクとはあれからほとんど顔を合わせていない。
はぁ、結局全然話してくれないじゃない。

「奥様今日は楽しみですね?」
「ええ。早くお会いしたいわ」

アンと共にお客様に出すお菓子を作りながら話していると玄関が騒がしい。まだ着くには早いはずなんだけど。
すると侍女が慌てた様子でキッチンに駆け込んできた。

「奥様!大変です!」
「どうしたの?」
「あの…女狐じゃなかった マリアと名乗る方が!」
「え?」

アンと共に玄関に行くとアイリス様が怒っていた。

「あなた!アレク様に何言ったのよ!あんたのせいで!あんたのせいで!」
「落ち着いてください!一体なんなのですか?」
「第1騎士団から移動になったのよ!あんたが何か余計なこと言ったんでしょ!私とアレク様を引き離すために!」
「いくらなんでも失礼ではありませんか?急にいらしていわれのないことで怒鳴られても困りますわ。今日は大事なお客様がいらっしゃるんです。お帰りください。」
「何よ!年増のババァのくせに」

アンが今にも殴りかかりそうな勢いだ。マリア様はまだ何かを喚いているが…そんな時玄関が勢いよく開いてアレクがいた。後ろには第1騎士団の方がいらっしゃるようだった。

「団長!!」

マリア様は先程まで喚いていたのが嘘のように笑顔になりアレクに擦り寄って行く。しかしそんな彼女は眼中に無いかのように通り過ぎ私のそばまで来ると急に抱きしめられた。

「やっとだ!ただいまアイリス!」
「え?お、おかえりなさい?」

何がなにやら全く分からない。でも…久しぶりに抱きしめられた。そんなアレクの態度が信じられないとでも言うようにマリア様は怒りだしました。

「アレク様なんでそんなババァを抱きしめてるんですか?!私はここです!!」
「おい、名前を呼ぶな。何故お前がここに居る。」
「ヒイィィィ」

一体どうなってるんだろう… アレクは今にもマリア様を殺しそうな顔してるし、マリア様はわけが分からないと言う顔してるし、なんなんだ一体…使用人達も訳が分からないと言う顔だ。

「マリア貴様には異動を指示したはずだが…何故まだ第1騎士団の制服を着ている。」
「あ、あのそれは…」
「トーリ、この女にちゃんと異動命令のことを伝えたんだろ。」

アレクがそういうと第1騎士団団員の1番前にいた茶髪の大柄の方が前に出てきました。

「はっ確かに、第3騎士団の方に異動せよとの命令を伝えました。
初めまして奥様。私第1騎士団副団長を務めております トーリと申します。この度は元第1騎士団のものがご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございません。」
「いえ。いつも主人がお世話になっております。」
「副団長!何故私が平民のしかもただの警備兵である第3騎士団に異動しなければならないのですか?!」
「はぁ。おいマリア・ルチアーノ異動命令を出した時に説明したはずだがな…」
「納得出来ません!資格不十分だなんて」

誰でもいいから説明してくれないかしら…そう思い視線を投げかけていると副団長であるトーリ様が事の顛末を話始めた。

「彼女マリア・ルチアーノは公爵家の令嬢でして、団長に憧れ公爵の権力を使って第1騎士団に入団したんです。まあ親のコネを使って入ってくるものは今までもいましたが、しっかりと鍛錬し仕事が出来れば私達も何も言いませんでした。しかし彼女は、鍛錬はしない、仕事はできない、毎日鼻につくような香水の臭いをさせて団長に付きまとうだけでしたので何度も忠告をしていたのですが…その度に公爵から娘が虐められていると抗議の手紙が届いたのです…」
「辞めさせるというのも、公爵様が許さなかったのですね…」
「ええ。そんな時公爵の不正疑惑が浮上し第1騎士団は彼女には内密で公爵を調査しました。かなり時間はかかりましたが、先日やっと証拠が揃い公爵を摘発することになりました。本来ならば彼女も罰を与えられるのですが、公爵も彼女には犯罪の一切を隠していたようで自白剤を飲ませても何も知らなかったのです。」
「だから平民落ちのうち第3騎士団に異動となった訳ですね。」

騎士団は貴族の中でも優れた腕前を持つものしか入れないはずの第1騎士団、貴族が主に所属する第2騎士団、平民が所属する第3騎士団の3つがあります。

「ええ。調査の間彼女に勘づかれないように団長には、彼女の気を引き付けて貰っていたのです。ですが、2人っきりではなく必ず騎士団の誰かが共に行動しておりました。」
「アレク…」
「すまない。公爵が我が家の使用人にも間者を忍び込ませていたから話せなかったんだ。」
「そうだったのですね…」
「しかし、まさか奥様に別れろと迫るとは…お許し下さい。我々のミスです…」
「いいや。私のミスだ。まさか私のアイリスを傷つける言動をとるとはな…愚かな。今すぐその女を連れて行け後日処罰を言い渡す。」
「はっ」
「待って!アレク様!そんな酷すぎるわ!嫌よ!私はアレク様と愛し合ってるのよぉぉおおお」

マリア様は未だに何かを叫びながら騎士団の方々につれて行かれました。

「それでは奥様私もこれで失礼します。」
「あ、はい。ありがとうございました。」
「いいえいいえ、あの奥様…団長は奥様一筋ですので安心して下さい。」

ルート様はそういうとアレクに挨拶をしてから帰っていかれました。
なんとも慌ただしくありましたが、旦那様の浮気ではなかったのですね…けど

「旦那様。」
「なんだ?…もしやマリアにどこか怪我でも負わされたのかい?!」
「いえ。違うのです…あの…マリア様と浮気はしてないことはわかったのですが、何故最近素っ気なかったり、愛してると言って下さらなかったのですか?間者が居ても調査のことを言わなければ別に素っ気なくする必要なかったのでは?…それともやはり別にお付き合いされてる方が?」
「違う!君以外に付き合うなんて有り得ない!!」
「ではどうして?」
「それは…」

アレクが言いかけた時私達の前にある方々がいらっしゃいました。

ーーーーーーーーーーー
前半後半で分けようと思ったのですが長くなったので 前編、中編、後編にしようと思います!
誤字脱字お許し下さい
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~

緑谷めい
恋愛
 ドーラは金で買われたも同然の妻だった――  レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。 ※ 全10話完結予定

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。

松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。 そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。 しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

地獄の業火に焚べるのは……

緑谷めい
恋愛
 伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。  やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。  ※ 全5話完結予定  

初恋の呪縛

緑谷めい
恋愛
「エミリ。すまないが、これから暫くの間、俺の同僚のアーダの家に食事を作りに行ってくれないだろうか?」  王国騎士団の騎士である夫デニスにそう頼まれたエミリは、もちろん二つ返事で引き受けた。女性騎士のアーダは夫と同期だと聞いている。半年前にエミリとデニスが結婚した際に結婚パーティーの席で他の同僚達と共にデニスから紹介され、面識もある。  ※ 全6話完結予定

処理中です...