5 / 9
十七歳童貞彼女なし 最後にキャバクラに行きたかったです
チート自堕落生活①
しおりを挟む異世界転移か! 飛んだテンプレ展開だぜ! しかもチート有り!
碌でもない死に方だったけど、結果オーライだな。
だが、爆笑してたこの女神はテート貰った瞬間張り倒して埋めてやる!
俺がそんな決意をしていると、女神が咳払い一つして話し始めた。
「さて、時間も掛けちゃったし、本格的な説明に入るわよ」
「おう」
「まず、貴方の行く世界だけど、想像通り中世ファンタジーな魔法ありスキルありの世界よ」
「おおう! やっぱりか! それだよそれ!」
「わかってるなら詳しい説明はいらないわね」
「言葉とかは自動でわかるようになるのか?」
「いえ、それは違うわ。楽してできるようなる程人生甘く無いのよ!」
「は? じゃあ自分で覚えろと⁉︎」
「それも違うわ。ある程度のリスクは考慮しておいてちょうだいってことよ」
「おい、今とんでもない事を言ったな。何をするつもりだ⁉︎」
「ちょっと脳に負荷をかけて強引に覚えさせるだけよ。電子レンジみたいなものだから安心して頂戴」
「全く! これっぽちも! 安心できないんだが! 他の方法はないのか⁉︎」
電子レンジって……沸騰するわ! リスクしかない! 今までの二百三十人は大丈夫だったのかな⁉︎ 半分近くは絶対異世界に降り立った瞬間に廃人になってるわ!
俺の必死さが伝わったのかは知らないが、とんでもなくイラつくことに女神が心底呆れたように息を吐いた。
「わがままね。親の顔をみてみたいわね」
「うっさいわ!」
「まぁ良いわ。チートを与える応用でスキルとして埋め込むわ。本当に我儘ね!」
「それができるなら最初からそう言えよ! ほとんどない信用が崩れ去るところだったぞ!」
「な、なんですって! それはまずいわ。すぐに名誉挽回しないと!」
「ああ、そうしてくれ。具体的には他の奴らにもあげたことがないようなとびっきりのチートで手を打ってやる」
ふふふ! アホで助かったぜ! これで俺の異世界チート生活は保証されたようなもの!
俺は決めたことがあるんだ。
異世界では働かないって! いや、それは語弊があるな。チートで楽して生きようって!
もう懲り懲りなんだ。意味なく働いて搾取され続ける日々は! 俺は! 異世界で! チートでのんびりダラダラと生きてやる!
さあ女神! 俺にさいっこうのチートをくれ!
「ええ! 任せなさい! とびっきりの奴を用意するわ! ここから選んでちょうだい!」
女神がタブレットを差し出す。流し見していくが………。
この『どんなに食べても太らない』って確かに凄いけど全然ベクトルが違うし。そんなのばっかりだ。
「……参考までに他のやつはどんなの貰ったんだ?」
ダメだ。素直に先人たちのを参考にしよう。そして先人を出し抜くのは諦めよう。この女神相手じゃ無理だ。
「ええと、直近の百年前の二百三十回大会の優勝者か覚えてないけど良いかしら?」
やっぱりこの女神バカだ。やっぱりこいつただ単にパラメータを筋力に全振りしてるだけだろ。
つまり落ちこぼれ。
女神を変えて欲しい。いっそさっきのオッサンでもいい!
「サモン、天使なオッサン!」
「な! あんな禿げ散らかしたオッサンにこの麗しい私の何が劣ると⁉︎ 訂正しなさい! さも無いと殴るわよ!」
「黙れ! このままじゃ碌なチートがない! なんだこの『異常なほどペンキ塗りが上手くなる』って! 俺が望む凄さじゃない!」
「良いこと⁉︎ 貴方みたい軟弱な男にあの世界で冒険者なんてできるわけないでしょうが!良いから大人しく手に職つけなさい!」
「余計なお世話だわ! そもそもそんな危ないことするわけ無いだろ! いいか! 俺は異世界でテートを使って自堕落スローライフを送るんだ! だからとっとと相応しいチートをよこせ!」
「……びっくりするほど欲望に素直ね」
「うるさい。ほら、もう覚えてるのでいいから教えろよ」
「……わかったわよ」
さて、一体どんなチートを貰ったんだか。
血生臭いのは嫌だが、誰もがそんなのを望んでるわけじゃない。もしそうでもどれくらいのを貰えるのかっていう指針になる。
この女神が出すのはダメだ。
「前回の優勝者は逆バンジーをした際に強烈な上昇気流に乗せられてゴムが切れたせいで、そのまま宇宙空間に飛んで行ったのが死因だったわ」
「そんな事ある⁉︎」
「そしてその男は賢かったわ。マイナークイズアプリで日本一を取るくらいは」
「それ絶対覚えただけだぞ」
「そんな彼が選んだチートは望んだ人になれる、力も頭脳もそのまま、記憶だけが本人の物、というものだったわ」
「……なんか微妙だな」
元の世界のやつを選んでもどんなにすごいやつでもやっていけるとは思えない。例えオリンピック選手を選んでも一つに特化してる上に、魔法があるなら簡単に覆せれる物だろうな。
ハズレだな。
と、思ったのだが、女神はドヤ顔でビシッと指を突き付けてきた。
「そんなことはないわ! だって彼が選んだのは、ゲームの中の人だったからよ!」
「っ⁉︎」
な、なるほど! その手があったか! 異世界だから例え有名キャラになっても知ってる奴はいない! 転移者も直近が百年って言ってたし、前回も似たようなものだろう!
日本一は伊達じゃない!
「そ、それで一体どんなっ⁉︎」
「ふふ、それはね––––」
例えばRPG物ならレベルMAXで指定すれば大抵、凄まじいものになる。
これは俺のチートも決まったか⁉︎ スローライフに適したキャラ、何かいたか? 捻り出せ!
「髭を生やしたオーバオールのおっさんよ」
「おい、それってまさか……よりにもよってマ○オかよ!」
「いえ、ワルイ○ジよ」
「何の拘りだよ⁉︎」
ヒップドロップと壁キックくらいしかできないぞ⁉︎
いやむしろワル○ージを選んだ弊害で、車にしか乗れなかったかも知れないぞ⁉︎ しかも二百人以上転移したなら誰かが車くらい伝えただろ!
所詮は碌なシステムが無いマイナークイズアプリでしか威張れない男だ。
「そいつ、早死しただろうな」
「いえ、今も生きてるわよ」
「は⁉︎ 」
「ほら、マ○オって年取らないじゃない」
「……それ採用されるんかい」
なら悪くない、か? ……って騙されるな! 一生おっさんは嫌だ!
俺はもっとましなキャラに……。
「さて、参考になったかしら?」
「ああ、俺もそれにしようかな」
「あ、ダメよ。同じやつは」
「え?」
「そういう設定だから」
「……」
いきなり頓挫とんざした。
あと明け透けも無いことを言うな。
でも、そう言うことならしょうがないか。駄々をこねても仕方がない。切り替えていこう。
「ならせめてマシなやつを持って来てくれよ」
「し、仕方がないわね」
何やら女神が頬を赤らめて期待するような顔で別のタブレットを俺に差出した。
……俺フラグ建てたっけ。
なまじ顔はいいから、俺もドキッとしそうになる。
けど、こいつはゴメンだ。例え女神を連れて行くなんてのがあっても嫌だ。
恋人なんてもっての外だ!
ラノベで怒りに身をまかせた奴がこいつと似た様な女神を連れて行く展開があった。あれはあれで楽しそうだが、俺は嫌だ。何度も言うが、自堕落生活––––は⁉︎
「あ、あのね。それが今回のおすすめよ。選んだら女神の加護が……」
「アホ! 女神そのものじゃねーか!」
何と驚くことにタブレットにはデカデカと『麗しき特別製女神』の文字が。
地雷だ。まさか本当に提案してくるとは。
死んでも嫌だ。いや、死んでるけど。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
キャンピングカーで往く異世界徒然紀行
タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》
【書籍化!】
コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。
早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。
そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。
道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが…
※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
※カクヨム様でも投稿をしております
元社畜が異世界でスローライフを行うことになったが、意外とそれが難しすぎて頭を抱えている
尾形モモ
ファンタジー
ブラック企業勤めの社畜としてこき使われ、その果てに過労死してしまった斉木英二。そんな時、運命の女神の粋な計らいによって「異世界転生しスローライフを送ることのできる権利」をプレゼントさせる。
これで楽しいスローライフの始まり! と思ったが意外にもスローライフは大変なようで……?
※第4回次世代ファンタジーカップ参加作品です! 皆さま応援よろしくお願いします!
ざまあ~が終ったその後で BY王子 (俺たちの戦いはこれからだ)
mizumori
ファンタジー
転移したのはざまあ~された後にあぽ~んした王子のなか、神様ひどくない「君が気の毒だから」って転移させてくれたんだよね、今の俺も気の毒だと思う。どうせなら村人Aがよかったよ。
王子はこの世界でどのようにして幸せを掴むのか?
元28歳、財閥の御曹司の古代と中世の入り混じった異世界での物語り。
これはピカレスク小説、主人公が悪漢です。苦手な方はご注意ください。
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる