世界の秩序は僕次第

虎鶫

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プリジュドルート

メクタウの章:砦攻略編

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パカッパカッパカッ・・・

メクタウの章:砦攻略編

ウスタウさんは本気で噴火させようと考えてる。
プリジュドにそれを言うとノリ気で噴火させるだろうな。
なんとなくそんな気がする。

プリダルエが使った策で砦を破壊できればプリダルエは悔しがるだろう。
それにギノツ村を取り戻すためには、あの砦は無いほうがいいのか。
いや、無関係なワフまでまた巻き込んでしまうことになる。

『思ったより早いようだが、何かまだ引っかかることでもあるのか』
セキダイコの辺りで声が聞こえてきた。
声の方を見るとプリジュドが立っていた。

『まぁ考えは砦に向かいながら聞くことにするか、ではいくぞ!』
『いくぞって、オマエだけか?ドマシやジュマシは?』
『いない』
『いない?そんなわけないだろう。沢山いただろう』
『さっきオマエが来た時にドマシと会ったか?』

言われてみれば、ドマシの洞窟の中にはプリジュドしかいなかった。
ではドマシはどこへ?
そしてジュマシは?

『心配しなくてもタスト村には向っていない』
よかった・・・のかな?
『では、どこへ?ジュマシは?』
『ふむ・・・オマエならわかると思ったが、説明が必要か?』

むっ、なんだかバカにされた気分だ。
とはいえ、わからないのは事実なので聞いておきたい。

『必要だ』
『わかった、移動しながら説明してやる』
そういうと、プリジュドは僕の身体に乗ってきた。

・・・

『オマエ、なんでオレに乗るんだ?』
『この方が移動が速いだろ』
『本当は楽をしたいだけじゃないのか?』
『心配しなくても、体力は回復してやる』
いや、そういう問題じゃない。
が、ここで言い争っている場合でもない。

『しっかり掴まってろよ、振り落とされてもしらないぞ』
『クックック、振り落として困るのはオマエだろ?』
口の減らないヤツだ。

パカッパカッパカッ・・・

『で、他のヤツらはどこへ?』
『砦がある事は知らなかったが、もう現地に向わせている。あいつらは移動が遅いからな』
確かにタウス族と比べると移動は遅い。
理にかなっているが、僕が断っていたらどうしていたんだろうか。

『最初からプリダルエを攻めるつもりだったのか。オレが組まなかったらどうしていたんだ?』
『さぁな。でも実際組むことになっただろ』
どこまで先を読んでいるのかわからないが、こっちの考えはお見通しということか。

『それなら、どうやって砦を攻略するかもわかっているのか?』
『わからん。砦の存在を知ったのは、さっきオマエから聞いたからな』
『なんだ、すべてお見通しというわけでもないんだな』
僕はわざと皮肉っぽく言って、チラッとプリジュドの顔を見たが悔しそうどころか、なぜか嬉しそうな顔をしている。

『クックック、オマエは嘘は言わないが、本当の事も言わないからな』
皮肉で返された。

タウス族は準備万端のようだ。
「よし、オマエら!このままのセキダインの森へ向うぞ!」
「オオーッ!」
タウス族の士気を高めた。

『クックック、よく躾けているようだな』
『躾け?オレは長だが、主従関係はない。全員大切な仲間だ』
『仲間・・・か』
少しだけプリジュドの顔が寂しそうに見えたが気のせいか?

『どうした、プリジュド。オマエには仲間がいないのか?』
ちょっとだけ意地悪な事を言ってみた。

『クックック、オレにはメクタウという仲間だけで十分だ』
『オマエ本気で言ってないだろう』
『クックック』
本当に食えないヤツだ。

砦が近づいてきた。
もうすでに戦いは始まっているようだ。
でも何か様子がおかしい。
何故互角に戦えているのだ?

ガイアさんの時に戦ったドマシはお世辞にも強いとは言えない。
ダールエ族との力の差も天と地ほどの差があるはずだが。

『オマエ、ドマシとジュマシに何をした?』
『何をとは?』
『攻撃魔法が得意なドマシ達が協力しあえばダールエ族相手でもそこそこ戦えるのはわからないでもないが、ジュマシ達も同じぐらいの強さを持っている気がするぞ』
『ほう、アイツらはダールエ族というのか。本当にオマエは何でも知っているな』
感心された。
が、欲しい答えはそれじゃない。

『で、何をした?』
『ふむ・・・あえて言うなら躾けだな』
『躾け?・・・いや、それは嘘だな』
『何故、嘘だと?』

うっすらとだが、見えるドマシ達の目つきが違う。
『目つきが違う』
『クックック、オマエは本当によく観察しているな』
『そんな世辞などはいらない。本当の事を言え』

『躾け・・・と言っても、納得はせぬか。では、戦いにおいて不要な物は何かわかるか?』
『不要な物?』
そんな問い自体が今は不要だと思うが、さすがにそれは言えない。

『あぁ、不要な物だ。無駄な物と言ってもよい』
『だから、それは何だというのだ』
『わからぬか。では聞こう。オレとオマエが戦ったらどうなる?』
『オレが負けるだろうな』
『ほう、戦いもせずに負けると思うのか。では、何故負けると思うのだ?』
自分の力を誇示したいのか?

『悔しいが、オレの力ではオマエの力に及ばない』
『本当にそうなのか?オマエは自分の力を過小評価しているのか?それとも、オレの力を過大評価しているのか?』
一体コイツは何がいいたいのだろう。

『だから何が言いたい!』
いい加減、腹が立ってきた。
『そう怒るでない。オレはオマエを賢いヤツだと思っているのだ。だから説明も不要だと思ったのだが・・・』
褒めたいのか、けなしたいのかどっちなんだ。

『では、聞き方を変えてやる。オマエはオレと戦いたいか?』
『思わない』
『何故だ?仲間だからか?』
『だから、オマエの方が強い・・・えっ!』
いや、まさかな・・・
でも、プリジュドはやっとわかったかと言わんばかりの顔をしている。

『オマエ、もしかして・・・?』
『もし、が何をさしているかわからぬが、その通りとだけ言っておこう』
なんてやつだ。
僕の想像通りなら、とんでもない事をやりやがった。


『安心しろ、オマエやタウス族にはせぬ』
僕が不安そうな顔をしたのを察したのかそう言ってきた。
『それは助かる』
やはりコイツは監視しておかないとヤバイ。

『それはそうと、このままではらちがあかないぞ』
善戦はしているが砦を攻略するには至らない。
『ふむ・・・、やっぱりオレが出ないとダメか』

そういうと、僕から降りて砦に向って歩いていった。
『全員、戻れ!』
プリジュドがそう言うと、砦を攻めていたドマシ達はプリジュドの後ろに戻ってきた。
と、同時にプリジュドの手元に力が宿っていくのがわかる。

『喰らえーーっ!』
そう言うと、プリジュドが魔法を放った。
すごい威力だ。

ドガーーンッ!

魔法は砦に激突して、その衝撃波が跳ね返ってきた。
タウス族は無事だったが、ドマシ達は軽いので後ろに吹っ飛んでいった。

・・・

『おい、オマエ本気でやったのか?』
僕は皮肉たっぷりにプリジュドに言った。
『力を出し惜しみなどせぬ』
少しだけプリジュドが悔しそうな顔をしている。

砦の壁の形は変形したが、プリジュドの魔法では破壊できなかった。
ギノツが鍛冶の村だった理由がわかった気がした。

『なるほど、ここはいい素材が採れるようだな』
『あぁ、あの山からはいい鉱石が採れるからな』
『クックック、本当にオマエは色々と知っているな・・・では、毒には毒で制すか』

『オマエ何をいって・・・』
僕がそう言いかけると同時に、プリジュドはまた魔法を放った。

ドガーーンッ!

ゴゴゴゴ・・・!

コイツ、やりやがった・・・

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
ドカーーーーーン!

はからずとも、ウスタウさんの言う展開になってしまった。
また山が噴火を起こした。

「岩が飛んでくるぞ!全員避難しろ!」
今の僕が出来る事はこの指示を出すことだけだ。
あとは、見守るしかない。
溶岩が砦に流れ込んで辺りは真っ赤に染まった。

『クックック・・・』
プリジュドの不敵な笑みが際立ったように見えた。

メクタウの章つづく
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