世界の秩序は僕次第

虎鶫

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ルートA

続々々々・メムロの章

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「ぼくちゃん、こないなところで寝てたらレクドちゃんにぱくりとやられんでー」
聞き覚えのあるクセのある話し方。
というか、もうブクドにぱくりとやられた後だが。

続々々々・メムロの章

目の前に居たのはサーカさんではなかった。
「あ、あの、あなたは?」
「オレか?オレが気になる?なぁなぁ?名前とか知りたい?なぁなぁ?」
なんなんだこのサーカさんを数倍にしたようなノリは。

「えっと、僕はメムロです」
「せやで、人様に名前を聞く時は、自分から名のならあかんねんで。ぼくちゃんえらいなぁ」
「は、はぁ、ありがとうございます」
僕は頭を下げた。

「アッハッハ、自分おもろいやっちゃなー。オレはオオカや。よろしゅーな」

オオカ!?
どこかで耳にしたような・・・あ!
出発前にロキさんが言っていた名前と同じだ。
同一人物をさしているかどうかはわからないが。

「ほんで、メムロちゃんは、なんであないなとこで寝とったんや?」
「えっと・・・気がついたら寝てました」

・・・

「うーん、ボケとしてはちょっと弱いなぁ。まだまだ修行が足りんで」
なんの修行だろうか。

ジーッ!
「ん?なんかオマエとはどっかでおうたような気がするなぁ」
オオカさんは僕の顔をじっと見るなりそう言ってきた。
何の事だろうか?

「まぁえぇわ。ここにずっとおるとレクドちゃんが、怒ってくるからはよ移動するで」
「は、はい」
「ここ通るってことはヨサトにでも行くつもりやったんやろ。知らんけど」
「はい、ヨサトに向うところでした」
知らないどころか全部見透かされているのではと思ってしまう。

「あっちの方にオレも用あるから、連れてったるわー、遠慮せんとついといでー」
強引なところもサーカさんっぽい。
でも、サーカさんよりも強いのがわかる。
それにヨサトの場所を知らないのでちょうどいい。

タッタッタ!

ピタッ!
オオカさんが急に立ち止まった。

「メムロちゃん、わかるか?」
「え、え?なにがですか?」
「なるほど、メムロちゃんの実力わかったわ」

シュパッ!
突然オオカさんが僕に向けて斬りつけてきた。
いや、正確に言えば、僕の後ろにいたモンスターに対してだ。

「こいつら、ルロっちゅーねん。穴からぽこぽこ出てくるから、ちょっと相手してみ」
「は、はい」
良く分からないが、なんかニョロニョロしたやつがルロのようだ。

ピョコッ!
サッ!
スカッ!

ピョコッ!
サッ!
スカッ!

・・・

「アッハッハ、メムロちゃんはやっぱおもろいやっちゃなー。見てから攻撃したら避けられるに決まってるやん」
「でも、穴の中は見えないから出てきたところを攻撃するしかないじゃないですか!」
からかわれて腹が立ってきた。

「ルロが出てくる瞬間を見極めるコツっちゅーのをおしえたろかー?」
「はい!」

「ルロが出る瞬間はなー・・・勘や!」

ガクッ・・・

「ま、何事も慣れやで」
ポンポンと肩を叩かれた。

やっぱり、サーカさんと同じノリだ。
でも実力は段違いだ。
僕が1匹であたふたしている間に、オオカさんの近くにはルロの死骸が大量にあった。

「すごい・・・」
「すごいやろー。もっと褒めてもえぇんやでー」
これ以上褒めるのはやめた方がいい気がした。

しばらくルロと戦った。

「ま、こんなもんかな。そろそろいくでー」
「ハァハァハァ、はい」
「それにしても、メムロちゃんおもろい武器もっとるなぁ。そんなんどないしたんや?」
「ロキさんからプレゼントしてもらいました。ギノツの技術がどーとかって」
「へー、あのロキちゃんがねぇ。ギノツの技術ねぇ。ま、そういうことにしといたるわ」
どういうことだ?

「もうちょいでヨサトやでー」
やっと、ヨサトにつくのか。
みんなはもう合流して先に進んでいるのかな。

しばらくするとヨサトの村に着いた。
・・・
なんだこの村は。
サーカさんみたいな話し方をしている人がいっぱいいる。

「メムロちゃん、とりあえずついといで」
「は、はぁ」
どこに連れ行かれるかわからないが、あても無いのでついていくしかなかった。

「おひさー、シュヌちゃん、じゃますんでー」
「じゃまするんやったら、かえってやー」
「あいよー・・・ってなんでやねん!」

どうやら連れて行かれたのはギルドのようだ。
というか、本当になんなんだこのノリは。

「で、横のちっこいのはどこで拾ってきたんや。人さらいは一発アウトやで」
「ちゃうちゃう、品性高潔なオレがそんなんするわけないやん、な、メムロちゃん、ちゃうってゆーてや」
「メムロです。オオカさんにさらわれてきました」
僕は名乗って頭を下げた。

「アッハッハ、メムロちゃんも冗談いうようになったやん・・・っていうか、そこはちゃんと訂正してやー」
「メムロ!?」
シュヌさんが僕の名前を聞いて反応をした。

「ほー、オマエがメムロかぁ。確かにサーカの言う通りひょっこり現れたなぁ」
「え、サーカさんもここに来たんですか?」
「なんか合流する、ゆーて、あとから2人来てからワニナに向ったで」
ルーナさんも無事なのか。
というか、あと1人は誰だ?

「ほんまに来るとはおもわんかったけど、一応セイドから伝言頼まれてな【もしメムロがここに来たら先に向ってるといっておいてくれ】ってゆーてたわ」
「セイドさん!?」
なるほど、あとルーナさんの野暮用はセイドさんを呼びに行ってたのか。
だからルーナさんもここにたどり着けた。

「オオカ、行くならはよ行った方がえぇで。セキライミの方で、なんかごっつい音してたで」
「!」
「ん、メムロちゃんどないしたんや。えっらい怖い顔して。ちゅーか、なんでオレがいかなあかんねん」

「オマエ、メムロを1人で行かせる気か?」
「あー、もう、えらいもん拾ってきてもーたで。しゃーない、ついといで」
話がとんとん拍子に進んでいくが、結果的にワニナまでは行けそうである。

「オオカさん、よろしくお願いします。シュヌさん、ありがとうございました」
僕はお礼を言ってギルドを先に出た。

「シュヌちゃん、どう見た?」
「オオカ、どえらいもん拾ってきたな。アイツただのガキちゃうで」
「やっぱりそうやんなぁ。シュヌちゃんがそういうなら間違いないな。ま、退屈せんでえぇか、ほなー」

オオカさんが遅れてギルドから出てきた。

「メムロちゃん、このままワニナまで向うでー」
「はい、お願いします」

メインストーリー2の続々々々・メムロの章へつづく
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