世界の秩序は僕次第

虎鶫

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メンギャの章:迷いの森編

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『イウン、この森から外に出た事はあるか?』
『もちろんよ。っていうか、他の仲間と連絡を取り合うためにビビーも出入りしているわ』

メンギャの章:迷いの森編

急に出ることができなくなったってことか。
『で、イウンは何から逃げてるんだ?』
『んー、なんか見た事無いヤツ』
『なんだそれ』
『そんなこと言ったって、見たこと無いもんは見たことないの!っていうか、何なのアレは?』
『いや、何なのって言われても僕は見てないからなぁ』
話がかみ合ってるようなかみ合ってないような。

『イウン、上にはどれぐらい飛べる?』
『お、あんた頭いいわね。っていうか、森の上までぐらいなら行けるわよ』

そう言いながら上昇していった。
ブーン・・・

あれ?

ブーン・・・

『あれ?っていうか、あんたも空が飛べるの?っていうか、ここは元の場所?』
『僕は動いてない』
この森はどうなっているんだ?

いや、可能性があるとすれば・・・
『イウン、もしかしてだが・・・最近、セキライミが光ったりしたか?』
『なんでそれを!っていうか、あんた達はいつも湖の中にいるから見えないんじゃないの?っていうか、ソレを知ってるのなら原因もわかってるんじゃないの?』
『原因はわからない。ここに来るのも初めてだし』

うーん・・・

『そういえば、あんたはわたしの言葉がわかるのよね。っていうか、さっきグインと間違えたわよね。っていうか、なんでグインを知っているのよ』
『色々あってグインと知り合った。で、言葉がわかるようになった』
『グインは無事のようね。っていうか、インツは無事なの?』
『捕らわれているって聞いた』
『何で助けてあげないのよ!っていか、わたしも助けてよ!』
『いや、そんなこと言われても。でも、いずれはあっちの森にも行くことになる・・・はず』
プリダルエといずれは決着をつけないといけない。

『はずってなによ、はずって!絶対に助けるのよ!っていうか、その前にわたしを助けてよ』
わがままなやつだ。

『とりあえず、僕は一旦帰る。でも、必ず戻ってくる』
『絶対よ!絶対だからね!』

とにかく、情報が足りない。
ゾハギなら何か妙案を出してくれるかもしれない。

僕は広間に戻った。
「メンギャ様、どちらへ行ってたんですか?」
「セキライミの近くにある森だ」
「はぁ、やっぱり。で、ビビーに襲われそうになって帰ってきたんですか?」
「うーん、襲われることはなかったが、あそこの森は妙だな」
「前も言ったでしょ」

ん?
「そういえば、森に行ったけど雰囲気が変だから慌てて引き返したやつがいるって言ってたよな」
「はい、まったく情けないやつです」
「ちょっと、そいつを呼んできてくれないか」
「!」
ゾハギが慌てた顔をした。

「大丈夫だ、別に責めたりはしない」
「わかりました。連れてきます」

しばらくすると、1匹のハギョを連れてきた。
広間に入ってくるなり、僕の前で土下座しだした。
「すみません、すみません、すみません・・・」
メンギャは暴君だったのか?

「ちょっと、落ち着け。責めたりはしないと言っただろ」
「ほ、本当ですか?」
「森に行った時の事を聞かせてくれたらいい」
「行ったといっても、すぐに引き返したので話すほどの事でもないですが・・・」
「森の中にはどうやって入った?」
「湖へ行く途中の別れ道の片方が森の中にある沼に出れます」
「森では何かに出会ったか?」
「い、いえ、出た瞬間にもう殺意に溢れた雰囲気で引き返してしまいまして・・・すみません、すみません、すみません」
「わかった、わかったからもう戻っていい」
ハギョは逃げるように広間から立ち去った。

うーん・・・
「メンギャ様、また森にでも行くつもりですか?」
「まぁな。約束もしたしな。ゾハギ、森に入ってまっすぐ進んだら森の奥につくはずだよな」
「当たり前です」
「それが、森の入り口に戻ってきているんだ」
「・・・新しいなぞなぞですか?」

まぁそうなるか。

「なんだゾハギなら、何かわかると思ったんだがな」
僕はわざと煽ってみた。

「メンギャ様、私をみくびらないでください!」
ゾハギがムッとした顔をしながら言ってきた。

「では、この謎が解けるのか?」
「うっ・・・」
さすがのゾハギでも無理か?

「メンギャ様、その森に行ってもよろしいですか?」
「百聞は一見に如かずだな。行くぞ!」

ザッパーン!
僕とゾハギはセキライミの近くの湖から上陸した。

「そこの森だ、入るぞ」
「はい」

ペタッペタッペタッ!

ブーン・・・

あ、面倒なのが来たかも。
『メンギャ!助けに来てくれたのね。っていうか、そいつ誰よ』
『イウン、助けるのはまだだ。今は謎解きが先だ』
「メンギャ様、ビビーと会話ができるのですか?」
「ゾハギ、いいから着いてこい」

ペタッペタッペタッ!

やっぱり森の外に出た。

「!」
ゾハギが驚いた顔をしている。
「な、言った通りだろ」

「メンギャ様、これはいったいどういうことですか?」
「いや、それを聞いているんだ」
「そ、そうでしたね。私としたことが取り乱してしまいました」

「ビビーと話をしている間に向きが変わったとか」
「で、地面に線を引いて確かめるのか?」
「なぜそれを!」
「それはさっき試した」

「でもメンギャ様、変じゃないですか?」
「何がだ?」
「森に入って引き返したやつは森の中は殺意に溢れているような雰囲気と言ってましたが、いたって普通の森の雰囲気でしたよ」
「そういえばそうだな」

うーん、何が違うんだろう。

「メンギャ様、次は森の中に直接入ってみますか」
「森の中?あぁ、湖に行く途中の別れ道まで戻るのか」
「はい、もしかすると最初から森の中に居れば何かわかるかもしれません」
「では行ってみるか」

僕とゾハギは湖に戻り、森の中へと続く方へ進んでみた。

ヒョコッ!
顔を出すと森の中だ。

ゾワーッ!
な、なんだこの雰囲気は。

「メンギャ様、この雰囲気はヤバイですな」
「ゾハギ、ここは本当にさっきの森なのか?」
「間違いありません。私も何度か来てます。外から森に入って、ハチミツを舐めてビビーに見つかったらここから逃げて・・・」
って、おいおい、何をしているんだ。

「とりあえず外に出てみるか」
ザッパーン!
ペタッペタッペタッ!

目の前にイウンが居た。
『イウン』
『あれ?メンギャ?っていうか、なんで後ろから来てるの?っていうか、だからそっちのは誰よ』
『イウン、本当ならここをまっすぐに進めば外に出ることができるんだよな?』
『だから、何度も言ってるじゃないの、出られないのよ!出られない!』

イウンが騒いでいるが放置してまっすぐ進んでいった。
ペタッペタッペタッ!

「メンギャ様・・・ここは!」
「あぁ、さっき出てきた沼だな」

いつの間にか元の場所に戻っている。
「ゾハギ、だから言っただろ」
ゾハギが困惑した顔で頷いている。

「ここにいても仕方ないから戻るか」
「は、はい・・・」

僕達は広間に戻った。
「どうだ、ゾハギ。何かわかりそうか?」
「元に戻る理由はわかりませんが、原因なら」
「ほう、あの異様な雰囲気が原因とか言うんだろ」
「そ、その通りです」

ゾハギも同じ結論か。

「はぁ・・・」
「メンギャ様、お力になれず申し訳ありません」
「いや、かまわん」

結論は出た。
となると、次にやる事は1つだけ。

「ゾハギ、あとの事は任せたぞ」
そう言って僕は広間をあとにした。

ヒョコッ!
森の中はやっぱり嫌な雰囲気が漂っている。
見たことが無いやつがいるのなら、実際に見に行けばいい。

恐らく、ソイツがこの状況を作り出しているに違いない。
ということは、ソイツを倒せばこの森は元に戻る。
根拠は無いが他の手段も思いつかない。

敵はプリダルエのようなヤツだろうか。
それとも全く違うヤツか?

ペタッペタッペタッ!
僕は森の奥に向って歩いていった。

メンギャの章つづく
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