世界の秩序は僕次第

虎鶫

文字の大きさ
35 / 78
ルートB

続々々・メムロの章:ピクニック編

しおりを挟む
「ねぇねぇ、こっちからの依頼とはいえ、タスト村を離れても大丈夫なの?」
ルーナさんがセイドさんに聞いた。
「うむ、大丈夫だ」

続々々・メムロの章:ピクニック編

言われてみれば確かにそうだ。
小さい村とはいえ、セイドさんはタスト村のギルドマスターだ。
ギルドマスターがギルドを離れるのはよっぽどの時ぐらい。
いや、よっぽどの時だからか。

それにタスト村を攻め込んでくるモンスターは居ない。
居たとしてもギルド員はいるし、ビブリやゴブリ達も守ってくれるだろう。

あれ?
「セイドさん」
「どうしたメムロ」
「セイドさんは、何故ヨサトとかの場所を知ってるの?」
「そういえばそうよねぇ。なんでなんで?」
ルーナさんも興味津々だ。

「今でこそタスト村でギルドマスターをしているが、それまではあちこちを放浪していたからな」
「へー、冒険者ってやつね。いいじゃない」
なるほど、戦闘経験が豊富だから街を出てすぐの草原が危険と判断できたのか。
で、それに気がつかない僕達が居るから駆け抜けたと。

「うーん、私のギルドはまだまだってことかぁ」
ルーナさんががっかりしたような感じで言う。
「ルーナ、自分の所属のギルドの事を悪く言うものではないぞ」
諭された。

「それにロキは思っている以上に強いぞ」
「へー、そうなんだ。ギルドマスターやってるぐらいだから強いんだろうとは思うけど・・・」
「ロキが動く時は本当にヤバイ時だと思っておけばいい」

そういってる間に、湿原地帯が近づいてきた。
「なーんかジメジメしててキラーイ」
ルーナさんがわがままを言い出した。
「ハッハッハ、湿原だからな」
セイドさんはそう言ってあっさり流した。

「一応、ほいっと」
ポワーッ!
全員の身体が光で包まれた。

「毒対策ってことか、ルーナ」
「そうそう、念のためにね」

なんだか僕だけ取り残されている気分だ。

「さて、ピクニックはここまでだ」
セイドさんが警戒感を高めた。
「セイドさん、この辺りにはどんなモンスターが?」
「触ってもビリビリしないから安心しろ」
答えになってない。

でも、普通に攻撃しても大丈夫のようだ。
あとはどういうモンスターなのかを観察して弱点を見極める。
僕がマルムの弱点を見つけた時のように!

ザッパーン!

水溜りっぽい所から何かが飛び出してきた。

「おいでなすったぞ!」

ペタッ!
人型のモンスターだけど身体中が鱗で覆われている。
でも、サーカさんがリクドと呼んでいたモンスターとは違う感じの鱗。
どちらかといえば、魚の鱗?
触れてもビリビリはなさそうだ。

飛び込んで斬りつけたいところだが、相手の武器が僕にとってはやっかいだ。
槍状でリーチが長い上に先端が3つに分かれている。
先端はともかく、リーチの長さがやっかいだ。

恐らく突いてくるだろうが、その隙に近寄るには足場が悪すぎる。

シュッ!シュッ!シュッ!
連続で突いてくる。

この武器さえ何とかすれば。
シュッ!
スパッ!

敵の武器を斬る事ができた!
この手だ!

シュッ!
スパッ!
スパッ!

相手は慌てている。
サッ!
ズバーッ!
ボッ!

炎のオマケつきだ。
ドサッ!

ふー、なんとか倒せた。

「メムロ、ハギョは1体だけじゃないぞ!」
セイドさんが叫ぶ。
こいつらはハギョというのか。

ルーナさんは苦戦しているようだ。
「ルーナさん、大丈夫?」
「ちょっときついかも」

ズバーッ!
ボッ!

「ありがと。私の魔法じゃ効きづらいみたい」
相性が悪い相手ってことか。
ルーナさんと一緒に戦うことにした。

ルーナさんの魔法で足止めしてもらってる隙に僕が斬る。
「ほう、いいコンビじゃねーか」
セイドさんが言ってきた。

「うーん・・・」
ルーナさんの様子が何かおかしい。
「ルーナさん、まだ殲滅してないですよ」
「あ、いや、なんとなく既視感ってやつかな?」

どういうことだろう。
「ほらほら、どんどん来ますよ!」
「あ、あぁごめんごめん」
ルーナさんはハギョに向って魔法を撃ちまくり。
僕はそのハギョを斬りまくり。

「既視感って言っても、ギノツ行った時にも一緒に戦ったでしょ?」
「うーん、それとはちょっと違う感じかな」
会話しながら倒せるぐらい息が合ってきた。

「あぁ、そうだ。ガイアとコンビを組んでた時みたい!」
「えっ!」
2人とも一瞬動きが止まってしまった。

ビューン!

何かが飛んでくる音が聞こえた。
「危ない!ルーナさん!」
そう言って、ルーナさんを突き飛ばした。

ザクッ!

「キャーッ!メムロッ!」
ルーナさんの悲痛な叫び声と真っ青な顔が見えた。

僕の身体から3本の刃が突き出ている。
そして、そのまま湿原の沼地に僕の身体が落ちていった。

ザプンッ!

・・・

「さっすが、メンギャ様。この距離でモリを命中させるなんて」
メンギャ?

メンギャの章へつづく
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!=== ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。 でも別に最強なんて目指さない。 それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。 フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。 これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

スキル買います

モモん
ファンタジー
「お前との婚約を破棄する!」 ローズ聖国の国立学園第139期卒業記念パーティーの日、第3王子シュナル=ローズレアは婚約者であるレイミ・ベルナール子爵家息女に宣言した。 見習い聖女であるレイミは、実は対価と引き換えにスキルを買い取ることのできる特殊な能力を有していた。 婚約破棄を受け入れる事を対価に、王子と聖女から特殊なスキルを受け取ったレイミは、そのまま姿を消した。 レイミと王妃の一族には、数年前から続く確執があり、いずれ王子と聖女のスキル消失が判明すれば、原因がレイミとの婚約破棄にあると疑われるのは明白だ。 そして、レイミを鑑定すれば消えたスキルをレイミがもっている事は明確になってしまうからだ。 かくして、子爵令嬢の逃走劇が幕を開ける。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...