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その仄暗い目に
助けて
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何故会長が一年の教室の廊下に居るのだろうか。
仁王立ちで俺の前に立ちふさがっている。
「陽太はちゃんと勉強してる。マグレじゃねぇよ。」
「君は特待生だから優秀なのに、そんな適当な人間と一緒に居るのは本当に嘆かわしいよ。」
「話聞けよ。」
「斗羽ちゃん、大丈夫。」
「でも…」
「大丈夫。」
怒ってくれる友人が居て俺は本当に幸せ者だ。
大丈夫、俺の大事な人たちに分かって貰えていたら十分だから。
「今日は部活の件の進捗を知らせてあげようと思って。さっき廃部について萱島先生と話し合いも出来たし、部室も閉鎖するのも近いから、早く出て行って欲しいんだ。」
「え?」
部室閉鎖する事になったの?
萱島先生と話し合いしたのに?
先生止めれなかったのかな?
無理だ。
あそこが無いと俺は学校生活が怖い。
「無理だ。」
そう言って斗羽ちゃんが青い顔して絶句している。
そう。無理だ。
嫌だと言っているのではない。
無理なんだ。
部が廃部になって部室が無くなると思うと動悸がする。
朝日さんと付き合えたからって直ぐに自傷癖が治るわけでは無いし来年度も変わらずカーディガンを着込むだろう。
夏は部室で半袖になれると思っていたのに。
それに、あの部屋で斗羽と過ごす穏やかな時間が、俺にとってどれだけ大事か。
いつも湧いてくる途轍もない不安を消し去ってくれるというのに。
それに斗羽ちゃんは安全地帯が無いと危ないのに。
「君たちだけ優遇されている事が本当に気に入らなかったからスッキリしたよ。」
理由を知ろうともせず、聞こともせず、気に入らないから…自分がスッキリしたいから、居場所を奪うの?
「これで弟に報告出来る。君の昔の弟今は僕の弟なんだよ。知らなかったでしょ。」
耳鳴りがした。
会長の言っている事以外の周囲の音が聞こえなくなった。
おとうと?
これから先は聞いてはいけない気がする。
耳を塞ぎたいのに体が動かない。
「僕の父と君の母親が再婚してね。」
やめてくれ。
「君まだ幼かったのに凄く素行が悪かったんだってね?勝手に家を出て行ったりして問題ばかりだったそうじゃ無いか。」
なにを言っているのか分からない。
「だから施設に入れられて見捨てられるんだ。」
施設?誰のことを話しているんだ。
頭が痛い。
今、俺、どこに居るんだっけ。
息が苦しい。
目の前が暗い。
「母と弟は、君の事は死んだと思ってると話しているよ。」
死んだ?
俺はやっぱり幽霊だったのだ。
そう思ったら目眩に襲われた。
手も痺れる。
ヘナヘナと廊下にしゃがみ込む。
「陽太!どうした!?陽太!」
「今更自責の念に襲われても、もう遅いよ。母と弟は酷く傷ついているんだから。」
「お前、もう、口開くなっ」
「その口調。やっぱり佐野君もコイツと同じ野蛮な人種なんだね。類は友を呼ぶんだ。」
何も聞こえない。
吐きそうだ。
目を見開いても誰も居ない。
なんで目開けてるのに何も無いの。
何も見えない。
暗い。
苦しい。
息が出来ない。
うまく吸えない。
手が痺れる。
助けて。
助けて。
誰か、助けて。
仁王立ちで俺の前に立ちふさがっている。
「陽太はちゃんと勉強してる。マグレじゃねぇよ。」
「君は特待生だから優秀なのに、そんな適当な人間と一緒に居るのは本当に嘆かわしいよ。」
「話聞けよ。」
「斗羽ちゃん、大丈夫。」
「でも…」
「大丈夫。」
怒ってくれる友人が居て俺は本当に幸せ者だ。
大丈夫、俺の大事な人たちに分かって貰えていたら十分だから。
「今日は部活の件の進捗を知らせてあげようと思って。さっき廃部について萱島先生と話し合いも出来たし、部室も閉鎖するのも近いから、早く出て行って欲しいんだ。」
「え?」
部室閉鎖する事になったの?
萱島先生と話し合いしたのに?
先生止めれなかったのかな?
無理だ。
あそこが無いと俺は学校生活が怖い。
「無理だ。」
そう言って斗羽ちゃんが青い顔して絶句している。
そう。無理だ。
嫌だと言っているのではない。
無理なんだ。
部が廃部になって部室が無くなると思うと動悸がする。
朝日さんと付き合えたからって直ぐに自傷癖が治るわけでは無いし来年度も変わらずカーディガンを着込むだろう。
夏は部室で半袖になれると思っていたのに。
それに、あの部屋で斗羽と過ごす穏やかな時間が、俺にとってどれだけ大事か。
いつも湧いてくる途轍もない不安を消し去ってくれるというのに。
それに斗羽ちゃんは安全地帯が無いと危ないのに。
「君たちだけ優遇されている事が本当に気に入らなかったからスッキリしたよ。」
理由を知ろうともせず、聞こともせず、気に入らないから…自分がスッキリしたいから、居場所を奪うの?
「これで弟に報告出来る。君の昔の弟今は僕の弟なんだよ。知らなかったでしょ。」
耳鳴りがした。
会長の言っている事以外の周囲の音が聞こえなくなった。
おとうと?
これから先は聞いてはいけない気がする。
耳を塞ぎたいのに体が動かない。
「僕の父と君の母親が再婚してね。」
やめてくれ。
「君まだ幼かったのに凄く素行が悪かったんだってね?勝手に家を出て行ったりして問題ばかりだったそうじゃ無いか。」
なにを言っているのか分からない。
「だから施設に入れられて見捨てられるんだ。」
施設?誰のことを話しているんだ。
頭が痛い。
今、俺、どこに居るんだっけ。
息が苦しい。
目の前が暗い。
「母と弟は、君の事は死んだと思ってると話しているよ。」
死んだ?
俺はやっぱり幽霊だったのだ。
そう思ったら目眩に襲われた。
手も痺れる。
ヘナヘナと廊下にしゃがみ込む。
「陽太!どうした!?陽太!」
「今更自責の念に襲われても、もう遅いよ。母と弟は酷く傷ついているんだから。」
「お前、もう、口開くなっ」
「その口調。やっぱり佐野君もコイツと同じ野蛮な人種なんだね。類は友を呼ぶんだ。」
何も聞こえない。
吐きそうだ。
目を見開いても誰も居ない。
なんで目開けてるのに何も無いの。
何も見えない。
暗い。
苦しい。
息が出来ない。
うまく吸えない。
手が痺れる。
助けて。
助けて。
誰か、助けて。
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