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秘め事の決め事
ペンギンカレー
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顔がデレッとなったのが自分で分かる。
あー無理。
好き。
こういう優しい所好き。
もともと持ち合わせていない語彙力が更に無くなる。
「コンビニ寄って飲み物買おうか?喉乾いたろ?」
「ううっ…好き…」
喉が乾いている事さえ見抜かれている。
思わず好きだと口走る。
こうやって気持ちを声に出せるようになった事が凄く嬉しい。
コンビニに寄って炭酸水を買った。
朝日さんはホットコーヒー。
再び出発する。
「炭酸水飲むんだな。」
「甘い炭酸ジュースってなんか苦手なんです。口にベタベタが残るっていうか。だからスッとする炭酸水が好き。」
「ベタベタは分かる気がする。」
「スッとするミント系も好き。」
「俺はミント系はあんまり。」
「え!嘘、美味しいのに。」
ミント系は歯みがき粉の味みたいで苦手なんだそうだ。
何気ない会話が楽しい。
知らない朝日さんの事が知れる。
そうやって俺が喋りまくっていたらカレー屋に到着した。
ペンギンカレーというお店だ。
大きな通りに面し、こじんまりとした店構え。
店内に入るとスパイスの良い香りがした。
奥行きがあるため外から見るよりも店内は広い。
「いらっしゃ…あれ?朝日じゃん。珍しい。一人じゃないんだ?」
「今日はデート。陽太、俺の大学時代からの友達。ここの店長。」
「はじめまして、柚木陽太です。」
「俺は坂田一正です。宜しくね。ゆっくりしてってね。」
優しそうなワイルド系のお兄さんだ。
良かったじゃん、とニヤニヤ朝日さんをからかっている。
からかわれて嫌そうな顔をしている朝日さんは珍しい。
こういう顔もするんだなぁ。
ちょっと新鮮。
店の奥の方のテーブルに案内してくれた。
他のテーブルと離れていて話がしやすそうな場所だ。
向かい合わせで座り、注文を済ませカレーを待つ。
「あいつちょっと面倒臭い奴だけど、カレーの味は間違いないから。」
「良い匂いして、お腹鳴りそうです。」
店内をよく見たら木彫りのペンギンが沢山置いてある。
ぬいぐるみのペンギンも居る。
センスが良いのだろう雑多な雰囲気だけれど散らかっているという印象は無い。
店内の内装の話や、カレーを食べた後ショッピングモールに行って何するか話しているうちにカレーが来た。
「お待たせ致しました。バターチキンカレーと、キーマカレーです。ラッシーは陽太君へのサービスです。ごゆっくりどうぞ。」
「え、ありがとうございます!」
俺にパチンとウインクして去っていく店長さん。
オチャメな人だ。
置かれたカレーから広がる匂い。
なんとも食欲をそそられる。
「いただきます。」
あちあちと格闘しながら熱々のナンを千切ってカレーに浸す。
もう口の中が涎だらけ。
一口食べたらバターの風味とスパイスの香りが鼻に抜けた。
適度に辛くて、でも甘味もあって美味しい。
思わず唸って目を見開いてしまう。
「ん~~!うんんん!」
「良かった。」
美味しくて口を開くのが勿体ない。
俺のこもった声の美味しいを察して、笑ってくれる朝日さん。
キーマカレーを食べている朝日さんも格好いいなあ。
なんて贅沢な時間なんだろうか。
じっと見てたらキーマカレーを食べたいと思っていると勘違いされ、食べるか?と聞かれた。
こちらのバターチキンカレーも差し出し二人でシェアする。
それだけで、もうなんだかとても楽しかった。
甘くて爽やかなラッシーが食後の口を休ませてくれる。
「はぁ、美味しかった。お腹いっぱいで動けない。」
あまりの美味しさに夢中で食べてしまった。
スパイスの作用で汗が止まらない。
こめかみに流れる。
少し先に食べ終わっていた朝日さんと目があった。
無表情で、じっと見られている。
ずっと見られていたんだろうか。
「え、な、なんでしょう…」
「ん?見てるだけ。」
穏やかにいつものように、そう言う。
あー無理。
好き。
こういう優しい所好き。
もともと持ち合わせていない語彙力が更に無くなる。
「コンビニ寄って飲み物買おうか?喉乾いたろ?」
「ううっ…好き…」
喉が乾いている事さえ見抜かれている。
思わず好きだと口走る。
こうやって気持ちを声に出せるようになった事が凄く嬉しい。
コンビニに寄って炭酸水を買った。
朝日さんはホットコーヒー。
再び出発する。
「炭酸水飲むんだな。」
「甘い炭酸ジュースってなんか苦手なんです。口にベタベタが残るっていうか。だからスッとする炭酸水が好き。」
「ベタベタは分かる気がする。」
「スッとするミント系も好き。」
「俺はミント系はあんまり。」
「え!嘘、美味しいのに。」
ミント系は歯みがき粉の味みたいで苦手なんだそうだ。
何気ない会話が楽しい。
知らない朝日さんの事が知れる。
そうやって俺が喋りまくっていたらカレー屋に到着した。
ペンギンカレーというお店だ。
大きな通りに面し、こじんまりとした店構え。
店内に入るとスパイスの良い香りがした。
奥行きがあるため外から見るよりも店内は広い。
「いらっしゃ…あれ?朝日じゃん。珍しい。一人じゃないんだ?」
「今日はデート。陽太、俺の大学時代からの友達。ここの店長。」
「はじめまして、柚木陽太です。」
「俺は坂田一正です。宜しくね。ゆっくりしてってね。」
優しそうなワイルド系のお兄さんだ。
良かったじゃん、とニヤニヤ朝日さんをからかっている。
からかわれて嫌そうな顔をしている朝日さんは珍しい。
こういう顔もするんだなぁ。
ちょっと新鮮。
店の奥の方のテーブルに案内してくれた。
他のテーブルと離れていて話がしやすそうな場所だ。
向かい合わせで座り、注文を済ませカレーを待つ。
「あいつちょっと面倒臭い奴だけど、カレーの味は間違いないから。」
「良い匂いして、お腹鳴りそうです。」
店内をよく見たら木彫りのペンギンが沢山置いてある。
ぬいぐるみのペンギンも居る。
センスが良いのだろう雑多な雰囲気だけれど散らかっているという印象は無い。
店内の内装の話や、カレーを食べた後ショッピングモールに行って何するか話しているうちにカレーが来た。
「お待たせ致しました。バターチキンカレーと、キーマカレーです。ラッシーは陽太君へのサービスです。ごゆっくりどうぞ。」
「え、ありがとうございます!」
俺にパチンとウインクして去っていく店長さん。
オチャメな人だ。
置かれたカレーから広がる匂い。
なんとも食欲をそそられる。
「いただきます。」
あちあちと格闘しながら熱々のナンを千切ってカレーに浸す。
もう口の中が涎だらけ。
一口食べたらバターの風味とスパイスの香りが鼻に抜けた。
適度に辛くて、でも甘味もあって美味しい。
思わず唸って目を見開いてしまう。
「ん~~!うんんん!」
「良かった。」
美味しくて口を開くのが勿体ない。
俺のこもった声の美味しいを察して、笑ってくれる朝日さん。
キーマカレーを食べている朝日さんも格好いいなあ。
なんて贅沢な時間なんだろうか。
じっと見てたらキーマカレーを食べたいと思っていると勘違いされ、食べるか?と聞かれた。
こちらのバターチキンカレーも差し出し二人でシェアする。
それだけで、もうなんだかとても楽しかった。
甘くて爽やかなラッシーが食後の口を休ませてくれる。
「はぁ、美味しかった。お腹いっぱいで動けない。」
あまりの美味しさに夢中で食べてしまった。
スパイスの作用で汗が止まらない。
こめかみに流れる。
少し先に食べ終わっていた朝日さんと目があった。
無表情で、じっと見られている。
ずっと見られていたんだろうか。
「え、な、なんでしょう…」
「ん?見てるだけ。」
穏やかにいつものように、そう言う。
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