細胞がはじけた時が噛み頃です。

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始まりの新学期

おっしゃる通り

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新学期が始まり二週間ほどが過ぎた。
大寒を迎え、ますます凍える季節は深まる。
そんな中、本日の昼休みは犬飼と一緒に第二図書室の受付カウンター当番である。
犬飼は読書に集中している。
彼は本の虫だ。
以前聞いたところによると、1ヶ月で少なくとも20冊以上は本を読むらしい。


「犬飼くん。」
「んだよ。黙れよ。」
「なんか今日、人少なくない?誰も居ないよ。」


もともと利用者が少ない第二図書室だが、一人も居ないというのは珍しい。
本を読んでいた犬飼に、お前そんな事も知らねぇのかと叱られる。


「今日の昼休み、生徒会の演説があんだよ。もうすぐ来年度の生徒会決める選挙があるだろうが。」
「ああ…なんか、そういえば…」
「ま、俺も全く興味ねぇけどな。」


この学園の生徒会は家柄と人気投票で決まると聞いた時は驚いた。
確かに今の生徒会の人達は皆、ギラギラしてる。


「またオラオラ俺の言うこと聞けよ~みたいな人達が生徒会になるのかなー」
「オラオラのイメージが安易過ぎてウケる。」
「1学期の頃に、生徒会入れって会長に誘われたけど断って良かったなあ。こうやって犬飼君とカウンターで話す方がよっぽど楽しいよ。」
「俺も!とか言わねーからな。」


ちょっと照れてる犬飼君可愛い。
口に出すと殴られるため黙っておく。
それにしても、今日は何だか暑い。
汗が出てきてしまう。
図書室の暖房が効きすぎてるようだ。


「今日、暖房効きすぎじゃない?」
「そうか?そんなこと無いけど…てか陽太、顔赤くね?」
「え、そうかな?」


確かに暑いから、顔が火照っている気はする。
不意にオデコを犬飼が触ってきた。


「犬飼君、なぁに?」
「あつ!おいおい、熱あんじゃんか!」
「うそぉ。」


熱がある?
言われてみれば、そんな気がしてきた。
図書室が暑いわけではなく自身が発熱しているようだ。
どうりで身体が暑いはずだ。


「お前、自分の身体の変化くらい気づけよ。鈍感過ぎんだろ。」
「おっしゃるとおりです。」
「もう今すぐ保健室寄って帰れ。」
「ごめんねー。」
「いいから。はよ帰って食って寝ろ。」


しっしっと指示する犬飼君の優しさに感謝しつつ図書室を出る。
とりあえず叶羽にはメールで知らせておいた。
ふらふらしながら、帰る前に保健室に寄る。
また噛んだのか?と聞かれたけど、今日は違う。


「熱でた。」
「見せてみろ。」


鬼束先生は以前、大学病院で内科に勤務していたそうで、よく体調が悪くなった生徒を診察している。
口を開けて見てもらう。
体温も計った。
ピピピと電子音が鳴り、先生が渋い顔をする。


「38.5度。喉も腫れてる。風邪だな。」
「久しぶり風邪ひいたなー…」
「水分取って、適度に食べて、暖かくして、寝ろ。…腕は噛むなよ。」


しっかり釘を刺される。














    
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