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初恋
輝くカステラ
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まあまあ
【十分とはいえないが、我慢できる程度であるさま。まずまず。 】
自室に戻ってきて辞書を引いた。
まずまず?
余計分からなくなった。
少なくとも俺は「まあまあ」なMではないはずだ。
「なかなか」なMと言った方がしっくりくる。
なかなか>それなり>まあまあ>そこそこ
このような位置付けの印象を持っている。
これが正しいのかは分からない。
ああ、もう、考えるのを止めよう。
いくら考えても答えは本人に聞かないと分からないのだから。
風呂にでも入って頭を冷やそうと思い立ったときに、部屋のインターホンが鳴りモニターには朝日が映っている。
急いで玄関を開けた。
「ど、どうしたんですか?。」
「さっき残ったカステラ持って帰るの忘れたろ?」
「あ…すみません。」
上の空だったから忘れていた。
それだけの為に来てくれたのか。
落ち込んでいた気分が、とたんに回復した。
現金なものだ。
自分に自分で呆れる。
「ありがとうございます。わざわざ。」
「いや、なんか帰り際様子が変に感じたから気になって。カステラは口実。」
え。好き。
思わず口走りそうになる。
もうこのカステラ食べないで家宝にしたい。
なんでこんなに優しいのだろうか。
誰にでも?
まあまあって何ですか。
俺のこと少しは気になってくれてますか。
今、恋人は居ますか?
拗らせたドMなんですけど大丈夫ですか。
聞きたいことが多すぎる。
「体調でも悪いのかと思ったけど、大丈夫そうだな。」
「めっちゃ元気です。ちょっと考え事してただけで。なので、大丈夫なので、えーと。」
大丈夫なのでもう帰って下さいって失礼な伝え方かな。
えーっとえーっと言葉を選んでると笑われた。
普段キリッとしてる目尻がクシャッとなると色気と無邪気さが増して、なんかもう胸いっぱいになるから止めてほしい。
叫びたくなる。
うわーって叫びながらゴロゴロしたくなる。
「そういう所、素直で可愛いと思う。」
今、可愛いって言われた?
あまりに突然で耳が爆発するかと思った。
そういう所とは何処の事をさしているのか自分では全然分からない。
「え、と、ありがとうございます?」
あ、また笑ってる。
何で笑ってるのかは掴めてないけど、こうやって我慢するように笑う笑い方好き。
夜のカフェテラスで俺の腹の音が間抜けだった時も、そうやって笑ってた。
あのときは大丈夫だったけど今は物凄く惹かれる。
「じゃあ、またな。何かあったら連絡しろよ。」
「あ、うん。分かりました。ありがとう。」
バタンと玄関のドアが閉じた。
帰ってしまった。
急に寂しさに襲われ、せっかく部屋まで来てくれたのに何故直ぐに帰してしまったのだろうかと後悔する。
持ってきてくれたカステラが輝いて見えた。
「ガラスケースに入れて飾りたいな」
【十分とはいえないが、我慢できる程度であるさま。まずまず。 】
自室に戻ってきて辞書を引いた。
まずまず?
余計分からなくなった。
少なくとも俺は「まあまあ」なMではないはずだ。
「なかなか」なMと言った方がしっくりくる。
なかなか>それなり>まあまあ>そこそこ
このような位置付けの印象を持っている。
これが正しいのかは分からない。
ああ、もう、考えるのを止めよう。
いくら考えても答えは本人に聞かないと分からないのだから。
風呂にでも入って頭を冷やそうと思い立ったときに、部屋のインターホンが鳴りモニターには朝日が映っている。
急いで玄関を開けた。
「ど、どうしたんですか?。」
「さっき残ったカステラ持って帰るの忘れたろ?」
「あ…すみません。」
上の空だったから忘れていた。
それだけの為に来てくれたのか。
落ち込んでいた気分が、とたんに回復した。
現金なものだ。
自分に自分で呆れる。
「ありがとうございます。わざわざ。」
「いや、なんか帰り際様子が変に感じたから気になって。カステラは口実。」
え。好き。
思わず口走りそうになる。
もうこのカステラ食べないで家宝にしたい。
なんでこんなに優しいのだろうか。
誰にでも?
まあまあって何ですか。
俺のこと少しは気になってくれてますか。
今、恋人は居ますか?
拗らせたドMなんですけど大丈夫ですか。
聞きたいことが多すぎる。
「体調でも悪いのかと思ったけど、大丈夫そうだな。」
「めっちゃ元気です。ちょっと考え事してただけで。なので、大丈夫なので、えーと。」
大丈夫なのでもう帰って下さいって失礼な伝え方かな。
えーっとえーっと言葉を選んでると笑われた。
普段キリッとしてる目尻がクシャッとなると色気と無邪気さが増して、なんかもう胸いっぱいになるから止めてほしい。
叫びたくなる。
うわーって叫びながらゴロゴロしたくなる。
「そういう所、素直で可愛いと思う。」
今、可愛いって言われた?
あまりに突然で耳が爆発するかと思った。
そういう所とは何処の事をさしているのか自分では全然分からない。
「え、と、ありがとうございます?」
あ、また笑ってる。
何で笑ってるのかは掴めてないけど、こうやって我慢するように笑う笑い方好き。
夜のカフェテラスで俺の腹の音が間抜けだった時も、そうやって笑ってた。
あのときは大丈夫だったけど今は物凄く惹かれる。
「じゃあ、またな。何かあったら連絡しろよ。」
「あ、うん。分かりました。ありがとう。」
バタンと玄関のドアが閉じた。
帰ってしまった。
急に寂しさに襲われ、せっかく部屋まで来てくれたのに何故直ぐに帰してしまったのだろうかと後悔する。
持ってきてくれたカステラが輝いて見えた。
「ガラスケースに入れて飾りたいな」
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