59 / 63
大陸の覇者の没落 ー辺境の地の帝国の来訪編ー
第59話:苦渋の決断 v0.0
しおりを挟む
まだ第4話改稿に至っていないわけですが……考えた結果、現存する4、5話は亡き者として抹消することに……ではなく、『旧:第4話~~』と言う感じで形だけは残そうと思います。
この全く書かれていないヴァルティーア帝国側の視線もちゃんと書かないとなぁ……。
あと皇帝、お前もだよ(無計画ゆえの失態)。
______
_ダーダネルス帝国帝都ディオニス、総合司令部
「北部方面第二帝国海軍……連絡、途絶しました」
総合司令部内に、重々しい雰囲気が漂う。
北部方面第二帝国海軍との連絡途絶。それすなわち、全滅であると言うことは、その場にいた誰もが気づいていた。……いや、そう思わざるを得なかったのだ。
陸戦で敗退している現状、海軍に対し過度な期待を持ちすぎていたのかもしれない。そしてそれは、いとも簡単に打ち破られた。彼らをどうしようもない感覚が襲う。
「……!北部方面帝国軍総司令部より連絡!」
そして続けざまに上がる悲鳴にも似た通信員の声。その内容は、彼らからしてもあって欲しくなかったものだった。
「げ、現在沿岸沿いに建設された各地の後方施設が攻撃を受けているとのこと!」
「何ッ!?」
「さ、さらに敵軍はそれに呼応するように大規模侵攻を再度開始ッ!連絡では『防衛戦線崩壊時間の問題。援軍よこせ』とのことですッ!」
「な、なんてことだ……」
海軍との連絡は途絶え、さらに敵の大規模侵攻作戦の再開。ある通信員は『まさに最悪のシチュエーションだなぁ……』などとぼやくが、それに関してはヴェルティも賛成だった。
状況が、悪すぎる。敵の進行は我々の想定をはるかに超え、今から国内に存在する全軍を招集しようにも地域が広大。つい先日まで対デルタニウス王国戦に備えて南部に戦力を揃えたはいいものの、謎の攻撃によりそのほとんどは駐屯基地とともに消滅。さらに工業地帯も南部海軍基地も破壊されたことにより軍事力は大幅に低下した。どれだけ徴兵を迅速に行おうと、訓練時間その他諸々が終えた頃には北部戦線は崩壊していることだろう。
「援軍を寄こそうにも数が足りない……現状我々にできることといえば……」
ヴェルティはしばらく頭をフル回転させ、現状打破の方法を模索する。
正面きっての密集隊形で攻撃……それはダメだ。戦力が足りない。撤退からの領地奥地への敵軍誘引、包囲殲滅……それもダメだ。『鉄の箱』に反撃されるのは目に見えている。
……あぁ、そうだ。あるじゃないか。とっておきの策が。
「全てを捨て、殴り込むか……ここで潔く、滅びるか」
気づけばヴェルティは席を立ち、総合司令部の出入り口のドアに手をかけていた。
「し、司令官殿……?」
その様子を通信員たちは心配な表情で見つめる。
「私は……臨時宰相に上申してくる」
通信員がその一言を聞いて、ため息を漏らす。
「司令官……今は急を要する事態なんですよ?それを今放棄して呑気に上申しに行こうって言うんですか?」
「あぁ。『急を要するから』行くんだ」
ヴェルティ迫真の顔に、通信員は思わず後退《あとずさ》りする。
「……一体、なにをするつもりなんです?」
通信員は不安な表情でヴェルティに尋ねる。
「……私は……潔く亡ぶ気はない。君達も……そうだろう?」
「ま、まぁそれはそうですが……」
「その秘策を……伝えるのさ」
「……秘策、ですか」
「だから、君たちには……そうだな。このまま業務に専念してもらいたい」
「……信じていいんですね?その……秘訣」
「あぁ……少なくとも君たちの命は保証する」
ヴェルティの妙な言葉遣いに、通信員は違和感を覚えるが何事もないかのように続ける。
「そうですか。……なにをしでかすつもりかは考えませんが、少なくともそれが我々に対し利益を生み出すことを信じます」
通信員がそう呟いた時には、すでにヴェルティは部屋にいなかった。
______
全く書かれていない細かい描写は数が頭の髪が全部抜け落ちるくらい多いので、改稿で付属する形で行います(例えば司令官の名前が入れ替わってたりとか)。……この国が滅んだら、一旦更新止めて改稿に専念するかな。
ヴェルティ君が考案したある秘訣とは何なのか。それは次回までのお楽しみということで。
新4話も随時更新していきます(案がまだ決まってないのは内緒)。
この全く書かれていないヴァルティーア帝国側の視線もちゃんと書かないとなぁ……。
あと皇帝、お前もだよ(無計画ゆえの失態)。
______
_ダーダネルス帝国帝都ディオニス、総合司令部
「北部方面第二帝国海軍……連絡、途絶しました」
総合司令部内に、重々しい雰囲気が漂う。
北部方面第二帝国海軍との連絡途絶。それすなわち、全滅であると言うことは、その場にいた誰もが気づいていた。……いや、そう思わざるを得なかったのだ。
陸戦で敗退している現状、海軍に対し過度な期待を持ちすぎていたのかもしれない。そしてそれは、いとも簡単に打ち破られた。彼らをどうしようもない感覚が襲う。
「……!北部方面帝国軍総司令部より連絡!」
そして続けざまに上がる悲鳴にも似た通信員の声。その内容は、彼らからしてもあって欲しくなかったものだった。
「げ、現在沿岸沿いに建設された各地の後方施設が攻撃を受けているとのこと!」
「何ッ!?」
「さ、さらに敵軍はそれに呼応するように大規模侵攻を再度開始ッ!連絡では『防衛戦線崩壊時間の問題。援軍よこせ』とのことですッ!」
「な、なんてことだ……」
海軍との連絡は途絶え、さらに敵の大規模侵攻作戦の再開。ある通信員は『まさに最悪のシチュエーションだなぁ……』などとぼやくが、それに関してはヴェルティも賛成だった。
状況が、悪すぎる。敵の進行は我々の想定をはるかに超え、今から国内に存在する全軍を招集しようにも地域が広大。つい先日まで対デルタニウス王国戦に備えて南部に戦力を揃えたはいいものの、謎の攻撃によりそのほとんどは駐屯基地とともに消滅。さらに工業地帯も南部海軍基地も破壊されたことにより軍事力は大幅に低下した。どれだけ徴兵を迅速に行おうと、訓練時間その他諸々が終えた頃には北部戦線は崩壊していることだろう。
「援軍を寄こそうにも数が足りない……現状我々にできることといえば……」
ヴェルティはしばらく頭をフル回転させ、現状打破の方法を模索する。
正面きっての密集隊形で攻撃……それはダメだ。戦力が足りない。撤退からの領地奥地への敵軍誘引、包囲殲滅……それもダメだ。『鉄の箱』に反撃されるのは目に見えている。
……あぁ、そうだ。あるじゃないか。とっておきの策が。
「全てを捨て、殴り込むか……ここで潔く、滅びるか」
気づけばヴェルティは席を立ち、総合司令部の出入り口のドアに手をかけていた。
「し、司令官殿……?」
その様子を通信員たちは心配な表情で見つめる。
「私は……臨時宰相に上申してくる」
通信員がその一言を聞いて、ため息を漏らす。
「司令官……今は急を要する事態なんですよ?それを今放棄して呑気に上申しに行こうって言うんですか?」
「あぁ。『急を要するから』行くんだ」
ヴェルティ迫真の顔に、通信員は思わず後退《あとずさ》りする。
「……一体、なにをするつもりなんです?」
通信員は不安な表情でヴェルティに尋ねる。
「……私は……潔く亡ぶ気はない。君達も……そうだろう?」
「ま、まぁそれはそうですが……」
「その秘策を……伝えるのさ」
「……秘策、ですか」
「だから、君たちには……そうだな。このまま業務に専念してもらいたい」
「……信じていいんですね?その……秘訣」
「あぁ……少なくとも君たちの命は保証する」
ヴェルティの妙な言葉遣いに、通信員は違和感を覚えるが何事もないかのように続ける。
「そうですか。……なにをしでかすつもりかは考えませんが、少なくともそれが我々に対し利益を生み出すことを信じます」
通信員がそう呟いた時には、すでにヴェルティは部屋にいなかった。
______
全く書かれていない細かい描写は数が頭の髪が全部抜け落ちるくらい多いので、改稿で付属する形で行います(例えば司令官の名前が入れ替わってたりとか)。……この国が滅んだら、一旦更新止めて改稿に専念するかな。
ヴェルティ君が考案したある秘訣とは何なのか。それは次回までのお楽しみということで。
新4話も随時更新していきます(案がまだ決まってないのは内緒)。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。


クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる