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大陸の覇者の没落 ー辺境の地の帝国の来訪編ー
第57話:赤 v0.0
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_第二帝国海軍
「……敵船が……燃えているッ!」
第二帝国海軍を指揮するヴェルティは、先ほどから目に入る光景に愕然とする。
彼の目に入っているのは、数隻のヴァルティーア帝国海軍のものと思われる軍船。そして、それら数隻は例外なく、艦体中央部からモウモウと黒煙を吐き出している。初めは何かの冗談だと思ったが、何度見直してもそれは現実。加えて、消火は一向に進んでいるようには見えない。火事にしても消化が行われないのはおかしい。彼は直感で判断する。
「総員に通達!直ちに戦闘配置だ!……幾ら何でも、戦闘をする前から燃えてるのはおかしい……。魔式大砲の射程圏内に入り次第敵艦に向けて撃ち放て!」
『『了解!』』
乗組員達はヴェルティの指示を耳にした瞬間から、訓練通りテキパキと自分のすべきことを行う。ある者は大砲の射撃用意を行い、またある者はその燃える船への監視を怠ることなく実施してゆく。
「船長!各員戦闘準備完了、いつでもいけます!」
「よろしい。新型推進用魔石の起動準備は?」
「そろそろ終わることかと……」
「わかった。新型推進用魔石の起動準備が完了次第、すぐに起動。最大船速であの燃えている船に向かえ。警戒は怠るなよ」
「了解」
_一方その頃、対峙する所属不明の艦隊
「いよいよ海戦か……」
ヴァルティーア帝国海軍第一艦隊所属、第一水雷戦隊の指揮をとる低身長が特徴的なドワーフ族のニコライ中佐は緊張した顔で、水平線の先に見える複数の戦列艦を見つめていた。
「魔波反射装置の調子はどうだね?」
「はい、ニコライ中佐。魔波反射装置はテスト通り順調に稼働、既に敵艦隊は主砲射程圏内に侵入しているので、いつでも任意のタイミングで魔波反射装置を駆使した精密射撃が可能です」
「そうか……数年前の戦争では痛み分けに終わった我々海軍だが……どうやら敵国、神の乗る船が訪れていないようだな。艦の見た目的に……多少技術が進歩したようだが、神より授かった新技術を応用し、生まれ変わった我々には勝てない」
彼は帆を目一杯に貼り、こちらへと接近してくるダーダネルス帝国海軍の戦列艦を哀れみの目で見つめる。
2年前、我が国にも遂に神の乗る浮舟が到来、複数の恵みものを授けてくださった。その中には、我々からしてみれば未知の物体……『魔式蒸気機関』と呼ばれる『黒の魔石』を使用し、無風であっても船を動かすことができる機関や、『巡洋艦』と呼ばれる巨大な鉄でできた兵器。そしてその設計図や製造するための器機とそれを設計するための技術が、国内に存在した少数の造船関係・兵器関係の優秀な技術者に気付けばインプットされていた。
どうやら神話は本当だったらしい。神より授かった物体は、どんなものであろうとそれに触れた瞬間、使用方法を習得する魔法が付与されていた。これによりわざわざその兵器の運用方法を一切学ぶ必要はなく、ローコストで乗員が養成できた。
それでも造船費用自体はかかるので、現在我が海軍に配備されている『巡洋艦』は数が少ない。
その日を境に軍は海軍や陸軍、そして新設の空軍を作り上げ、軍備を強化。広大な、資源が豊富にある土地。土地南下政策の元日々この日のため訓練を重ねてきた。そして今日、こうして唯一神種リベリア人により戦う機会は与えられたのだ。この機会を逃しはしない。
「全艦に通達。巡航速度を維持し各自射撃を開始せよ、とな」
「了解」
ニコライ中佐は艦帽を手に取ると、頭に深く被り、艦尾で大きくたなびく赤一色、そして資本主義からの解放を表す鎖を断ち切る女神の描かれた国旗を見つめ、こう呟く。
「同志ヨフタリ・シスーンの為に」
「……敵船が……燃えているッ!」
第二帝国海軍を指揮するヴェルティは、先ほどから目に入る光景に愕然とする。
彼の目に入っているのは、数隻のヴァルティーア帝国海軍のものと思われる軍船。そして、それら数隻は例外なく、艦体中央部からモウモウと黒煙を吐き出している。初めは何かの冗談だと思ったが、何度見直してもそれは現実。加えて、消火は一向に進んでいるようには見えない。火事にしても消化が行われないのはおかしい。彼は直感で判断する。
「総員に通達!直ちに戦闘配置だ!……幾ら何でも、戦闘をする前から燃えてるのはおかしい……。魔式大砲の射程圏内に入り次第敵艦に向けて撃ち放て!」
『『了解!』』
乗組員達はヴェルティの指示を耳にした瞬間から、訓練通りテキパキと自分のすべきことを行う。ある者は大砲の射撃用意を行い、またある者はその燃える船への監視を怠ることなく実施してゆく。
「船長!各員戦闘準備完了、いつでもいけます!」
「よろしい。新型推進用魔石の起動準備は?」
「そろそろ終わることかと……」
「わかった。新型推進用魔石の起動準備が完了次第、すぐに起動。最大船速であの燃えている船に向かえ。警戒は怠るなよ」
「了解」
_一方その頃、対峙する所属不明の艦隊
「いよいよ海戦か……」
ヴァルティーア帝国海軍第一艦隊所属、第一水雷戦隊の指揮をとる低身長が特徴的なドワーフ族のニコライ中佐は緊張した顔で、水平線の先に見える複数の戦列艦を見つめていた。
「魔波反射装置の調子はどうだね?」
「はい、ニコライ中佐。魔波反射装置はテスト通り順調に稼働、既に敵艦隊は主砲射程圏内に侵入しているので、いつでも任意のタイミングで魔波反射装置を駆使した精密射撃が可能です」
「そうか……数年前の戦争では痛み分けに終わった我々海軍だが……どうやら敵国、神の乗る船が訪れていないようだな。艦の見た目的に……多少技術が進歩したようだが、神より授かった新技術を応用し、生まれ変わった我々には勝てない」
彼は帆を目一杯に貼り、こちらへと接近してくるダーダネルス帝国海軍の戦列艦を哀れみの目で見つめる。
2年前、我が国にも遂に神の乗る浮舟が到来、複数の恵みものを授けてくださった。その中には、我々からしてみれば未知の物体……『魔式蒸気機関』と呼ばれる『黒の魔石』を使用し、無風であっても船を動かすことができる機関や、『巡洋艦』と呼ばれる巨大な鉄でできた兵器。そしてその設計図や製造するための器機とそれを設計するための技術が、国内に存在した少数の造船関係・兵器関係の優秀な技術者に気付けばインプットされていた。
どうやら神話は本当だったらしい。神より授かった物体は、どんなものであろうとそれに触れた瞬間、使用方法を習得する魔法が付与されていた。これによりわざわざその兵器の運用方法を一切学ぶ必要はなく、ローコストで乗員が養成できた。
それでも造船費用自体はかかるので、現在我が海軍に配備されている『巡洋艦』は数が少ない。
その日を境に軍は海軍や陸軍、そして新設の空軍を作り上げ、軍備を強化。広大な、資源が豊富にある土地。土地南下政策の元日々この日のため訓練を重ねてきた。そして今日、こうして唯一神種リベリア人により戦う機会は与えられたのだ。この機会を逃しはしない。
「全艦に通達。巡航速度を維持し各自射撃を開始せよ、とな」
「了解」
ニコライ中佐は艦帽を手に取ると、頭に深く被り、艦尾で大きくたなびく赤一色、そして資本主義からの解放を表す鎖を断ち切る女神の描かれた国旗を見つめ、こう呟く。
「同志ヨフタリ・シスーンの為に」
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