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始めようか、戦争を ー敵地侵攻編ー
第32話:第12回列強及び準列強間会談
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_聖アレキアス帝国、国家間会談堂
現在この会談堂には、三年に一回しか行われない列強及び準列強間会談へと出席するためにやってきた総勢30名もの首脳陣や外務機関連の名だたるトップが集まっている。
「それではこれより、第12回列強及び準列強間会議を行いたいと思います」
天井から吊り下げられた電球が彼らの体をほんのり照らす中、ひときわ目立つ服を着てヒュドラが二匹象られた国旗を背に玉座に座る司会でもありこの国の長、聖アレキアス帝国聖帝アーカイドは重々しい口調で告げる。
「まずはここ最近の第五文明大陸の情勢についてです」
聖帝がそう告げると、どこからともなく彼の配下が現れて各首脳陣らに質の良い紙が配布される。
「ここ最近、あの土地では紛争が多発していると聞きます。あの地域はヴァルティーア帝国が管理すると聞いたのですが・・・一体どうなっているのですか?」
聖帝は自分の疑問をヴァルティーア帝国から派遣された外交大使ド・ラグノフへと投げかける。
「ダーダネルス帝国が最近暴走を繰り返しており、もはや我々にはどうしようもなくなっているのです。他国への侵略行為を中止するように求めても、彼らは口々に『蛮族蛮族蛮族蛮族お前ら蛮族な』とばかり言い、まともに取り合うことができないのです。今回来たのは、暴走し続けるダーダネルス帝国を列強・準列強共同で止めたい、と言う皇帝陛下の意向もあるのです」
外交大使ド・ラグノフの答えを聞いた聖帝は、この問題をどう対処するかで悩む。
「滅多にこの会議に参加しない貴国が参加した理由はこれですか・・・」
聖帝はさらに悩む。別にダーダネルス帝国を止めると言うことはこの国の国力をもってすれば力づくであろうと何を使おうと簡単だ。だが問題は、他の国家がそれについてくるか、である。下手な行動に出てヘマをすれば、せっかく作ったこの列強及び準列強会談はすぐに分裂、国際協調の意味がなくなってしまう。
「聖帝殿、発言許可をもらいとうございます」
奥の席に座っている首脳の一人が手をあげる。聖帝の手前に行けば行くほど文明基準が高い証拠。おそらく準列強国だろう。
「よろしい。一体どうしたのだね?」
その大使は席を立ち一礼すると、口を開く。
「先ほど話にも出て来た・・・ダーダネルス帝国からの侵略に怯えながら過ごす国・・・ムベガンド王国の者です」
聖帝はそこで聞き覚えがある国だ、と感じる。確かムベガンド王国は島国であり、世界で唯一、リヴァイアサンと共存関係にある国だったはず。海の破壊者とも言われるリヴァイアサンと共存する方法。海洋国家のみならずどの国もその方法を渇望しており、また軍事的、戦術的な幅も広がる。さらにダーダネルス帝国との距離は目と鼻の先にあり、彼の言うことが本当ならいつ侵攻されてもおかしくないだろう。
「我が国の商人のが言っていた話なのですが・・・どうやら、その国は新興国・・・確か、『エルディアン共和国』と言う国との海戦に負けたらしいのです」
その場に出席していた首脳陣らが騒然となる。確かにダーダネルス帝国は『他の国は全部野蛮』と言う文字だけが脳みそにインプットされた国だ。あの国の技術力はこの場にいるどの国と比べても劣ってはいるが、決して侮れない国だ。そんな国が、たかだか一つの新興国家に海戦で負けたと言う話。とても信じられない。一斉に慌ただしくなった会談の場に、ムベガンド王国大使はさらに追い討ちをかける。
「事実、我が王国近辺に現れるダーダネルス帝国海軍の船は殆ど減った___というより、ゼロとなっています」
会談は何故かヒートアップする。
「そんなわけないだろ!いい加減にしろ!」
ある国の大使はあまりにも常識はずれな話に怒り狂い、ムベガンド王国大使へと殴りかかる。配下の兵が間一髪のところで抑えたのでどうにかなったが、このような行動をする大使が増える前に一刻も早く止めさせなければならない。・・・はぁ、どうしていつもこうなるんだ。
「静粛に!静粛に!」
聖帝は大使たちをなだめようとしたが、その願いも叶わず会談堂には怒号と悲鳴が鳴り響くカオスへと化して行く。
「せ、聖帝陛下ッ!早く退避をしてくだされ!この後は我々がなんとかします!」
配下の兵が汗水を垂らしながら言う。
「そ、それもそうだな・・・よし、一旦中断だ。我は退散と行くか」
聖帝は先ほどの威厳ある声とは裏腹に、余裕を持った声で言う。
「ったく・・・これで、『洗脳』は何回目だ」
聖帝はそう呟き、隠し通路からそそくさと退出したのだった。
現在この会談堂には、三年に一回しか行われない列強及び準列強間会談へと出席するためにやってきた総勢30名もの首脳陣や外務機関連の名だたるトップが集まっている。
「それではこれより、第12回列強及び準列強間会議を行いたいと思います」
天井から吊り下げられた電球が彼らの体をほんのり照らす中、ひときわ目立つ服を着てヒュドラが二匹象られた国旗を背に玉座に座る司会でもありこの国の長、聖アレキアス帝国聖帝アーカイドは重々しい口調で告げる。
「まずはここ最近の第五文明大陸の情勢についてです」
聖帝がそう告げると、どこからともなく彼の配下が現れて各首脳陣らに質の良い紙が配布される。
「ここ最近、あの土地では紛争が多発していると聞きます。あの地域はヴァルティーア帝国が管理すると聞いたのですが・・・一体どうなっているのですか?」
聖帝は自分の疑問をヴァルティーア帝国から派遣された外交大使ド・ラグノフへと投げかける。
「ダーダネルス帝国が最近暴走を繰り返しており、もはや我々にはどうしようもなくなっているのです。他国への侵略行為を中止するように求めても、彼らは口々に『蛮族蛮族蛮族蛮族お前ら蛮族な』とばかり言い、まともに取り合うことができないのです。今回来たのは、暴走し続けるダーダネルス帝国を列強・準列強共同で止めたい、と言う皇帝陛下の意向もあるのです」
外交大使ド・ラグノフの答えを聞いた聖帝は、この問題をどう対処するかで悩む。
「滅多にこの会議に参加しない貴国が参加した理由はこれですか・・・」
聖帝はさらに悩む。別にダーダネルス帝国を止めると言うことはこの国の国力をもってすれば力づくであろうと何を使おうと簡単だ。だが問題は、他の国家がそれについてくるか、である。下手な行動に出てヘマをすれば、せっかく作ったこの列強及び準列強会談はすぐに分裂、国際協調の意味がなくなってしまう。
「聖帝殿、発言許可をもらいとうございます」
奥の席に座っている首脳の一人が手をあげる。聖帝の手前に行けば行くほど文明基準が高い証拠。おそらく準列強国だろう。
「よろしい。一体どうしたのだね?」
その大使は席を立ち一礼すると、口を開く。
「先ほど話にも出て来た・・・ダーダネルス帝国からの侵略に怯えながら過ごす国・・・ムベガンド王国の者です」
聖帝はそこで聞き覚えがある国だ、と感じる。確かムベガンド王国は島国であり、世界で唯一、リヴァイアサンと共存関係にある国だったはず。海の破壊者とも言われるリヴァイアサンと共存する方法。海洋国家のみならずどの国もその方法を渇望しており、また軍事的、戦術的な幅も広がる。さらにダーダネルス帝国との距離は目と鼻の先にあり、彼の言うことが本当ならいつ侵攻されてもおかしくないだろう。
「我が国の商人のが言っていた話なのですが・・・どうやら、その国は新興国・・・確か、『エルディアン共和国』と言う国との海戦に負けたらしいのです」
その場に出席していた首脳陣らが騒然となる。確かにダーダネルス帝国は『他の国は全部野蛮』と言う文字だけが脳みそにインプットされた国だ。あの国の技術力はこの場にいるどの国と比べても劣ってはいるが、決して侮れない国だ。そんな国が、たかだか一つの新興国家に海戦で負けたと言う話。とても信じられない。一斉に慌ただしくなった会談の場に、ムベガンド王国大使はさらに追い討ちをかける。
「事実、我が王国近辺に現れるダーダネルス帝国海軍の船は殆ど減った___というより、ゼロとなっています」
会談は何故かヒートアップする。
「そんなわけないだろ!いい加減にしろ!」
ある国の大使はあまりにも常識はずれな話に怒り狂い、ムベガンド王国大使へと殴りかかる。配下の兵が間一髪のところで抑えたのでどうにかなったが、このような行動をする大使が増える前に一刻も早く止めさせなければならない。・・・はぁ、どうしていつもこうなるんだ。
「静粛に!静粛に!」
聖帝は大使たちをなだめようとしたが、その願いも叶わず会談堂には怒号と悲鳴が鳴り響くカオスへと化して行く。
「せ、聖帝陛下ッ!早く退避をしてくだされ!この後は我々がなんとかします!」
配下の兵が汗水を垂らしながら言う。
「そ、それもそうだな・・・よし、一旦中断だ。我は退散と行くか」
聖帝は先ほどの威厳ある声とは裏腹に、余裕を持った声で言う。
「ったく・・・これで、『洗脳』は何回目だ」
聖帝はそう呟き、隠し通路からそそくさと退出したのだった。
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