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混乱の淵に立てば ー別世界への転移編ー
第9話:未来のパンケーキは空を飛ぶ v0.0
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_北部担当地方軍司令部管轄海軍司令部近くのとある大規模軍港出港から数十分後
ビガス・ルナ級原子力空母を中心とする第二空母打撃群の司令官的存在であるビガス・ルナ級一番艦《ネームシップ》ビガス・ルナの艦長ミゲルは、ソナー員からの報告を聞いたあと口を開く。
「よし、今回も敵潜水艦の存在は認められないな」
「クラーケンも、ですね」
副艦長が付け加える。
「あぁ、そうだったな」
第一回目の遠距離遠征で撃破したクラーケンはあの後残骸を拾って管内の調理員に調理させてクルー全員で食べてみたが、悪臭や噛み応えがひどく、クルーのほとんどは『こんなのイカじゃないわ!イカの形をした何かよ!』という苦情が殺到した。おそらくこれからあのクラーケンたちが乱獲されることはないだろう。
「さて、副艦長くん。目的地の東部海岸まではあとどれくらいかね?」
副艦長に尋ねる。
「えぇと・・・東部海岸まであと十数キロ。それとこれはレーダーサイトの報告です。『現在敵艦隊の位置は300キロ程度の場所を航行中。進路変更を認めず』」
「そうか。この調子なら敵超巨大船団が上陸するまでに余裕で到着するな」
艦長がそう呟いた時、ブリッジで無線を聞いていた無線員が報告する。
「先ほど北部担当地方軍司令部管か」
「えぇい長い!短縮しろ!無駄に長いんだよ!」
無線員に艦長が突っ込む。実際、長い。本当に何で司令部はここまで名前が長いのかわからない。管轄とかそう言うのどうでもいいから、とりあえず短縮していってくれ。それが艦長ミゲルの言えない本音である。もちろん今言ってしまったが。
「は・・・はい。海軍司令部から報告!先ほど第11高速駆逐艦隊が軍港を出港。第二空母打撃群は東部海岸沖で待機、その後すぐに合流するとのことです!」
ブリッジ内が「わぁぁぃ!やったぁ!」と言う声で賑やかになる。
「第11高速駆逐艦隊・・・聞いたことがないな。副艦長、どこの艦隊だ?」
副艦長にまた聞く。
「艦長、私をロボットかなんかだと思ってません?」
「いや、そんなことは・・・」
「そうですか・・」
副館長がため息をついたあと、艦隊管理表をブリッジの副艦長室から持ってきた。
「んーとですねぇ・・・第11高速駆逐隊・・・ありました、これですッ!」
副艦長がそう言うと艦隊管理表を投げつけて来た。
「っておいおい!危ないな!」
間一髪でキャッチしたが、下手をすれば頭に当たって流血していただろう。
「ッチ・・・当たれば臨時に艦長になれたのに(ボソッ」
「お前今絶対やばいこと言ったよな!?な!?」
「いえいえ、なんでもないですよぉ!」
「白々しいな!おい!・・・まぁいい、とりあえず例の艦隊の編成から確認するか」
そう言って艦隊管理表を覗き込む。
「なになに・・・」
艦隊管理表に書いてある第11高速駆逐隊の編成には『旧型のマリーア・デ・ヴィロタ級イージス艦4隻で構成』と書いてある。
「マリーア・デ・ヴィロタ級・・・か。確かセル数は合計50程度だよな?」
「そうですね。それと主砲にパブロ・パウラ社の127ミリ単装砲を搭載、対潜装備の充実した船団護衛型のイージス艦ですね」
「対艦ミサイルの搭載はなし・・・か。援軍なのはありがたいが少々武装が足りないな・・・」
「相手はガレー船や帆船を基幹とした超巨大船団。おそらくその装備でも大丈夫と司令部が判断したのでは?」
「そうか・・・そうだな・・・!そういうことにしておこう!」
何かと不安が拭えないがひとまず安心はできるだろう。
_さらに数十分後
「さて、目的の東部海岸に辿り着いたわけだが・・・」
第11高速駆逐隊と合流した第二空母打撃群の展開する後ろには茶色をしたビーチもどきが広がっている。
「状況はどうなっている?」
無線要員に尋ねる。
「レーダーサイトの報告では敵艦隊と我が艦隊との距離は180キロ、少し航行速度を速めたようです。それと現在、敵航空戦力と思しき戦力は確認されていません」
「よし、わかった。念のためだ。偵察機を先に飛ばせ!それに空中哨戒機もだ!安全を確認した後で対艦攻撃機を飛ばす!それまでは絶対に航空隊を出撃させるな!」
『了解!』
「さて、俺たちは戦闘指揮センター(CDC)に移動するか」
「そうですね」
そう言うと、艦長&副艦長はブリッジから降りて行った。
_数十分後
「敵海上戦力・・・無駄に多いな・・・」
ミゲルが呟く。現在ミゲルたちは偵察機が撮影した解像度の高い敵艦隊の姿を捉えた写真の数々を見ていた。
「それと未確認情報なのですが、偵察隊の報告で偵察のために低空を飛行したところ敵船から龍のような何かが飛来してきた、とのことです」
そう言うと航空隊指揮官が竜のようなものが写った写真を机に置く。
「竜か・・・ますますファンタジー世界だな・・・。速度をおおよそでいいから教えてくれ」
航空隊指揮官に聞く。
「300キロ程度だったそうです。おそらく速度面では我が軍の艦載機が凌駕していますが機動性及びロール性能では艦載機の性能を凌駕している可能性があります」
「それは厄介だな・・・ちなみにどの船から出てきたんだ?」
そう言って偵察隊の撮影した写真を見る。
「そこまではわからないとのことです」
「そうか・・・」
ミゲルは少し間を置いて口を開く。
「ならまずは脅威度の高い・・・なんだ?これは?」
大量の砲が横に突き出た木造帆船を指差す。
「戦列艦、ですね。元の世界ではすでに廃れた艦艇です。まさかこんな骨董品を拝める日が来るとは・・・」
副艦長が言う。
「・・・お前、この手の船が好きなのか?」
ミゲルが副艦長に尋ねる。
「えぇ、そりゃぁもちろん!拿捕して自家用船にしたいくらいには好きですよ!」
「お、おう・・・」
ミゲルはまさかうちの副艦長がこんな趣味を持っていたとは、と思う。
「まぁいい。その戦列艦とやらと他に浮いてる巨大木造帆船数十隻が最重要攻撃目標だ!もうそろそろ航空隊も出撃したくてうずうずしてるだろ?とっとと出撃させてやれ!」
『了解!』
_ビガス・ルナ級原子力空母所属CF/A-5艦上攻撃機第一飛行隊飛行隊長視点
飛行隊の待機場所で待機していた第一飛行隊飛行隊長は館内に鳴り響く航空部隊出撃の合図を聞いて胸が熱くなっていた。異世界に来て初めての実戦。好奇心の塊の飛行隊長は気分が非常に高揚している。
「やっとだ!野郎ども!やっと俺たちの出番だぞ!」
『ウォォォッ!』
部下たちも実践がしたくてうずうずしているようだ。ほっとくと暴発しかねないのが見てわかる。
「とっとと異世界の軍とやらを拝みに行くぞ!」
その言葉を合図に飛行隊長を含む第一飛行隊のいかついパイロットたちは艦内通路を使って一直線に飛行甲板へと向かう。もちろん愛機のフライング・パンケーキに乗るためだ。
_ビガス・ルナ、飛行甲板
「お待たせ、愛機のフライングパンケーキちゃん。待たせてごめんよぉ!すぐ戦場に連れて言ってあげるから!」
そう言って飛行甲板にズラッと並べてあるハードポイントにロケットポッドを合計6機搭載したCF/A-5艦上攻撃機の1機、コブラの描かれた自分の愛機に話しかける。飛行甲板で忙しなく動いているレンボーギャングたちの視線が痛いが気にする必要はない。なにせいつものことだ。
「って言う冗談は置いておいて・・・」
「やっぱりこの機体・・・パンケーキだな」
CF/A-5艦上攻撃機は数年前に正式化された艦上攻撃機だ。対艦ミサイルはもちろんのこと、ロケット・ポッドやJDAMまで、ありとあらゆる兵装が扱える万能機だ。固定武装は20ミリバルカンを機首に1基。エンジンには推力7080kgfのターボファンジェットエンジンを二基。何よりも特徴的なのが機体形状で、その容姿は一言で言えば『パンケーキ』である。パンケーキよろしく円盤翼の恩恵により高速時の旋回性能は目まぐるしく、その旋回能力は最新鋭機にも引けを取らない。
「さて、今日もよろしく頼むぞ」
そう言ってコックピットへと乗り込む。
「やっぱり視界が広いな」
コックピットから周りを見渡す。涙滴型《バブル》キャノピーを採用した恩恵で周囲の状況確認のしやすさは前型の艦載攻撃機と比べて格段に上がった。これのパイロットの評価はかなり好評である。
「ま、それはいいとして」
エンジン始動ボタンを押す。
「お、来たか」
各機器の動作確認を終えるとすぐに機体前方に黄色の服を着て黄色のキャップをつけた航空機誘導員が現れる。誘導員の指示に従い超低速で垂直尾翼を使い移動。電磁カタパルトへと誘導される。
「この辺だな」
電磁カタパルトにたどり着くと機体後部に冷却パイプを内蔵したパッシブ・ジェット・ブラスト・デフレクターがエンジンの出す高温から甲板要員や機体を守るために出現する。それと並行して緑の服とキャップをつけたカタパルト要員が機体に接近、また白い服を着た安全要員による安全確認も進められる。それらが全て終わると
「OK」
とハンドサインで示される。
「エンジン出力上げるか!」
そう言いエンジンスロットルを最大まで引き上げる。甲板にエンジンの吐き出す轟音が響く中並行して各機器の確認及び水平尾翼・垂直尾翼、補助翼やフラップなどその他諸々の稼動確認を行う。
「動作確認、終了!」
同時に甲板要員からのゴーサインが出た。
「発艦!」
その瞬間、俺の乗るCF/A-5艦上攻撃機はカタパルトの射出の勢いで時速290キロあまりにまで加速する。
「っふぅぃ!これがたまんねぇ!」
カタパルトにより射出された機体は暫くの間全て機械制御で動かされるので、少し心に余裕ができる。
「さぁて、全機上がるまで待機するか・・・」
_数分後
「さーて!役者は揃った!全機編隊を組んで飛行!先導する偵察機について行くぞ!」
『応!』
斯くして、第一次ダーダネルス海峡海戦の初手はエルディアン共和国海軍が取ることとなる。
ビガス・ルナ級原子力空母を中心とする第二空母打撃群の司令官的存在であるビガス・ルナ級一番艦《ネームシップ》ビガス・ルナの艦長ミゲルは、ソナー員からの報告を聞いたあと口を開く。
「よし、今回も敵潜水艦の存在は認められないな」
「クラーケンも、ですね」
副艦長が付け加える。
「あぁ、そうだったな」
第一回目の遠距離遠征で撃破したクラーケンはあの後残骸を拾って管内の調理員に調理させてクルー全員で食べてみたが、悪臭や噛み応えがひどく、クルーのほとんどは『こんなのイカじゃないわ!イカの形をした何かよ!』という苦情が殺到した。おそらくこれからあのクラーケンたちが乱獲されることはないだろう。
「さて、副艦長くん。目的地の東部海岸まではあとどれくらいかね?」
副艦長に尋ねる。
「えぇと・・・東部海岸まであと十数キロ。それとこれはレーダーサイトの報告です。『現在敵艦隊の位置は300キロ程度の場所を航行中。進路変更を認めず』」
「そうか。この調子なら敵超巨大船団が上陸するまでに余裕で到着するな」
艦長がそう呟いた時、ブリッジで無線を聞いていた無線員が報告する。
「先ほど北部担当地方軍司令部管か」
「えぇい長い!短縮しろ!無駄に長いんだよ!」
無線員に艦長が突っ込む。実際、長い。本当に何で司令部はここまで名前が長いのかわからない。管轄とかそう言うのどうでもいいから、とりあえず短縮していってくれ。それが艦長ミゲルの言えない本音である。もちろん今言ってしまったが。
「は・・・はい。海軍司令部から報告!先ほど第11高速駆逐艦隊が軍港を出港。第二空母打撃群は東部海岸沖で待機、その後すぐに合流するとのことです!」
ブリッジ内が「わぁぁぃ!やったぁ!」と言う声で賑やかになる。
「第11高速駆逐艦隊・・・聞いたことがないな。副艦長、どこの艦隊だ?」
副艦長にまた聞く。
「艦長、私をロボットかなんかだと思ってません?」
「いや、そんなことは・・・」
「そうですか・・」
副館長がため息をついたあと、艦隊管理表をブリッジの副艦長室から持ってきた。
「んーとですねぇ・・・第11高速駆逐隊・・・ありました、これですッ!」
副艦長がそう言うと艦隊管理表を投げつけて来た。
「っておいおい!危ないな!」
間一髪でキャッチしたが、下手をすれば頭に当たって流血していただろう。
「ッチ・・・当たれば臨時に艦長になれたのに(ボソッ」
「お前今絶対やばいこと言ったよな!?な!?」
「いえいえ、なんでもないですよぉ!」
「白々しいな!おい!・・・まぁいい、とりあえず例の艦隊の編成から確認するか」
そう言って艦隊管理表を覗き込む。
「なになに・・・」
艦隊管理表に書いてある第11高速駆逐隊の編成には『旧型のマリーア・デ・ヴィロタ級イージス艦4隻で構成』と書いてある。
「マリーア・デ・ヴィロタ級・・・か。確かセル数は合計50程度だよな?」
「そうですね。それと主砲にパブロ・パウラ社の127ミリ単装砲を搭載、対潜装備の充実した船団護衛型のイージス艦ですね」
「対艦ミサイルの搭載はなし・・・か。援軍なのはありがたいが少々武装が足りないな・・・」
「相手はガレー船や帆船を基幹とした超巨大船団。おそらくその装備でも大丈夫と司令部が判断したのでは?」
「そうか・・・そうだな・・・!そういうことにしておこう!」
何かと不安が拭えないがひとまず安心はできるだろう。
_さらに数十分後
「さて、目的の東部海岸に辿り着いたわけだが・・・」
第11高速駆逐隊と合流した第二空母打撃群の展開する後ろには茶色をしたビーチもどきが広がっている。
「状況はどうなっている?」
無線要員に尋ねる。
「レーダーサイトの報告では敵艦隊と我が艦隊との距離は180キロ、少し航行速度を速めたようです。それと現在、敵航空戦力と思しき戦力は確認されていません」
「よし、わかった。念のためだ。偵察機を先に飛ばせ!それに空中哨戒機もだ!安全を確認した後で対艦攻撃機を飛ばす!それまでは絶対に航空隊を出撃させるな!」
『了解!』
「さて、俺たちは戦闘指揮センター(CDC)に移動するか」
「そうですね」
そう言うと、艦長&副艦長はブリッジから降りて行った。
_数十分後
「敵海上戦力・・・無駄に多いな・・・」
ミゲルが呟く。現在ミゲルたちは偵察機が撮影した解像度の高い敵艦隊の姿を捉えた写真の数々を見ていた。
「それと未確認情報なのですが、偵察隊の報告で偵察のために低空を飛行したところ敵船から龍のような何かが飛来してきた、とのことです」
そう言うと航空隊指揮官が竜のようなものが写った写真を机に置く。
「竜か・・・ますますファンタジー世界だな・・・。速度をおおよそでいいから教えてくれ」
航空隊指揮官に聞く。
「300キロ程度だったそうです。おそらく速度面では我が軍の艦載機が凌駕していますが機動性及びロール性能では艦載機の性能を凌駕している可能性があります」
「それは厄介だな・・・ちなみにどの船から出てきたんだ?」
そう言って偵察隊の撮影した写真を見る。
「そこまではわからないとのことです」
「そうか・・・」
ミゲルは少し間を置いて口を開く。
「ならまずは脅威度の高い・・・なんだ?これは?」
大量の砲が横に突き出た木造帆船を指差す。
「戦列艦、ですね。元の世界ではすでに廃れた艦艇です。まさかこんな骨董品を拝める日が来るとは・・・」
副艦長が言う。
「・・・お前、この手の船が好きなのか?」
ミゲルが副艦長に尋ねる。
「えぇ、そりゃぁもちろん!拿捕して自家用船にしたいくらいには好きですよ!」
「お、おう・・・」
ミゲルはまさかうちの副艦長がこんな趣味を持っていたとは、と思う。
「まぁいい。その戦列艦とやらと他に浮いてる巨大木造帆船数十隻が最重要攻撃目標だ!もうそろそろ航空隊も出撃したくてうずうずしてるだろ?とっとと出撃させてやれ!」
『了解!』
_ビガス・ルナ級原子力空母所属CF/A-5艦上攻撃機第一飛行隊飛行隊長視点
飛行隊の待機場所で待機していた第一飛行隊飛行隊長は館内に鳴り響く航空部隊出撃の合図を聞いて胸が熱くなっていた。異世界に来て初めての実戦。好奇心の塊の飛行隊長は気分が非常に高揚している。
「やっとだ!野郎ども!やっと俺たちの出番だぞ!」
『ウォォォッ!』
部下たちも実践がしたくてうずうずしているようだ。ほっとくと暴発しかねないのが見てわかる。
「とっとと異世界の軍とやらを拝みに行くぞ!」
その言葉を合図に飛行隊長を含む第一飛行隊のいかついパイロットたちは艦内通路を使って一直線に飛行甲板へと向かう。もちろん愛機のフライング・パンケーキに乗るためだ。
_ビガス・ルナ、飛行甲板
「お待たせ、愛機のフライングパンケーキちゃん。待たせてごめんよぉ!すぐ戦場に連れて言ってあげるから!」
そう言って飛行甲板にズラッと並べてあるハードポイントにロケットポッドを合計6機搭載したCF/A-5艦上攻撃機の1機、コブラの描かれた自分の愛機に話しかける。飛行甲板で忙しなく動いているレンボーギャングたちの視線が痛いが気にする必要はない。なにせいつものことだ。
「って言う冗談は置いておいて・・・」
「やっぱりこの機体・・・パンケーキだな」
CF/A-5艦上攻撃機は数年前に正式化された艦上攻撃機だ。対艦ミサイルはもちろんのこと、ロケット・ポッドやJDAMまで、ありとあらゆる兵装が扱える万能機だ。固定武装は20ミリバルカンを機首に1基。エンジンには推力7080kgfのターボファンジェットエンジンを二基。何よりも特徴的なのが機体形状で、その容姿は一言で言えば『パンケーキ』である。パンケーキよろしく円盤翼の恩恵により高速時の旋回性能は目まぐるしく、その旋回能力は最新鋭機にも引けを取らない。
「さて、今日もよろしく頼むぞ」
そう言ってコックピットへと乗り込む。
「やっぱり視界が広いな」
コックピットから周りを見渡す。涙滴型《バブル》キャノピーを採用した恩恵で周囲の状況確認のしやすさは前型の艦載攻撃機と比べて格段に上がった。これのパイロットの評価はかなり好評である。
「ま、それはいいとして」
エンジン始動ボタンを押す。
「お、来たか」
各機器の動作確認を終えるとすぐに機体前方に黄色の服を着て黄色のキャップをつけた航空機誘導員が現れる。誘導員の指示に従い超低速で垂直尾翼を使い移動。電磁カタパルトへと誘導される。
「この辺だな」
電磁カタパルトにたどり着くと機体後部に冷却パイプを内蔵したパッシブ・ジェット・ブラスト・デフレクターがエンジンの出す高温から甲板要員や機体を守るために出現する。それと並行して緑の服とキャップをつけたカタパルト要員が機体に接近、また白い服を着た安全要員による安全確認も進められる。それらが全て終わると
「OK」
とハンドサインで示される。
「エンジン出力上げるか!」
そう言いエンジンスロットルを最大まで引き上げる。甲板にエンジンの吐き出す轟音が響く中並行して各機器の確認及び水平尾翼・垂直尾翼、補助翼やフラップなどその他諸々の稼動確認を行う。
「動作確認、終了!」
同時に甲板要員からのゴーサインが出た。
「発艦!」
その瞬間、俺の乗るCF/A-5艦上攻撃機はカタパルトの射出の勢いで時速290キロあまりにまで加速する。
「っふぅぃ!これがたまんねぇ!」
カタパルトにより射出された機体は暫くの間全て機械制御で動かされるので、少し心に余裕ができる。
「さぁて、全機上がるまで待機するか・・・」
_数分後
「さーて!役者は揃った!全機編隊を組んで飛行!先導する偵察機について行くぞ!」
『応!』
斯くして、第一次ダーダネルス海峡海戦の初手はエルディアン共和国海軍が取ることとなる。
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