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第1話:死はパンジャン印の電子機器を呼ぶ
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2019年3月13日 日本 某所 12:??
日本。なんか色々あって完成した地球に存在する、人間が勝手に付けた地名の一つだ。その歴史たるや深く、皇族の血筋、その始まりをイコール日本の始まりとすれば、その時は2000年を超えるらしい。もちろんその間には大化の改新や関ヶ原の戦い、明治維新に大東亜戦争やらオイルショックと、なんかもうとにかく色々あった。
そんな伝統ある神州の、とある地方都市。少子高齢化の影響を諸に受けつつあるその街のある家屋の2階に、“ソレ”は住んでいた。
「今日も元気にロマン兵器を探求探求っと!」
そんなことを呟きながら青ジャージの“ソレ”は、ステップを踏みながら自室のドアを開くと、勢いよくイスに着席。慣れた手つきで、パソコンにパスワードを打ち込む。そこからロードが始まり何やかんやで、ホーム画面に。次にどデカく『Go〇gle』と書かれた検索フォームを開いて、徐に検索ワードを打ち込んでいく。
その背後……即ち、部屋に入って左側にはやけに大きな本棚。そこに入った本の題名を見て行くと、『ザ・グレート・パンジャンドラム1943~英国式国防戦術~』やら『~核兵器は全てを救う~あれ、何かやっちゃいました?』、『時空要塞T95*』と言った、所謂“架空戦記*”と呼ばれる(?)書籍などが所狭しと並べられている。
「えっ……ファッ!?」
しばらくタイプ音やクリック音を鳴り響かせたと思えば、それを突如として中断。それと同時に、“ソレ”は奇声にも、驚きのそれにも似た何かを発した。ちょっと視点をディスプレイに写して、何を見ているのか見てみよう。んーと、どれどれ……。
『この『SLAM*』、正式名称『Supersonic Low Altitude Missile』は、冷戦真っ只中に『Project Pluto』により作られた“原子力”巡航ミサイルです。その射程は“原子力”を用いたことで、実質的に無限と同等。そしてその弾頭内部に搭載する多数の核兵器で、敵領土を文字通り焦土に変換することを目的に開発されたアメリカ合衆国の多弾頭核兵器でした。
ですが、“原子力”とあるように、燃料には放射性物質を使用するという超危険構造。もちろん発射事故を惹き起こせば国内外から批判の雨が溢れんばかりに降りそそぐことは想像が容易いですが、何とこのミサイル、そんなものの発する熱を外部に露出させることで直接冷却しようとしたのです。
その結果、この『SLAM』は発射された後の地域に敵味方見境なく被害を与える終末感極まった、究極の破壊兵器に変貌しました。字面だけ見てもわかりますが、いくら冷戦期では終末的思想のもとに兵器が設計されていた*とは言え、これは流石に常識を逸しています』。
……何だこれ? 原子力……巡航ミサイル? 空を飛ぶ原子力発電所か何かですか?
こんなもの見るなんて、恐らく、いや、確実に常人ではない。えいやだって敵味方関係なく放射線ブッパしまくるんでしょそんなの兵器じゃないじゃんただの自滅兵器じゃん……——なんて戯言は置いておいて。今こうしてソレを読んでいる、常人でない者がいるのは事実。一体全体こんな物を好き好んでみる輩は誰か……ではここで、“ソレ”の名を明かすとしよう。
“ソレ”の名は多田野 繋 。非凡人的な19歳の日本男児である。
“非凡人的”なんて言っちゃったが、その理由は至極単純。日本では唯でさえいい目で見られることのない軍事界隈のオタク、それも『試作兵器』や『珍兵器』、『魔改造兵器』に『ペーパープラン』と言った物を引っくるめた、『ロマン兵器』を愛しているからだ。
そりゃもちろん、生まれて以来、まるで天命のようにずっとロマン兵器を愛してきたトンデモ人生をお持ちの訳ではない。決して両親が両者とも軍オタだったとか、そんなことは無いのだ。……いや、ほ、本当ですよ。え、えぇ!!!
とは言え、物心が付いた頃からロマン兵器を愛してきたのは事実。偶然目にした『パンジャンドラム*』を始まりとして、今やこの有様だ。
本棚にはどこから発掘したか、試作兵器やら珍兵器やらが連合国を蹂躙するだとか、異世界に転生して世界をカオスに導くだとかそんな趣旨の書籍がごまんと並べられていて、彼が今使用するPCだって、検索サイトを移動させればそこには大量のシミュレーションゲームの数々が露わになる。これが年頃の大人ならばまだ納得できるが、よりにもよって“学生”なのだから、それはもう質が悪い。
そんな彼がしている儀式……では無く、『SLAM』を調べているという行動は、新たなるロマン兵器の発見という、それはそれはとても崇高な理念のもとに行われている。
何せ、ロマン兵器は希少。そもそもそれを愛する人だって現実世界の人口と対比すれば、とても少ない。それつまり情報量の少なさに直結するので、ロマン兵器に関して調べる際は必然的に情報量が少ない日本語よりも、情報量が多い英語等海外文献に頼ることとなるのだが……今日は違った。何せ、つい先日発見した9M730*に関連する兵器が無いかな~と言った感じで探した結果、偶然この『SLAM』に辿り着いてしまったからだ。それも、日本語サイト。やったね!!!
何をどうしたらこんな兵器にぶち当たるのかは、恐らく日頃の行いが素晴らしいからに違いないだろう。
「……まぁ、うん」
だが、そのテンションは徐々に暗転する。
なんかもう兵器の要綱を見て嫌な気配はしていたが、この『SLAM』は例の如く試作止まりだったからである。この手の兵器には特に多いが、今回のこの『SLAM』に関しては2億6千万ドルの計画費用をつぎ込んだ末の結果であると考えたら勿体無いような……いや、まあ、うん。そんなことはないし、これに関しては納得せざるを得ない。幾ら何でも敵味方関わらず放射性物質を撒き散らす兵器はさすがに、ね?
……え? X-6*にTu119*、それに『オリオン計画*』……? あれは原子力推進航空機だからセフセフ! それに『オリオン計画』は核推力を用いた現実的な惑星間宇宙船です! それで失われる犠牲はコラテラルダメージですから! コラテラルコラテラル!!!
「……いや、待って。まさかだけど、他にも同系列の兵器があったりしないよね……?」
そんな疑問とともに新しく検索サイトを立ち上げようとする刹那、パソコン上部に一つの通知が表示された。
「ん?なんだ——」
いきなりなんだろう、と言いたげな表情で、通知をクリックしよう——としたと同時に、彼の意識は暗闇の向こうへととてつもない勢いで投げ込まれた。
それと同時に、彼の住む家……いや、住んでいた街に、巨大な爆発が発生した。その爆発は、彼の住む街に存在した木々を、家々を、車両を、人を……その全てを粉砕し、焼き尽くして焦土へと変える。
それはまさしく、平和国家日本にあるまじき光景。その破壊をもたらした存在——それは、『神の杖*』。都市伝説上でしか語られることのなかった……存在しないと思われていた、究極の破壊兵器。小型戦略兵器の威力に匹敵し、なおかつ放射能汚染を残さない環境にクリーン(迫真)なソレによる、タングステン弾頭の誤発射によるものだった。
—
——
—……
【——……Dqimpy Ed.135098, Rggdv yarezmna yd Vdago 13,cgnrzn……】
【——……Adlna ykry. Rggdv yarezmna yd Vdago 13……Lddo gxph】
……—
——
—
芝生の上に突っ伏すような感覚。風が心地よく吹き……って、え?
「……ハッ!!!」
その状況に違和感を感じた繋は、目をハッと見開く。それと同時に、勢い良く起き上がった。
「い、一体何が……?」
頭がやけに痛い。だが、そんなことはお構いなしに周囲を見渡す。
ハッと見回した数秒後、沈黙が訪れる。繋のその目は予想外の光景に釘付けになっていたのだ。
「……え、なんで木があるんだ? それに……天井は?」
堂々とそびえ立つ、茶色の樹皮に大量に生える葉っぱを要するソレ……木。それが一本や二本どころではなく、数え切れないほど、自身のいる5m四方ほどの空間の周囲一帯を取り囲むように生えていた。頭上には、ぽっかり空いた空間とともに大きな青空が広がる。
さっきまで自室にいたはず……。脳をフル回転させ、どうしてこんなところにいるのか思い出そうとする。
だが、思い出せない。自室でパソコンに表示された一つのメッセージ。それを確認しようとしたところまでは覚えているものの、そこから先は……。
「……いや、一旦落ち着こう……。まずは状況確認だ」
『スーッ……ハァッ(ねっとり)』と深呼吸をして、再度周囲を見渡す。だが、やはり周りには木や雑草だらけ。当然だが、先ほどまでいたはずの自室の面影は一つもない。おそらく森の中、と考えるのが妥当なのだろうが、だとして森にいるのかがわからない。もしかしたらFBIが家にOPEN UPしてきたのだろうか……。いや、ないね、うん。仮にそんなことをするとして、どうして森林に捨てるのって話だし。
ともなれば、まずは人に出会うことが先決。そこから次の手段を考えることになるだろう。とは言え、それを実行する名案なんて物、現在絶賛持たざる者の自分には思い浮かばないが……。
「って、うん?」
何かないか、再確認も兼ねて周囲を見回していた時、その目線に黒色に染まった板状の何かが入り込んだ。怪しげに思って体を起こすと、雑草の上に落ちているソレのそばへと歩み寄る。そうして、その黒色に染まった板状の何かを手で持つ。
「これは……Pad? どうしてこんなところに……?」
そこに落ちていたものは、一つのPadだった。黒色に見えたものは、どうやら液晶画面だったらしい。ただ、一般的に馴染みのあるPadと違い、それには液晶画面上部に直径5cmほどの、円形のカメラらしきものが付いている。
なんで森にPadが落ちているんだという疑問はもちろんあるが、それ以上に気になることはその新しさである。汚れひとつ、傷ひとつついていない。雑草の上にあったにもかかわらず、だ。
「何だこれ……って、こっ……これは……!!!」
何も考えずに裏面を見ると、そこには彼にとってとても馴染みのある物がペイントされていた。
「『パンジャンドラム』ッ!?」
一面が緑色の迷彩色に染まったPadに、一つ大きく浮かび上がるボビン状のシルエット。それはまさしく、珍兵器界隈でお馴染みの珍兵器オブ珍兵器、『パンジャンドラム』。見ただけでわかりますね、この英国らしさ! 英国の匂いもプンプンします!
「ど、どうしてこんなものが……!」
驚愕と、自分以外にもロマン兵器を愛する人間はいるんだなという再認識で、変態は打ち震える。え? ネットにはその界隈の人間がいるだろ、だって……? あれはネットだから、ほら……。現実じゃコミケくらいじゃ無いですかね、まともにこの道の人と会えるのって。
「この所有者が誰かは知らないけど美味い酒が……ん?」
が、改めて裏面を見返すと、あることに気がついた。
「……え?」
裏面の右下部分に、汚れひとつない真っ白な文字で小さく『多田野 繋(Ed.135098)』と書かれていることに。
「自分の名前が……なんで!?」
全く身に覚えがない名前がソレに記入されていることに、変態は戸惑う。お前のPadなんじゃないかと言われるかもしれないが、自身が持っているものといえばスマホやPCだけ。こんなPadは身に覚えもない。
「ま、まさかだけど……使える、とかないよね?」
これで使えたらもはやホラーである。半ば恐怖に染まった顔でPadを表に返すと、どこにでもありそうな電源ボタンを一押しする。
「……あっ、そっかぁ」
そんな不安をよそにPadは無事立ち上がるのだが、その画面にはパスワード入力画面どころか、ご丁寧に『Welcome to “多田野 繋”』との吹き出しが表示されていた。予想の斜め上を行く結果に、一瞬これがドッキリか何かなのでは、と疑う。
が、いつまでたっても『ドッキリ大成功!!』と書かれたカンペを掲げた輩と、それを見て驚く様を公衆の面前にテレビを介して曝け出すカメラマンは現れない。願わくばこれがドッキリであって欲しかったのだが、どうやらそうではないらしい。
「ととと、とりあえず! このPadがどんなものか確認しておこう、うん!」
もしかすると地図アプリが使えるかもしれないという僅かな希望を胸に、吹き出しの右上のバツ印をタップしてそれを消去。また画面に表示されるものが変わる——のだが、その画面は繋の思考を強制停止させた。
「なっ……なっ……」
なんと、画面一杯にロマン兵器たちが表示されているではないか。『パンジャンドラム』はもちろんとして、『80cm列車砲ドーラ&グスタフ*』や『ツァーリボンバ*』などの有名なものから『H45*』などと言ったマイナーなものまで、多種多彩に前方斜めからのアングルで撮られた画像で掲載されている。
その量たるや凄まじく、画面を横にスライドしてもロマン兵器、ロマン兵器、ロマン兵器。下手をしたら海外文献を漁るよりも遥かに情報が多いのではないか、と思わせんばかりの量だ。
更に言えば、どうやらこのPadはざっと見た様子では全て日本語に対応している模様。ネットの情報は日本語:英語の比率が1:99と言われるほどなので、これは素直にありがたいね! これでGo〇gle先生とも卒業! バイバイ先生!
また、兵器の種類ごとにタグ等で区分けすることが可能なようで、現在は『試作兵器』、『珍兵器』、『変態兵器』、『ペーパープラン』が表示対象として指定されていた。……というか、その4つのタグ以外、存在しないのだが。
一般的にロマン兵器と調べれば、全く関係ない画像や有名なものばかりが出てくる。自身がそうして新たなるロマン兵器の開拓に困ってきたことを考えれば、その点この機械は正直。はっきりわかんだね。
「……って、いやいや。そもそもなんでこんな自分に都合のいいものが落ちてるんだ!?」
うっかり流されそうになったが、元はと言えばこのPadはこんなどこかもわからない森の中に落ちていたものである。思い返せば偶然近くにパンジャン印のPadが落ちていて、偶然パスワードなしに『Welcome to “多田野 繋”』と表示され、偶然ロマン兵器が大量に表示されている……。なんだこの偶然の連鎖は、たまげたなぁ(白目)。ここまで都合のいい偶然が続くとなると出来のいい嘘なのではないかと考えてしまう。
「でも、今はこうして手元にあるしなぁ……」
本来なら警察に届ける方がいいのかもしれないが、Padの裏面に自身の名前が書いてあり、機械も『Welcome to “多田野 繋”』と表示している。これは……。
「……よし!これは自分のものだ!誰も異論はないね!!!」
……異論はないようなのでとっとと自分のものにしてしまおう! きっと自分のものだそうに違いない!!!
「じゃ、まずは物色物色……」
そんな感じで強引な理論を用いて自分のものだと決めつけると、近くの手頃な木にもたれてPadの物色を始めるのだった。
______
作中で登場した兵器の解説で登場した兵器は後々解説しようかと思います。
*T95:アメリカがドイツの要塞線ジークフリート線に対抗するため第二次大戦後期に試作した重駆逐戦車。時期で名称が変わっててややこしい(始め:T28→途中:T95→最後:T28)。
ちなみに、書籍の名前が『時空要塞T95』である由来は、一時期この戦車は行方が分からなくなっていたことと重装甲に着目し、『異世界に転生してたらおもしろそうじゃねby.中の人』と言う興味本位で書きました。反省はしていない。
*架空戦記:主に、戦争の転換点と呼ばれる戦闘で勝ってたり負けたりしてたら……というものを、漫画や小説に記したもの。
*SLAM:プロジェクト・プルートにより発案された原子力巡航ミサイル。作中での説明に加え、兵器の性能試験で必要な実験をしようにも『まともに実験できる場所……ねえじゃん!』と言うことで無事お釈迦に。
*トリープフリューゲル:末期ドイツが、あまりにも航空基地をボコされるので画策したトンデモ兵器。滑走路を使わずに離陸できるという点を主軸にしたのは間違いじゃなかったんだけど、何をどうトチ狂ったか、なんかもう色々おかしい。少なくとも、航空機ではない。
申し訳ないけど言葉では形容できないので、気になった方は是非『トリープフリューゲル』で検索を。
*冷戦期では終末的思想のもとに兵器が設計されていた:例を挙げるとアメリカの『空対空“核”ロケット弾ジーニー』や、『空対空“核”ミサイルAIM-26』、『M65 280mmカノン砲“アトミック”キャノン』に、ロシアの『406mm“核”自走砲2A3コンデンサトール』、イギリスの『鶏“核”地雷ブルーピーコック』等々。核兵器は通常兵器だ!!!
*パンジャンドラム:搭載した紅茶噴射型自走紅茶樽で後方に紅茶を撒き散らしながら敵味方関係なく1.8tの紅茶をお届けし、大地を紅茶に染め上げる恐怖の英国面満載イギリス最終決戦兵器。……すみません。半分くらい嘘です。ただ、1.8tの部分と敵味方関係なく突っ込むのは本当。
*X-6:B-36ピースメーカーと言うアメリカの戦略爆撃機に、原子力推進機構を搭載した試作航空機。原子炉は外気で直接冷却する方法だから……結果は言わなくてもわかるよね!!!
*Tu-119:上に同じく、ロシアの保有する世界最速のプロペラ機Tu-95(こいつもなかなかのゲテモノ)に原子力推進機構を搭載した試作兵器。こっちは空気中に放射能撒き散らさないからまだマシ。ただ、上と違って放射線遮断シールドがなかったから……その。そういう意味では下手したらこいつの方がひどい。(実はこの当時実験に参加した搭乗員の大半は死んで……ん?こんな夜遅くに誰だろ……)
*オリオン計画:宇宙船後部60m地点で核兵器を起爆し続けることで発生する衝撃波を利用し、すごい速度で宇宙航行しようぜって言う宇宙船。一番太陽と冥王星が近づく時期であれば1年で地球と冥王星を往復できるとかなんとか。それは色々と大丈夫なんですかね???
*神の杖:都市伝説の塊的兵器。低軌道からタングステン弾頭を地表に衝突させるだけで、小型戦略核兵器レベルの威力を出せる……らしい。こんなのあってたまるか。
*9M730:ロシア連邦で開発中の原子力巡航ミサイル。2018年にP大統領が提示した6つの新型戦略兵器のうちの一つだそう。最新兵器なので情報は少ない。
*ツァーリボンバ:言わずと知れた、正真正銘世界最強の単一破壊兵器。ツァーリボンバはロシア語で『皇帝の爆弾』という意味。もちろんその名前にふさわしい威力を持っており、実際の核実験時には”威力を半分にした状態”だったにもかかわらず、その爆風は地球を3周半吹き荒れた。威力フルで使ったら関東圏壊滅するとかなんとか。
*80cm列車砲ドーラ&グスタフ:世界最大の列車砲。
ドーラの名称はこの列車砲の設計主任の妻の名前から、グスタフの名称はこの列車砲を製作したクルップ社の社長の名前から取られた。
もともと要塞攻略用の兵器として作られただけあって、セヴァストポリ要塞(ソ連の要塞で、ドイツ軍相手に約1年持ちこたえた)の、厚さ10mのコンクリートで保護された地下30mにある海底弾薬庫をぶち壊した実績があります。頭おかしい。
戦艦大和が搭載していた主砲が口径460mm、この列車砲が口径800mmと考えると、いかに巨大か分かる……かも、しれない。——あっ!!口径920mmのリトル・デーヴィット迫撃砲がこっち見てる!!!
*H45:WW2末期、ナチス・ドイツ(というかちょび髭伍長)が計画した超巨大戦艦。全長600m超えの船体に、上記の80cm列車砲を連装化したものを4基搭載する。当然ながら計画止まり。逆に建造しようとしてたら正気じゃない(一方日本には50万トン戦艦というものがあってだな……)。
日本。なんか色々あって完成した地球に存在する、人間が勝手に付けた地名の一つだ。その歴史たるや深く、皇族の血筋、その始まりをイコール日本の始まりとすれば、その時は2000年を超えるらしい。もちろんその間には大化の改新や関ヶ原の戦い、明治維新に大東亜戦争やらオイルショックと、なんかもうとにかく色々あった。
そんな伝統ある神州の、とある地方都市。少子高齢化の影響を諸に受けつつあるその街のある家屋の2階に、“ソレ”は住んでいた。
「今日も元気にロマン兵器を探求探求っと!」
そんなことを呟きながら青ジャージの“ソレ”は、ステップを踏みながら自室のドアを開くと、勢いよくイスに着席。慣れた手つきで、パソコンにパスワードを打ち込む。そこからロードが始まり何やかんやで、ホーム画面に。次にどデカく『Go〇gle』と書かれた検索フォームを開いて、徐に検索ワードを打ち込んでいく。
その背後……即ち、部屋に入って左側にはやけに大きな本棚。そこに入った本の題名を見て行くと、『ザ・グレート・パンジャンドラム1943~英国式国防戦術~』やら『~核兵器は全てを救う~あれ、何かやっちゃいました?』、『時空要塞T95*』と言った、所謂“架空戦記*”と呼ばれる(?)書籍などが所狭しと並べられている。
「えっ……ファッ!?」
しばらくタイプ音やクリック音を鳴り響かせたと思えば、それを突如として中断。それと同時に、“ソレ”は奇声にも、驚きのそれにも似た何かを発した。ちょっと視点をディスプレイに写して、何を見ているのか見てみよう。んーと、どれどれ……。
『この『SLAM*』、正式名称『Supersonic Low Altitude Missile』は、冷戦真っ只中に『Project Pluto』により作られた“原子力”巡航ミサイルです。その射程は“原子力”を用いたことで、実質的に無限と同等。そしてその弾頭内部に搭載する多数の核兵器で、敵領土を文字通り焦土に変換することを目的に開発されたアメリカ合衆国の多弾頭核兵器でした。
ですが、“原子力”とあるように、燃料には放射性物質を使用するという超危険構造。もちろん発射事故を惹き起こせば国内外から批判の雨が溢れんばかりに降りそそぐことは想像が容易いですが、何とこのミサイル、そんなものの発する熱を外部に露出させることで直接冷却しようとしたのです。
その結果、この『SLAM』は発射された後の地域に敵味方見境なく被害を与える終末感極まった、究極の破壊兵器に変貌しました。字面だけ見てもわかりますが、いくら冷戦期では終末的思想のもとに兵器が設計されていた*とは言え、これは流石に常識を逸しています』。
……何だこれ? 原子力……巡航ミサイル? 空を飛ぶ原子力発電所か何かですか?
こんなもの見るなんて、恐らく、いや、確実に常人ではない。えいやだって敵味方関係なく放射線ブッパしまくるんでしょそんなの兵器じゃないじゃんただの自滅兵器じゃん……——なんて戯言は置いておいて。今こうしてソレを読んでいる、常人でない者がいるのは事実。一体全体こんな物を好き好んでみる輩は誰か……ではここで、“ソレ”の名を明かすとしよう。
“ソレ”の名は多田野 繋 。非凡人的な19歳の日本男児である。
“非凡人的”なんて言っちゃったが、その理由は至極単純。日本では唯でさえいい目で見られることのない軍事界隈のオタク、それも『試作兵器』や『珍兵器』、『魔改造兵器』に『ペーパープラン』と言った物を引っくるめた、『ロマン兵器』を愛しているからだ。
そりゃもちろん、生まれて以来、まるで天命のようにずっとロマン兵器を愛してきたトンデモ人生をお持ちの訳ではない。決して両親が両者とも軍オタだったとか、そんなことは無いのだ。……いや、ほ、本当ですよ。え、えぇ!!!
とは言え、物心が付いた頃からロマン兵器を愛してきたのは事実。偶然目にした『パンジャンドラム*』を始まりとして、今やこの有様だ。
本棚にはどこから発掘したか、試作兵器やら珍兵器やらが連合国を蹂躙するだとか、異世界に転生して世界をカオスに導くだとかそんな趣旨の書籍がごまんと並べられていて、彼が今使用するPCだって、検索サイトを移動させればそこには大量のシミュレーションゲームの数々が露わになる。これが年頃の大人ならばまだ納得できるが、よりにもよって“学生”なのだから、それはもう質が悪い。
そんな彼がしている儀式……では無く、『SLAM』を調べているという行動は、新たなるロマン兵器の発見という、それはそれはとても崇高な理念のもとに行われている。
何せ、ロマン兵器は希少。そもそもそれを愛する人だって現実世界の人口と対比すれば、とても少ない。それつまり情報量の少なさに直結するので、ロマン兵器に関して調べる際は必然的に情報量が少ない日本語よりも、情報量が多い英語等海外文献に頼ることとなるのだが……今日は違った。何せ、つい先日発見した9M730*に関連する兵器が無いかな~と言った感じで探した結果、偶然この『SLAM』に辿り着いてしまったからだ。それも、日本語サイト。やったね!!!
何をどうしたらこんな兵器にぶち当たるのかは、恐らく日頃の行いが素晴らしいからに違いないだろう。
「……まぁ、うん」
だが、そのテンションは徐々に暗転する。
なんかもう兵器の要綱を見て嫌な気配はしていたが、この『SLAM』は例の如く試作止まりだったからである。この手の兵器には特に多いが、今回のこの『SLAM』に関しては2億6千万ドルの計画費用をつぎ込んだ末の結果であると考えたら勿体無いような……いや、まあ、うん。そんなことはないし、これに関しては納得せざるを得ない。幾ら何でも敵味方関わらず放射性物質を撒き散らす兵器はさすがに、ね?
……え? X-6*にTu119*、それに『オリオン計画*』……? あれは原子力推進航空機だからセフセフ! それに『オリオン計画』は核推力を用いた現実的な惑星間宇宙船です! それで失われる犠牲はコラテラルダメージですから! コラテラルコラテラル!!!
「……いや、待って。まさかだけど、他にも同系列の兵器があったりしないよね……?」
そんな疑問とともに新しく検索サイトを立ち上げようとする刹那、パソコン上部に一つの通知が表示された。
「ん?なんだ——」
いきなりなんだろう、と言いたげな表情で、通知をクリックしよう——としたと同時に、彼の意識は暗闇の向こうへととてつもない勢いで投げ込まれた。
それと同時に、彼の住む家……いや、住んでいた街に、巨大な爆発が発生した。その爆発は、彼の住む街に存在した木々を、家々を、車両を、人を……その全てを粉砕し、焼き尽くして焦土へと変える。
それはまさしく、平和国家日本にあるまじき光景。その破壊をもたらした存在——それは、『神の杖*』。都市伝説上でしか語られることのなかった……存在しないと思われていた、究極の破壊兵器。小型戦略兵器の威力に匹敵し、なおかつ放射能汚染を残さない環境にクリーン(迫真)なソレによる、タングステン弾頭の誤発射によるものだった。
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—……
【——……Dqimpy Ed.135098, Rggdv yarezmna yd Vdago 13,cgnrzn……】
【——……Adlna ykry. Rggdv yarezmna yd Vdago 13……Lddo gxph】
……—
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芝生の上に突っ伏すような感覚。風が心地よく吹き……って、え?
「……ハッ!!!」
その状況に違和感を感じた繋は、目をハッと見開く。それと同時に、勢い良く起き上がった。
「い、一体何が……?」
頭がやけに痛い。だが、そんなことはお構いなしに周囲を見渡す。
ハッと見回した数秒後、沈黙が訪れる。繋のその目は予想外の光景に釘付けになっていたのだ。
「……え、なんで木があるんだ? それに……天井は?」
堂々とそびえ立つ、茶色の樹皮に大量に生える葉っぱを要するソレ……木。それが一本や二本どころではなく、数え切れないほど、自身のいる5m四方ほどの空間の周囲一帯を取り囲むように生えていた。頭上には、ぽっかり空いた空間とともに大きな青空が広がる。
さっきまで自室にいたはず……。脳をフル回転させ、どうしてこんなところにいるのか思い出そうとする。
だが、思い出せない。自室でパソコンに表示された一つのメッセージ。それを確認しようとしたところまでは覚えているものの、そこから先は……。
「……いや、一旦落ち着こう……。まずは状況確認だ」
『スーッ……ハァッ(ねっとり)』と深呼吸をして、再度周囲を見渡す。だが、やはり周りには木や雑草だらけ。当然だが、先ほどまでいたはずの自室の面影は一つもない。おそらく森の中、と考えるのが妥当なのだろうが、だとして森にいるのかがわからない。もしかしたらFBIが家にOPEN UPしてきたのだろうか……。いや、ないね、うん。仮にそんなことをするとして、どうして森林に捨てるのって話だし。
ともなれば、まずは人に出会うことが先決。そこから次の手段を考えることになるだろう。とは言え、それを実行する名案なんて物、現在絶賛持たざる者の自分には思い浮かばないが……。
「って、うん?」
何かないか、再確認も兼ねて周囲を見回していた時、その目線に黒色に染まった板状の何かが入り込んだ。怪しげに思って体を起こすと、雑草の上に落ちているソレのそばへと歩み寄る。そうして、その黒色に染まった板状の何かを手で持つ。
「これは……Pad? どうしてこんなところに……?」
そこに落ちていたものは、一つのPadだった。黒色に見えたものは、どうやら液晶画面だったらしい。ただ、一般的に馴染みのあるPadと違い、それには液晶画面上部に直径5cmほどの、円形のカメラらしきものが付いている。
なんで森にPadが落ちているんだという疑問はもちろんあるが、それ以上に気になることはその新しさである。汚れひとつ、傷ひとつついていない。雑草の上にあったにもかかわらず、だ。
「何だこれ……って、こっ……これは……!!!」
何も考えずに裏面を見ると、そこには彼にとってとても馴染みのある物がペイントされていた。
「『パンジャンドラム』ッ!?」
一面が緑色の迷彩色に染まったPadに、一つ大きく浮かび上がるボビン状のシルエット。それはまさしく、珍兵器界隈でお馴染みの珍兵器オブ珍兵器、『パンジャンドラム』。見ただけでわかりますね、この英国らしさ! 英国の匂いもプンプンします!
「ど、どうしてこんなものが……!」
驚愕と、自分以外にもロマン兵器を愛する人間はいるんだなという再認識で、変態は打ち震える。え? ネットにはその界隈の人間がいるだろ、だって……? あれはネットだから、ほら……。現実じゃコミケくらいじゃ無いですかね、まともにこの道の人と会えるのって。
「この所有者が誰かは知らないけど美味い酒が……ん?」
が、改めて裏面を見返すと、あることに気がついた。
「……え?」
裏面の右下部分に、汚れひとつない真っ白な文字で小さく『多田野 繋(Ed.135098)』と書かれていることに。
「自分の名前が……なんで!?」
全く身に覚えがない名前がソレに記入されていることに、変態は戸惑う。お前のPadなんじゃないかと言われるかもしれないが、自身が持っているものといえばスマホやPCだけ。こんなPadは身に覚えもない。
「ま、まさかだけど……使える、とかないよね?」
これで使えたらもはやホラーである。半ば恐怖に染まった顔でPadを表に返すと、どこにでもありそうな電源ボタンを一押しする。
「……あっ、そっかぁ」
そんな不安をよそにPadは無事立ち上がるのだが、その画面にはパスワード入力画面どころか、ご丁寧に『Welcome to “多田野 繋”』との吹き出しが表示されていた。予想の斜め上を行く結果に、一瞬これがドッキリか何かなのでは、と疑う。
が、いつまでたっても『ドッキリ大成功!!』と書かれたカンペを掲げた輩と、それを見て驚く様を公衆の面前にテレビを介して曝け出すカメラマンは現れない。願わくばこれがドッキリであって欲しかったのだが、どうやらそうではないらしい。
「ととと、とりあえず! このPadがどんなものか確認しておこう、うん!」
もしかすると地図アプリが使えるかもしれないという僅かな希望を胸に、吹き出しの右上のバツ印をタップしてそれを消去。また画面に表示されるものが変わる——のだが、その画面は繋の思考を強制停止させた。
「なっ……なっ……」
なんと、画面一杯にロマン兵器たちが表示されているではないか。『パンジャンドラム』はもちろんとして、『80cm列車砲ドーラ&グスタフ*』や『ツァーリボンバ*』などの有名なものから『H45*』などと言ったマイナーなものまで、多種多彩に前方斜めからのアングルで撮られた画像で掲載されている。
その量たるや凄まじく、画面を横にスライドしてもロマン兵器、ロマン兵器、ロマン兵器。下手をしたら海外文献を漁るよりも遥かに情報が多いのではないか、と思わせんばかりの量だ。
更に言えば、どうやらこのPadはざっと見た様子では全て日本語に対応している模様。ネットの情報は日本語:英語の比率が1:99と言われるほどなので、これは素直にありがたいね! これでGo〇gle先生とも卒業! バイバイ先生!
また、兵器の種類ごとにタグ等で区分けすることが可能なようで、現在は『試作兵器』、『珍兵器』、『変態兵器』、『ペーパープラン』が表示対象として指定されていた。……というか、その4つのタグ以外、存在しないのだが。
一般的にロマン兵器と調べれば、全く関係ない画像や有名なものばかりが出てくる。自身がそうして新たなるロマン兵器の開拓に困ってきたことを考えれば、その点この機械は正直。はっきりわかんだね。
「……って、いやいや。そもそもなんでこんな自分に都合のいいものが落ちてるんだ!?」
うっかり流されそうになったが、元はと言えばこのPadはこんなどこかもわからない森の中に落ちていたものである。思い返せば偶然近くにパンジャン印のPadが落ちていて、偶然パスワードなしに『Welcome to “多田野 繋”』と表示され、偶然ロマン兵器が大量に表示されている……。なんだこの偶然の連鎖は、たまげたなぁ(白目)。ここまで都合のいい偶然が続くとなると出来のいい嘘なのではないかと考えてしまう。
「でも、今はこうして手元にあるしなぁ……」
本来なら警察に届ける方がいいのかもしれないが、Padの裏面に自身の名前が書いてあり、機械も『Welcome to “多田野 繋”』と表示している。これは……。
「……よし!これは自分のものだ!誰も異論はないね!!!」
……異論はないようなのでとっとと自分のものにしてしまおう! きっと自分のものだそうに違いない!!!
「じゃ、まずは物色物色……」
そんな感じで強引な理論を用いて自分のものだと決めつけると、近くの手頃な木にもたれてPadの物色を始めるのだった。
______
作中で登場した兵器の解説で登場した兵器は後々解説しようかと思います。
*T95:アメリカがドイツの要塞線ジークフリート線に対抗するため第二次大戦後期に試作した重駆逐戦車。時期で名称が変わっててややこしい(始め:T28→途中:T95→最後:T28)。
ちなみに、書籍の名前が『時空要塞T95』である由来は、一時期この戦車は行方が分からなくなっていたことと重装甲に着目し、『異世界に転生してたらおもしろそうじゃねby.中の人』と言う興味本位で書きました。反省はしていない。
*架空戦記:主に、戦争の転換点と呼ばれる戦闘で勝ってたり負けたりしてたら……というものを、漫画や小説に記したもの。
*SLAM:プロジェクト・プルートにより発案された原子力巡航ミサイル。作中での説明に加え、兵器の性能試験で必要な実験をしようにも『まともに実験できる場所……ねえじゃん!』と言うことで無事お釈迦に。
*トリープフリューゲル:末期ドイツが、あまりにも航空基地をボコされるので画策したトンデモ兵器。滑走路を使わずに離陸できるという点を主軸にしたのは間違いじゃなかったんだけど、何をどうトチ狂ったか、なんかもう色々おかしい。少なくとも、航空機ではない。
申し訳ないけど言葉では形容できないので、気になった方は是非『トリープフリューゲル』で検索を。
*冷戦期では終末的思想のもとに兵器が設計されていた:例を挙げるとアメリカの『空対空“核”ロケット弾ジーニー』や、『空対空“核”ミサイルAIM-26』、『M65 280mmカノン砲“アトミック”キャノン』に、ロシアの『406mm“核”自走砲2A3コンデンサトール』、イギリスの『鶏“核”地雷ブルーピーコック』等々。核兵器は通常兵器だ!!!
*パンジャンドラム:搭載した紅茶噴射型自走紅茶樽で後方に紅茶を撒き散らしながら敵味方関係なく1.8tの紅茶をお届けし、大地を紅茶に染め上げる恐怖の英国面満載イギリス最終決戦兵器。……すみません。半分くらい嘘です。ただ、1.8tの部分と敵味方関係なく突っ込むのは本当。
*X-6:B-36ピースメーカーと言うアメリカの戦略爆撃機に、原子力推進機構を搭載した試作航空機。原子炉は外気で直接冷却する方法だから……結果は言わなくてもわかるよね!!!
*Tu-119:上に同じく、ロシアの保有する世界最速のプロペラ機Tu-95(こいつもなかなかのゲテモノ)に原子力推進機構を搭載した試作兵器。こっちは空気中に放射能撒き散らさないからまだマシ。ただ、上と違って放射線遮断シールドがなかったから……その。そういう意味では下手したらこいつの方がひどい。(実はこの当時実験に参加した搭乗員の大半は死んで……ん?こんな夜遅くに誰だろ……)
*オリオン計画:宇宙船後部60m地点で核兵器を起爆し続けることで発生する衝撃波を利用し、すごい速度で宇宙航行しようぜって言う宇宙船。一番太陽と冥王星が近づく時期であれば1年で地球と冥王星を往復できるとかなんとか。それは色々と大丈夫なんですかね???
*神の杖:都市伝説の塊的兵器。低軌道からタングステン弾頭を地表に衝突させるだけで、小型戦略核兵器レベルの威力を出せる……らしい。こんなのあってたまるか。
*9M730:ロシア連邦で開発中の原子力巡航ミサイル。2018年にP大統領が提示した6つの新型戦略兵器のうちの一つだそう。最新兵器なので情報は少ない。
*ツァーリボンバ:言わずと知れた、正真正銘世界最強の単一破壊兵器。ツァーリボンバはロシア語で『皇帝の爆弾』という意味。もちろんその名前にふさわしい威力を持っており、実際の核実験時には”威力を半分にした状態”だったにもかかわらず、その爆風は地球を3周半吹き荒れた。威力フルで使ったら関東圏壊滅するとかなんとか。
*80cm列車砲ドーラ&グスタフ:世界最大の列車砲。
ドーラの名称はこの列車砲の設計主任の妻の名前から、グスタフの名称はこの列車砲を製作したクルップ社の社長の名前から取られた。
もともと要塞攻略用の兵器として作られただけあって、セヴァストポリ要塞(ソ連の要塞で、ドイツ軍相手に約1年持ちこたえた)の、厚さ10mのコンクリートで保護された地下30mにある海底弾薬庫をぶち壊した実績があります。頭おかしい。
戦艦大和が搭載していた主砲が口径460mm、この列車砲が口径800mmと考えると、いかに巨大か分かる……かも、しれない。——あっ!!口径920mmのリトル・デーヴィット迫撃砲がこっち見てる!!!
*H45:WW2末期、ナチス・ドイツ(というかちょび髭伍長)が計画した超巨大戦艦。全長600m超えの船体に、上記の80cm列車砲を連装化したものを4基搭載する。当然ながら計画止まり。逆に建造しようとしてたら正気じゃない(一方日本には50万トン戦艦というものがあってだな……)。
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