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俺が子供の頃の話
俺はどうやらもう高校生になったようですよ!? 前編
しおりを挟む桜の花びらが咲き誇る春の晴れたある日、
「うーん!今日もいい天気だぁ!」
シャッと寮の自室についてるカーテンを開けながら俺は背伸びをした。
そして、もう1年も着た高等部の制服の臙脂色のシャツに腕を通した。中等部から履いていた黒色のズボンは、1年の頃に裾が足りなくなって、裾を伸ばして貰ってちょうどいいサイズになったものを履く。(制服の新品を買うなんて、ウェストが狭くなった訳では無いし、勿体ない。)
そして、枕元で充電していたスマホに手を伸ばし、いつものように母親にGOAT(メッセージアプリ L〇NEみたいなもの)でメッセージを送る。
視線をあげ、勉強机の上の写真たての写真を見て、ふとこの学園に来た経緯のことを思い出す。
(懐かしいな...)
それは、俺がこの学園に来る前に母親と撮った数少ない写真である。
もう気づいた人もいるかもしれないが、俺はもう高校生2年生になっていた。
―――――――――
前世を思い出してから月日は流れ、俺らは5年後にゲームの舞台となる「イニティウム学園」の高等部の2年となっていた。
いつからこの学園に通っているのかというと、中等部からである。
「イニティウム学園」は、小、中、高のエスカレーター式の芸能育成学園である。この学園は、『少数精鋭』をモットーにクラスは一学年1クラスしか存在しない。
しかも、この学園、スカウトされるか、何百ものの倍率を勝ち抜いた強者しか入れないスーパーエリート校だ。
俺は、攻略対象特権というか街で涼也と遊んでいた時にスカウトされた。(多分ゲームの大和もこんな感じで学園に入るんだろうな...)もちろん、涼也も一緒に。
涼也は俺が行くなら行くと返事を返し、俺はというと、
(正直行ってはみたいし...行くこと分かってたし...でも、家にはそんな金ねぇし...なにより母さんが心配だし。)
と言ったふうに断ろうとした。この世界は、もしかしたら、空想の世界なのかもしれないが、俺にとっちゃあもう10何年と生きてきた世界なんだ。唯一無二である母親に迷惑なんてとてもかけられない。そう思い断ろうとすると、
「お金は、学園が全て受け持つ」
「気になるのであれば将来少しずつ学園に寄付を送ってくれればいい」
「学園の卒業生たちも同じことをしている。」
と言われ躊躇してしまった。
実は、中学生になったばかりに立て続けに病気で亡くなったおばあちゃん達に
「大和は、歌が上手だからねぇ...将来はテレビの向こうで歌ってるんだろうねぇ...楽しみだねぇ...」
と病室で言われていたのだ。
それは、大和の幼い頃の夢だったのだ。
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