優しい怖がりと溺愛王子

リー

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さわさわと風邪が彼女の髪を巻き上げた。



ふわふわの彼女の髪を彼女自身は手で抑えつつ。

こちらを振り返った。


そして笑顔で


「......!」

だったものを呼んだ。




――――――――


ギャイギャイと騒ぐ小さな子供達。


主役を今か今かと待ちつつ周りを牽制するご令嬢達。

友達同士で固まるご子息達。


そんな姿に1人の5歳ぐらいの開場の隅っこのほうで俯いているふわふわのプラチナブロンドにアクアマリンの瞳の妖精のように可憐なご令嬢がため息をついていた。


彼女の名前は、エレナリア・シャル・ウェズレイ。ウェズレイ公爵家の次女である。


そして、エレナリアが今いるこの開場は、お城で開かれた子供達だけが集められたお茶会である。





人見知りで大勢の人がいる空間が苦手なエレナリアは、隅っこのほうに隠れこの茶会が終わるのを静かに目立たぬように待っていた。





(はぁ...どうしてこんなお茶会に出てるんだろう...)

人が苦手な彼女が何故このようなお茶会に出ているのかは、数週間前に遡る。

――――――――




数週間前、エレナリアが部屋で本を読んでいる時、彼女の父親から呼び出しがかかった。





そして、彼女が父親の元を訪ねると1枚の封筒を渡された。



「お父様?これは...?」




開けてご覧と言われるがままに開けるとそれは、『子供達のためだけのお茶会の招待状』だった。



「お父様...」




エレナリアは、不安そうに声を上げる。




彼女は、人と接するのが苦手な奥手な性格でこういう類のものは、今まで避けていたのだが、この招待状はそう簡単には、避けれないのだ。







「エル、ごめんな。これだけは、どうしてもお父様も断れないんだ...」






それは、お城で開かれるお茶会の招待状だったのだ。


――――――――

あの日の出来事を思い出していたせいで彼女は、周りが騒がしくなっているのに気づかなかった。

そして、涙目でドレスをぎゅっと掴んでいた彼女の手を誰かが握った。

一瞬遅れて彼女は気づき、

「えっ...?」

と声をあげ視線を上げた。



そこには、漆黒の髪に黄金色の瞳の7歳ぐらいの今まで見たことがない壮絶な美少年が立っていた。



(あ...れ、こ、の子?...どこか、で...?)

そう思った瞬間、


「やっぱり...君なんだな...捕まえた...もう離さない...!」

そう少年かニコッと笑ってそういった瞬間、




「もう...無理...」


彼女の人見知りが上限を超え、彼女エレナリアは、気を失ってしまった。


最後にエレナリアが見たのは、こちらを驚いたように見つめた黄金の瞳が目に焼き付いていた。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



読者の皆様へ
人が苦手要素があまりなかったので手直ししました。次の話はでき次第、早めに投稿します。 リー
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