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原作・悪役令嬢、現在・傍観主希望
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しおりを挟む着々と悪役令嬢路線を進んでるのは気のせいだろうか。主にクリスルートの。
ゲームでは、ユリアが助けに入らず、ヴィオレティーナは反撃して、クリスの利き腕を切りつけてしまう。
魔法使い、魔女にとって利き腕は武器だ。たとえクリスから手を出してきたとしても、彼の利き腕を傷つけた罪は十分に重い。
二ヶ月の謹慎処分を下されたヴィオレティーナは、ナイトレイ家にあるまじき、と父親に勘当を言い渡されてしまう。
全部全部、アリスのせいだ!! と闇堕ち(ここ重要)して自暴自棄になる、というルートである。
「では、順番に使い魔を召喚していきましょう。敬意を持って接するのですよ。それでは――ミス・アリアナから」
「えっあ、アタシ!? ……はい!」
こつん、と肘で脇腹を小突かれる。ゆっくり瞬きをして隣を見た。
「またぼーっとしてたよ」
「……考え事よ」
「それは僕に言えないこと?」
甘い顔立ちで、悲しそうに微笑まれると「そんなことないよ!!」と全てゲロってしまいそうになるが、自分の顔の良さを理解してやっているのだ、この男は。
私はただ平和に過ごしたいだけなのに、周りがそうさせてくれない。……全部全部、妹のせいだ。
思考して、ハッとする。この思考はいけない。闇堕ちルートそのものだ。
不安そうに、こちらを伺いみるユリアに曖昧に微笑んだ。
不安だ、と口にしてしまえばユリアは「何が不安なの?」とまた子犬みたいな顔で聞いてくる。その表情にまんまと乗せられて「妹のこと」と言ってしまったら最後、ユリアは不安要素を取り除こうとするだろう。
どこでどう間違ったのか、ヒロインに懐くはずのユリアが自分に懐いてしまった。
この時点で卒倒するかと思ったのに、神様はさらにヴィオラに試練を下すのだ。
「では、ミス・ナイトレイ」
「……はい」
気乗りしない、静かな声だ。
教室中がヴィオラに視線を向けている。高嶺の花の彼女は、一体どんな使い魔を召喚するのだろう、と。
――闇堕ちポイントその二だ。ヴィオラは、使い魔を召喚することができない。
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