2 / 46
悪役令嬢はなりたくてなったわけじゃない。
02
しおりを挟む
同寮のクラスメイト、白雪の貴公子と呼ばれる彼。
夜を意味する漆黒の制服よりも、真昼を意味する純白の制服が似合う、穏やかな性格のユリアはヴィオラが困っているとよく助けてくれた。
さらさらと流れる真っ白い髪に、深海の蒼さをイメージさせる瞳はじいっと見つめるとキラキラと雪が降っているのが見える。
浮世離れした容姿は父親が人間で、母親が雪の精霊という異種族婚姻の末に産まれたのがユリアだが、この情報は開示されていない。それを、どうしてヴィオラが知っているのかと言えば、一重に前世の記憶である。
頭がおかしいわけでも、夢見がちな女の子でもない。むしろ、前世ではバリバリに働くキャリアウーマンだった。
企画したプレゼンが通り、さぁこれからやるぞ! と言う時に交通事故に合ってしまったのだ。いわゆる、トラ転。
仕事が恋人、みたいな前世の唯一の趣味が恋愛シュミレーションゲームの攻略だった。
ちょうどプレイ中だった乙女ゲーム『真昼の魔女は夜に恋う』というタイトルなのだが……。なんとヒロインがヴィオラの妹、アリス・ナイトレイで、ユリアを含めたイケメン魔法使い見習いたちとイチャイチャラブラブたまにシリアスなシナリオだった。
ヴィオラの立ち位置は、アリスの才能に嫉妬した意地悪なお姉様。いわゆる悪役令嬢。――頭が痛かった。
確かに、ゲーム攻略は好きだった! キャラクターも魅力的だった! だけど転生(しかも成り代わり)とか求めてない!!
「ヴィオラ? 大丈夫か?」
「っ! えぇ、少し疲れただけよ」
ぼぅっとしていた目と鼻の先に、眉根を下げたイケメンの顔があれば誰もが驚く。
心配げに見つめてくるユリアに苦笑して、「教室に行こう」と促した。
――ヴィオレティーナ・ユカリ・ナイトレイの末路は、良くて勘当、最悪で斬首刑だ。
転成は求めていなかったが、せっかく生まれ変わったのだからこの人生を楽しまないと。少なくとも、早死には嫌だ。
長生きするには、トラブルメーカーの妹と関わらないようにすること。
今年から高等部に進学をしてきた妹(愛されヒロイン)を思うと、先が長かった。
夜を意味する漆黒の制服よりも、真昼を意味する純白の制服が似合う、穏やかな性格のユリアはヴィオラが困っているとよく助けてくれた。
さらさらと流れる真っ白い髪に、深海の蒼さをイメージさせる瞳はじいっと見つめるとキラキラと雪が降っているのが見える。
浮世離れした容姿は父親が人間で、母親が雪の精霊という異種族婚姻の末に産まれたのがユリアだが、この情報は開示されていない。それを、どうしてヴィオラが知っているのかと言えば、一重に前世の記憶である。
頭がおかしいわけでも、夢見がちな女の子でもない。むしろ、前世ではバリバリに働くキャリアウーマンだった。
企画したプレゼンが通り、さぁこれからやるぞ! と言う時に交通事故に合ってしまったのだ。いわゆる、トラ転。
仕事が恋人、みたいな前世の唯一の趣味が恋愛シュミレーションゲームの攻略だった。
ちょうどプレイ中だった乙女ゲーム『真昼の魔女は夜に恋う』というタイトルなのだが……。なんとヒロインがヴィオラの妹、アリス・ナイトレイで、ユリアを含めたイケメン魔法使い見習いたちとイチャイチャラブラブたまにシリアスなシナリオだった。
ヴィオラの立ち位置は、アリスの才能に嫉妬した意地悪なお姉様。いわゆる悪役令嬢。――頭が痛かった。
確かに、ゲーム攻略は好きだった! キャラクターも魅力的だった! だけど転生(しかも成り代わり)とか求めてない!!
「ヴィオラ? 大丈夫か?」
「っ! えぇ、少し疲れただけよ」
ぼぅっとしていた目と鼻の先に、眉根を下げたイケメンの顔があれば誰もが驚く。
心配げに見つめてくるユリアに苦笑して、「教室に行こう」と促した。
――ヴィオレティーナ・ユカリ・ナイトレイの末路は、良くて勘当、最悪で斬首刑だ。
転成は求めていなかったが、せっかく生まれ変わったのだからこの人生を楽しまないと。少なくとも、早死には嫌だ。
長生きするには、トラブルメーカーの妹と関わらないようにすること。
今年から高等部に進学をしてきた妹(愛されヒロイン)を思うと、先が長かった。
0
お気に入りに追加
236
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】あなただけが特別ではない
仲村 嘉高
恋愛
お飾りの王妃が自室の窓から飛び降りた。
目覚めたら、死を選んだ原因の王子と初めて会ったお茶会の日だった。
王子との婚約を回避しようと頑張るが、なぜか周りの様子が前回と違い……?
あなたが望んだ、ただそれだけ
cyaru
恋愛
いつものように王城に妃教育に行ったカーメリアは王太子が侯爵令嬢と茶会をしているのを目にする。日に日に大きくなる次の教育が始まらない事に対する焦り。
国王夫妻に呼ばれ両親と共に登城すると婚約の解消を言い渡される。
カーメリアの両親はそれまでの所業が腹に据えかねていた事もあり、領地も売り払い夫人の実家のある隣国へ移住を決めた。
王太子イデオットの悪意なき本音はカーメリアの心を粉々に打ち砕いてしまった。
失意から寝込みがちになったカーメリアに追い打ちをかけるように見舞いに来た王太子イデオットとエンヴィー侯爵令嬢は更に悪意のない本音をカーメリアに浴びせた。
公爵はイデオットの態度に激昂し、処刑を覚悟で2人を叩きだしてしまった。
逃げるように移り住んだリアーノ国で静かに静養をしていたが、そこに1人の男性が現れた。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※胸糞展開ありますが、クールダウンお願いします。
心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。イラっとしたら現実に戻ってください。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──
【完結】夫は王太子妃の愛人
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵家長女であるローゼミリアは、侯爵家を継ぐはずだったのに、女ったらしの幼馴染みの公爵から求婚され、急遽結婚することになった。
しかし、持参金不要、式まで1ヶ月。
これは愛人多数?など訳ありの結婚に違いないと悟る。
案の定、初夜すら屋敷に戻らず、
3ヶ月以上も放置されーー。
そんな時に、驚きの手紙が届いた。
ーー公爵は、王太子妃と毎日ベッドを共にしている、と。
ローゼは、王宮に乗り込むのだがそこで驚きの光景を目撃してしまいーー。
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~
志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。
政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。
社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。
ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。
ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。
一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。
リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。
ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。
そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。
王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる