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第3話
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さて、続きを見よう。
俺は居住まいを正して、【遠見の水晶球】を覗き込む。
水晶球の中では、聖騎士アニエスが六人の兵士を連れて、左の螺旋階段を上りはじめていた。
また、別に七人の兵士が右手の螺旋階段を上っていき、さらに別の七人が地下への階段を下りはじめる。
ちなみに兵士兵士と言っているが、その中には騎士や神官らしき姿も多少混ざってはいる。
指揮官に選ばれたのはいずれも騎士のようだ。
まあいずれにせよ、アニエスと比べればいずれも十把一絡げの有象無象だ。
俺は水晶球のビジョンを、聖騎士アニエスの進行に注目させる。
せっかく眺めるなら、可愛い女の子のほうがいいしね。
アニエスは左の螺旋階段を、自分が先頭に立って慎重に進んでいく。
すると──アニエスたちが、もうすぐ二階へと続く扉にたどり着くというところまで来た、そのときだった。
「な、なんだ、階段が崩れる!?」
「うぉっ……!? ちょっ、待っ、待って、落ちる──うわぁああああああっ!」
「ア、アニエス様ーっ!」
どこかから、たくさんの男たちの悲鳴が聞こえてきた。
ハッとした様子のアニエスが、右の螺旋階段を進んでいた部隊のほうを見る。
そして聖騎士少女は、驚きに目を見開いた。
俺もまた、【遠見の水晶球】の視野を、塔の一階を全体視する引きのビジョンへと切り替える。
右の螺旋階段を進んだ部隊は、二階への入り口直前で階段崩落のトラップに綺麗に引っ掛かり、七人のうち先に進んでいた四人が地面まで落下して、折り重なってぴくぴくとしていた。
残りの三人はというと、一人が落ちかかって残った階段に何とかしがみついているのを、無事な二人がどうにか持ち上げようとしていたのだが。
それも、無事な二人が足場にしていたあたりからメキメキメキッと折れはじめて──
「う、うわわっ……!」
「ヤバイヤバイッ、俺たちまで落ちる!」
「お、お母さーん!」
──ズズーンッ!
どうにか無事だった三人までもが、地面に落下してしまった。
それを見たアニエスが、慌てて自分の部隊に指示を出す。
「神官はすぐに下りていって手当てを! 私も行きます! おのれ魔法使いジルベール、階段に罠を仕掛けるなどと、卑怯な真似を……!」
俺への怒りに拳をにぎるアニエス。
それにしても、聖騎士の言う「卑怯」の基準はよく分からんな。
ちなみにアニエスは、階段をすぐに下りていこうとして、もどかしげに立ち往生をしていた。
というのも、螺旋階段は一列で上るのがやっとの幅なのだ。
後ろに六人もの兵士たちがずらずらと並んでいたので、アニエスが慌てて回れ右をして階段を下りていこうとしても、兵士たちが邪魔になってすぐには下りていけなかった。
「くっ……! ちょ、ちょっと、どいてください! 下りられません!」
アニエスは、それでもどうにか無理矢理に兵士たちの間に体をねじ込み、押し合いへし合いしながら階段を下りていこうとする。
だが、そのとき──
『うわぁああああああっ!』
『な、なんだ!? 死体が動き出しただと!? アンデッドか!?』
『く、くそっ……! 来るな、来るなぁっ!』
また別の方角から、くぐもった悲鳴や叫び声が聞こえてきた。
地下へと進む階段の方からだ。
「もうっ! 今度は何です!?」
アニエスの半ば悲鳴のような声。
だが地下への階段から、返事は返ってこない。
悲鳴や叫び声が聞えてくるばかりだ。
「くっ……もういいです! こうなったら──!」
アニエスはついに強硬手段に出た。
螺旋階段の手すりを乗り越え、地面に向かって飛び降りたのだ。
おー、無茶するなぁ。
アニエスのいたところ、普通の家の三階の床ぐらいの高さはあるぞ。
そして──ずんっ!
何の工夫も技術もなく、アニエスは真っ正直に足から地面に着地した。
じぃいいいいいんっと、アニエスの足先から頭のてっぺんまで震えが走る。
戦闘レベルが高い者は闘気量の影響で耐久力が上がるとはいえ、あれはさすがに痛かろう。
「ぐぅぅっ……い、痛くありません、こんなの! 怪我人の手当ては神官たちに任せます! 私は下を見てきますので!」
アニエスは涙目で指示を出しながら、自らは地下へと向かう下り階段へと走った。
うん、頑張り屋さんだな。
俺は【遠見の水晶球】で、地下への階段を下りていくアニエスを追いかけた。
アニエスが階段を下りていくと、やがて一つの石造りの扉に突き当たって、行き止まりになった。
その扉の向こうからは、兵士たちの悲鳴や叫び声が聞こえてくる。
『うぁあああああっ! 来るな! 来るなぁあっ!』
『落ち着けお前ら! たかがゾンビとスケルトンだ! 落ち着いて対処すれば──』
『で、でも……! 数が多すぎます! た、隊長! アニエス様ぁっ!』
アニエスはその扉に張り付き、取っ手やすき間がないかを慌てて探す。
そして、それがどこにもないことに気付くと、石の扉をドンドンと叩いた。
「何があったんですか!? アンデッドって何です!? ゾンビやスケルトンに襲われているんですか!?」
『アニエス様の声……!? ──は、はい、アニエス様! 地下室を見つけて探索を始めたところ、入り口の扉が閉まって開かなくなり、多数のアンデッドに襲われて現在交戦中であります!』
「くっ、こっちにも罠だなんて……! 何とか応戦してください! 私も援護します!」
『は、はい! しかし、援護と言ったって……!』
「壁越しにだって──【悪霊退散】!」
アニエスは盾を嵌めた左手を扉に向け、神聖術を放った。
アニエスの体と手が光り輝き、力の波動が周囲に広がっていく。
すると──
『お、おおっ……! アンデッドどもの動きが鈍ったぞ!』
『これならやれる……! アニエス様、ありがとうございます!』
石の扉の向こうから、兵士たちの安堵した声が聞えてきた。
それを聞いたアニエスは、ホッと一息をつく。
「はい。でも油断せず、冷静に対処してくださいね」
『分かりました! ──行くぞお前ら! アニエス様が見ているぞ!』
『『『おぉおおおおおおっ!!!』』』
そして石扉の向こうから聞こえてくる、ガッチャンガッチャンという交戦の音。
それを確認したアニエスは、階段の横の壁にもたれかかるようにして、ずるりとへたりこんだ。
おそらくは部下がいるところでは見せないのであろう、だらしない姿。
そしてアニエスは、ぽつりとつぶやく。
「もう、何なのよぉ……。──悪の魔法使いジルベール、絶対に許さないんだから……! 最上階まで行ったら、この手でギッタギタにしてやる!!」
半ば私怨とも思える怒りを燃やし、その瞳にメラメラと炎を宿す聖騎士アニエス。
清廉な正義の体現者に見える聖騎士様でもやはり、人間は人間なのだよなぁとあらためて思った俺なのであった。
俺は居住まいを正して、【遠見の水晶球】を覗き込む。
水晶球の中では、聖騎士アニエスが六人の兵士を連れて、左の螺旋階段を上りはじめていた。
また、別に七人の兵士が右手の螺旋階段を上っていき、さらに別の七人が地下への階段を下りはじめる。
ちなみに兵士兵士と言っているが、その中には騎士や神官らしき姿も多少混ざってはいる。
指揮官に選ばれたのはいずれも騎士のようだ。
まあいずれにせよ、アニエスと比べればいずれも十把一絡げの有象無象だ。
俺は水晶球のビジョンを、聖騎士アニエスの進行に注目させる。
せっかく眺めるなら、可愛い女の子のほうがいいしね。
アニエスは左の螺旋階段を、自分が先頭に立って慎重に進んでいく。
すると──アニエスたちが、もうすぐ二階へと続く扉にたどり着くというところまで来た、そのときだった。
「な、なんだ、階段が崩れる!?」
「うぉっ……!? ちょっ、待っ、待って、落ちる──うわぁああああああっ!」
「ア、アニエス様ーっ!」
どこかから、たくさんの男たちの悲鳴が聞こえてきた。
ハッとした様子のアニエスが、右の螺旋階段を進んでいた部隊のほうを見る。
そして聖騎士少女は、驚きに目を見開いた。
俺もまた、【遠見の水晶球】の視野を、塔の一階を全体視する引きのビジョンへと切り替える。
右の螺旋階段を進んだ部隊は、二階への入り口直前で階段崩落のトラップに綺麗に引っ掛かり、七人のうち先に進んでいた四人が地面まで落下して、折り重なってぴくぴくとしていた。
残りの三人はというと、一人が落ちかかって残った階段に何とかしがみついているのを、無事な二人がどうにか持ち上げようとしていたのだが。
それも、無事な二人が足場にしていたあたりからメキメキメキッと折れはじめて──
「う、うわわっ……!」
「ヤバイヤバイッ、俺たちまで落ちる!」
「お、お母さーん!」
──ズズーンッ!
どうにか無事だった三人までもが、地面に落下してしまった。
それを見たアニエスが、慌てて自分の部隊に指示を出す。
「神官はすぐに下りていって手当てを! 私も行きます! おのれ魔法使いジルベール、階段に罠を仕掛けるなどと、卑怯な真似を……!」
俺への怒りに拳をにぎるアニエス。
それにしても、聖騎士の言う「卑怯」の基準はよく分からんな。
ちなみにアニエスは、階段をすぐに下りていこうとして、もどかしげに立ち往生をしていた。
というのも、螺旋階段は一列で上るのがやっとの幅なのだ。
後ろに六人もの兵士たちがずらずらと並んでいたので、アニエスが慌てて回れ右をして階段を下りていこうとしても、兵士たちが邪魔になってすぐには下りていけなかった。
「くっ……! ちょ、ちょっと、どいてください! 下りられません!」
アニエスは、それでもどうにか無理矢理に兵士たちの間に体をねじ込み、押し合いへし合いしながら階段を下りていこうとする。
だが、そのとき──
『うわぁああああああっ!』
『な、なんだ!? 死体が動き出しただと!? アンデッドか!?』
『く、くそっ……! 来るな、来るなぁっ!』
また別の方角から、くぐもった悲鳴や叫び声が聞こえてきた。
地下へと進む階段の方からだ。
「もうっ! 今度は何です!?」
アニエスの半ば悲鳴のような声。
だが地下への階段から、返事は返ってこない。
悲鳴や叫び声が聞えてくるばかりだ。
「くっ……もういいです! こうなったら──!」
アニエスはついに強硬手段に出た。
螺旋階段の手すりを乗り越え、地面に向かって飛び降りたのだ。
おー、無茶するなぁ。
アニエスのいたところ、普通の家の三階の床ぐらいの高さはあるぞ。
そして──ずんっ!
何の工夫も技術もなく、アニエスは真っ正直に足から地面に着地した。
じぃいいいいいんっと、アニエスの足先から頭のてっぺんまで震えが走る。
戦闘レベルが高い者は闘気量の影響で耐久力が上がるとはいえ、あれはさすがに痛かろう。
「ぐぅぅっ……い、痛くありません、こんなの! 怪我人の手当ては神官たちに任せます! 私は下を見てきますので!」
アニエスは涙目で指示を出しながら、自らは地下へと向かう下り階段へと走った。
うん、頑張り屋さんだな。
俺は【遠見の水晶球】で、地下への階段を下りていくアニエスを追いかけた。
アニエスが階段を下りていくと、やがて一つの石造りの扉に突き当たって、行き止まりになった。
その扉の向こうからは、兵士たちの悲鳴や叫び声が聞こえてくる。
『うぁあああああっ! 来るな! 来るなぁあっ!』
『落ち着けお前ら! たかがゾンビとスケルトンだ! 落ち着いて対処すれば──』
『で、でも……! 数が多すぎます! た、隊長! アニエス様ぁっ!』
アニエスはその扉に張り付き、取っ手やすき間がないかを慌てて探す。
そして、それがどこにもないことに気付くと、石の扉をドンドンと叩いた。
「何があったんですか!? アンデッドって何です!? ゾンビやスケルトンに襲われているんですか!?」
『アニエス様の声……!? ──は、はい、アニエス様! 地下室を見つけて探索を始めたところ、入り口の扉が閉まって開かなくなり、多数のアンデッドに襲われて現在交戦中であります!』
「くっ、こっちにも罠だなんて……! 何とか応戦してください! 私も援護します!」
『は、はい! しかし、援護と言ったって……!』
「壁越しにだって──【悪霊退散】!」
アニエスは盾を嵌めた左手を扉に向け、神聖術を放った。
アニエスの体と手が光り輝き、力の波動が周囲に広がっていく。
すると──
『お、おおっ……! アンデッドどもの動きが鈍ったぞ!』
『これならやれる……! アニエス様、ありがとうございます!』
石の扉の向こうから、兵士たちの安堵した声が聞えてきた。
それを聞いたアニエスは、ホッと一息をつく。
「はい。でも油断せず、冷静に対処してくださいね」
『分かりました! ──行くぞお前ら! アニエス様が見ているぞ!』
『『『おぉおおおおおおっ!!!』』』
そして石扉の向こうから聞こえてくる、ガッチャンガッチャンという交戦の音。
それを確認したアニエスは、階段の横の壁にもたれかかるようにして、ずるりとへたりこんだ。
おそらくは部下がいるところでは見せないのであろう、だらしない姿。
そしてアニエスは、ぽつりとつぶやく。
「もう、何なのよぉ……。──悪の魔法使いジルベール、絶対に許さないんだから……! 最上階まで行ったら、この手でギッタギタにしてやる!!」
半ば私怨とも思える怒りを燃やし、その瞳にメラメラと炎を宿す聖騎士アニエス。
清廉な正義の体現者に見える聖騎士様でもやはり、人間は人間なのだよなぁとあらためて思った俺なのであった。
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