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1巻
1-2
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「ふー♪ 汗をかいた後のお風呂は気持ちいいわね、ミナト」
「う、うん……」
狭くはない、しかし決して広くもない風呂場――その湯船。
そこで僕は、母さんと二人で湯につかっている。
当然二人共、生まれたままの姿で。
いや、ごめん、待って。石を投げないで!
これにはわけが……いや、わけってほどでもないんだけど、下心でこんな十八禁ゲームみたいなイベント発生させてるんじゃないの。
話は単純。小さい頃からいつも母さんと一緒にお風呂に入ってて、それがまだ続いてるってだけなんだ。
僕ももう九歳。そして中身はもっと上で大学生プラスα。
風呂なんて一人で入れるって最近何度も言ってるんだけど、母さん、聞いてくんないの。
時に厳しく時に優しく、をしっかり実行できるいい母親ではあるんだけど、こういう場面ではとことん僕に甘えてくるというか、子離れできない性格みたい。
着替えとかトイレとか、大概のことを一人でできるようになったけど、母さんは頑として、『ご飯は一緒に食べる』『お風呂は一緒に入る』『ベッドで一緒に寝る』という三点だけは譲ってくれないのだ。
いや、その気持ちは嬉しいし、一つ目は別にいい。
だけど、肉体的にもそろそろ思春期を迎えつつある僕が母さんと一緒に入浴するのは、ちょっとつらいものがあるというか。
湯船から上がると、今度は「洗いっこしよう!」と言われ、背中を流し流される。
そんなハートフルで、しかし自制心的に非常に困る展開が日常だ。
さらに勉強&自由時間の後は、同じベッドでくっついて寝ることを強要されるし。
あ、当然抵抗とか無駄。
百歩譲って一緒に寝るのはいいとして、母さんのパジャマが超薄手のネグリジェなのはおかしいと思う。子供の情操教育に対する観念どうなってんだ、うちの母は?
今までも何度か、それとなく一人で風呂に入りたいとか、寝室を別にしようとか提案してみたんだけど、決まって答えは単純明快。
説得するでもなく、はぐらかすでもなく、「やだ」。以上。
なんかもう、逆に反論できない。
こっそり一人で先にお風呂に入っちゃおうとしたことが何度かあったんだけど、どうやってか察知した母さんに毎回来襲された。
しかも、僕がちょうど服を脱ぎ終わったり、湯船につかったり、逃げられなくなった絶妙なタイミングばかりで。
ベッドから抜け出して別の部屋で寝たこともあったけど、朝起きたら、いつの間にか隣にもぐりこんでいて、抱き枕にされてたし。だから、どうやって察知した?
魔法で監視でもされてるのかって、割と本気で思う。さすがにちょっと怖い。
いや、勘違いしないで。別に嬉しくないわけじゃないんだよ?
母さんには言えないけど、僕の実年齢は十八プラス九歳なんだからさ。まあ、精神年齢がそれに伴ってるかどうかは別として。
それに、純粋にそのー、子供としては、母の愛を感じるわけでもあるし。
けどほら、いつ男の欲求によって頼りない自制心が決壊するかと思うと、怖いんだよ。仮にも息子なんだから。
「この人は母親、この人は母親、この人は母親」って何度も自分に言い聞かせて、自制してきたけど、最近その防壁にもだんだん亀裂が入ってきているようで、ホントに気が気じゃない。
けどまあ、愛されてるなあってことは伝わってくるし、そこだけは悪い気がしない。
あくまでも、『息子』として愛情を注いでくれる母さんの期待を裏切らないよう、僕は今日も自分のハートを信じて、孤独な戦いを続けるのでした。
けどそんな、親子の絆を壊さないための戦いは……あまりにも突然、終わりを迎えることになった。
ある意味最悪の、しかし、ある意味では最高の形で。
およそ予想もできないような、結末をもって……。
第三話 親子の絆
僕が十歳になってまもなく。
その日もいつもと同じように、風呂場で母さんに背中を流してもらっていた。
この人は母親、この人は母親、この人は母親……冷静になれ僕。ここで手なんか出したら人じゃないぞ、外道だぞ……。
母親であるこの人の信頼を裏切りたくない――その一心で、僕は今日も母さんとの裸の付き合いを何事もなく乗り切った。
そして、いつものように同じベッドに入り込む。
少し遅れて入ってきた母さんは、毎度おなじみの薄いネグリジェだけど、さっきまで全裸を相手に戦ってきたのである。
これを我慢するのは、二時間ドラマのラストで崖っぷちに追い詰められた犯人が、探偵の追及から逃れるくらい『簡単』だ。
……ごめんなさい、おかしなことを言いました。正直かなりギリギリです。
いや、その、こういうのって、比較できるものじゃないよね。
それはともかく、こうして今日もどうにか母さんとの関係をぶち壊すことなく、無事ベッドに入って眠りにつく。
……はずだったのに、
☆☆☆
どうして、こうなってしまったんだろう……?
気をつけていたのに、母さんを裏切らないように、息子として接しようと……。
そんな今までの努力が、今まさに、台無しになってしまった。
ベッドの上には一組の男女。
片方が片方を押し倒し、組み伏せ、馬乗りになっている。
息が荒い。明らかに、興奮を抑え切れていないのがわかる。
まあ仲のいい男女であれば、ある程度の付き合いを経てこうなるのは不思議なことじゃない……二人の間に『親子』という関係がなければ。
その親子の愛を、良好な関係を壊したくなくて――それ以上に愛する家族を裏切りたくなくて、必死に抑え込んできた欲望。
しかしそれがとうとう溢れ出し、『無理矢理押し倒す』という行動として、獰猛に牙を剥いてしまったのだ。
…………ただし、母さんの欲望が。
「――って、何でええぇぇええ!?」
「大丈夫よ、ミナト。怖くないから……ね?(じゅるり)」
いや怖いよ、普通に!?
見た目よりだいぶ人生経験積んでる、精神的には思いっきり大人な僕でも今のあなたは怖いよ!?
いや、ホント予想もしなかったよ。裏切られたよ。
まさか、襲う前に襲われるとは。
ベッドの中で、何か、いつもと違う空気を纏っていた母さん。
具体的には、なんかこう……背後に黒っぽいオーラが漂っていた。
「はー、はー……」って息遣いが荒いし、何だか目も据わってるし、どうしたんだろう……と考えた時には、すでに押し倒された後だった。
困惑する僕の上で、明らかに母親が息子を見るのとは違う眼差しで見下ろしてくる母さんは、僕が今着たばかりのパジャマを、ゆっくり脱がせ始めた。
逃げ出そうにも、なぜかベッドの上で脱力したまま指一本動かせない。押さえつけられても縛られてもいないのに、体が全く動かない。
明らかに普通じゃないこの状況……一応、母さんの意図はなんとなくわかった。
いわゆる禁断の愛というかなんというか、前世でいう十八禁マンガのような状況だ。
とはいえ実際にこうして突然押し倒され、拘束されて服を剥ぎ取られるという状況は、ドキドキするどころか盛大に僕を恐怖させた。
自分の歯が立てているらしい、ガチガチという音が聞こえる。
興奮なんて全然しない。怖い、怖すぎる。ただひたすらに。
いきなりでびっくりしてるとか、そういうのももちろん理由の一つだけど……それ以上に僕の精神を追い詰めているのは、今の母さんが醸し出している異様な空気だ。
目の前にいる人が、僕の知ってる母さんじゃないように見える。
いつも僕を見守ってくれている優しい目は、そこにはなかった。
十年目になる第二の人生どころか、前世までさかのぼっても、こんな目をしている人は見たことがない。
獲物を前にした飢えた獣のように、理性の代わりに狂気を宿している。
おびえている僕の様子も眼中にないらしく、母さんはご馳走をいよいよ口に運ぶことにしたようだった。
「うふふ……大丈夫よミナト、お母さんに全部任せて……」
焦らして楽しむ意図でもあるのか――僕は真綿で首を絞められるような気持ちに陥っているけど――ゆっくりと僕のパジャマのボタンを外していき、ついに服の襟元に手をかけた…………その時。
――ぴゅい―っ!!
――わんわんっ!!
――ふしゃーっ!!
――かめー!!
「ぅきゃあっ!?」
突然、母さんのペット達が横から突撃してきた。
僕の上に乗っていた母さんを交通事故よろしく撥ね飛ばし……そのまま母さんもろとも、轟音と共に壁をぶち抜いて隣の部屋に消えた。
いきなりのことに驚いていると、次の瞬間、動かなかった体が自由を取り戻した。
……ひょっとして、母さんの魔法か何かで押さえられてたのか? 恐ろしい……。
「ちょ……ま、待ってみんな!? いや私はただその、ね? 親子の、何というか、別に変な意図なんて何にもない、愛の語らいをあ痛たたたっ! ちょ、爪はだめだってストーク! ペルも! 牙はホント洒落にならな……ごめ、ギブ、ゆ、許してぇぇーっ!!」
土煙が漂う壁の穴の向こうから、母さんの慌てた声と心なしか怒っているペット軍団の鳴き声、そして「ドゴンッ」「パリンッ」なんて破壊音が響いてくる。
どうやら、母さんがペット達にボコられているらしい。
そこからさらに数秒遅れて、僕の頭はようやく助かったことを認識した。
だけど、同時に緊張の糸が切れたからか世界がぐるぐるし始めて……母さんの悲鳴を聞きながら、あえなく僕の意識は途切れた。
☆☆☆
その数十分後。
「えーっと……何から話したもんかしらね……」
意識が戻ると、母さんが気まずそうに床に座っていた。正座で。
僕がベッドの上にいるので、若干見下ろすような形になる。
そして僕の周りには、先ほどまで隣の部屋で暴れていたペット達が、全方位死角なしの状態で布陣してくれている。
さっき重大極まる問題行動を起こした母さんから、僕を守るために。
僕の右隣に狼のペル、左に巨大な亀のバベル、膝の上に猫のビィ、そして肩の上に鳥のストーク。
中でもボス級の貫禄を漂わせ、僕の肩の上からぎろりと母さんを睨むように見下ろすストークは、かなりの迫力だった。
羽広げて威嚇してるし。母さん敵認定されてない?
そんな三匹&一羽分の視線と、困惑気味な僕の視線を受けて居心地悪そうな母さんは、発言許可を求めるかのようにおずおずと挙手。
「えっとさ、ミナト。一応、母さんの言い分とか説明とか、聞いてくれる?」
「説明って何の?」
「ホラ、さっき……その~お母さんがちょっとおかしくなって、ミナトにイケナイことをしちゃいそうになった理由を、ね?」
「理由って……単に母さんの欲望と劣情と背徳感から来る興奮が、理性とか倫理観をねじ伏せた結果じゃないの?」
「……どこで覚えたの、そんな難しい言葉?」
「母さんの部屋の本」
嘘です。前世です。
まあ、言えないけど。
っていうか、違う理由なの?
いやてっきり、ホントにそうだと思ってたんだけど。今後、母さんに対する認識を改める必要があるかな、とも。
目覚めてからしばらくして落ち着けた分、ようやく頭が回るようになってきて……割と本気で覚悟してたんだけど。
「や、やっぱり十歳って早すぎたのかしら? この年の男の子なんて、理由もなくHなことばっかり考えてる年頃だし、喜んでくれると思ってたのに……」
この人の頭の中が割と本気で不安だ。
すると我が母は、少しばつが悪そうに続ける。
「あ、あはは。まあ、ミナトが言う通りの部分もあるんだけど。それだけじゃなくて、一応他の理由もあるから、ちょっと聞いてね? 言い訳になっちゃう気もするけど、一応。それに――」
そこで一拍。
「いずれ、話さなきゃいけないことでもあったから」
……? ただの言い訳ってわけでもなさそうだな……?
☆☆☆
『ミナトは私の、血のつながった子供じゃないの』
母さんの話は、そんなフレーズから始まった。
どこかの森の中で――この森じゃないらしいけど――拾われた、捨て子だったらしい。
何度も言うけど、それくらい知ってたけどね。実の親子じゃないって。
そして、母さんは僕をここまで育ててくれたんだから、血がつながってなかろうが関係ない。
捨て子の僕をその慈愛の精神で拾い上げて、息子として育ててくれた母さんに感謝して……。
「いや~、忘れもしないわ。あの時、森に捨てられてた赤ん坊のあなたを見て、『あ、コレ暇つぶしにちょうどいいかも?』って思ってね?」
感謝の気持ちの八十パーセントが一瞬で消し飛んだ。
いや、ちょ!? え、それマジで!?
僕ってそんなテキトーな動機で拾われたの!?
「あ、いや誤解しないでよ? 別に何か、その当時から変なこと考えてたんじゃなくて、単に子育てがいい暇つぶしになりそうだなって思っただけよ?」
「いや、十分に不謹慎だと思うんですけど」
あれか。僕は母さんに、捨て犬を拾ってペットにするような感覚で救われたのか。
いやまあ、結果に文句はないから、何も言わないけどさ。母さんに育ててもらえたことに関して、文句はこれっぽっちもないからね。
今聞いた動機以外は。
っていうか、結果しか見ないようにしないとちょっとめまいが……。
もうこれについては考えないことにしよう。うん。
しかし続けて聞かされたのは、さらに信じ難い衝撃の事実だった。
拾われた当時、僕は瀕死状態だったらしい。
いわく、生命力そのものがほとんど底をついている状態で、母さんの強力な回復魔法でも治せないレベルだったんだとか。
もともと乳幼児や老人は、自己回復力が弱い。
生命力を活性化させようにも、十分な効果があるかどうか微妙だった。
そこで、母さんが僕を助けるために何をしたかというと、とんでもない裏技だった。
なんと魔法で、僕を乳幼児から胎児の状態にまで退化させたのである。
生命力を体に合わせるんじゃなく、逆に、体のほうを残っている生命力に合わせたってわけだ。僅かな生命力でも、生命維持ができるように。
そして、その胎児となった僕を……なんと自分のお腹の中に収めたのだ。
子宮の中に、普通に子供ができたのと同じ状態にして。
それからお腹の中で僕が十分に回復、もとい再度『成長』し、胎児が乳児になるのを待って、普通に産んだ。
つまり僕は、一度この世に産み落とされた後、実の親によって捨てられて、母さんのお腹の中に入り、再度産まれた。
二度の『誕生』を経験していたというのだ。
「ちょっ、母さん、それホント!?」
「んー? ホントホント」
とんでもない代理母出産エピソードを平然と話してくれる母さん。
聞いてる僕とのこの温度差は何!? あなた今、どんだけ凄まじいこと説明してるかわかってらっしゃいますか!?
「だ、大丈夫なの、そんなことして!? すごく、何かこう、禁忌っぽい術に聞こえるんだけど、その魔法!?」
「ん? いや、『っぽい』じゃなくて実際に禁忌よ?」
「軽いよ母さん! 反応が! っていうかほんとにまずくないそれ!? 副作用とか!」
「大丈夫、大丈夫。人間だったらまあヤバいかもだけど、私ほら、すごいから」
「……さいですか」
まあこの母が――『夢魔』であるこの母が、規格外の強力な魔法使いだっていうのはわかってる。今さら心配しなくても大丈夫か。
何だかんだで、よくも悪くも嘘は言わない人だし。
そしてその、異常性漂うとんでもない魔法に関しても、母さんがこう言うんであれば、大丈夫なんだろう。
「それに、私別に、子供産むのだって初めてじゃないしね」
「…………はぁ!?」
ちょ! それ初耳! 衝撃の事実パート2!
何、僕って兄か姉がいたの!? 知らないし会ったことないし、聞いたことないんだけど!?
うろたえる僕。しかし母さんは余裕顔。
もういろいろとぶっ飛んでる事実が多くて、血がつながってない親子がその事実を打ち明けるドラマそのままだった。
「う、うん……」
狭くはない、しかし決して広くもない風呂場――その湯船。
そこで僕は、母さんと二人で湯につかっている。
当然二人共、生まれたままの姿で。
いや、ごめん、待って。石を投げないで!
これにはわけが……いや、わけってほどでもないんだけど、下心でこんな十八禁ゲームみたいなイベント発生させてるんじゃないの。
話は単純。小さい頃からいつも母さんと一緒にお風呂に入ってて、それがまだ続いてるってだけなんだ。
僕ももう九歳。そして中身はもっと上で大学生プラスα。
風呂なんて一人で入れるって最近何度も言ってるんだけど、母さん、聞いてくんないの。
時に厳しく時に優しく、をしっかり実行できるいい母親ではあるんだけど、こういう場面ではとことん僕に甘えてくるというか、子離れできない性格みたい。
着替えとかトイレとか、大概のことを一人でできるようになったけど、母さんは頑として、『ご飯は一緒に食べる』『お風呂は一緒に入る』『ベッドで一緒に寝る』という三点だけは譲ってくれないのだ。
いや、その気持ちは嬉しいし、一つ目は別にいい。
だけど、肉体的にもそろそろ思春期を迎えつつある僕が母さんと一緒に入浴するのは、ちょっとつらいものがあるというか。
湯船から上がると、今度は「洗いっこしよう!」と言われ、背中を流し流される。
そんなハートフルで、しかし自制心的に非常に困る展開が日常だ。
さらに勉強&自由時間の後は、同じベッドでくっついて寝ることを強要されるし。
あ、当然抵抗とか無駄。
百歩譲って一緒に寝るのはいいとして、母さんのパジャマが超薄手のネグリジェなのはおかしいと思う。子供の情操教育に対する観念どうなってんだ、うちの母は?
今までも何度か、それとなく一人で風呂に入りたいとか、寝室を別にしようとか提案してみたんだけど、決まって答えは単純明快。
説得するでもなく、はぐらかすでもなく、「やだ」。以上。
なんかもう、逆に反論できない。
こっそり一人で先にお風呂に入っちゃおうとしたことが何度かあったんだけど、どうやってか察知した母さんに毎回来襲された。
しかも、僕がちょうど服を脱ぎ終わったり、湯船につかったり、逃げられなくなった絶妙なタイミングばかりで。
ベッドから抜け出して別の部屋で寝たこともあったけど、朝起きたら、いつの間にか隣にもぐりこんでいて、抱き枕にされてたし。だから、どうやって察知した?
魔法で監視でもされてるのかって、割と本気で思う。さすがにちょっと怖い。
いや、勘違いしないで。別に嬉しくないわけじゃないんだよ?
母さんには言えないけど、僕の実年齢は十八プラス九歳なんだからさ。まあ、精神年齢がそれに伴ってるかどうかは別として。
それに、純粋にそのー、子供としては、母の愛を感じるわけでもあるし。
けどほら、いつ男の欲求によって頼りない自制心が決壊するかと思うと、怖いんだよ。仮にも息子なんだから。
「この人は母親、この人は母親、この人は母親」って何度も自分に言い聞かせて、自制してきたけど、最近その防壁にもだんだん亀裂が入ってきているようで、ホントに気が気じゃない。
けどまあ、愛されてるなあってことは伝わってくるし、そこだけは悪い気がしない。
あくまでも、『息子』として愛情を注いでくれる母さんの期待を裏切らないよう、僕は今日も自分のハートを信じて、孤独な戦いを続けるのでした。
けどそんな、親子の絆を壊さないための戦いは……あまりにも突然、終わりを迎えることになった。
ある意味最悪の、しかし、ある意味では最高の形で。
およそ予想もできないような、結末をもって……。
第三話 親子の絆
僕が十歳になってまもなく。
その日もいつもと同じように、風呂場で母さんに背中を流してもらっていた。
この人は母親、この人は母親、この人は母親……冷静になれ僕。ここで手なんか出したら人じゃないぞ、外道だぞ……。
母親であるこの人の信頼を裏切りたくない――その一心で、僕は今日も母さんとの裸の付き合いを何事もなく乗り切った。
そして、いつものように同じベッドに入り込む。
少し遅れて入ってきた母さんは、毎度おなじみの薄いネグリジェだけど、さっきまで全裸を相手に戦ってきたのである。
これを我慢するのは、二時間ドラマのラストで崖っぷちに追い詰められた犯人が、探偵の追及から逃れるくらい『簡単』だ。
……ごめんなさい、おかしなことを言いました。正直かなりギリギリです。
いや、その、こういうのって、比較できるものじゃないよね。
それはともかく、こうして今日もどうにか母さんとの関係をぶち壊すことなく、無事ベッドに入って眠りにつく。
……はずだったのに、
☆☆☆
どうして、こうなってしまったんだろう……?
気をつけていたのに、母さんを裏切らないように、息子として接しようと……。
そんな今までの努力が、今まさに、台無しになってしまった。
ベッドの上には一組の男女。
片方が片方を押し倒し、組み伏せ、馬乗りになっている。
息が荒い。明らかに、興奮を抑え切れていないのがわかる。
まあ仲のいい男女であれば、ある程度の付き合いを経てこうなるのは不思議なことじゃない……二人の間に『親子』という関係がなければ。
その親子の愛を、良好な関係を壊したくなくて――それ以上に愛する家族を裏切りたくなくて、必死に抑え込んできた欲望。
しかしそれがとうとう溢れ出し、『無理矢理押し倒す』という行動として、獰猛に牙を剥いてしまったのだ。
…………ただし、母さんの欲望が。
「――って、何でええぇぇええ!?」
「大丈夫よ、ミナト。怖くないから……ね?(じゅるり)」
いや怖いよ、普通に!?
見た目よりだいぶ人生経験積んでる、精神的には思いっきり大人な僕でも今のあなたは怖いよ!?
いや、ホント予想もしなかったよ。裏切られたよ。
まさか、襲う前に襲われるとは。
ベッドの中で、何か、いつもと違う空気を纏っていた母さん。
具体的には、なんかこう……背後に黒っぽいオーラが漂っていた。
「はー、はー……」って息遣いが荒いし、何だか目も据わってるし、どうしたんだろう……と考えた時には、すでに押し倒された後だった。
困惑する僕の上で、明らかに母親が息子を見るのとは違う眼差しで見下ろしてくる母さんは、僕が今着たばかりのパジャマを、ゆっくり脱がせ始めた。
逃げ出そうにも、なぜかベッドの上で脱力したまま指一本動かせない。押さえつけられても縛られてもいないのに、体が全く動かない。
明らかに普通じゃないこの状況……一応、母さんの意図はなんとなくわかった。
いわゆる禁断の愛というかなんというか、前世でいう十八禁マンガのような状況だ。
とはいえ実際にこうして突然押し倒され、拘束されて服を剥ぎ取られるという状況は、ドキドキするどころか盛大に僕を恐怖させた。
自分の歯が立てているらしい、ガチガチという音が聞こえる。
興奮なんて全然しない。怖い、怖すぎる。ただひたすらに。
いきなりでびっくりしてるとか、そういうのももちろん理由の一つだけど……それ以上に僕の精神を追い詰めているのは、今の母さんが醸し出している異様な空気だ。
目の前にいる人が、僕の知ってる母さんじゃないように見える。
いつも僕を見守ってくれている優しい目は、そこにはなかった。
十年目になる第二の人生どころか、前世までさかのぼっても、こんな目をしている人は見たことがない。
獲物を前にした飢えた獣のように、理性の代わりに狂気を宿している。
おびえている僕の様子も眼中にないらしく、母さんはご馳走をいよいよ口に運ぶことにしたようだった。
「うふふ……大丈夫よミナト、お母さんに全部任せて……」
焦らして楽しむ意図でもあるのか――僕は真綿で首を絞められるような気持ちに陥っているけど――ゆっくりと僕のパジャマのボタンを外していき、ついに服の襟元に手をかけた…………その時。
――ぴゅい―っ!!
――わんわんっ!!
――ふしゃーっ!!
――かめー!!
「ぅきゃあっ!?」
突然、母さんのペット達が横から突撃してきた。
僕の上に乗っていた母さんを交通事故よろしく撥ね飛ばし……そのまま母さんもろとも、轟音と共に壁をぶち抜いて隣の部屋に消えた。
いきなりのことに驚いていると、次の瞬間、動かなかった体が自由を取り戻した。
……ひょっとして、母さんの魔法か何かで押さえられてたのか? 恐ろしい……。
「ちょ……ま、待ってみんな!? いや私はただその、ね? 親子の、何というか、別に変な意図なんて何にもない、愛の語らいをあ痛たたたっ! ちょ、爪はだめだってストーク! ペルも! 牙はホント洒落にならな……ごめ、ギブ、ゆ、許してぇぇーっ!!」
土煙が漂う壁の穴の向こうから、母さんの慌てた声と心なしか怒っているペット軍団の鳴き声、そして「ドゴンッ」「パリンッ」なんて破壊音が響いてくる。
どうやら、母さんがペット達にボコられているらしい。
そこからさらに数秒遅れて、僕の頭はようやく助かったことを認識した。
だけど、同時に緊張の糸が切れたからか世界がぐるぐるし始めて……母さんの悲鳴を聞きながら、あえなく僕の意識は途切れた。
☆☆☆
その数十分後。
「えーっと……何から話したもんかしらね……」
意識が戻ると、母さんが気まずそうに床に座っていた。正座で。
僕がベッドの上にいるので、若干見下ろすような形になる。
そして僕の周りには、先ほどまで隣の部屋で暴れていたペット達が、全方位死角なしの状態で布陣してくれている。
さっき重大極まる問題行動を起こした母さんから、僕を守るために。
僕の右隣に狼のペル、左に巨大な亀のバベル、膝の上に猫のビィ、そして肩の上に鳥のストーク。
中でもボス級の貫禄を漂わせ、僕の肩の上からぎろりと母さんを睨むように見下ろすストークは、かなりの迫力だった。
羽広げて威嚇してるし。母さん敵認定されてない?
そんな三匹&一羽分の視線と、困惑気味な僕の視線を受けて居心地悪そうな母さんは、発言許可を求めるかのようにおずおずと挙手。
「えっとさ、ミナト。一応、母さんの言い分とか説明とか、聞いてくれる?」
「説明って何の?」
「ホラ、さっき……その~お母さんがちょっとおかしくなって、ミナトにイケナイことをしちゃいそうになった理由を、ね?」
「理由って……単に母さんの欲望と劣情と背徳感から来る興奮が、理性とか倫理観をねじ伏せた結果じゃないの?」
「……どこで覚えたの、そんな難しい言葉?」
「母さんの部屋の本」
嘘です。前世です。
まあ、言えないけど。
っていうか、違う理由なの?
いやてっきり、ホントにそうだと思ってたんだけど。今後、母さんに対する認識を改める必要があるかな、とも。
目覚めてからしばらくして落ち着けた分、ようやく頭が回るようになってきて……割と本気で覚悟してたんだけど。
「や、やっぱり十歳って早すぎたのかしら? この年の男の子なんて、理由もなくHなことばっかり考えてる年頃だし、喜んでくれると思ってたのに……」
この人の頭の中が割と本気で不安だ。
すると我が母は、少しばつが悪そうに続ける。
「あ、あはは。まあ、ミナトが言う通りの部分もあるんだけど。それだけじゃなくて、一応他の理由もあるから、ちょっと聞いてね? 言い訳になっちゃう気もするけど、一応。それに――」
そこで一拍。
「いずれ、話さなきゃいけないことでもあったから」
……? ただの言い訳ってわけでもなさそうだな……?
☆☆☆
『ミナトは私の、血のつながった子供じゃないの』
母さんの話は、そんなフレーズから始まった。
どこかの森の中で――この森じゃないらしいけど――拾われた、捨て子だったらしい。
何度も言うけど、それくらい知ってたけどね。実の親子じゃないって。
そして、母さんは僕をここまで育ててくれたんだから、血がつながってなかろうが関係ない。
捨て子の僕をその慈愛の精神で拾い上げて、息子として育ててくれた母さんに感謝して……。
「いや~、忘れもしないわ。あの時、森に捨てられてた赤ん坊のあなたを見て、『あ、コレ暇つぶしにちょうどいいかも?』って思ってね?」
感謝の気持ちの八十パーセントが一瞬で消し飛んだ。
いや、ちょ!? え、それマジで!?
僕ってそんなテキトーな動機で拾われたの!?
「あ、いや誤解しないでよ? 別に何か、その当時から変なこと考えてたんじゃなくて、単に子育てがいい暇つぶしになりそうだなって思っただけよ?」
「いや、十分に不謹慎だと思うんですけど」
あれか。僕は母さんに、捨て犬を拾ってペットにするような感覚で救われたのか。
いやまあ、結果に文句はないから、何も言わないけどさ。母さんに育ててもらえたことに関して、文句はこれっぽっちもないからね。
今聞いた動機以外は。
っていうか、結果しか見ないようにしないとちょっとめまいが……。
もうこれについては考えないことにしよう。うん。
しかし続けて聞かされたのは、さらに信じ難い衝撃の事実だった。
拾われた当時、僕は瀕死状態だったらしい。
いわく、生命力そのものがほとんど底をついている状態で、母さんの強力な回復魔法でも治せないレベルだったんだとか。
もともと乳幼児や老人は、自己回復力が弱い。
生命力を活性化させようにも、十分な効果があるかどうか微妙だった。
そこで、母さんが僕を助けるために何をしたかというと、とんでもない裏技だった。
なんと魔法で、僕を乳幼児から胎児の状態にまで退化させたのである。
生命力を体に合わせるんじゃなく、逆に、体のほうを残っている生命力に合わせたってわけだ。僅かな生命力でも、生命維持ができるように。
そして、その胎児となった僕を……なんと自分のお腹の中に収めたのだ。
子宮の中に、普通に子供ができたのと同じ状態にして。
それからお腹の中で僕が十分に回復、もとい再度『成長』し、胎児が乳児になるのを待って、普通に産んだ。
つまり僕は、一度この世に産み落とされた後、実の親によって捨てられて、母さんのお腹の中に入り、再度産まれた。
二度の『誕生』を経験していたというのだ。
「ちょっ、母さん、それホント!?」
「んー? ホントホント」
とんでもない代理母出産エピソードを平然と話してくれる母さん。
聞いてる僕とのこの温度差は何!? あなた今、どんだけ凄まじいこと説明してるかわかってらっしゃいますか!?
「だ、大丈夫なの、そんなことして!? すごく、何かこう、禁忌っぽい術に聞こえるんだけど、その魔法!?」
「ん? いや、『っぽい』じゃなくて実際に禁忌よ?」
「軽いよ母さん! 反応が! っていうかほんとにまずくないそれ!? 副作用とか!」
「大丈夫、大丈夫。人間だったらまあヤバいかもだけど、私ほら、すごいから」
「……さいですか」
まあこの母が――『夢魔』であるこの母が、規格外の強力な魔法使いだっていうのはわかってる。今さら心配しなくても大丈夫か。
何だかんだで、よくも悪くも嘘は言わない人だし。
そしてその、異常性漂うとんでもない魔法に関しても、母さんがこう言うんであれば、大丈夫なんだろう。
「それに、私別に、子供産むのだって初めてじゃないしね」
「…………はぁ!?」
ちょ! それ初耳! 衝撃の事実パート2!
何、僕って兄か姉がいたの!? 知らないし会ったことないし、聞いたことないんだけど!?
うろたえる僕。しかし母さんは余裕顔。
もういろいろとぶっ飛んでる事実が多くて、血がつながってない親子がその事実を打ち明けるドラマそのままだった。
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