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第19章 妖怪大戦争と全てを蝕む闇
第418話 禁呪『百物語』
しおりを挟む彼らハイエルフ達は、今から数十年前、突如謎の『神隠し』じみた現象により、アルマンド大陸から遠く離れたこの『ヤマト皇国』に流れ着いた。
地形、植生、生態系、そして人間の社会……全てが、ほんの少し前まで自分達がいた場所とまるで違うそこでの生活を強要されることとなった彼らは、戸惑いつつもどうにか生活基盤を確立し、ひとまず『生活していく』だけなら問題ないレベルまで住環境を安定させた。
その後彼ら、彼女らは、『今後』について考えることとなり……その結果、立場と意見を真っ二つに分けることとなったのである。
一方は、『大陸の正当なる覇者』『真なる至高の種族』たるハイエルフとしての誇りを、この異邦の地であっても失ってはならない、と主張した。生活基盤をより盤石な形にすべく、その手段として、周辺にいる劣等種族を力で支配し、影響力を高めて確固たる地位を形作るべきだと。
もう一方は、この異邦の地で、ただの1つの『亜人』あるいは『妖』の種族として普通に暮らしていこうと主張した。自分達はあくまで異邦人なのだから、ひっそりとつつましやかに、あるいは地元に溶け込むようにして目立たず、ことを荒立てずに生きていくべきだと。
元をたどれば、アルマンド大陸に居た頃から、その2派の意見は分かれていた。
それが、『魔法災害』と思しき現象によってこのような地に流されたことで、己の生きるべき道を確定する必要性に迫られ、顕在化した形である。
極限的……とは言わないまでも、『普通』と切り離された状況下で、違ったビジョンで自分達の『安息』を求めた彼ら、彼女らは、必然的に袂を分かつこととなり……前者は『キョウ』の周辺で力を手に入れる機会をうかがい、後者は彼らと離れ、新天地を目指して西へ旅立った。
そして、紆余曲折の末……『キョウ』に残った者達は、『大江山』の鬼達の集落を乗っ取ることに成功し、『月の使者』という狂言を用いた、自分達に有用な人材の誘拐などによって、生活基盤を強化し、安定させていった。
西へ旅立った者達……すなわち、エルシー達は、長い放浪と困難の中で、多くの人の温かみに触れた。故郷を失った彼女達に優しく語り掛け、少ない蓄えから施しを与えてくれた村人もいた。
その旅の中で、彼女達は、もともとあった考えを確かなものにする。
お互いが優しさと誠意をもって向き合えば、人と人との関わりというのは、こんなにも温かい。
一方的に人を見下し、劣悪種などといって力で制圧しようとするのは間違っていると。
そして行き着いた先である『リューキュー』の地。
そこで彼女達は、土地の支配者である『鳳凰』に相まみえ……どうかこの、温かく穏やかな地に住むことを許してくれるよう頭を下げた。
山や森の片隅の土地に家を建てて、ひっそりと住むことさえ許してもらえるなら、今いる者達――妖怪、人間を問わず――の邪魔になるようなことは絶対にしない、と。
『鳳凰』は彼女達の優しく清らかな心を見抜き、その頼みを快く聞き届けた。
ひっそりと、などということは言わない。彼女達を正式に自分の領域の住人として認め、今いる住人達にも紹介し、コミュニティに溶け込めるように取り計らった。
彼女達のもともとの希望ゆえに、与えた住処は自然豊かな山林地域であり、そこからほとんど動いたり、外に出てくるようなことこそなかったものの……ハイエルフ達は、自分達が考えていた、あるいは覚悟していたよりも、人とのあたたかな交流があり、便利ではないが、平和で豊かな生活を送ることができていた。
…………という話を、ハイエルフの『エルシー』さんから今聞いたところだ。
「『鳳凰』様にも、道中助けていただいた人間や妖怪の皆様にも……どれだけ感謝してもしきれません。今、私達がこうして生きていられるのは、その皆様のおかげなのですから……。この穏やかで幸せな時間を、私達はずっと続けて行くつもりでした……しかし、そうも言っていられなくなった。ゆえに私は此度、『鳳凰』様に願い出て、こうしてここに連れてきていただいたのです」
なるほどね……簡単にまとめると、エルシーさん達は、アルマンド大陸……『ステイルヘイム』の連中や、『大江山』の城で戦った連中とはまた違って、人間や他の種族を見下したりしてないし、支配しようとも考えてない。むしろ歩み寄って、対等の立場で仲良くしたいと考えている。
言うなれば『融和派』……かな? あれらよりはまともというか、きちんとした価値観を持っているという認識でよさそうだ。
……言ってしまえば、あの連中がぶっちぎって不快な価値観を持ってるだけでもあるんだけどね。
『リューキュー』の山奥とかそのへんの地域に住んでいるらしい彼女達だけども……僕らは『諸国行脚』の時は、海浜地域しかうろつかなかったし……そりゃ会うはずもないし、短い滞在期間じゃ噂話を聞く機会もないだろうから、存在に気づけないのも当然と言えばそうだ。
近づけば『ハイエルフ探知機』に反応したかもしれないけどね……指輪に小型のが組み込んであるから。
そもそもその時僕、あんまり外出る気にならなくて、ほとんど宿にいたもんな。その直前に見た『凪の海』のこと考えてて。
『鳳凰』のおばあさんも『悪い子じゃないよ』って言ってたし……タマモさんが信頼するこの人が言うのであれば、まあ、そうなんだろう。
もともと僕だって、全ての『ハイエルフ』が害悪的な存在だとは思っちゃいない。
ドレーク兄さんやアクィラ姉さん、その父親であるバラックスさんや……あともう1人、拠点に『ハイエルフ』の仲間がいるし。
出会いから何から最悪だったから、その総本山であるらしい『ステイルヘイム』の連中や、それにつき従って『ハイエルフ至上主義』に凝り固まってる連中に関しては、見敵必殺も辞さない方針ではあるものの、そうでない考え方を持つ者がいることも知ってる。
そういう人達(人じゃないけど)に対しては……まあ、積極的に関わるとか、好意的に接する気には……正直なれないけど、だからって不当につらくあたったりする気もない。
繰り返すが……僕と、種族としての『ハイエルフ』は、ファーストコンタクトが酷すぎた。
とはいえ、確かに目の前のエルシーさんからは、そういう連中が向けてくるような視線も感じないし、言葉の端々に滲む意思の強さ、まっすぐは本物だろう。『鳳凰』さんの援護射撃?もあるし、彼女に関しては特に警戒とか、敵視する必要はなさそうだ。
彼女は、ハイエルフだけど、一応信用できる、と結論付けられる。
……まあそれはいいとして、本題はここからだよな。
どうやら彼女……エルシーさんは、何か重要な用事があって『鳳凰』さんと一緒にここに来たようだ。そしてそれは、恐らくこの『戦争』にも大きく関わっている。
なら、身の上が分かったところで……それも聞かせてもらわなきゃな。
「彼女の身の上はわかりました。信頼できるという点についても……おばあ様が言うのならそうなのでしょう。それについては私も、事前に放していますからミナト君もわかっています。ですので、種族だけであなたを爪弾きにするようなことも、ないがしろにすることもありません」
「……ありがとうございます」
「して……そろそろ聞かせていただけますか? 『本題』の方を」
タマモさんのその言葉に、こくりと頷くエルシーさん。
しかしその直後に放し始めたのは、彼女ではなく……彼女からちらり、と視線をもらった鳳凰のおばあさんだった。どうやら、まずは彼女から話があるようだ。
「……この所、国中が騒がしくなっているね」
「ええ、それはもう……戦争をしていますから。あっちでもこっちでも」
「私のところは島だから……流石に船でまで暴れに来る輩は今の所出ていないようだがね。もっとも、海一つ挟んで向こう側では、元気にドンパチやっているようだけど」
「おばあ様の領地の近くですと……『シマヅ』ですね。まあ、あそこは昔から、人も妖怪も戦闘民族ですから……」
あ、この世界もそうなんだ……あのへんの人たちの位置づけ。
『釣り野伏』というトンデモ戦術を得意とし、『撤退するために前進』するというやり方で包囲を食い破り、『日本原産の戦闘民族』と名高い方々(知識が偏っているという指摘は認める)。
『諸国行脚』の時は単に観光とかしただけだったから、その好戦性に触れるような機会はなかったけど……それを喜ぶべきか。
すると、鳳凰のおばあさんは、はぁ、とため息をついたかと思うと、こんなことをつぶやいた。
「まあ、確かにあのあたりの坊主共には血の気の多いのが昔から多かったけど……今回はそういうのとはちょっと別さね。戦いの熱……その種類がどうも違うようだ」
「……? と、申されますと?」
? タマモさんも何か引っかかったようだけど……今の、僕もよくわからなかったな?
どういう意味だろ? 戦いの熱の……『種類が違う』?
「その様子だと、タマモちゃん達も気づいてはいなかったようだね。けど……おかしいとは思い始めていたんじゃないのかい? 各地で繰り広げられている戦いの報告を聞いてさ」
「まあ、いくつか気になることがあったのは確かですが……具体的に、どういった点でしょうか?」
「敵の数が少ない……と思わなかったかい? 妖怪が大人しい、でもいいけどね」
「…………ええ、そうですね……思わなくはありませんでした」
タマモさん曰く……『四代目酒吞童子』の旗揚げに際して、それに味方する形で全国各地で妖怪が武装蜂起し始めているものの、その規模自体は、現状、そこまで大きくはないらしい。
今の所、戦いは人間の豪族主体のそれとして行われている。
そこに妖怪が混じった戦になる事態も少なくない数発生しているものの、そうなった場合は、朝廷軍も協力関係にある妖怪の一派や、流れの妖怪を傭兵みたいにして雇い(そんなんいるんだ)、こちらの戦力とすることで応戦している。
実質、これらはアルマンド大陸でいう『亜人』を軍事に組み込んだ用兵術とほぼ同じであり、内容的にも普通の戦争の延長上にある形であるため、そこまで特別視はされていない。
僕らが初戦で見た、あの『混濁』を纏った鬼達も、そういった場ではほとんど確認されていないようだ。全くいないわけじゃないけど、そのほとんどが普通に戦の中で討伐されている。人間の兵に数で押しつぶされたり、陰陽師の術で倒されたり、妖怪の兵力が討ち取ったり。
そして、今の所……その『混濁』を纏っているものも含めて、少数で戦況をひっくり返すような強大な『個』は出現していないため、そこまで大ごとになっていないのだ。
未だに、表立っては妖怪が絡まないような、普通の権力闘争に見える形で戦争が展開しており……というか、この国のほとんどの人はそう思っていることだろう。
朝廷の上層部は、人間の豪族の抵抗も徐々に押し込めつつあるこの現状を見て、『それほど長引く戦にはならないだろう』と楽観的に構えている者もいるそうだ。
まあ実際、何事もなければホントにこのまま、朝廷が反乱軍を鎮圧して終わりそうに見えるよな……『鬼』という懸念を知らなければ、の話だが。
あれだけの力をつけ、仲間を集め、さぞ大暴れするのだろう……と思っていた、『酒吞童子』の一派が、出てこない。息がかかっていると思しき妖怪すら、中々現れないし……そもそも妖怪の勢力同士の戦いがまだほとんど起こっていない。それが、逆に不気味。
鳳凰さんの指摘通り、タマモさんもやはりそこは気になっていた。
『鬼』が出てこないばかりか、あんだけわかりやすく宣戦布告までしておいて、なぜこうも大人しいのか……。てっきり、すぐさま兵をあげて襲ってくるとばかり思っていただろうに。
ていうか、ぶっちゃけ僕もそう思ってた。さぞ派手に戦いが勃発するんだろうなと。
で、蓋を開けたら、人間の軍を矢面に立たせ、しかも戦う相手も表の朝廷軍……つまりは人間の軍。戦いの建前も表の権力闘争で、妖怪は申し訳程度に参戦している程度。
おかげで何か肩すかし食らった気分になっちゃったよ。
……いやいや、別に戦いになってほしいわけじゃないんだから、それは別に悪いことじゃないだろうけどさ、うん。
……ていうか……。
(……まただ……何か僕最近、やたら思考が『妖怪と戦う』方向に引っ張られてる気がする……)
開戦直後、各地で戦いが勃発し始めていると聞いた時。
初戦、モニターの向こうで『混濁妖怪』達との戦いを見ていた時、
その他様々な機会に。そして、今も……何でだろう? 何かにつけて僕、敵の妖怪……それも、『鬼』の連中との戦いを考えるようになってないか?
いやまあ、実際に敵だし、戦う可能性が少なくない連中なわけだから、別に何もおかしいこっちゃないんだろうけどさ……けど、やっぱちょっと気になるな……。
……まあ、それは今はいいとして。
ともかく、鳳凰さんの言う通り、タマモさんも抱いている懸念として……妖怪の勢力が、特に『鬼』の連中がなぜか大人しい。表に出てきてない。
それが何か、鳳凰さんは気になってるんだろうか? あるいは……何か知ってるか。
鳳凰さんは、出されたお茶をずずず……と少し飲んでから、神妙な口調で話し始める。
「ちょっと話がそれる……というか、変なことを聞くんだけどね? タマモちゃん、それにミナト君達も……最近、キリツナの坊主共と一戦交えたんだって?」
「ええ……あまり褒められたものではない結果となってしまいましたが」
「命が無事ならいいんだよ、そんなのは、いくらでも取り返しがつくんだから。それでだけどね……その戦いに参加した者で……最近、好戦的になったとか、戦いに赴きたがるようになった者が、誰かいるんじゃないのかい?」
どきっ、と、
心臓が跳ねるような感覚を味わった。びくっ、と体が震えたりもしたと思う。
今の今まで、まさに僕が考えていたことと同じだったから。
恐らくおばあさんは、言い当てようとして言ったわけじゃないだろうけど……今の反応で、僕がそうだ、ってことは知られてしまったようだ。
だからって何か困るってもんでもないけど……その瞬間に向けられた、おばあさんの真剣な目と……エルシーさんの、ショックを受けたような、不安がるような目の意味は気になった。
そして同時に視界の端で、僕と同様にそういう症状が出ていると言っていたタマモさんが、眉間にしわを寄せるのが見えた。側近の人たちも、大小あれど反応を見せているようだ。
それだけで、十分な返答だったんだろう。
「なるほどね……やはり、もう既に粉をかけていたようだね」
「……何か知っているのですか、おばあ様?」
「ああ、知ってるとも。というよりも、あたしはコレについて伝えるためにここに来たんさね」
語りだす鳳凰のおばあさん。
その姿は、『諸国行脚』の時に見た、人のよさそうなおばあちゃんのそれではなく……『八妖星』の一角としてこの国の妖怪たちの頂点に立つ1人としての、その風格を感じるたたずまいとなっていた。人の良さが感じられなくなったわけじゃないが、威厳、と呼べるものがより前に出てるな。
「結論から言っちまうと、戦自体に妖怪の参加が限定的なのも、『鬼』共が中々出てこないのも、戦に呼ばれるようなタマモちゃん達の妙な感覚も……理由、というか原因は同じものなんだよ」
「同じ原因……ですか?」
「何か関係がある、ってことですよね? ……陰陽系の術か何か……とか?」
「そん中でも、とびっきり質の悪い……いわゆる『禁呪』とか『外法』とか呼ばれる類のもんさね。あたしも実際に使われたのを目にするのは久しぶりだけど……二度と見たくなかったし、できることなら耳にしたくもなかった。正直言えば、これについて話すのも嫌さね」
話すのも……か。相当だなそりゃ。
苦虫を10匹くらいまとめてかみつぶしたようなしかめっ面で、声音の中に刺々しい雰囲気を滲ませて言う鳳凰さんは……本当に、口にするのも嫌そうに話す。
「ここに来る途中、『シマヅ』の戦場で実物を見たから、多分間違いないと思う。連中が使ってるのは『百物語』っていう呪法だよ。知ってるかい?」
「………『百物語』……言葉だけなら、確かこの間の戦いで……」
と、タマモさん。
確かに、こないだの初戦で……モニターの向こうから聞こえて来た単語だな。『混濁』を身にまとっていたうちの1匹だった鬼が、絶命の間際に断末魔っぽく言い残してたっけ。
どういう意味なのかって気になってはいたんだよね……ちょうど。
なお、知ってる人も多いと思うが、『百物語』ってのは、主に夜、暗い部屋に集まった人達が順番に怪談話を語っていく遊びである。
部屋には100本のろうそくを準備し、始める前にその全てに火を灯しておく。そして、階段話を1つ語るたびに、1つずつろうそくの火を吹き消していく。
必然、数を積み重ねていくごとにろうそくの火が消えていくため、部屋は暗くなっていく。
そうして続けていき……最後に100番目の怪談話を語り、100本目のろうそくを消した時、真に恐ろしいことが起こる……っていうやつだ。
要は、『こっくりさん』や『ひとりかくれんぼ』と同じような、ホラー系の遊びだな。
しかし当然、そんなもんで強くなれるとかいうわけでもなし……モニターの向こうで鬼がそれを言っていたのを聞いて僕らは、恐らくは何かの暗喩みたいな言葉であろうと思いつつも、その意味は分からないまま今に至っていた……わけだが。
「……念のため、マツリとミフユに命じて資料を調べさせたのですが……」
「は……それらしい情報は見つけられておりません」
「ご期待に沿えず、我が身の不足を恥じるばかりですの」
「無理もないさ……知識としてもかなり古いものだからね。それを記録した資料がどこかに残ってるかも怪しいもんだよ……あたし以外に知ってるのは、『トーノ』の鎧河童くらいだろうね。けど……別の名前なら、ある程度知られてると思うよ?」
「? 別な呼び名があるのですか?」
「呼び名ってよりは、やり方として同系統のものなんだよ……『蟲毒』ってんだがね」
「「「…………っっっ!?」」」
その瞬間……それについて『知っていた』のであろう面子の顔色が一瞬にして変わった。
具体的には、タマモさん、ミフユさん、マツリさん……っていうか側近含めてタマモさん陣営全員だな。あとそこに、僕とサクヤの2人。
こ……『蟲毒』……うっわ、マジか……
「……予想外のものが出て来たわね」
「あー……アレ系なんですか、あの謎強化のえーと……正体?」
「…………確かに、出来れば口にするのもアレな部類の呪術ですの」
「? おや、意外だね……タマモちゃん達はともかく、ミナト君も知っていたのかい? 陰陽術を学んでるのは知っていたけど……勉強熱心なことだね」
表情筋が引きつったのは、自分でもよくわかっていた。
それを見てだろう。感心したようなそうでもないような調子で言う鳳凰さん。
まあ、そりゃ……大陸出身者である僕が知ってるのは意外だったってことだろうな。……決してメジャーと言えるような技法でも知識でもないし、そもそも語りたがる人も多いとは思えない。
「ミナト、その『コドク』ってのが何なのか知ってるの?」
「? 何だ、知ってんなら説明しろよ、弟子」
隣にいるエルクと師匠が……内容を知らないからだろう、純粋に気になるって感じで聞いてくる。
それを聞いて、少し驚いた調子でタマモさんが、
「あら、ミナト君が知っててクローナが知らないなんてことあるのね?」
「お前な……この前も似たようなこと話たと思ったけど、俺だってできねーこともあるし知らねえことだってあるっつの。特にこいつは時々変なところから変な知識引っ張り出してくるからな」
「ミナト、私も知りたい」
微妙に僕のことをディスりつつタマモさんにそう言う師匠と、こちらも純粋に知的好奇心からだろう。説明を要求してくるネリドラ。
どうしようかと思って、ちらりと鳳凰さんに視線をやると、こくりと頷かれた。……教えてあげなさい、ってことだろうか? 知識を共有しておけって?
とりあえずそう解釈させてもらう。じゃあ、代表して僕が説明するってことで……
「……先に言っておくと、あんまり面白いもんじゃないよ? むしろ、生理的に嫌悪感を覚えるような人も多いかも」
さて、なるべくマイルドに話したいもんだが……無理かな、内容的に。
『蟲毒』ってのは、古代中国を発祥とし、日本にも古くから存在していたらしい、呪いの技法だ。内容というかやり方は比較的単純でありながら、その効果は強力極まりないものとされ……そしてそれ以上に、そのやり方があまりに独特かつ猟奇的なことでも知られている。
読んで字のごとく、『虫』を……それも『毒虫』を使う。ムカデや蜘蛛なんかの。
やり方はまず、複数の毒虫を用意しておく。種類もなるべく異なるものを、大量に。
次に、1つの壺とか穴にそれらを全部放り込んで、蓋をする。絶対に出られないように。
するとどうなるか。何が起こるか。
他の毒虫以外には何もなくなったそこで……当然、食料も手に入らない。
結果、閉じ込められた毒虫たちは、食い合いを始める。互いに殺し合って食らいあう。
最後の1匹になるまでそれが続き……そうして残った『最後の1匹』が、他の全ての毒虫たちの怨念やら何やらを受け継ぎ、強力な『呪力』を持った虫になると考えられていた。
殺し合って食い合った末の1匹だ。そりゃ……まあ、色々ヤバいもんが生まれててもおかしくないと思えるよな……魔法とかそんなもんが存在しないとわかってる、前世の地球でも。
で、その『最後の1匹』を使って呪いをかけるのが、『蟲毒』なわけだ。
なお、予想はしていたが、説明を終えた時点で……師匠以外の『邪香猫』サイドの面々は、あまりに衝撃的な内容にドン引きしていた。無理もないし、気持ちは正直わかるけど。
人為的に作られた環境下での『食い合い』……食物連鎖とは似て非なる(似てもないかな)、歪な閉じた生のサイクル。聞くだけでも生理的に受け付けないって人も多いだろうさ。
……で、だ。
さっきの話の続きになるわけだけど……この『蟲毒』が、あの『混濁』を用いた鬼共の謎強化や、僕らが妙に『戦場に呼ばれている』ような気がする理由と関係あるんだっけ?
視線で鳳凰さんに、こっちの説明は終わった旨を伝えると、すぐに理解して引き継いでくれた。
「ミナト君の説明で、『蟲毒』がどういうもんかは皆、わかったと思う。そしてここからが本題だ……鬼達がやっている『百物語』ってのは、コレをさらに応用し、自己の強化と精神的な干渉・束縛を同時に行う『決戦呪法』なんだよ」
「……響きだけはかっこいいですね。中身は多分……アレなんでしょうけど」
「ご明察さね。『百物語』は、その名の通りとでも言えばいいか……100を超える生贄を使って1人を強化する、大規模な『蟲毒』の一種さ。さっきミナト君が説明したことを、人間、あるいは妖怪を使ってやるんだよ。呪いを発動して魂を縛った『参加者』達が全員で殺し合い……最後に残った1人がその全員の怨念を背負い、飲み込むという形で強大な力を手に入れる。ま、殺した相手を食うかどうかは種族に寄るだろうがね……ここまではいいかい?」
『いい』というのが『理解できている』『説明についてこれている』という意味であれば、まあ……うん。心情的にはきっつい人も多いだろうけど。
何も意見が出てこないのを肯定ととらえて、鳳凰さんは続ける。
「ここからが本題だ。『百物語』という呪法には、通常の『蟲毒』とは違う、独特な点が3つある。1つ目は、力を『食らう』相手が強ければ強いほど、戦いが激しければ激しいほど、勝ち残った時に手に入る力も強いものになるということ。戦う力もない農民を100人、一方的に虐殺したところで、大した力にはならないのさ。……まあ、それでも普通の基準で見れば強力なものになるのかもしれないけど、『鬼』達が求める力には程遠いだろう」
ぴっ、と指を3本立て、そのうちの1本を折り曲げながらそう話す。
「2つ目は、『参加者』は何も閉鎖的な空間に閉じ込めなくてもいいってことだ。呪法にかけさえしてしまえば、後はそいつらに殺し合わせるだけで『百物語』は完成する。極端な話……戦場で敵兵を100人適当に選んで呪法にかけて魂を縛り、そいつらを殺しつくすことで達成……なんてことも可能なわけだ。こっち側の参加者が十分強ければ、だけどね」
……この時点で、いくつかわかったことがある。
これまで、この戦争で『不自然だ』『不可解だ』と思われていたことについても、複数の疑問が氷解した。
鬼達がこの『百物語』で自分達の戦力を強化しているんだろう、ってのは当然として……こんな風に、表の世界を巻き込んで大々的に戦を起こしたのは、今まさに鳳凰さんが言ったことを実践しているんだろう。
この『キョウ』の都の近辺では、最初のあの一戦からこちら、戦が起こっていないけど……全国各地に散らばっている他の戦場、そのいくつかでは、戦闘中に時折強力な『鬼』が乱入して破壊と殺戮の限りを尽くしていくことがあるそうだ。
恐らくその際、『百物語』を発動させてから敵兵を殺すことで、力を強化しているんだろう。
戦場であれば、出てくるのはほとんどが訓練された兵士だ。当然、一般人に比べれば戦闘力も高く……今言っていた『百物語』の特性に合致する。相手が強いほどいい、って部分に。
徴兵された農民なんかもいるかもしれないが、そこは仕方ないと割り切っているか……あるいは、そういうのがいない戦場を選んでいるか。
加えて、戦場であれば兵数は1000や2000動くのが当たり前だ。小規模なものでも数百人が武器を取ってぶつかり合うだろうし……それらを蹂躙できるだけの力があるなら、勝手に手頃な数の生贄が集まってくる狩場になる。
加えて……動いている妖怪の勢力が、予想外に小規模な点。
……あんまり考えたくないけど、コレ、戦場以外でも『百物語』をやった結果じゃないか?
妖怪同士を戦わせて『百物語』を行えば、さらに強力な力が手に入るだろう……妖怪の中には、種類にもよるが、普通の人間の兵士より強い戦闘能力を持っている奴なんてざらだしな。
流石に身内を殺し合わせた、というのは考えづらいから……自分達に協力しない奴とか、身内に置いたけど信用しきれないような不穏分子を処分がてら有効利用、とか……
「ありそう、ですかね?」
「……なくはないと思うわ。言われてみれば……全国的に、『鬼』共の動きがほとんどないのも気になってはいたけど……逆に鬼共に味方しない、縄張りを守るために動き出すであろう土着の連中もほとんど動いていないのも気になっていたの。実害がまだないからだと思っていたけど……」
「先手を打って潰され、むしろ鬼達が強くなるためのこやしにされてしまった可能性が出て来たでござるな……」
「……この後、各地に使いを放ちましょう。今現在大人しい妖怪の集落などの位置を確認して……村ごとなくなっていたりするようなところがないか確かめる必要がありますね」
タマモさんに続き、イヅナさんとマツリさんが、冷汗を流しながらそう話す。
……まいった。完全に予想外だこんなの。
正々堂々というか、大雑把極まりないと思われていた戦の裏で、最悪の事態が進行してる可能性が浮上してきた……表に出てないところでひっそりと殺戮がくり広げられてましたなんて、ぞっとしないな。懸念通り村ごと『食われた』ところがないことを祈るのみだ。
「……多分ですけど、あの時の戦で、変な黒いオーラっぽいのを纏ってた連中が、その『百物語』で強化された妖怪なんでしょうね」
「だろうね。『百物語』で手に入る力は、生贄達の怨念と結びついてる……ゆえに、その身に宿る力は禍々しく、おどろおどろしいもんだ。勝ち残って力を手にしたはいいが、その怨念の重さに耐えきれず、心を壊して気が狂ってしまったり、最悪死んでしまうことも珍しくない。十全に力を使うには、使う側にも相当な精神力の強さが必要になる」
……あの時の『百々目鬼』がいい例だな。
力は強かったけど、明らかに正気じゃなかった。四方八方に怪光線をまき散らし、目に映るもの全て……味方すら攻撃して殺していた。……なるほど、アレは失敗作だったのか。
続く形で出て来た『牛頭』と『馬頭』も、フレンドリーファイアこそしなかったものの、こちらも手当たり次第に敵に襲い掛かるという、獣同然の印象だったな……。
最後の、やたら断末魔が長かった鬼は……かろうじて成功例、か? けどまあ、力に溺れて慢心して、結果として散ったという末路を鑑みると、『成功……?』と、ちと首をかしげたくなる。
(……あるいは、どの程度使えるかの実地試験で送り込まれた可能性もあるか……?)
「……そして、本題の中でも重要なのが、今から語る3つ目だ」
一層ぴりぴりした、最早剣呑とすら言える空気をまとい、鳳凰さんは話の続きを語りだした。
自然と僕らの背筋が伸び、皆、緊張感を持ってその言葉を待つ。
「『百物語』は、さっき話した通り、呪いによって魂を縛ることで生贄達を戦いに『参加』させる。しかし……ある程度以上、その怨念の力が強くなると……わざわざそうしなくても、周囲に呪いが『感染』し、勝手に『百物語』が、際限なく拡大していく状態になる場合があるのさ」
「…………はい?」
「何度も『百物語』を繰り返し、幾百幾千の怨念を身にまとい……それでも押しつぶされることなく自我を保っているほどの者は、いつしか自身が呪いの塊となり、刃を振るうだけでそれをまき散らす存在になる……簡単に言えば、そいつと戦う、ないし同じ戦場に立つことで、自動的に『百物語』に参加させられちまうのさ。その実感は、まるで戦いの場に立つことが義務であるかのような、戦場に呼ばれているような感覚になって、『感染』した『参加者』に現れる」
「「「………………!!」」」
息をのむ音が聞こえる。
音源はどこだ? 僕か? タマモさんか、あるいはその側近の人たちか?
それとも……その全員か?
そうでもおかしくないな。何せ……今、鳳凰さんが言ったことに……心当たりがありすぎる。身をもって。
「そうなると大変……終着点のない、終わらない『百物語』が出来上がっちまう。何百人全員死ねば終わり、っていう区切りがないその呪いの戦いは、『感染』した者を殺すほどに、殺した者の力が増していく。それは『感染源』に限らず、『参加者』全員に当てはまる……そしてその『参加者』は、呪いが強くなるほどに、『感染者』同士の戦いを、死を、力を望むようになっていく」
「………………」
「理屈の上では『感染源』となる者を殺せば収まるはずだが……そしたら今度は、それを殺した者に、『感染源』の背負っていた怨念が吸い込まれることになる。そんなことになれば、今度はそいつが『感染源』になっちまってもおかしくない……まあ、背負いきれずに死ぬ可能性もあるがね。何が言いたいかっていうと……一旦この呪いに捕らわれちまったら、現状……逃れる術はないのさ。あるかもしれないが、あたしは知らないし想像もできない。……ここまで言えばわかるね?」
と、鳳凰さんは僕らをじろりとした目付きで見てくる。
ええ、わかりましたよ……わかってしまいましたとも。
婉曲的に言っても何もいいことないだろうからな……結論にきちんと目を向けるべきだろう。
……あの日、乗り込んできて戦うことになった、あの『四代目酒吞童子』。
あいつと、あるいはその手下だった『天邪鬼』との戦いで、僕らはその呪いに……『百物語』に感染した。巻き込まれた、と言ってもいいか。
恐らく、僕やタマモさん、側近の人たちといった、あの場にいて『キリツナ』なる鬼に攻撃した、あるいはされた連中がそうなんだろう……。
もし『天邪鬼』もそうだったら……サクヤとか、もう少し危ないメンバー増えるな……。
つまり……『百物語』に感染してしまった僕らは、この先徐々に、『戦場』に引き寄せられていくことになり……また、同じ『感染者』である僕らを狙って、他の『感染者』が襲い掛かってくることも考えられるわけだ。
そして、その感染拡大を止める気は、キリツナにはまずないだろう。自分の力をさらに強化するのに都合がよく、また、『鬼』として全てを力によって決めようとしているアイツにとって……自分が『感染源』となり、呪いを強制的に広めることができる現状は、むしろ好都合に違いない。
そして恐らく奴は、今この瞬間もどこかで戦い、呪いをまき散らしている。
敵も味方も、戦いに参加する者もしない者も……強制的に引きずり込むために、戦場に呼びこむこの最悪の呪いを……広めていっている。
(ちょっとこれは……本気でヤバいだろ……!)
もう今日、何度目か思ったことだけど……水面下で、最悪なんてもんじゃない事態が進行してたもんだな……。
表の権力争いだけに見える? もうすぐ終わる? ……甘いなんてもんじゃない見立てだった。
コレ、早くどうにかしないと……国『そのもの』が荒れる。
戦国時代に突入、なんて生易しいもんじゃない。『ヤマト皇国』全土が、怨念と殺意が吹き荒れるバトルロイヤルの戦場に、あるいは『蟲毒』の壺になるぞ……!
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