魔拳のデイドリーマー

osho

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第19章 妖怪大戦争と全てを蝕む闇

第416話 初戦、終了

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 気分的には……不謹慎な物言いになるのは承知の上で、『ゲームやってるみたい』という感じだ。
 画面の中、もとい、遠隔地にいる『装甲式神』をコントローラーを介して動かし、目の前に立ちはだかる鬼達……『百々目鬼』『牛頭』『馬頭』(いずれも仮称)を倒していく。

 途中、そいつらを助ける、援護するように襲い掛かってくる小型モンスター達……もとい、ザコ敵とでも言うべき『鬼』達を蹴散らしつつ。

 これもまた不謹慎ながら……なんか、生前よくやってた某『狩りゲー』思いだしちゃったよ……アレ、新作とか出たのかなあ? 続きやりたかったなあ……

 その場で大回転して、おそいかかってくる妖怪たちを斬り払い……その隙に攻撃を加えようとしてくる、『牛頭』の攻撃をひらりとかわす。そのまま逆にそれを攻撃のチャンスに変え……突っ込んで、すれ違いざまに腹を深く斬りつける。
 そして……やはりか、と僕は眉をひそめた。

「こいつも妙な『力』に守られてるな……けど、『天邪鬼』が纏ってたそれよりは、強度と言うか、密度みたいなのが緩く感じる」

「個体差があるってことか? いや、種族がそもそも違うんだからそれには不思議はねーわな……むしろ、種族を超えて施術可能な力だってことが分かったわけか」

「……それだけじゃない。観測していてわかったけど、その『何か』……恐らくだけど、イヅナ達にも見られた『魔力混濁』に近いものに思える」

 と、師匠とネリドラが補足するように言ってくれる。
 それを横で聞いていたタマモさんが、ふと気づいたように、

「待ってちょうだい? その『魔力混濁』って確か……傷が治りにくくなる、っていう、言ってみればマイナスの要素よね? それが、攻め込む側である奴らに、しかも戦闘中の状態で付与されている……と?」

『私も観測してみたけど、間違いないっぽいよ? 何でこんなことになってるのかはわからないけど……『魔力混濁』は、あの変な力の反動、ないしデメリットなのかな? にしては、弱体化どころかかなり肉体的に強化されてるっぽいし……』

 と、今度はリュドネラだが。

 彼女だけは、遠隔操作なのは同じだけど、コントローラーを『装着する』んじゃなくて、コントローラーの中に直接入って、それを介して式神に『憑依』するといういつもの方法で操っている。ゆえに、この場には姿がなく、スピーカーから声だけが聞こえてくるというおかしな状態だ。
 まあ、僕らはもう慣れてるけどさ。

 でも実際、リュドネラの言う通り不思議な状態だよな……明らかにマイナス要因でしかなく、それによって身体機能や治癒速度が低下するはずの『魔力混濁』の状態で、逆に戦闘能力は上がるわ、謎の防御機能を使うわ……。

 加えて、戦闘すると相手にそれが、ウイルスか何かみたいに『感染』するってことなんだよな……重ね重ね面倒だ。
 いやでも、この解析データを見ると、イヅナさん達の体に見られた『混濁』と、こいつらの体内の『混濁』は、微妙に構成が違うような……

 前者が、体の中に混じったり溶け込んで、いかにも『汚染』って感じになっていたのに対して……後者は、まるでそれを纏っている、あるいは体の中に詰め込んでいるかのようにぎちぎちだ。着ぐるみの中に綿を詰め込んで厚みを出しているような状態に近い。

「……ひょっとして、『混濁』を利用して体を強化してるのか?」

 ちょっと話が前後するんだけど、さっきこいつらの体にも『魔力混濁』が起こっていると解析でわかった時、僕が真っ先に思いついて危惧したのは……僕が使っている『EB―エレメンタルブラッド―』と同じか、それに似た能力をこいつらが使ってるんじゃないか、っていう点だ。

 『EB』は、心臓で作り出した、超微細な粒子状の魔力――『魔粒子』を、血液に乗せて体中に運び、各組織に吸収させ……体全体を細胞レベルで強化する技法だ。
 通常の身体強化魔法とはけた違いの強化幅を持つコレは、色々と制約や注意点はあるものの……極めれば、障壁魔法すら上回る防御力を生身の体で発揮することすら可能になる。

 加えて、この『魔粒子』の充填を限界を超えて行う超強化『ジョーカー』シリーズ……の、反動として存在する症状こそが『魔力混濁』なのだ。ゆえに、こいつらの体でも同様の、あるいは酷似した現象が起こっているんじゃないかと思った。

 けど、少し調べてみて、それは違うということがわかった。

 この『装甲式神』が、戦闘と同様に得意としているのが、戦闘しながらでも回収したサンプルを分析することができる点だ。むしろそっちが本命とすら言ってもいい。

 切り付けた刀に付着した敵の血液をリアルタイムで解析してみたけど……相変わらず『混濁』は見られるものの、『魔粒子』が溶け込んでいる様子はないし……しかし、『何か』は体中に充填されてるっぽいんだよな……それが何なのかはわからんけど……ん?

『ぐ、うぎゃああぁぁああ!?』

 丁度その時、僕の(式神の)後ろから襲い掛かってきた1体の鬼を斬ったんだけど……その瞬間、刃から、『牛頭』達を斬った時と同じ感触が伝わってきた。

 ってことは、こいつもあの謎強化を施されてるのか……? それにしては……強化幅もそれほどじゃないっぽいし、『百々目鬼』とかみたいに、正気を失って狂ってる的な様子もない。
 これは……強化幅はともかく、『天邪鬼』の時にむしろ似て……

『く、くそぉ……っ!? こんな、バカな……話が、違ぇっ! 強くなれるんじゃ……無敵の力が手に入るんじゃなかったのかよ! 『百物語』さえ乗り越えれば……俺は、だから俺は、この手で……くそぉォォオオォッ!!』

 ……断末魔としてはやけに長いセリフだったと思うが、斬られて死ぬまでの間に、その鬼が言っていたのが……そんなセリフだ。

 僕もだが、死に際にそいつが言い放った言葉が気になったんだろう。ネリドラが一旦、鬼達の相手を中断して、視線……もとい、解析用のスコープアイを、その鬼に向ける。

 すると、画面上に移っているその鬼(瀕死)の体から、何か……黒いもやもやとした、陽炎のようなものが抜け出ていくのが見えた。
 まるで、取り付いていた悪霊か何かが抜け出ていくような……チープなホラー映画とかにありそうな演出だな。いやむしろ、妖怪要素のあるアクションムービーとかに多いか?

 そして、それが抜け出ていくのに比例して、急激に鬼の生命力が下がっていく。

 ……あっという間に、強化される前と思しきところまで弱体化し……しかしそのままエネルギーの減衰は止まらず、やせ衰え、しぼみ、枯れ木のようになって……最後には、粉々に砕け散った。

 何だ、今のは……それに、何か気になることを言ってたな……

(『百物語』ってのは……何だ?)

 嫌な予感がする。これは……何が何でも調べる必要があるな。



 その数分後、僕らは『式神』として『牛頭』『馬頭』『百々目鬼』を討伐することに成功し……それに続く形で、朝廷軍もその戦いに勝利した。
 そして見事に、僕らは3体の大型『鬼』の死骸を、サンプルとして回収することに成功した。

 さっき倒した、小型の中で唯一『何か』を纏っていた鬼は、討伐と同時に砕け散っちゃったから、もしかすると大型の鬼もそうなのか、サンプル回収できないかな……なんて心配してたんだが、こちらは杞憂だったようだ。

 同じように、体から『何か』が噴き出して抜けていく様子こそあったものの、肉体はちゃんと残ったし。……ややしぼんだ風に見えるけど。
 とりあえず回収して持ってきてもらうように、ロクスケさんに話はついているので……しばし待機だな。待っている間、『式神』を介して収集したデータの解析でもしてることにしよう。

 ……それはそうと、今の戦いで……また1つ、気になったことがあった。

 これは、戦いそのものに関わりがあることなのかどうか、ちょっと不明なんだけど……

「タマモさん、ちょっと聞きたいんですけど……」

 と、僕が『コントローラー』を外して、横に座っているタマモさんに視線をやると……タマモさんは、いかにも何か言いたげな感じの視線をこちらに向けて来た。
 まるで、僕がこれから何を言うかわかっているかのようだ。

 ……そうじゃないかとは思ってたんだけどね……戦ってる最中、ちらちらと目の端に映っていたタマモさんの様子が……何やらそわそわしてる感じだったから。
 …………僕と同じで。

 その正体がよくわからないことなのは変わらないので、せめて率直に聞くことにする。

「僕らがああして戦ってる間……何か変な感じ、しませんでした?」

「その様子だと、あなたも……いえ、どうやらここには何人か、同じことを感じた者がいるようね」

 それはどうやらタマモさんだけじゃない。挙手してもらうと……タマモさんの側近さんたち5人や、サクヤとシェリーもどうやら、同じ『何か』を感じていたようだ。
 さっきから『何か』『何か』ばっかりややこしいんだけど、もうコレは仕方ないってことにして。

 この面子の共通点は……あの夜、『四代目酒吞童子』あるいは『天邪鬼』と戦ったメンバー……ってところか?
 それも直接、あるいは何かしらの形で戦闘行為を行ったものだけ、らしいな。その場にいて、何かあった時の対策で待機していただけのエルクやナナなんかは、何も感じていないようだ。

 そう、あの……

「……どう言えばいいのかな……何だか、引き込まれるというか……戦場に『呼ばれてる』ような感覚?があったんですよね……」

「『呼ばれている』……なるほど、的確な表現かもしれないわね。まさに私もそんな風に感じたわ……あの場に行って、直接戦いに身を投じたい、投じなければならない、というような気分だった」

「……ちょっと、何よそれ? やめてよミナト……シェリーみたいなこと言うの。あんたそういうキャラじゃなかったでしょ」

「ちょ、エルクちゃん辛辣!? いやまあ、私が普段そうなのは否定できないけどさあ……そして、私も何かそういう気分になったけど……でも、私にとってもそれは『違和感』だったわよ?」

「? っていうと?」

「私が普段から感じる、戦いや強敵を前にして『戦いたい』『混ざりたい』って思う感じのそれと、さっきモニターの向こうの戦いを見てて思ったそれは……何か、微妙に違ったもの。いつもみたいに、血が騒いで、体の中が熱くなってくるような感じじゃなくて……頭の中で変な声が聞こえて、その声の主に戦いを強制されてる感じだった。……いい気分じゃなかったわ」

 とのこと。

 ふむ……色々とツッコミどころはあるものの、こういう意見はむげにはできないよな。

 感覚で動くことが多いからこそ、シェリーの意見は的を射ている気がする。
 いつもの『自分から参戦したい』と思う感じじゃなく……『参戦を強要される』のに近い感覚があった……頭の中に声、か……

 しかもそれが、僕やタマモさんをはじめとした、他のメンバーにも……直接戦いには参加してない者や、そもそも戦いに参戦してない者にも、多少なり起こった、と。
 ……何だろうな、ますます厄介ごとの匂いがするよ……

「これはやっぱり、得られたデータを徹底的に解析する必要があるか……ネリドラ、リュドネラ、さっそく始めるよ! 師匠も手伝ってもらえます? あとクロエ、君のデータも転送しといて」

「うん」

「はいはーい」

「了解!」

「おう」

 三者三様(4人いるけど)に了承の返事をもらい、僕はすっくと立ちあがって、屋敷奥に用意している研究用スペースに場所を移すべく、タマモさんに『失礼します』と一礼して断って、歩き出した。

 さて、忙しくなるぞ。


 ☆☆☆

 
 同時刻、とある場所。

「キリツナ様、報告が上がってきました。『大江山』周辺にて行われた会戦ですが、終結した模様です。結果は朝廷軍の勝利、反乱軍は人間、妖怪共に壊滅状態で敗走したとのことです」

「そうか」

 着物の女……タキによってもたらされた、友軍の敗北の報告にも、部屋の上座に静かに座っている男……キリツナは、眉一つ動かさず、たった一言返事をした。
 悔しさや不安をこらえている様子は、全くない。心底からその敗北の報告を、特に気にしていないようだ。

 タキの方も、その素っ気ないとも言えるキリツナの態度にも何も言わず、淡々と報告を続ける。

「なお、投入した『百物語』施術済みの個体4体も全て討伐されたようです」

「そうか。確か、壊れたのが1つ、獣同然のが2つ、かろうじて形になったのが1つだったな……どの程度使い物になった?」

「敵軍の雑兵程度であれば、『壊れた』個体でも蹂躙できる程度のものではありました。もっとも、その割には『かろうじて』の個体は攻めあぐねていた部分もあったようですので、元々の妖怪の力によるところも大きいかと。前者は知能が壊滅的だったようで、同士討ちも起こっていたようです」

「……雑魚を多少強くしても、所詮は雑魚。投げて終わりの捨て石にしかならんか」

 ふん、とつまらさそうに鼻を鳴らすキリツナ。
 その後、『報告は以上です』と部屋を後にしようとしたタキに、ふと思い出したように尋ねる。

「そうだ、奴は今どうしていた?」

「奴、と申されますと?」

「カムロが連れて来た……あの人斬りだ」

 その言葉を聞いて、タキが一瞬ぴくっと肩を震わせたように見えたが、気付いていないのか、あるいは気づいていても気にしていないのか、キリツナは視線で返事を促すのみだった。

「『エド』近郊にて、リグンの監視の下で作戦行動に加えて力を見定めております。最後に入ってきた報告から見ます限り……カムロが太鼓判を押すだけの実力はあるようです」

「ほう? どの程度だ」

「……恥ずかしながら、我々幹部格でも相手をするのは難しいかと」

「ほう……それは掘り出し物だな。カムロの奴も、いい手駒を連れてきてくれた」

 先の報告に表情を変えなかったキリツナの口元が、今度はほんの少し緩んだように見えた。

「ですがキリツナ様、アレを使うのには反対です……アレはいわば、制御のきかない獣。ただひたすらに血と死を求めて暴れまわる……首輪をつけてもそれを引きちぎって暴れ出し、時にこちらにも牙をむきかねません。ここに来たのも、戦の匂いを嗅ぎつけてカムロの話に乗っただけかと……」

「そんなことはわかっている。だが、それでも『力』を持つ者であることに変わりはあるまい? 奴がその力で何かを成すのなら、それもまた摂理の内だ。加えて奴は、『百物語』とよく似た形でその身に力をため込んでいるらしい。我らがさらに上を目指す一助、あるいは道標足りうる」

「……しかし……」

「……タキ。これは俺の望みであり、決定だ。異論は許さん」

「…………かしこまりました。そこまでおっしゃるのでしたら、私に否は最早ありません。では、失礼いたします」

 まだ何か言いたいことはあったであろうが、それを飲み込んだタキは、一礼して部屋を後にした。

 目の端でそれを見送ったキリツナは、しばらくの間、考え事をするように、視線を空中にさ迷わせ、

「…………『骸刃』か。物騒な二つ名で呼ばれているだけのことはあるな」

 今しがた話題に上った男のことを思い返しつつ、呟いた。


 ☆☆☆


 さらに同時刻……『リューキュー』の、とある場所にて。

 とある建物の中の、さして大きくない一室。
 窓も扉も締めきった、薄暗いその部屋で……行燈の明かりだけが部屋を照らしていた。

 その部屋の真ん中で、2人が向かい合って座っている。

 1人は、小柄な老婆。
 もう1人は……まだ年若い、20代も半ばかと思える外見の女性。

 この2人は、いずれも人間ではない。

 老婆の方は……その華奢な見た目に反し、その身の内に秘める力は膨大にして神聖……その正体は、『リューキュー』の地を統べる『八妖星』の一角……『鳳凰』である。
 真の姿は、光り輝く翼を持つ霊鳥であるとされる、極めて強力な妖怪だ。

 そしてもう1人、若い女性の方は……耳が長く、そしてその先がとがっていた。
 あざやかな、しかしやや色あせているように見えなくもない『金髪』は、この『ヤマト皇国』では珍しい……を通り越して、ほぼ見られることはない髪色である。妖怪ならばともかく、人間でこの髪色は……先祖に妖怪か異邦人の血筋が混ざってでもいない限りは、ありえないと言える。

 もっともこの女性は、彼女自身が『亜人』にカテゴライズされる存在であるのだが。

 その女性は、『鳳凰』たる老婆に対し、精一杯の敬意を表すためにか、深く頭を下げていた。
 正座し、畳に三つ指をついて、頭を床につくすれすれまで。

「顔をお上げ……エルシーちゃん」

 老婆がかけたその言葉には、『エルシー』と呼んだその女性をいたわり、ねぎらうような響きが含まれていて……決して責めるようなものではなく、むしろいたわっているように見えた。
 向けられる目にも、優しい光が見て取れる。

 その言葉に従い、女性は頭を上げた。
 老婆と正面から向き合う形になり、目が合う。宝石のように透き通った色の、青い瞳だ。

「こうして私の呼びかけに答え、山を下りてきてくれてありがとうよ……同時に、あなたの昔の傷をえぐるような頼み事をしてしまったことを、謝らせてもらわんとな」

「滅相もありません! 大恩ある身です……私のような者が、『鳳凰』様のお役に立てるのでしたら、どのようなことでもお命じください」

「気持ちはありがたく受け取っておくよ……して、例のものは持ってきてくれたかい?」

「はい、こちらに……」

 そう言って女性は、自分が座る横に置いてあった、長細い包みを持ち……心なしか震えているように見える手で、それを『鳳凰』に差し出した。

 老婆はそれを受け取り……手にした瞬間に、嫌悪感と悲しみが一緒くたになったような、複雑な表情を浮かべた。

「……このような力を使って戦いを引き起こす者が現れてしまうとは……嘆かわしいことじゃ」

「…………っ……」

「この戦乱、既に多くの血が流れておる……戦場だけでなく、その前の『百物語』で……これ以上、この国を哀しみと憎しみが覆う前になんとかしなければ……そのためには、この老骨も、動かざるを得ないようだねえ。エルシーちゃん、これは借りていくよ」

「お供いたします、『鳳凰』様。その妖刀は、ひいては、今行われていると思しき『百物語』は、我々に縁浅からざる品……仮にそれを解析し、調べるなどということになるならば、私もその場にいた方がわかることは多いかと」

「……辛い思いをするかもしれないよ? これから会う者達は、決して悪い子らではないけど……お前さん達『はいえるふ』に、いい感情を持っていないからね」

「……それもひとえに、我らの不徳が生んだ自業自得と呼ぶべきものです。甘んじて受ける覚悟です……いざとなれば、この命を差し出すことに、何のためらいもありません。願わくば……何の罪もない我らの幼い同胞たちだけは、助けていただけるよう……願うばかりです」

 いかにも『悲壮な決意』を固めているといった表情のその『ハイエルフ』の女性は、しかし口を真一文字に結んで、『鳳凰』の気遣うような問いかけに、力強くうなづいた。



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