魔拳のデイドリーマー

osho

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第11章 大監獄と紅白の姫

閑話2 特訓の成果と研究の成果

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告知です。
まだ予定ですが、今月末くらいに『魔拳』第5巻が出る予定です。
気が向いたら手にとって見ていただければ幸いです。

なお、それに伴って差し替えを一週間後くらいに行う予定です。なにとぞご承知置きください。

また今回、いつもより加筆等が多いので、オリジナルっぽい展開がけっこうあったりします。
どうぞよろしくお願いします。

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 時刻は正午。本日は曇天。昼間だと言うのに薄暗い。
 
 そんな空の下……ミナト・キャドリーユは、1人すたすたと歩いていた。
 
 場所は、岩山。乾いた地面に大小の砂礫が大岩と共に散らばっており、草木などはない。
 命の息吹のほとんど感じられない、無機質で殺風景な場所。
 
 じゃり、じゃり、と砂の地面を踏みしめながら歩いていたミナトは、気のせいか……どこか緊張しているような、張り詰めた雰囲気を漂わせているように見える。
 
 すると、キィン、という金属質の乾いた音がふいに響き、ミナトの注意がその音がした方に向いた……次の瞬間、
 
 その逆方向、はるか遠くから、青色の巨大な魔力弾が飛来し、ミナトの周囲を盛大に巻き込んで炸裂。地面を、砂礫を、大岩を……粉々にした。
 
 どうやら水属性の魔力で構成されていたのか、魔力の一部が水に変換され、ホースで水播きしたように周囲に降り注ぎ、砂の地面をぬらし、立ち上った砂埃を散らしていた。
 
 しかし、その砂埃が晴れ切るよりも早く、さらなる攻撃がそこに殺到した。
 
 西側から、青白い魔力で形作られた矢が雨あられと降り注ぐ。通常の矢とは比べ物にならない威力に加え、纏っている氷属性の魔力により、着弾と同時に周囲に冷気を撒き散らしている。
 
 その逆……東側からは、紅蓮の炎で体が形作られた何十羽もの鳥が飛来し、同じ場所に突撃していく。着弾と同時に爆発し、周囲を熱気で焼き焦がしていく。
 
 炎と氷の魔力攻撃により、今しがた大きくえぐられた大地にさらに破壊が巻き起こっていくが……その中心に立ち、先ほどから何度もそれらの直撃を食らっている人物はと言うと、
 
「……あのさ、コレ僕じゃなかったら死んでるよ? 絶対」
 
 特に起こった様子も慌てた様子もなく、むしろ呆れた、というか疲れた様子で……何事もなく、そこにたたずんでいた。特に、怪我などをした様子もなく。
 
 その様子を見てか、先ほどから氷の矢が降り注いでくる方向から、これまた呆れたような疲れたような声が聞こえてくる。
 
「……これで無傷か。あいも変わらずデタラメだな……ミナト殿は」
 
「あははは……頑丈さがとりえなもんで」
 
 言いながらミナトは、帯に『収納』していた手裏剣をいくつか取り出す。
 刃を潰した訓練用。しかし、当たれば当然、それなりに痛い。
 
 それを、ほぼノーモーションでいくつも連続で投げつける。
 
 見切るのは難しいと判断したスウラは、大きくその場から飛びすさりつつ、魔力で障壁を張ることでそれらを防ぎ、回避した。
 
 追撃にさらに手裏剣を出そうかと考えたミナトは、その瞬間気付く。
 スウラに攻撃した瞬間、当然ではあるが氷の矢の連射は止まったが……同時に、反対側からの炎の鳥の突撃も止まったことに。
 
 直後、振り向きながらバッと手を突き出したミナトは……その拳で、突貫してきていたシェリーが振り下ろした炎の剣を受け止めた。
 
 その反応に、ニヤァ、と嬉しそうに、かつ獰猛に笑うシェリーの表情を見て……ミナトは『こっちもあいかわらずだな』と苦笑するのだった。
 
 
 
 もうお分かりのことかとは思うが、今現在、ミナト達が行っているのは、模擬戦である。
 ルールはいたって単純。武器は、刃や切っ先を潰したもののみ。魔法などは何でもあり。
 
 そして、組み合わせは……ミナトVS全員。
 
 さすがにその『全員』には、ターニャのような非戦闘員やクローナのような世界最強級、審判を買って出たセレナは含まれていないが、それら以外の『邪香猫』メンバーに加え、たまたま来ていた部外者も含まれている。
 
 そのメンバーのうち、バリバリの前衛担当であるシェリーは……遠距離攻撃で仕留められる可能性は無いと見るや、様子見をやめ、スウラを逃がすのとの兼ね合いで直接刃を振り下ろしてきた、というわけであった。
 
 手甲で軽々と受け止めてはいるが、灼熱の炎を纏ったシェリーの剣は鉄をも焼き斬れる威力であり、普通の相手なら、鎧や盾ごと真っ二つである。
 相手がミナトでなければ、刃を潰してある意味がすでになかった。
 
「んー、やっぱ物陰からこそこそ狙うなんてのは私の主義じゃないのよねー、こういう直接的っていうか、わかりやすい戦いの方が好みだわ」
 
「言ってやりなさんな。誰が考えたか知らないけど、それも作戦なんでしょ?」
 
「まあね。でももうこうなったら後は……私らしいやり方でやらせてもらうだけよ?」
 
 そこにさらに追撃をかけんと、シェリーは剣を片手でもち……もう片方の手に魔力を収束させる。
 
 直後、手元に集まった炎の魔力が剣の形を成し、文字通りの『炎の剣』となる。
 
「行くわよミナト君! そぉーりゃぁああああ!!」
 
 元々持っていた剣とあわせて二刀流となったシェリーは、ミナトが『ラグナドラス』に行っている間に鍛え上げた剣さばきで猛攻をかける。
 
 縦横無尽に襲い掛かる赤い斬撃の嵐。
 普通なら、剣だろうが盾だろうが鎧だろうが、受け止めることすら出来ず切り裂かれる。
 
 しかしそれらは、ミナトには一撃たりとも届いていない。
 『ダークマター』の手甲の装着された両手で容易くさばかれ、衝撃でも熱でもダメージが通っている様子は無く、隙を見つけて反撃を打ち込んでくる始末である。
 
 本来はシェリーのスタイルは一刀流だ。鍛えたとはいえ、二刀流は付け焼刃。未熟さの隠しきれないそれでは、ミナトの防御を抜くことは出来ない。
 
 しかしそれも織り込み済みなのか……シェリーは間合いが僅かに開いた瞬間、次の手に出た。
 手に持っていた『炎の剣』に魔力を大量に注ぎ、直後にそれをミナトに投げつける。
 
 ミナトがそれを手で払おうと触れた瞬間、剣にこめられていた炎の魔力が暴走し……さながらナパーム弾か何かのごとく、周囲に炎と熱を撒き散らして爆発した。
 
 それによってミナトとの攻防から数秒開放されたシェリーは、その数秒の間に切り札を構築し終えていた。
 
「え、と……シェリー? 何、それ?」
 
「えへへ……すごいでしょ。クローナさんに作ってもらったの」
 
 シェリーの背中には……左右に広げて合計3m近くにもなろうかという、炎の翼が生えていた。
 
 飾りなどでは無いことは明白だが、その用途までは推察することかなわず、ミナトが警戒していると……その直後、背後で空を切る音がした。
 
 ミナトは反射的に半身を返し……背後から延髄狙いで飛んできていた、ギーナの飛び蹴りを受け止める。
 
 シェリーに気を取られていたとはいえ、自分が察知するのに苦労するほどに気配を殺す術を身につけていたギーナにミナトは感心したが、同時にぎょっとしていた。
 
 視線の先には、ギーナの両手両足。そこに装着されていたのは……
 
(……これって、僕が師匠の所で使ってた予備の手甲と脚甲じゃん。え、何、レンタル!?)
 
「っ……さすがですね、ミナト殿。やはり私程度の実力では、ミナト殿に気づかれずに接近など無理な話ということですか……」
 
「いやいや、割とヒヤヒヤしたよ今のは……で、その手甲と脚甲、どしたの?」
 
「ああ、その……今回の模擬戦のために、クローナ殿に貸していただきました。今の既製品の手甲と脚甲では無理だろうということで。今度、実験に協力することを条件に……」
 
「え? 実験? 実験って何?」
 
「あ、はい、その……私は『金属』の『エクシア』なので……その関係で。私の体を簡単に調べたいそうです。もちろん、物騒なことはしないそうですが」
 
「えー何それずるいよ師匠! ギーナちゃんの体なら僕だって興味あるのに!」
 
「ファッ!? え、えええみみみみミナト殿!? きょ、きょきょきょ興味からからから体ってそんな……いやあのわかわかわかってるんですけど言い方っていうかそんな……」
 
「? ギーナちゃんどうし「隙あり!」おわ!?」
 
 言葉の事故に盛大に取り乱すギーナに気を取られ、一瞬だけ周囲への警戒がおろそかになったミナトに……ギーナでもシェリーでもない者の攻撃が飛んできた。
 
 サーベルを横一文字……というよりも、水平軌道で弧を描くように振るったのは、戦闘員ではないが、一般基準で見れば戦闘員顔負けと言っていい戦闘能力を誇る、『オルトヘイム号』の厨房主任……シェーンだった。
 
 しかもその風貌は、ミナトのよく知るシェーンのそれとは明らかに変わっている。
 事前に聞いてはいたものの、ミナトも初めて直に見るその異変に……思わず硬直していた。
 
 普段のシェーン・コーファーは、褐色の肌に紫色の髪の毛、鋭い目が特徴の少女だ。少々とっつきにくい印象がなくもないものの、一般基準で考えれば、十分に美少女である。
 
 しかし今のシェーンは……人間にすら見えづらい姿に変容を遂げている。
 
 両手両足を、びっしりと出現した紫色の鱗が覆っており、まるで龍鱗か何かの防具を装着したか、あるいは手足だけが魚のそれに変化したかのように見える。
 
 そしてその変容の作用なのか、普段のシェーンと比較して明らかに身体能力が上がっている。ともすれば、AAランクの冒険者と同等かそれ以上はあろうかというレベルにまで。
 
(は~……コレがこないだ言ってた『マーマン』の『先祖がえり』ってやつか……)
 
 この力の正体は、前もってミナトも聞いていた。
 
 『先祖がえり』……エルクやアイリーンの『ハイエルフ』の力や、ウィルの『ピクシー』の力と同様……はるか昔の先祖の代に存在した亜人種族の力が隔世的に現れる現象。
 
 シェーンは、別名を『半魚人』と言われる『マーマン族』の力を受け継いでいる。
 
 当初、シェーンが水中で超高速で動くことができる、呼吸すらも出来る能力は、祖母がマーマン族であり、シェーンがクォーターであるからだと、シェーン自身を含め、ミナト達は思っていた。
 
 実際にそれは間違ってはいなかった。だが……それだけではなかった。
 
 そのきっかけになったのは、言うまでもなくミナトの『他者強化』だった。
 才能を強制的に覚醒させるその能力により、クォーターとしての『マーマン族』の力だけでなく、シェーンは己の血に眠っていた『先祖がえり』に目覚めていたのである。
 
 もっとも、ごく最近になるまでそのことに当人すら気付かず……それを見出したのは、ミナトが『ラグナドラス』に行っている間に彼女達の訓練を見ていたクローナだった。
 
 ミナトにも以前シェーンが話していた、『最近手足が冷える』『でも不快な感じはしない、むしろ心地いい』という点から、魚や半魚人系の亜人の体温変化に近い特徴を見抜いたクローナは、その力を発見すると共に、それを生かした訓練法によって瞬く間にシェーンを鍛え上げていた。
 
 結果、シェーンは数年のブランクを補って余りあるどころか、全盛期を大きく上回るレベルの力を手に入れていた、というわけであった。
 
 それを聞いたミナトはあっけに取られつつも、たったの3ヶ月弱でシェーンをここまで鍛え上げたクローナも、その特訓に耐えて力をつけたシェーンも両方さすがだと感心し、同時に『やっぱシェーンにも『他者強化』の影響出てたのか』と考えたりしていた。
 
 そして、その実力を実際に目の当たりにした今、ミナトは再び、より強くそれを感じていた。
 
「ギーナちゃんといい、シェーンといい、ちょっと洒落にならないパワーアップだな……さすがは師匠とでも言うべきか。となると、こっちも……そうなんだろうね」
 
「わかってるじゃない……行くわよ!」
 
 直後、ギーナとシェーンがその場から飛び退り……入れ替わりに、シェリーが地を蹴った。
 
 迎撃のため、ミナトが拳を構えようとしたその時、直前でそれを察知したミナトは、反射的に半歩後ろに飛んだ。
 
 直後、先程と同じ青色の魔力弾が飛来し、一瞬前までミナトの頭があった部分を通過して地面に着弾した。先程よりもだいぶ小さいが、その分着弾時の威力や貫通力は高いのか、地面にはキレイに穴が開いている。
 
(っ……ナナ、えぐいタイミングで狙撃を……! まあ、僕のプレゼントしたスナイパーライフル型の発動体は見事使いこなしてくれてるようで何よりだけども……)
 
 そしてその更に一瞬後、シェリーの剣が振るわれる。
 
 無理な回避で体勢はやや崩れたものの、ミナトはその剣を手甲で受け止めた……が、
 
「――っ!?」
 
 受け止めきれずに剣を振りぬかれ、ミナトは大きくたたらを踏んだ。
 その瞬間……ミナトは、シェリーの切り札とは何なのかを理解した。
 
「……なるほど、その炎の翼……」
 
「さっすがぁ、もうわかったみたいね。その通り……ミナト君の『ダークジョーカー』と同じよ」
 
 やはりか、と納得するミナト。
 今の一撃、体勢を崩していたとはいえ、シェリーが一撃に乗せられる魔力や彼女自身の膂力を考えれば、ミナトには受け止めきれないものではなかった。
 
 だが押し切られた……その事実と、手甲越しに感じた膂力の大きさ、そして、迎撃の瞬間に、剣から腕、肩、そして背中にかけてのシェリーの魔力が膨れ上がる感覚。
 
 そこからミナトは……シェリーがクローナから授けられた炎翼の正体が、『ダークジョーカー』の闇の翼と同じ、攻撃力倍加の能力を持つブースターだと悟った。
 
(こんな必殺技まで開発して伝授してたとは……師匠ってば、ホントに自重も何もなしで鍛え上げたんだなあ。何だかんだであの人、将来有望そうな人材育てるの楽しんでる感じがあるからな。まあ、僕も人のことは言えないけど……)
 
 これは本気で油断できない、とミナトが構えなおすと同時に、左右からギーナとシェーンが交差するように襲い来る。
 
 それを裁いたと思うと、それによって出来た隙にシェリーが突貫してくる。
 体勢が万全でない所にシェリーという接近戦の達人の、しかも攻撃力倍加状態での猛攻。
 
 攻防の中、僅かに退避か反撃の隙間が出来たかと思うと、シェーンとギーナがサポートに飛び込んできてそれを潰され、さらには時折ナナの狙撃までも打ち込まれる。
 
 正しく息もつかせぬ連携攻撃の前に、さすがのミナトも防戦一方……かに思われたが、
 
(んん……久々に、ちょっと燃えてきたかも)
 
 ラグナドラスで、あまり体を動かす機会に恵まれていなかったミナト相手では……逆に火をつける結果になったかもしれなかった。
 
 何巡目かの連携の際、左から迫ってくるギーナの体が金属化していることを確認したミナトは、構えるふりをしてそっと彼女の方に手のひらを向けた。
 反対側から見ていてそれに気付いたシェーンが、はっとして、
 
「気をつけろギーナ殿! 何かする気だ!」
 
「もう遅いよ」
 
「えっ、な……えぇえっ!?」
 
 直後、ギーナの金属化した体が強力な力――ミナトが発した『磁力』で引っ張られ、体勢を崩すと同時に、ミナトの腕の中に体ごと収まってしまう。
 
 追撃をかけようとしていたシェーンは、タイミングが狂った上にギーナを巻き込んでしまうことを警戒し、動きが止まる。狙撃を狙っていたナナもそれは同様だった。今正に飛びすさってしまっていたシェリーは、到底方向転換も追撃も間に合わない。
 
 当のギーナは、結果的に抱きしめられるような形になってしまったことでわたわたとあわてているが……傷をつけない程度の強さで、ガリッ、とミナトの爪が首筋に走ったことで、はっと我に返る。本気ならば、喉をかききられていた、と。
 
 金属化したとしても、それで防げるほどミナトの攻撃は弱くはないのだ。
 
「はい、じゃ、ギーナちゃんリタイアね」
 
「あぅ、ありがとうございました……ていうか、何か前にもこんなことあったような……」
 
 死亡・戦闘不能扱いと判断されたギーナが、ラグナドラスでの訓練の時にも似たような形で撃破されたのを思い出しつつ、離脱して離れた所へかけていく。
 
 それを待って、模擬戦は再開となった。
 
 前衛役が2人に減ってしまったことで、先程までのような隙のない連携戦法を取りづらくなってしまった2人は、先程までよりも慎重に攻め始めるが、1人あたりの負担が増えている以上、さすがに長くは続かなかったらしい。
 何度目かの攻撃の後、シェーンの足元が若干力なくふらついた。
 
 その一瞬を見逃さなかったミナトが、それをカバーするために十まで飛び退ったシェーンへの追撃のため、多少無理に体勢を変えてでも構えなおして地面を蹴った……その時、
 
「うん!?」
 
 突如として、ミナトの足元の地面は踏ん張りが利かず……沼のようにずぶりとその足をくるぶしまで飲み込んでしまった。
 
 驚いたミナトが見ると、そこには……
 
「何このサラサラした砂……砂!? あ、ザリーか!?」
 
「ご明察っ!」
 
 直後、今までどこに隠れていたのかわからないほどに見事に隠れきっていたザリーが、なんと地面から飛び出して現れた。それも……どうやら『砂分身』らしく、4人同時に。
 
 疲労で隙ができたシェーンを助けつつ、踏み込もうとしたミナトの足を取るため、魔法で砂の地面の質を変えていた。新雪のごとく踏めば沈み込むようなサラサラの砂地に。
 
 それによって逆に隙を作ってしまったミナトに畳み掛けるべく、砂分身含めて4人のザリーが短剣を手に4方向から襲い掛かる。しかも直線ではなく、フェイントまで混ぜた走りで。
 
 そのミナトは、地面の変化によってもう片方の足までもがとられてしまい、一瞬とはいえ身動きがとれなかったが……瞬時に対応する。足に風の魔力を集めて練り上げると……その直後に足の裏からそれを全力で放出、暴風に変えて砂の地面から飛び出し、脱出した。
 
 その勢いのまま、四方から迫り来るザリーに空中で回し蹴りを決め……全員が砂になって空中で散る。
 
(やっぱり全員『砂分身』か……ッ!)
 
「とぉ――りぁぁああ!!」
 
 直後、空中にいて技を出した直後のミナトに、炎の翼を羽ばたかせて跳び上がったシェリーが――翼に飛行能力はないのだが――大上段からの剣の一撃を叩き込んできた。
 
 それを、ミナトは無理矢理足を振り上げ、魔力も上乗せして強化することにより、蹴り返すまでには行かずとも、弾いてかわすことに成功する。
 しかし、やはりというかそこで猛攻は終わらなかった。
 
 剣を降りぬいて無防備なシェリーだが、直後に正面――ミナトにとっては背後となる方向から飛んできた、大きな鳥の魔物の足をつかんでその場から離脱、
 
 さらにその直後、こんどはザリーの仕業なのか、地面の砂が大量に舞い上がり、円錐のような形をなして完全にミナトを取り囲んでしまう。
 
 砂で出来た密室に閉じ込められた形となったミナトは、嫌な予感を覚え、『スカイラン』で空中を蹴って移動し、無理矢理脱出を試みる。地面は未だに砂、着地は出来ないのだ。
 が、それを予期していたかのように……そこに怒涛の連続攻撃が叩き込まれた。
 
 身を隠していたスウラによる氷の矢の連射の再開に加え、シェリーは今度は先程の炎の鳥ではなく、『収納』していた弓矢での炎の矢を射掛け始める。
 
 さらに、狙撃に徹していたナナはスナイパーライフルをショットガンに持ち替えて連射し、ザリーも砂の矢を射る。
 
「……あの、こういう場面でやたらめったら魔力弾とか連射するのって、『フラグ』って言うんだって前にミナトさんが言ってませんでした?」
 
『いらんこと言わないで撃つ! ホラ、これくらいしないと、いやこれ全部直撃しててもアザすらついてるか怪しいんだからうちのリーダーは!』
 
 頭の中に響く、ここにはいない『副リーダー』の指示に従い、ナナは頭の中に浮かんだ『嫌な予感』を吹っ切って連射を続ける。
 
 数秒ほどショットガンを撃ち込み続けた後、とどめとばかりに持ち出したのは……ミナト特製のロケットランチャー型魔力銃。
 
 それを、膨大な魔力をこめて砂の円錐に打ち込み……直後、大爆発を起こす。
 雨あられの攻撃にさらされてすでに半壊だった円錐が、その一撃で完全に崩壊し……それと同時に、正真正銘のとどめの一撃がそこに叩き込まれた。
 
「はい、じゃあ最後は私が決めますよー。どーん!」
 
 気の抜けるようなのんびりした感じの声と共に、どこからともなく現れたミュウが魔力を練り上げ……空中に『召喚術』の魔法陣が出現。
 
 そこから現れたのは……石で出来たドラゴンの首だった。
 
 名を『ドラゴンゴーレム』。その名の通り、ドラゴンの姿をしたゴーレム。
 古代文明によって作られたという、AAAランクの強力な魔物であり、ラグナドラスに行く前、ミナトによってミュウにプレゼントされた召喚獣。
 
 その頃のミュウでは、実力的にまだ契約するのは難しい魔物だったのだが……当時、ミナトはとんでもない裏技でその壁を突破していた。
 
 魔法生物であるためにある程度バラバラになっても生きているということを応用し、ミナトがあらかじめ倒して首だけにしてから契約することで成功させたのである。
 
 その結果、腕も翼も尾もないので、魔力で編まれた熱線ブレスを吐き出すだけの砲台と化してしまったのだが、それでもその火力は十分な戦闘手段だった。
 
 そのブレスが、ロケットランチャーを撃ち込まれた円錐があったところにむけて、トドメの一撃とばかりに吹き付けられ……全てを焼き尽くした。
 
「やったか!?」
 
「あ、スウラさんそれ言っちゃダメなやつです」
 
 ツッコむミュウ。
 
 しかし実の所、その場にいた全員……これで仕留められたとは思っていなかった。
 何せ、本物のドラゴンの火炎ブレスが直撃しても火傷一つ負わない男が相手なのだから。
 
 むしろ、この攻撃の嵐を丁度いい隠れ蓑として、思いもかけない方法で奇襲をかけてきたりしそうで恐ろしい。
 
 そしてその懸念は……現実となる。
 
 土煙が晴れた時……そこには、誰もいなかった。何もなかった。
 地面は大きくえぐられてクレーターとなり、石も、岩も、全てが粉々になっていた。
 
 しかし、ミナトの姿は影も形もない。
 無傷で堂々と仁王立ちしているくらいは覚悟していた一同だが、いないとなると余計に怖い。どこにいるのかとっさに周囲を見渡すが、姿は見えない。
 
「……エルクちゃん、どう?」
 
『ダメだわ、見つからない。あんにゃろ、策敵に引っかからないようなステルス魔法でも作っ「わ――っ!?」っ! しまった!』
 
 直後、戦場に響き渡った悲鳴。
 
 その声がした方に全員が目を向けると……岩陰から、正に今自分たちが探していた人物……ミナトが出てくる所だった。気絶したザリーをその脇に抱えて。
 
 どうやら、何らかの手段で円錐から脱出した後、隠れてサポートに徹していたザリーを見つけて仕留めたらしい。
 そしてその『何らかの手段』も、直後に明らかになる。
 
 ザリーを『脱落』として安全圏まで運んだミナトは、再び相対したシェリー達の目の前で……
 
「じゃ、種明かしね」
 
 左腕……に装着している手甲を、よく見えるようにすっと掲げて見せた。
 
 よく見るとわかる程度の差だが、以前と形が違っていた……というより、以前の手甲に装飾のような『何か』が追加で装着されているように見えた。
 金色の縁取り部分が増え、ビー玉ほどの大きさの宝玉がいくつも取り付けられている。
 
 その宝玉のうちの1つにミナトが触ると、
 
『Teleport』
 
 電子音声にしか聞こえない、そんな声が響いたと同時に……ミナトが消えた。
 
「「「――!?」」」
 
 その直後、僅かな電子音と、それに一瞬の間を置いて打撃音と「がっ!」という苦悶の声。
 
 音と声がした方にシェリーたちが視線を集中させると、そこには……倒れこむスウラの体を抱えて支えるようにして立っている、ミナトの姿があった。
 
「……えっと、今のもしかして……空間転移魔法?」
 
「を、プログラム化してインストールしてあるんだ。こいつに」
 
 言いながら、ミナトは再び自慢げに左の手甲……に装着されたデバイスを掲げる。
 
 それは、ミナトがネリドラという助手を得て研究を加速させ、つい先日完成させることに成功した戦闘支援用デバイス。名前はまだない。
 
 簡単に言えば、あらかじめ魔法をプログラム化してインストールしておくことにより、素早くそれを使うことが出来、戦略の幅を格段に広げることが出来るというもの。
 
 さらに言うと……ミナトが前世で好きだった特撮物のパワーアップアイテムをイメージして作ったものだったりする。人工精霊を使って電子音声を再生しているのも含めて、趣味だ。
 
 しかし、そんな半分遊び心で作り出されたアイテムではあるが、敵役をやっているシェリー達からすれば、十分に汗顔ものであった。ただでさえ戦闘能力が高くて手が付けられないターゲットに、またしても『否常識』な武装が加わったのか、と。
 
 ……これで実はコレが『試作品』であり、正確には『未完成』なのであるということが伝えられた日には、キレたり倒れたりする者が出ても仕方ないのではないだろうか。
 
「さて、じゃ、スウラさんとザリーも避難させたことだし、再開と行きますか! ――そろそろ、司令塔やってるらしいエルクも探した方がよさそうだしね」
 
 そういい終わった途端、もたもたしているつもりはないとばかりにシェリーが地面を蹴って前に出た。脅威のスピードでミナトの懐に飛び込み、中段に構えた剣を、横一線に振り抜く。
 
 が、ミナトは下からその剣を蹴り上げて弾き、返す刀でお返しとばかりに踵落としを浴びせ……ようとしたところに、いつの間にか接近していたナナの『ワルサー』が火を噴いた。
 
 振り上げた足に当たった、おそらくは相当な魔力のこもっていたのであろう一撃は、僅かにミナトの体勢を崩し……その間にシェリーを反撃に転じさせる。
 
 が、それすらもミナトは強引に体をひねって跳躍して回避。
 
 それによってシェリーの背後を取るが、そこにシェーンと、ミュウの『召喚獣』――何匹もの『ネクロフィッシュ』が襲い来る。
 
 さすがに二度目の緊急回避は難しかったのか、ミナトは突貫してくる白骨の魚たちを手で払い、シェーンのサーベルの一撃を手甲で受け止めるも、体勢を崩して落下する。
 
 そこに、三度襲い掛かるシェリーだが……ここでミナトの右手の指が、左の手甲に触れた。
 
 まずい、とその場にいる全員が思ったが、時すでに遅く……
 
 『Shield』
 
 ガギン、と音を立てて……突如出現した魔力の障壁に、シェリーの剣が受け止められる。
 
 魔法障壁を発生させることもできるのか、と一同が思った次の瞬間……彼女達の目の前で、さらに凄まじいことが起こった。
 
 障壁が形を変え……四角錐の形状となって、シェリーの方に尖った角を向けた。
 そしてなんと、ミナトはそれをシェリーに向けて勢いよく蹴飛ばした。
 
 予想外にも程がある展開に、剣を盾にしてどうにか受け流すシェリーだが、それが決定的な隙となり……気がついたときには、左のわき腹にミナトの掌底が叩き込まれていた。
 
 
(さて、これで残るは……4人か)
 
 内、3人はすでにミナトの目の前にいる。
 
 姿勢をやや低くしてサーベルを構えるシェーン、普段はのほほんとしつつも、さすがに緊張を隠せないミュウ、遠距離サポートに徹している場合ではなくなって出てきたナナの3人。
 
 そしてもう1人……サポートだけに徹していられる状況でなくなったことを悟り、姿を見せた者がいた。
 
「お、エルクじゃん。出てきたの?」
 
「ええ……前衛がシェーンだけってのはきついしね。そもそも、あんたが『サテライト』に映らないステルス魔法なんか作ってた時点で、私が司令塔やる意義も8割方なくなっちゃったし」
 
 言いながら、腰のホルダーから水晶の短剣を抜き放つエルク。
 前衛の要だったギーナとシェリーが両方リタイアしたため、戦線が崩れるよりはマシと見て自らも参戦しに来たようだ。
 
 最古参の仲間であり、自他共に認める『嫁』の参戦……それも、シェリー達同様、師匠であるクローナに鍛えられた彼女との本気の模擬戦とあって、さすがに気分が高揚するミナト。
 
 それを何も言わずに悟っているのか、『やれやれ』といった感じの笑みを浮かべるエルク。
 
「それじゃまあ……胸を借りるつもりで行こうかしらね。お手柔らかに頼むわよ、ミナト」
 
「了解、了解。あ、じゃあ後で膝貸してね?」
 
「アホ」
 
 言うと同時に、エルクはダガーに緑色の『風』の魔力を纏わせ……それを凝縮。
 レーザーのごとき光の刃にして形を整え、それを中段に構えて突貫してくる。
 
 間合いに入るやいなや、胴体を切り裂く軌道で振るわれる魔力光の刃。
 
 それをミナトは、手甲で受け流してカウンターの掌底を繰り出した……が、それも予想済みだったのか、光剣の勢いもそのままにひらりとかわすエルク。
 ダンスのように軽やかなステップで一瞬だけ間合いを取ると、角度を変えて再度切りかかる。
 
 それが繰り返される。驚いたことに、ミナトがどのような対応の仕方をしても、エルクのヒットアンドアウェイの攻撃は途切れることなく続いた。
 防がれても、弾かれても、避けられても、舞うような動きには一点のよどみもない。
 
 腕や足だけを動かして攻撃するのではなく、体全体を動かすことで、力を散らさず、無駄にせず動き続ける。硬直する時間を作らないことで隙をなくし、即座に反撃や回避に動く。
 
 前々からそういった動きを理想として訓練が続けられていたのはミナトも知っていたし、エルクがそうなれるように師として協力してきたのも確かだ。しかし、いつの間にこれほどまでの完成度になっていたのかと、驚かずにはいられなかった。
 
「……何ニヤニヤ笑ってんのよ、あんたは」」
 
「あ、いやいや別に何も? 何でもないよ?」
 
「ホントに? 『眼福だからどうせならゆっくり見てたいな』とか思ってない?」
 
「それは思ってるけど」
 
 ……少し剣を加速させるエルクであった。
 
 ミナトは『ごめんごめん』と詫びつつ……またしても、左の手甲の宝玉の1つに手を触れる。
 
『Sword』
 
 直後、左の手首から、棒状の光る何かが出現する。
 ミナトは右手でそれをつかむと、引き抜いた。
 
 その手には……刀身も柄も、全てが魔力光で形作られた剣が握られていた。
 驚きつつも、ついた勢いを殺しきれずに切りかかってくるエルクの光剣を、ミナトも光剣で受け止める。
 
「……っ……そうか、あんた武器も使えたのよね」
 
「まあね……っと」
 
 直後、エルクをフォローするタイミングで飛び込んできたシェーンの剣をかがんでよけると、そのまま極端に姿勢を低くし、水面蹴りを放った。
 
 エルクとシェーンは2人とも跳躍でそれをかわし、すぐさま距離をとる……が、軽業師顔負けの動きを身につけているうえに風の魔力で加速できるエルクに比べ、シェーンはどうしても退避が遅くなり……そこにミナトの追撃が飛んでくる。
 
 しかしその時、またしても予想外のことが起こる。
 
 ――バシィィッ!!
 
「っ……!?」
 
 突如、ミナトの体を突き抜ける衝撃と熱。
 それによって動きが一瞬硬直し、シェーンに射程外へと出られてしまう。
 
 ワンテンポ遅れて、ミナトは今の謎の感覚が『電撃』であることに気付く。
 そして、それを放ったのが……ダガーを持っていないほうの手のひらをこちらに向けている、エルクであるということにも。
 
「驚いた?」
 
「……すっごく」
 
 戦闘術と同様、知らぬ間にエルクが覚えていた……2つめの属性攻撃。
 しかも、ミナトだからこそ一瞬の硬直で済んだものの、十分に攻撃として通用する電圧に練り上げられていた。ゆえに、ミナトの驚きも余計に大きかった。
 
 ミナトは嫁の成長を嬉しく思う……その一方で、
 
(……驚かされっぱなしってものつまんないな。こっちもちょっと派手にいってみますか……)
 
 そんなことを考えたミナトは……何と突然、手にしていた光剣を、エルクめがけて投げた。
 
 驚きつつも、反応できない速さではなかったので、さっと回避するエルク。だが……
 
『Sword』『Sword』『Sword』『Sword』『Sword』『Sword』『Sword』『Sword』『Sword』『Sword』
 
「何ッ!?」
 
「ちょっと!? それそうやって使うの!?」
 
「魔力さえあればいくらでも作れるからねー、コレ」
 
 手甲から新たに剣を構築して取り出し、抜き放った端から投げつけてくる。
 まるで投げナイフか手裏剣のように、ひっきりなしに飛来する光剣。明らかに使い方が違う、というかふざけているが、1本1本が大きく、その攻撃力はバカにできない。
 
 しかもよく見ると、手甲からは一度に何本も柄が出てきているあたり、元々こういう使い方も考えられていたようだ。
 
 それがミナトの腕力と素早さで連射されてくるとなれば、ただのネタ技ではすまない。
 同じく前衛であるシェーンまで巻きこんで、回避に専念して何とかなっている状態だった。
 
 それでも、弾幕が薄いところを探してどうにか反撃に転じようとエルクとシェリーが機をうかがっていた……その時、
 
『Sword』『Sword』『Sword』『Sword』――『Energy Cherge』
 
「ん?」
 
 ふいに、電子音声の内容が変わったことにエルクが気付いた。
 その直後、ミナトはその手甲を、自らの斜め後ろに向けた。
 
 ……岩陰に隠れて、ナナとミュウが援護射撃の準備をしている場所に。
 
「っ! しまっ……」
 
『Fire』
 
 次の瞬間、手甲全体から光があふれ出たかと思うと……それら全てが指向性を持ってミナトが手を向けている方向に直進、巨大な光の砲撃となって……ナナたちを飲み込んだ。
 
「「きゃああああああああ!?」」
 
「ナナ―――!? ミュウ―――!?」
 
「大丈夫大丈夫。あれ見た目は派手だけど、殺傷力そんな高くないから」
 
「ホントに!?」
 
「ホントホント。雷魔力中心に構成されてるから、感電させて気絶させるのがメインの攻撃なんだよ。巨大なのは、広く浅くって感じで一気に広範囲を制圧するためで」
 
 実際そうらしく、砲撃がやんだ後には、見た目にもわかるくらいに軽傷だけで気絶しているナナとミュウの姿があった。
 
 本当に破壊力はないらしい。あの巨大さの砲撃を受けたにも関わらず、地面がえぐれるなどしていないことからもそれがわかる。
 
「さて……じゃ、これで残りはエルクたち2人ってことで……最後の締めはこれで行こっか。『パワードアームズ』」
 
 セレナがナナとミュウを回収するのを見届けた後、仕上げとばかりに言い放つミナト。
 直後、ミナトの体を黒紫の竜巻が覆い……追加装甲を備えた『パワードアームズ』が展開した。
 
 それを目の前にして、エルクとシェーンは……ため息をつくしかなかったようだ。
 
 
 数分後、
 大方の予想通りではあったものの、エルクとシェーンが気絶させられたのをもって、その日の模擬戦は終了となった。
 
 
 
************************************************
あ、ありのまま今起こったことを話すぜ?

俺は閑話その2としてミナトがラグナドラスに行っている間のエルクたちの話を書こうと構想を練っていた。
と思ったら、いつの間にか能力バトルが出来ていた。

何を言っているのかわからないと思うが俺も何が起きたのかわからなかった。

寝不足とかネタ枯渇とかそんなもんじゃ断じてねえ、もっとたちの悪い深夜テンションの片鱗を味わった……


……いやホントすいません、どうしてこうなったんでしょう。
なんであそこで『バトルにして修行の成果見せるパターンで行こう!』とか考えがががが……

日常面的なミナト不在時の邪香猫は、ネタが浮かんだら書かせていただきますので……
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