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第一章 花園乱華の自分語り
【6】花園乱華、レシピで初投稿しました!
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WEB小説サイトにレシピ投稿って、ものすごい新しい試みだと思う。発想の転換とでも言うのかな。そんじょそこらの既存のBL作家とはちょっと違う感じの新世代のBL作家ですってしっかりアピール出来そう。
甘やかに出来上がったBLトーストを部屋に持ってゆく。一度キッチンに戻ってホットミルクと小分け包装の真ん中でパキンと割るタイプのイチゴジャムを持ってきて撮影プランを練る。キッチンにいるあいだに充電は10%に回復してるから、急げば大丈夫だと思う。
レシピサイトをネットサーフィンして、美味しそうに見える画像を探していくつかダウンロードして、レシピの書き方も参考のためにコピペして、やることがいっぱい。でもこれも初投稿のレシピのためだから、お腹がさっきから甘やかな音を立ててるけれど、じっと我慢なのだ。
お箸、忘れた。
キッチンに戻って戸棚からマイ箸を取りだす。
「もう、あんたって子は……」
母があきれ顔で言った。週末にソファで韓流三昧の主婦に言われたくはないけど、いつか花園乱華として見返すために、我慢した。私はシンデレラだ。
部屋に戻ってお箸で食パンベッドの上で甘やかに抱きあう白身とベーコンの位置を調整してパチリとスマホで一枚。あとで加工アプリでデコるから、多少のブレは気にしない。いや、ブレがあったほうが、ベッドでの激しさを表現出来るかな?
あとで考えることにして、イチゴジャムのパックを左手に握った。パカンと割れてジャムが出てくるタイプの便利なやつだ。
発明した人、神!
BLトーストの開発者である私は女神!
これは動画で撮って、瞬間写真をキャプチャーするのが、甘やかな瞬間が撮れるかもしれない。ちょっとした実験作品なんだけど。
パッカーン!
「いやっ……」
トーストの上にイチゴジャムが広がる。これは可愛い受けちゃんが初体験だったことを象徴して、いる。思わず声が出たのは、破華の瞬間の音を想像したから。
そして攻め様の番。充電はまだ大丈夫。ホットミルクをトーストの上に注ぐ。
びしゃびしゃ。
「く……っ!」
「ああん……熱い、熱いよぉ……」
一人二役も大変だけど、完璧にこなす私ってホント天才だと思う。あとでキャプチャーしてベストな甘やかショットを選ぼう。そしてレシピを完成させて、投稿するんだ。
甘やかなトーストを食べて、部屋を出て、流しに突っ込んで、部屋に戻ろうとしたけど、母はまだスマホに集中して、いた。
「お母さん、私、出掛けてくるね」
「だったら帰りにスーパーでネギ買ってきて」
「忙しいから自分で行って!」
花園乱華が安売りスーパーのネギを抱えて外を出歩くなんて考えられない。
辛気臭い我が家を出て、近所のコンビニで受けのモデルになりそうな受け顔の大学生のバイト男子大学生をイートインコーナーでスマホを充電しながらチラ見しつつレシピを完成させて、谷屋先生がいつも夜九時に更新するから、すべてのサイトで予約投稿の設定をして、任務完了。
プロフィールの画像は、『甘やかBLトースト花園乱華風』を加工アプリでカラフルにアレンジして、作品の画像にも同じものを使った。プレビューも確認して確認した。これでバッチリ。
夜九時が待ち遠しくて、晩ごはんも何を食べたのかわからなかった。花園乱華としての初投稿のレシピが更新されるのを部屋で待機したかったから、一番風呂に入って、祝福すべき初夜の更新を待った。これで谷屋アガサ先生と同じ時間に更新リストに並ぶことができて、谷屋先生のファンの方々からも注目されて、勿論谷屋先生ご本人からも私の存在を知ってもらえて……。
皆んな考えることは一緒だった。谷屋先生と同じ時間に更新するライバルたち! BL以外の小説も更新リストに上がってて、谷屋先生と私のあいだに他ジャンルの作品が並んで、いる。
明日になれば、お気に入りがついて感想ももらえるよね? 私は花園乱華だし。谷屋先生の一番弟子だし。甘やかなBLレシピだし!
甘やかに出来上がったBLトーストを部屋に持ってゆく。一度キッチンに戻ってホットミルクと小分け包装の真ん中でパキンと割るタイプのイチゴジャムを持ってきて撮影プランを練る。キッチンにいるあいだに充電は10%に回復してるから、急げば大丈夫だと思う。
レシピサイトをネットサーフィンして、美味しそうに見える画像を探していくつかダウンロードして、レシピの書き方も参考のためにコピペして、やることがいっぱい。でもこれも初投稿のレシピのためだから、お腹がさっきから甘やかな音を立ててるけれど、じっと我慢なのだ。
お箸、忘れた。
キッチンに戻って戸棚からマイ箸を取りだす。
「もう、あんたって子は……」
母があきれ顔で言った。週末にソファで韓流三昧の主婦に言われたくはないけど、いつか花園乱華として見返すために、我慢した。私はシンデレラだ。
部屋に戻ってお箸で食パンベッドの上で甘やかに抱きあう白身とベーコンの位置を調整してパチリとスマホで一枚。あとで加工アプリでデコるから、多少のブレは気にしない。いや、ブレがあったほうが、ベッドでの激しさを表現出来るかな?
あとで考えることにして、イチゴジャムのパックを左手に握った。パカンと割れてジャムが出てくるタイプの便利なやつだ。
発明した人、神!
BLトーストの開発者である私は女神!
これは動画で撮って、瞬間写真をキャプチャーするのが、甘やかな瞬間が撮れるかもしれない。ちょっとした実験作品なんだけど。
パッカーン!
「いやっ……」
トーストの上にイチゴジャムが広がる。これは可愛い受けちゃんが初体験だったことを象徴して、いる。思わず声が出たのは、破華の瞬間の音を想像したから。
そして攻め様の番。充電はまだ大丈夫。ホットミルクをトーストの上に注ぐ。
びしゃびしゃ。
「く……っ!」
「ああん……熱い、熱いよぉ……」
一人二役も大変だけど、完璧にこなす私ってホント天才だと思う。あとでキャプチャーしてベストな甘やかショットを選ぼう。そしてレシピを完成させて、投稿するんだ。
甘やかなトーストを食べて、部屋を出て、流しに突っ込んで、部屋に戻ろうとしたけど、母はまだスマホに集中して、いた。
「お母さん、私、出掛けてくるね」
「だったら帰りにスーパーでネギ買ってきて」
「忙しいから自分で行って!」
花園乱華が安売りスーパーのネギを抱えて外を出歩くなんて考えられない。
辛気臭い我が家を出て、近所のコンビニで受けのモデルになりそうな受け顔の大学生のバイト男子大学生をイートインコーナーでスマホを充電しながらチラ見しつつレシピを完成させて、谷屋先生がいつも夜九時に更新するから、すべてのサイトで予約投稿の設定をして、任務完了。
プロフィールの画像は、『甘やかBLトースト花園乱華風』を加工アプリでカラフルにアレンジして、作品の画像にも同じものを使った。プレビューも確認して確認した。これでバッチリ。
夜九時が待ち遠しくて、晩ごはんも何を食べたのかわからなかった。花園乱華としての初投稿のレシピが更新されるのを部屋で待機したかったから、一番風呂に入って、祝福すべき初夜の更新を待った。これで谷屋アガサ先生と同じ時間に更新リストに並ぶことができて、谷屋先生のファンの方々からも注目されて、勿論谷屋先生ご本人からも私の存在を知ってもらえて……。
皆んな考えることは一緒だった。谷屋先生と同じ時間に更新するライバルたち! BL以外の小説も更新リストに上がってて、谷屋先生と私のあいだに他ジャンルの作品が並んで、いる。
明日になれば、お気に入りがついて感想ももらえるよね? 私は花園乱華だし。谷屋先生の一番弟子だし。甘やかなBLレシピだし!
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