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第八章 寝台の画
8 航海は終わらない【絡み:シュード(=エシフ)xイェロード(=ノモク)】
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祝福の口吻はどうやらお預けのようだ。焦らされて堪りかねたイェロードが、その舌を差しだしてシュードの唇に触れさせようとするたびに、シュードは大きく腰を動かした。下からの激しい突上げに、イェロードは大きくのけ反り、ひとしきり天井を仰ぎながら、喘ぐだけだった。
——そうだ! シュードが帆舟の胴でぼくがその帆なら……。
イェロードは尻の孔に与えつづけられる甘い痺れを全身で受けながらこう思った。
——行先はぼくが決めることができるんだ!
イェロードはもう一度前に倒れこみ、両手をシュードのたくましい胸の上に置いた。シュードの腰の動きに合わせて、こんどは腰を泛べたり沈めたりしながら、シュードの太いマストを締めつけ、扱きたてた。
「くっ……」シュードが窮屈そうに顔を歪めて呻いた。「道は作ったはずだが……。どうやらまだ通ってないところがあるようだな」そしてイェロードの腰を両手でがっしりと掴んで、「イェロード、振り落とされないように下の口でしっかり銜えるんだぞ」
しかしイェロードにその言葉は届いていなかった。尻の輪っかを緩めたり引き締めたりしながら腰を上下に動かすだけだ。
「シュード! シュード! シュード!」
イェロードは、譫言のように帆船の名を叫びつづける。海風が西から吹いてくる。帆となったイェロードは、それを背中いっぱいに受け、大きくのけ反りながらシュードを東の海へ誘った。
——どこか遠くへ行きたい……。そういえば、シュードの生まれた国はどんなところなんだろう?
イェロードは、まだシュードが『エシフ』と呼ばれていたときのことしか識らない。彼は奴隷だった。そして余興として男と女の交わりをイェロードに披露したばかりか、さらには夜の手ほどきをするために若い女奴隷——それも男をまだ識らない生娘たち——を連れて部屋にやって来たのだった。
——あのとき、ぼくが断ったりしなければ!
第七王子を満足させられなかった、という理由でシュードは恐ろしい拷問に掛けられることになった。唯一身につけることを許されていた腰布——しかしそれは彼の雄々しさを隠すには小さすぎた——さえも引き剥がされて磔にされ、怪しげな薬を盛られ、全身に鞭を打たれ、そして業火にペニスを焼かれて……。
シュードは彼の信じる神の名を呼びながら大きく背中を反らせ、燃えさかるペニスから夥しい量の精を迸らせた。それはどれほどの絶望と屈辱をシュードに与えたことだろう。
——どうして断ったりしたんだろう。シュードにぼくの体を見てもらえばよかったのに……。
シュードが、これから王子の準備をする、と云って女奴隷たちを一旦部屋の外に出したとき、イェロードはただシュードに従っていればよかったのだ。奴隷であるシュードがイェロードを傷つけるようなことは決してない。
——それで、ぼくが女を識るにはまだ早い、ということになれば、シュードが罰を受けることはなかったんだ!
シュードはイェロードに教えた。海の民は、女を識る前に男同士で教えあうのだと。それをあのときにやっていれば……。
イェロードは鞠のように腰を弾ませる。そのリズミカルに上下する腰に伴って、イェロードの尻のなかでシュードの長大なペニスが甘美な刺戟を与えつづける。
「イェロード、そろそろ褒美をくれてやろう」シュードが云った。「おまえの尻のなかは、実に心地よい……」
イェロードは鞠つきを止めて尻を深く沈めた。シュードのペニスを自ら限界まで飲みこみ、腰をゆるゆると揺すりたてる。するとシュードのペニスが尻のなかでより一層膨らんでいった。イェロードは押しよせる快感に喘ぎながら腰を振りたてた。
——もうすぐシュードがぼくのなかに精を放つ……。
男同士で教えあう——このような世界があることを、シュードに出会うまでイェロードは識らなかった。イェロードはこれまで、こう信じていた。他の者たちのように色を好み、娼館通いをしなくても、立派な騎士になることができるのだと。そしてその暁には純潔を守った分に値する美しい伴侶と結婚し、そこで初めて結ばれるのだと。
シュードがひとりごとのように云った。「ほう。自分から褒美をもらいにくるとは……。まったく可愛いやつだ」
この言葉にイェロードはますます昂った。
——シュードが精をぼくに分けてくれる! ぼくもシュードみたいになれるんだ!
イェロードはシュードの裸身を頭に泛べた。その肉體は、神話に出てくるどの男神よりも雄々しく美しい。そしてその肉體の中心にあって、聖塔のように神々しく聳えたつシュードのペニスが自分のなかにあることを、イェロードは誇らしく思った。
つぎの瞬間、イェロードの背筋をゾクリとするものが疾った。
「シュード……あああっ——」
「ここも泣くほど悦んでいるぞ」
シュードがその指をイェロードのペニスに絡ませ、ゆるゆると揉みたてているのだった。剥けあがった丸みの切れこみから、透明な露がとろとろと流れている。シュードはそれを指で掬いとり、イェロードのペニスに塗りひろげた。
「あ……くっ……うぅっ……」イェロードは脱力して腰の動きを止めた。「シュード、お願い……」
シュードはイェロードのペニスから指を放した。「何だ? 云ってみろ」
宙に泛いたペニスが、活きの良い魚のようにピチピチと跳ねる。
イェロードは、ムズムズとした甘い痺れを全身で感じながら、哀願した。「お願い……ぼくに精を分けて……」
シュードは、くすっ、と笑い、ゆっくりと上体を起こした。たくましい両腕でイェロードを抱き支え、繋がったまま向きをくるりと変えてイェロードをシーツの上に寝かせる。
「シュード……?」
イェロードの戸惑いをよそにシュードは身を上げ、イェロードの両脚を肩に担ぎあげると、
「エボーイ・オワノニーカム」
と云った。そしてさらにイェロードの腰を掬いあげ、イェロードを腰の位置でふたつに折り畳んだ。顔を下ろし、イェロードの耳に声を送りこむ。「エボーイ・オワノニーカム」
「ああっ!」
イェロードは叫び声を上げた。折り重なってきたシュードのペニスがイェロードの尻の孔を楔のように搏ちつけ、その拍子にイェロードのペニスから白濁した露がどっと溢れだしたのだった。
シュードが体重をかけ、ペニスをさらに奥まで埋めこんだ。
「あああっ——!」イェロードは、また精を洩らした。
「エボーイ・オワノニーカム」シュードが腰をゆっくりと前後に揺すりはじめた。「……さあ、云え。云うんだ!」
腰の奥からふたたび迫りあがってくる快感に、イェロードは逆らうことができなかった。「シュード! シュード! シュード!」
「イェロード、おまえは実に素直で可愛い」
と満足そうに云って、シュードは激しく尻を振りたてはじめた……。
——そうだ! シュードが帆舟の胴でぼくがその帆なら……。
イェロードは尻の孔に与えつづけられる甘い痺れを全身で受けながらこう思った。
——行先はぼくが決めることができるんだ!
イェロードはもう一度前に倒れこみ、両手をシュードのたくましい胸の上に置いた。シュードの腰の動きに合わせて、こんどは腰を泛べたり沈めたりしながら、シュードの太いマストを締めつけ、扱きたてた。
「くっ……」シュードが窮屈そうに顔を歪めて呻いた。「道は作ったはずだが……。どうやらまだ通ってないところがあるようだな」そしてイェロードの腰を両手でがっしりと掴んで、「イェロード、振り落とされないように下の口でしっかり銜えるんだぞ」
しかしイェロードにその言葉は届いていなかった。尻の輪っかを緩めたり引き締めたりしながら腰を上下に動かすだけだ。
「シュード! シュード! シュード!」
イェロードは、譫言のように帆船の名を叫びつづける。海風が西から吹いてくる。帆となったイェロードは、それを背中いっぱいに受け、大きくのけ反りながらシュードを東の海へ誘った。
——どこか遠くへ行きたい……。そういえば、シュードの生まれた国はどんなところなんだろう?
イェロードは、まだシュードが『エシフ』と呼ばれていたときのことしか識らない。彼は奴隷だった。そして余興として男と女の交わりをイェロードに披露したばかりか、さらには夜の手ほどきをするために若い女奴隷——それも男をまだ識らない生娘たち——を連れて部屋にやって来たのだった。
——あのとき、ぼくが断ったりしなければ!
第七王子を満足させられなかった、という理由でシュードは恐ろしい拷問に掛けられることになった。唯一身につけることを許されていた腰布——しかしそれは彼の雄々しさを隠すには小さすぎた——さえも引き剥がされて磔にされ、怪しげな薬を盛られ、全身に鞭を打たれ、そして業火にペニスを焼かれて……。
シュードは彼の信じる神の名を呼びながら大きく背中を反らせ、燃えさかるペニスから夥しい量の精を迸らせた。それはどれほどの絶望と屈辱をシュードに与えたことだろう。
——どうして断ったりしたんだろう。シュードにぼくの体を見てもらえばよかったのに……。
シュードが、これから王子の準備をする、と云って女奴隷たちを一旦部屋の外に出したとき、イェロードはただシュードに従っていればよかったのだ。奴隷であるシュードがイェロードを傷つけるようなことは決してない。
——それで、ぼくが女を識るにはまだ早い、ということになれば、シュードが罰を受けることはなかったんだ!
シュードはイェロードに教えた。海の民は、女を識る前に男同士で教えあうのだと。それをあのときにやっていれば……。
イェロードは鞠のように腰を弾ませる。そのリズミカルに上下する腰に伴って、イェロードの尻のなかでシュードの長大なペニスが甘美な刺戟を与えつづける。
「イェロード、そろそろ褒美をくれてやろう」シュードが云った。「おまえの尻のなかは、実に心地よい……」
イェロードは鞠つきを止めて尻を深く沈めた。シュードのペニスを自ら限界まで飲みこみ、腰をゆるゆると揺すりたてる。するとシュードのペニスが尻のなかでより一層膨らんでいった。イェロードは押しよせる快感に喘ぎながら腰を振りたてた。
——もうすぐシュードがぼくのなかに精を放つ……。
男同士で教えあう——このような世界があることを、シュードに出会うまでイェロードは識らなかった。イェロードはこれまで、こう信じていた。他の者たちのように色を好み、娼館通いをしなくても、立派な騎士になることができるのだと。そしてその暁には純潔を守った分に値する美しい伴侶と結婚し、そこで初めて結ばれるのだと。
シュードがひとりごとのように云った。「ほう。自分から褒美をもらいにくるとは……。まったく可愛いやつだ」
この言葉にイェロードはますます昂った。
——シュードが精をぼくに分けてくれる! ぼくもシュードみたいになれるんだ!
イェロードはシュードの裸身を頭に泛べた。その肉體は、神話に出てくるどの男神よりも雄々しく美しい。そしてその肉體の中心にあって、聖塔のように神々しく聳えたつシュードのペニスが自分のなかにあることを、イェロードは誇らしく思った。
つぎの瞬間、イェロードの背筋をゾクリとするものが疾った。
「シュード……あああっ——」
「ここも泣くほど悦んでいるぞ」
シュードがその指をイェロードのペニスに絡ませ、ゆるゆると揉みたてているのだった。剥けあがった丸みの切れこみから、透明な露がとろとろと流れている。シュードはそれを指で掬いとり、イェロードのペニスに塗りひろげた。
「あ……くっ……うぅっ……」イェロードは脱力して腰の動きを止めた。「シュード、お願い……」
シュードはイェロードのペニスから指を放した。「何だ? 云ってみろ」
宙に泛いたペニスが、活きの良い魚のようにピチピチと跳ねる。
イェロードは、ムズムズとした甘い痺れを全身で感じながら、哀願した。「お願い……ぼくに精を分けて……」
シュードは、くすっ、と笑い、ゆっくりと上体を起こした。たくましい両腕でイェロードを抱き支え、繋がったまま向きをくるりと変えてイェロードをシーツの上に寝かせる。
「シュード……?」
イェロードの戸惑いをよそにシュードは身を上げ、イェロードの両脚を肩に担ぎあげると、
「エボーイ・オワノニーカム」
と云った。そしてさらにイェロードの腰を掬いあげ、イェロードを腰の位置でふたつに折り畳んだ。顔を下ろし、イェロードの耳に声を送りこむ。「エボーイ・オワノニーカム」
「ああっ!」
イェロードは叫び声を上げた。折り重なってきたシュードのペニスがイェロードの尻の孔を楔のように搏ちつけ、その拍子にイェロードのペニスから白濁した露がどっと溢れだしたのだった。
シュードが体重をかけ、ペニスをさらに奥まで埋めこんだ。
「あああっ——!」イェロードは、また精を洩らした。
「エボーイ・オワノニーカム」シュードが腰をゆっくりと前後に揺すりはじめた。「……さあ、云え。云うんだ!」
腰の奥からふたたび迫りあがってくる快感に、イェロードは逆らうことができなかった。「シュード! シュード! シュード!」
「イェロード、おまえは実に素直で可愛い」
と満足そうに云って、シュードは激しく尻を振りたてはじめた……。
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