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第七章 海嘯
12 おとぎ話のその前に【絡み:シュード(=エシフ)xイェロード(=ノモク)】
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イェロードはふたたび寝台の上に寝かされ、その場で布を剥ぎとられた。
「シュード……」イェロードは身を起こして室内を見まわした。「ねえ、どうして誰もいないの?」
「見られたかったのか?」
シュードの太い指がイェロードの左耳を愛撫する。
「い、いや。そうじゃなくて、さっきまでこの部屋……」
部屋は見紛うばかりに片付いていた。お香の匂いも男たちの汗の匂いも消えている。横にいるシュードが放つ潮の香があるだけだ。今いる寝台は真新しいシーツに取りかえられている。ナコシュとエークがここで交わっていた形跡はない。寝台の向うも同じだった。男奴隷たちに囲まれてギーフが喘いでいたとは思えないほどひっそりと静まりかえっている。まるで大波が一度にすべてを洗いながしてしまったかのようだ。
シュードが天幕を閉じた。
「あっ……」
「明るいほうが好いのか?」
シュードはこう云うと、寝台を降りてランプをひとつ手にして戻ってきた。
ランプが飾り棚の中央に置かれた。
シュードは大きな手のひらでイェロードの顔をそっと愛撫した。
「可愛いやつだ。おとぎ話の前に、おまえを悦ばせてみたくなった……」
シュードの指先がイェロードの耳を離れ、頬を撫で、顎をくすぐってから唇に触れた。太い指が一本、唇を割って口内に侵入する。
「……んんっ……」
イェロードは舌を指に絡ませるようにしてしゃぶりはじめた。
シュードが、ククッ、と笑った。「云われてなくても何をしたら好いかわかっているようだな」
指が二本に増やされた。イェロードは舌を大きく動かした。二指はその舌の波をかわすように口のなかで巧みに動いた。
「イェロード、もっと口を開けろ。さあ、三本だ」
シュードがこう云って二指を引きぬいたとき、イェロードは崩れ落ちそうになった。彼はその手をシュードの背中に回してしがみつこうとした。
「さあ、銜えろ」
「ああ……シュード……」
イェロードは目を閉じてシュードの指を迎えいれた。
三指が、ひと塊りになり、バラバラになり、さまざまに形を変えながらイェロードの舌と戯れる。イェロードは、そうしたシュードの指のひとつひとつを或いはその束を、無我夢中で舌で舐りたてた。唾液が口いっぱいに広がり、シュードの指の抜き挿しと倶にジュボジュボと淫猥な音が立った。
——シュードは海の味がする……。
イェロードは、シュードの肌に舌を這わせたときのことを思いだした。あのときシュードは惨たらしい拷問を受け、全身に痛ましい傷を負っていた。自分のせいだった。だから懺悔しながら、回復を祈りながら、乳母アイラムの教えるとおりに傷のひとつひとつに口吻し、舌で清めた。シュードのたくましさの、若々しさの、神々しさの露われである、焔で焼かれたペニスも例外ではなかった。
——あのときと同じ味だ……。
イェロードは空いていた右の手をシュードの胸にあてた。厚みのある雄々しい胸だ。しかしイェロードの手は、そこをほんの少し撫でまわしただけですぐに下へと向かった。その指先に異教徒の徴が触れた。硬く弾力があり熱を孕んでいる。イェロードは思わずそこを握りしめた。
三指を抜き挿ししながらシュードが深みのある声で囁く。「イェロード、お楽しみは最後までとっておくものだ」しかしその言葉とは裏腹に誘っているようでもある。「これが欲しいのか?」シュードはイェロードの触るがままにさせた。
——やっぱり鞭の柄とは異う……。
イェロードは三指を舐りながらシュードのペニスを扱きたてた。片手に余るほど長く大きい。これが尻のなかに埋められていたのが、今でも信じられない。
——熱がある、血が通っている、ちからがある……生きている!
口のなかの三指がイェロードの想像のなかでシュードのペニスにすり替わった。それはイェロードの口のなかを隅々まで撫で、こすり、そして海の味をかき混ぜる。
——鞭の柄なんか作りものだ! あんなものギーフに呉れてやる!
イェロードは記憶を辿った。四つん這いになったギーフの尻の孔から、白濁液が溢れだしていた。それは道を作ったソルブの吐精、そのあとを継いだナコシュの吐精、つぎつぎと交わった男奴隷たちの吐精が混ざりあったものだった。そしてシュードの手ほどきを受けて——。
そこから先が思い出せない。自分はギーフの尻を貫いたのか、シュードはギーフと交わったのか。どれも不明だ。
口から三指が抜かれた。
イェロードは、シュードのペニスを引き寄せようとちからを込めた。もしシュードがギーフと交わっていたのであれば、今すぐここで清めなければならない。
シュードがイェロードを仰向けに寝かせた。両脚のあいだに片膝をすっと辷りこませ、閉じられないようにした。
イェロードは口いっぱいに広がった海をごくりと飲み干すと、口を大きく開けて舌を出し、シュードのペニスを強く引いた。
シュードが唾液のまぶされた三指を、イェロードのペニスに絡みつけた。「イェロード、おまえは気が早い。先ずはここを清めてからだ」
「シュード……」イェロードは身を起こして室内を見まわした。「ねえ、どうして誰もいないの?」
「見られたかったのか?」
シュードの太い指がイェロードの左耳を愛撫する。
「い、いや。そうじゃなくて、さっきまでこの部屋……」
部屋は見紛うばかりに片付いていた。お香の匂いも男たちの汗の匂いも消えている。横にいるシュードが放つ潮の香があるだけだ。今いる寝台は真新しいシーツに取りかえられている。ナコシュとエークがここで交わっていた形跡はない。寝台の向うも同じだった。男奴隷たちに囲まれてギーフが喘いでいたとは思えないほどひっそりと静まりかえっている。まるで大波が一度にすべてを洗いながしてしまったかのようだ。
シュードが天幕を閉じた。
「あっ……」
「明るいほうが好いのか?」
シュードはこう云うと、寝台を降りてランプをひとつ手にして戻ってきた。
ランプが飾り棚の中央に置かれた。
シュードは大きな手のひらでイェロードの顔をそっと愛撫した。
「可愛いやつだ。おとぎ話の前に、おまえを悦ばせてみたくなった……」
シュードの指先がイェロードの耳を離れ、頬を撫で、顎をくすぐってから唇に触れた。太い指が一本、唇を割って口内に侵入する。
「……んんっ……」
イェロードは舌を指に絡ませるようにしてしゃぶりはじめた。
シュードが、ククッ、と笑った。「云われてなくても何をしたら好いかわかっているようだな」
指が二本に増やされた。イェロードは舌を大きく動かした。二指はその舌の波をかわすように口のなかで巧みに動いた。
「イェロード、もっと口を開けろ。さあ、三本だ」
シュードがこう云って二指を引きぬいたとき、イェロードは崩れ落ちそうになった。彼はその手をシュードの背中に回してしがみつこうとした。
「さあ、銜えろ」
「ああ……シュード……」
イェロードは目を閉じてシュードの指を迎えいれた。
三指が、ひと塊りになり、バラバラになり、さまざまに形を変えながらイェロードの舌と戯れる。イェロードは、そうしたシュードの指のひとつひとつを或いはその束を、無我夢中で舌で舐りたてた。唾液が口いっぱいに広がり、シュードの指の抜き挿しと倶にジュボジュボと淫猥な音が立った。
——シュードは海の味がする……。
イェロードは、シュードの肌に舌を這わせたときのことを思いだした。あのときシュードは惨たらしい拷問を受け、全身に痛ましい傷を負っていた。自分のせいだった。だから懺悔しながら、回復を祈りながら、乳母アイラムの教えるとおりに傷のひとつひとつに口吻し、舌で清めた。シュードのたくましさの、若々しさの、神々しさの露われである、焔で焼かれたペニスも例外ではなかった。
——あのときと同じ味だ……。
イェロードは空いていた右の手をシュードの胸にあてた。厚みのある雄々しい胸だ。しかしイェロードの手は、そこをほんの少し撫でまわしただけですぐに下へと向かった。その指先に異教徒の徴が触れた。硬く弾力があり熱を孕んでいる。イェロードは思わずそこを握りしめた。
三指を抜き挿ししながらシュードが深みのある声で囁く。「イェロード、お楽しみは最後までとっておくものだ」しかしその言葉とは裏腹に誘っているようでもある。「これが欲しいのか?」シュードはイェロードの触るがままにさせた。
——やっぱり鞭の柄とは異う……。
イェロードは三指を舐りながらシュードのペニスを扱きたてた。片手に余るほど長く大きい。これが尻のなかに埋められていたのが、今でも信じられない。
——熱がある、血が通っている、ちからがある……生きている!
口のなかの三指がイェロードの想像のなかでシュードのペニスにすり替わった。それはイェロードの口のなかを隅々まで撫で、こすり、そして海の味をかき混ぜる。
——鞭の柄なんか作りものだ! あんなものギーフに呉れてやる!
イェロードは記憶を辿った。四つん這いになったギーフの尻の孔から、白濁液が溢れだしていた。それは道を作ったソルブの吐精、そのあとを継いだナコシュの吐精、つぎつぎと交わった男奴隷たちの吐精が混ざりあったものだった。そしてシュードの手ほどきを受けて——。
そこから先が思い出せない。自分はギーフの尻を貫いたのか、シュードはギーフと交わったのか。どれも不明だ。
口から三指が抜かれた。
イェロードは、シュードのペニスを引き寄せようとちからを込めた。もしシュードがギーフと交わっていたのであれば、今すぐここで清めなければならない。
シュードがイェロードを仰向けに寝かせた。両脚のあいだに片膝をすっと辷りこませ、閉じられないようにした。
イェロードは口いっぱいに広がった海をごくりと飲み干すと、口を大きく開けて舌を出し、シュードのペニスを強く引いた。
シュードが唾液のまぶされた三指を、イェロードのペニスに絡みつけた。「イェロード、おまえは気が早い。先ずはここを清めてからだ」
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