66 / 93
第七章 海嘯
7 寝台の戯れ
しおりを挟む
寝台の上で信じられない光景が繰りひろげられている。声を上げてはいけない。動いてもいけない。イェロードは、ただ素裸かになって縛りつけられた奴隷の画となって、その淫らな性戯をただ見守るしかなかった。
ギーフが身につけていた豪奢なドレスはすでにびりびりに引きちぎられて、寝台の上にボロ切れのように置き捨てられている。素裸かのギーフは四つん這いになって尻を高く上げていて、その後ろからソルブがギーフの尻を貫いていた。
「ギーフ様、しばらくのご辛抱です」ソルブが腰を振りながら云った。「そろそろよくなってくるころです」
ギーフは甲高い声で喘ぎつづけていた。よほど苦しいのだろうか。尻を突かれるたびに、少しずつ飾り棚に向って身を辷らせる。
その傍では膝立ちになったナコシュが、背後に回ったエークから愛撫を受けていた。
「ああ、ナコシュ殿……。なんてたくましい……」
エークはその指先をナコシュの胸から腹にゆっくりと這わせている。さわさわとひと撫で。そしてもうひと撫で。ナコシュの夥しい体毛が、エークの指の櫛でとかれながら、強靭な肉体の上で紋章のように形作られてゆく。
「エーク殿、俺の剣も磨いてはくれぬか」
「もちろんよ」エークは指先をゆるゆると腹の下に辷らせて、ナコシュのペニスを両手で握りしめた。背後から顔を出して、そっと囁く。「ご立派だわ。きっと何人もの娼婦を悦ばせてきたのでしょうね」
ナコシュは満足げに鼻を鳴らして、
「王都の娼婦は皆んな識っているぞ。この剣の斬れ味をな」
「まあ、ナコシュ殿ったら」
ほほ、と笑ってエークがペニスをこすりはじめた。
——皆んなどうしちゃったんだろう。魔法をかけられたみたいになっちゃって……。
イェロードは、眼下の光景に釘付けになった。まともなのは、性奴隷としてギーフに奉仕しているソルブだけで、あとの三人はまるで幻覚のなかで肉慾を貪っているようだった。
「あ……ああっ——」ギーフが叫んだ。
「ギーフ様、お逃げにならないでください」
とソルブが云って、ギーフの腰をがっしりと掴んで引きもどそうとした。
ギーフが叫んだ。
「フィオナよ! わたしはフィオナ!」
「失礼いたしました、フィオナ様」ソルブが腰の動きを止めて謝罪した。ギーフの腰から両手を放し、そのまま頭上に持ちあげる。「どうかお許しを」
ギーフは自分から腰を揺すりはじめた。
「まあ、フィオナ様ったら。やっぱり血は争えないわね」エークがナコシュのペニスを扱きたてながら笑った。「サーダの血が流れているのね」
ナコシュも笑った。「ローエ様の血も流れているからな。淫塊の第七王子というわけだ」
——ローエの息子? 第七王子? ぼくの身代わりじゃなかったの?
イェロードは混乱した。ただひとつ云えるのは、三人は正気ではないということだ。まるで幻覚を見せる毒か、そうでなければ、かつて捕虜となった敵国の騎士に使ったとされる自白の薬を飲まされているかのようだった。
エークがナコシュのペニスを扱きながら云った。「ソルブ。フィオナ様の、具合は、どうな、の?」
続けてナコシュが云った。「少し……余裕を持たせて……おけ。俺の……楽しみも……ある……からな」
ふたりは呂律が回っていない。その上、さっきから下品な笑い声を出している。気がふれているのは明らかだった。
「かしこまりました、ナコシュ様」
とソルブが応えた。ふたたび両手でギーフの腰をつかみ、左脚を前に踏みだすと、間髪入れず激しく尻を振りたてた。「まもなく準備が整います」
ずちゃずちゃと卑猥な音が寝台に響いた。
やがてギーフが大きくのけ反って絶叫した。ソルブはそこで動きを止めた。ギーフは尻を痙攣させるようにぶるぶると震わせている。
「ナコシュ様、お待たせいたしました」ソルブはゆっくりと退いた。「ご確認を」
ナコシュがギーフの尻の前に移動した。前屈みになって双臀の肉を手でつかみ、左右に割りひらく。ナコシュは、顔を近づけて道の具合をしげしげと眺めた。
「ああ……フィオナ……」
「……ナコシュ……早く続きを……」ギーフがせがんだ。
つぎの瞬間——。
ナコシュがギーフを貫いた。獣の交尾のように腰を振る。ふたりは肉慾のままに快楽を貪った。
「ナコシュ! あっ、ああっ! あああっ!」
「くうっ……フィオナ……おおお! うおおおおっ!」
それを見ていたエークが、こんどはソルブのからだを指で撫ではじめた。「ねえ……わたしの……つぎは、わたしの、番よ」
寝台の上ではナコシュが四つん這いのギーフを貫いている。ソルブはその隣りで仰向けに横たわった。エークが、ふふっ、と艶かしく笑いながらソルブの上に乗り、手指と口舌でソルブの肉體を味わいはじめた。
イェロードは、眼下でくり広げられている淫らな晩餐のデザートを、ペニスを屹立させながら見つめた。
ギーフが身につけていた豪奢なドレスはすでにびりびりに引きちぎられて、寝台の上にボロ切れのように置き捨てられている。素裸かのギーフは四つん這いになって尻を高く上げていて、その後ろからソルブがギーフの尻を貫いていた。
「ギーフ様、しばらくのご辛抱です」ソルブが腰を振りながら云った。「そろそろよくなってくるころです」
ギーフは甲高い声で喘ぎつづけていた。よほど苦しいのだろうか。尻を突かれるたびに、少しずつ飾り棚に向って身を辷らせる。
その傍では膝立ちになったナコシュが、背後に回ったエークから愛撫を受けていた。
「ああ、ナコシュ殿……。なんてたくましい……」
エークはその指先をナコシュの胸から腹にゆっくりと這わせている。さわさわとひと撫で。そしてもうひと撫で。ナコシュの夥しい体毛が、エークの指の櫛でとかれながら、強靭な肉体の上で紋章のように形作られてゆく。
「エーク殿、俺の剣も磨いてはくれぬか」
「もちろんよ」エークは指先をゆるゆると腹の下に辷らせて、ナコシュのペニスを両手で握りしめた。背後から顔を出して、そっと囁く。「ご立派だわ。きっと何人もの娼婦を悦ばせてきたのでしょうね」
ナコシュは満足げに鼻を鳴らして、
「王都の娼婦は皆んな識っているぞ。この剣の斬れ味をな」
「まあ、ナコシュ殿ったら」
ほほ、と笑ってエークがペニスをこすりはじめた。
——皆んなどうしちゃったんだろう。魔法をかけられたみたいになっちゃって……。
イェロードは、眼下の光景に釘付けになった。まともなのは、性奴隷としてギーフに奉仕しているソルブだけで、あとの三人はまるで幻覚のなかで肉慾を貪っているようだった。
「あ……ああっ——」ギーフが叫んだ。
「ギーフ様、お逃げにならないでください」
とソルブが云って、ギーフの腰をがっしりと掴んで引きもどそうとした。
ギーフが叫んだ。
「フィオナよ! わたしはフィオナ!」
「失礼いたしました、フィオナ様」ソルブが腰の動きを止めて謝罪した。ギーフの腰から両手を放し、そのまま頭上に持ちあげる。「どうかお許しを」
ギーフは自分から腰を揺すりはじめた。
「まあ、フィオナ様ったら。やっぱり血は争えないわね」エークがナコシュのペニスを扱きたてながら笑った。「サーダの血が流れているのね」
ナコシュも笑った。「ローエ様の血も流れているからな。淫塊の第七王子というわけだ」
——ローエの息子? 第七王子? ぼくの身代わりじゃなかったの?
イェロードは混乱した。ただひとつ云えるのは、三人は正気ではないということだ。まるで幻覚を見せる毒か、そうでなければ、かつて捕虜となった敵国の騎士に使ったとされる自白の薬を飲まされているかのようだった。
エークがナコシュのペニスを扱きながら云った。「ソルブ。フィオナ様の、具合は、どうな、の?」
続けてナコシュが云った。「少し……余裕を持たせて……おけ。俺の……楽しみも……ある……からな」
ふたりは呂律が回っていない。その上、さっきから下品な笑い声を出している。気がふれているのは明らかだった。
「かしこまりました、ナコシュ様」
とソルブが応えた。ふたたび両手でギーフの腰をつかみ、左脚を前に踏みだすと、間髪入れず激しく尻を振りたてた。「まもなく準備が整います」
ずちゃずちゃと卑猥な音が寝台に響いた。
やがてギーフが大きくのけ反って絶叫した。ソルブはそこで動きを止めた。ギーフは尻を痙攣させるようにぶるぶると震わせている。
「ナコシュ様、お待たせいたしました」ソルブはゆっくりと退いた。「ご確認を」
ナコシュがギーフの尻の前に移動した。前屈みになって双臀の肉を手でつかみ、左右に割りひらく。ナコシュは、顔を近づけて道の具合をしげしげと眺めた。
「ああ……フィオナ……」
「……ナコシュ……早く続きを……」ギーフがせがんだ。
つぎの瞬間——。
ナコシュがギーフを貫いた。獣の交尾のように腰を振る。ふたりは肉慾のままに快楽を貪った。
「ナコシュ! あっ、ああっ! あああっ!」
「くうっ……フィオナ……おおお! うおおおおっ!」
それを見ていたエークが、こんどはソルブのからだを指で撫ではじめた。「ねえ……わたしの……つぎは、わたしの、番よ」
寝台の上ではナコシュが四つん這いのギーフを貫いている。ソルブはその隣りで仰向けに横たわった。エークが、ふふっ、と艶かしく笑いながらソルブの上に乗り、手指と口舌でソルブの肉體を味わいはじめた。
イェロードは、眼下でくり広げられている淫らな晩餐のデザートを、ペニスを屹立させながら見つめた。
10
お気に入りに追加
168
あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

禁断の祈祷室
土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。
アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。
それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。
救済のために神は神官を抱くのか。
それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。
神×神官の許された神秘的な夜の話。
※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)


【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

皇帝陛下の精子検査
雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。
しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。
このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。
焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる