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第五章 寝台の神話
10 ノクナードに授けられた名は……
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ノモクは、海のなかを漂っているような気分で目覚めた自分に驚いた。昼食のあとの、束の間の転寝からの目覚めとは明らかに異なっていた。隣りには全裸のエシフが寝ている。そして自分も全裸だった。
今いる寝台の上は、嵐が過ぎさったあとの穏やかな海の面のようだった。
ノモクは寝台の飾り棚を手探りして懐中時計を探そうとした。何かに手が触れて、カチッと音がした。身を起こして確認すると、それはガラスの小瓶だった。
「あ」
みっつ並べられた小瓶のうち、ふたつは白い液体で充されていた。もうひとつは空っぽだった。ノモクは、自分のペニスを、そしてエシフのペニスを交互に見比べた。
——これは、ぼくのだよな……。だって、エシフのは……。
ノモクは、寝起きの微睡みのなかで、この寝台の上でエシフと肉の交わりを持ったこと、エシフに貫かれて精を注ぎこまれ、そして自分が精を迸らせたことを思い出した。
——小瓶みっつで肉入りスープがもらえるって云ってたっけ。
ノモクは、もう一度、エシフに目をやった。風を受けた舟の帆のような胸板が、規則的な呼吸と倶に、伸びやかに上下している。両腕を投げだし、両の手首を頭の上で交叉させるようにしているのは、これまで受けてきた拷問の縛が彼の身に刻まれているからなのだろう。そして何よりも目につくのが、彼の屹立したペニスだった。性奴隷としてこの屋敷で奉仕しているエシフは、いつでも客人をもてなすため、寝台の上ではその長大なペニスを常に雄々しく屹立させているに相違ない。
ノモクは、エシフのペニスに手を伸ばした。握ろうとする。いや、だめだ。エシフに辱めを与えることになる。最後のガラス瓶を充すのは、エシフの精ではない。やはり自分のものを……。ノモクは手を引いた。
——そうだ。懐中時計!
懐中時計は、飾り棚の右端にあった。夕食の時間までにはまだ余裕がある。肉入りスープ以外にも何か美味しいものを用意してもらえるかもしれない。
ノモクは、顰めっ面で腰をおさえながら寝台から出ると、小瓶を片手にし、エシフを起こさないようにそろりそろりと湯屋へと向った。湯屋へ通じる扉を開けるとき、ふと気になって右にある寝台を見た。
そこには神話の男神を象った彫像のような美しい裸身の持ち主が横たわっていた。どうしても屹立したペニスに目を奪われてしまう。帆舟のマストのように隆々と聳り勃ち、泛きでた太い血管が綱のように巻きついてみえる。
——あれがぼくのなかに這入っていたんだ……。
尻の奥が疼きはじめ、それと同時に股間に勃然としたものを感じた。ペニスが屹立していた。エシフに剥かれたはずの包皮が半分ほど被っている。手で引き戻すと、包皮は容易くぺろんと後退した。ひんやりとした空気が剥けあがった尖端を包んだ。
ノモクは急いで湯屋に這入った。
お湯の準備は出来ていなかった。湯槽に残り湯があるばかりで湯気は立っていない。石造りの湯屋の内部は、少しだけ肌寒かった。それでもようやく独りきりになれて、ノモクは吻っとした。そしてあることに気づいた。尻が濡れている。そればかりか生温かいものが太腿のあいだに垂れている。
精液だった。
尻の奥に源泉が掘られていたのだった。エシフに何度もペニスを搏ちこまれた記憶がふたたび甦って脚が震えた。ガラスの小瓶を落としそうになって、慌てて両手で包むように握りしめた。
そのとき、壁の奥の扉が開いた。
「王子……」
「あっ……君は……」
声をかけてきたのは、あの少年奴隷だった。ソルブと一緒に昼食を部屋に運んでくれた彼が、湯屋の見張り番をしていたのだった。
「王子。それは……」少年奴隷は、ガラスの小瓶をちらと見ると、湯屋に這入りながら腰布をほどいた。そしてノモクを直視しないように、それを頭巾代わりに被った。「わたしがお手伝いを致します」
「えっ」
「先ほど、ソルブとわたしの舞いをご覧になりましたよね」少年奴隷は、ノモクの手からガラスの小瓶を引きとって、器用に頭と頭巾のあいだに押しこんだ。茫然と立ちつくすノモクの腰を両手でつかんで引き寄せ、ノモクのペニスに自分のペニスを重ねた。「同じようにするだけです。わたしにお任せください」彼は腰を使って、ペニスとペニスをこすりあわせた。
ノモクは、突然の出来事に声が出なかった。少年奴隷の腰に両手をあてて、形ばかりの抵抗をしながら、後退る。湯屋のなかを踊るようにくるくると回りながら、ついには隅の壁に追いつめられてしまった。
少年奴隷は腰を大きく揺らしながら、くんくんと鼻を鳴らした。「エシフの匂いがします」
「えっ」ノモクは両脚を閉じようとしたが、すでに少年奴隷に太腿のあいだを割られていた。
「一緒にいらっしゃったのですか——」少年奴隷は、片手を腰からノモクの尻に辷らせて、指先を谷間にもぐらせた。「ああ、ノクナードの儀式をお受けになったのですね」そしてノモクの濡れそぼった肛門を指の腹で叮嚀に捏ねまわした。
「あっ……ああっ」ペニスと肛門を同時に刺戟されて、ノモクは悶えた。両脚が震える。支えがなければ立ってはいられない。
「あなたは、ノクナードに仕える男になられた」
少年奴隷はこう云ってノモクから離れた。
ノモクは背中を壁に預け、床にずり落ちるにまかせた。しどけなく展いた太腿と太腿のあいだに少年奴隷が割って這入る。ノモクのペニスは、今にも射精しそうなくらいに戦慄いていた。
そのときだった。
湯屋の見張り小屋——湯を絶やさぬよう男奴隷たちが交代でそこにいる——へ続く扉が開き、異国の言葉で何かを云いながら、背の高い男奴隷が這入ってきた。ソルブだった。
「おっ」ノモクを認めて、ソルブはすぐさま言葉を切り替えた。「王子、一体何事ですか?」
少年奴隷が立上り、ソルブに向って云った。「王子がエシフにノクナードの儀式を受けたんです」
ソルブは、信じられないという顔になったが、しかしそれも一瞬のことで、堂々と腰布をほどいて全裸になると、ノモクに歩みよった。
ノモクは怖くなった「ソルブ……何をするの?」
「尻をあらためるのです」ソルブは少年奴隷の代わりにノモクの股間に割りこんだ。それからノモクの腰を持ちあげて自分の胸板で支え、両手で尻の谷間を左右に割りひらいた。「ほう……」
少年奴隷も横からノモクの肛門を覗きこんだ。
ノモクはイヤイヤをするように身を捩らせた。「命令だよ。見ないで。ぼくを独りにして。そして誰にも云わないで……」
みっつの命令は——彼らの耳には届かなかった。
少年奴隷が頭巾からガラスの小瓶を取りだして栓を開け、小瓶の口をノモクのペニスの尖端に近づけた。
ソルブがそれを受けて、ノモクのペニスをゆるゆると扱きはじめた。「王子、あなたの名は?」
「忘れたの?」ノモクは、羞恥と快感に喘ぎながら云った。「ノモクだよ……ああっ……」
「それではありません」ソルブがペニスを揉みしだきながら云った。「ノクナードから授けられた名のことです。あなたは、ノクナードに仕える男になったのですから」
ノモクは悶えながら思いかえそうとした。エシフは何と云っていた?
突然、寝室へつながる扉が開いた。
「この者の名は——」
エシフが湯屋に現れた。
今いる寝台の上は、嵐が過ぎさったあとの穏やかな海の面のようだった。
ノモクは寝台の飾り棚を手探りして懐中時計を探そうとした。何かに手が触れて、カチッと音がした。身を起こして確認すると、それはガラスの小瓶だった。
「あ」
みっつ並べられた小瓶のうち、ふたつは白い液体で充されていた。もうひとつは空っぽだった。ノモクは、自分のペニスを、そしてエシフのペニスを交互に見比べた。
——これは、ぼくのだよな……。だって、エシフのは……。
ノモクは、寝起きの微睡みのなかで、この寝台の上でエシフと肉の交わりを持ったこと、エシフに貫かれて精を注ぎこまれ、そして自分が精を迸らせたことを思い出した。
——小瓶みっつで肉入りスープがもらえるって云ってたっけ。
ノモクは、もう一度、エシフに目をやった。風を受けた舟の帆のような胸板が、規則的な呼吸と倶に、伸びやかに上下している。両腕を投げだし、両の手首を頭の上で交叉させるようにしているのは、これまで受けてきた拷問の縛が彼の身に刻まれているからなのだろう。そして何よりも目につくのが、彼の屹立したペニスだった。性奴隷としてこの屋敷で奉仕しているエシフは、いつでも客人をもてなすため、寝台の上ではその長大なペニスを常に雄々しく屹立させているに相違ない。
ノモクは、エシフのペニスに手を伸ばした。握ろうとする。いや、だめだ。エシフに辱めを与えることになる。最後のガラス瓶を充すのは、エシフの精ではない。やはり自分のものを……。ノモクは手を引いた。
——そうだ。懐中時計!
懐中時計は、飾り棚の右端にあった。夕食の時間までにはまだ余裕がある。肉入りスープ以外にも何か美味しいものを用意してもらえるかもしれない。
ノモクは、顰めっ面で腰をおさえながら寝台から出ると、小瓶を片手にし、エシフを起こさないようにそろりそろりと湯屋へと向った。湯屋へ通じる扉を開けるとき、ふと気になって右にある寝台を見た。
そこには神話の男神を象った彫像のような美しい裸身の持ち主が横たわっていた。どうしても屹立したペニスに目を奪われてしまう。帆舟のマストのように隆々と聳り勃ち、泛きでた太い血管が綱のように巻きついてみえる。
——あれがぼくのなかに這入っていたんだ……。
尻の奥が疼きはじめ、それと同時に股間に勃然としたものを感じた。ペニスが屹立していた。エシフに剥かれたはずの包皮が半分ほど被っている。手で引き戻すと、包皮は容易くぺろんと後退した。ひんやりとした空気が剥けあがった尖端を包んだ。
ノモクは急いで湯屋に這入った。
お湯の準備は出来ていなかった。湯槽に残り湯があるばかりで湯気は立っていない。石造りの湯屋の内部は、少しだけ肌寒かった。それでもようやく独りきりになれて、ノモクは吻っとした。そしてあることに気づいた。尻が濡れている。そればかりか生温かいものが太腿のあいだに垂れている。
精液だった。
尻の奥に源泉が掘られていたのだった。エシフに何度もペニスを搏ちこまれた記憶がふたたび甦って脚が震えた。ガラスの小瓶を落としそうになって、慌てて両手で包むように握りしめた。
そのとき、壁の奥の扉が開いた。
「王子……」
「あっ……君は……」
声をかけてきたのは、あの少年奴隷だった。ソルブと一緒に昼食を部屋に運んでくれた彼が、湯屋の見張り番をしていたのだった。
「王子。それは……」少年奴隷は、ガラスの小瓶をちらと見ると、湯屋に這入りながら腰布をほどいた。そしてノモクを直視しないように、それを頭巾代わりに被った。「わたしがお手伝いを致します」
「えっ」
「先ほど、ソルブとわたしの舞いをご覧になりましたよね」少年奴隷は、ノモクの手からガラスの小瓶を引きとって、器用に頭と頭巾のあいだに押しこんだ。茫然と立ちつくすノモクの腰を両手でつかんで引き寄せ、ノモクのペニスに自分のペニスを重ねた。「同じようにするだけです。わたしにお任せください」彼は腰を使って、ペニスとペニスをこすりあわせた。
ノモクは、突然の出来事に声が出なかった。少年奴隷の腰に両手をあてて、形ばかりの抵抗をしながら、後退る。湯屋のなかを踊るようにくるくると回りながら、ついには隅の壁に追いつめられてしまった。
少年奴隷は腰を大きく揺らしながら、くんくんと鼻を鳴らした。「エシフの匂いがします」
「えっ」ノモクは両脚を閉じようとしたが、すでに少年奴隷に太腿のあいだを割られていた。
「一緒にいらっしゃったのですか——」少年奴隷は、片手を腰からノモクの尻に辷らせて、指先を谷間にもぐらせた。「ああ、ノクナードの儀式をお受けになったのですね」そしてノモクの濡れそぼった肛門を指の腹で叮嚀に捏ねまわした。
「あっ……ああっ」ペニスと肛門を同時に刺戟されて、ノモクは悶えた。両脚が震える。支えがなければ立ってはいられない。
「あなたは、ノクナードに仕える男になられた」
少年奴隷はこう云ってノモクから離れた。
ノモクは背中を壁に預け、床にずり落ちるにまかせた。しどけなく展いた太腿と太腿のあいだに少年奴隷が割って這入る。ノモクのペニスは、今にも射精しそうなくらいに戦慄いていた。
そのときだった。
湯屋の見張り小屋——湯を絶やさぬよう男奴隷たちが交代でそこにいる——へ続く扉が開き、異国の言葉で何かを云いながら、背の高い男奴隷が這入ってきた。ソルブだった。
「おっ」ノモクを認めて、ソルブはすぐさま言葉を切り替えた。「王子、一体何事ですか?」
少年奴隷が立上り、ソルブに向って云った。「王子がエシフにノクナードの儀式を受けたんです」
ソルブは、信じられないという顔になったが、しかしそれも一瞬のことで、堂々と腰布をほどいて全裸になると、ノモクに歩みよった。
ノモクは怖くなった「ソルブ……何をするの?」
「尻をあらためるのです」ソルブは少年奴隷の代わりにノモクの股間に割りこんだ。それからノモクの腰を持ちあげて自分の胸板で支え、両手で尻の谷間を左右に割りひらいた。「ほう……」
少年奴隷も横からノモクの肛門を覗きこんだ。
ノモクはイヤイヤをするように身を捩らせた。「命令だよ。見ないで。ぼくを独りにして。そして誰にも云わないで……」
みっつの命令は——彼らの耳には届かなかった。
少年奴隷が頭巾からガラスの小瓶を取りだして栓を開け、小瓶の口をノモクのペニスの尖端に近づけた。
ソルブがそれを受けて、ノモクのペニスをゆるゆると扱きはじめた。「王子、あなたの名は?」
「忘れたの?」ノモクは、羞恥と快感に喘ぎながら云った。「ノモクだよ……ああっ……」
「それではありません」ソルブがペニスを揉みしだきながら云った。「ノクナードから授けられた名のことです。あなたは、ノクナードに仕える男になったのですから」
ノモクは悶えながら思いかえそうとした。エシフは何と云っていた?
突然、寝室へつながる扉が開いた。
「この者の名は——」
エシフが湯屋に現れた。
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