[R-18] 奴隷のレッスン:騎士団所属の末っ子王子は、イケメン奴隷に身も心も奪われる

山葉らわん

文字の大きさ
上 下
43 / 93
第五章 寝台の神話

4 祝福の口吻(くちづけ)【絡み:エシフxノモク】

しおりを挟む
 ノモクがこれから始まることを想像して、ごくりと唾を飲みこんだ直後だった。エシフが彼の腰布トルーズを拾いあげた。ノモクがそれを目にしたつぎの瞬間には、両手首が交叉され腰布が巻きつけられていた。
 あっという間の出来事だった。
 エシフは慣れた手つきで縛りあげると、ノモクの両腕を頭のうえにもたげさせ、腰布の両端を飾り棚の中央にある鉄の輪にくぐらせて結びつけた。
「脚も縛りましょうか?」エシフが太い声で訊いた。
 ノモクは恐怖で声が出なかった。ただ頭を横に振るのがやっとだった。両脚を閉じなければと気づいたときには、しかし太腿のあいだにエシフが太い膝を辷りこませていた。
「エシフ……。いやだ……」ノモクは懇願した。両脚が膝で折られる。エシフの両腕に支えられた腰がゆっくりと持ちあげられる。「あっ……あっ……」エシフの厚い胸板に腰が支えられる。ノモクは頭を横に振った。エシフの両手によって尻がふたつに割り展げられる。「ああっ……エシフ……」
「もっと明るいところで見たいものですね」エシフの目が、尻の谷間にぽつんと置かれた肉の蕾に注がれている。「カーテンを開けましょう」
 エシフが腕を伸ばして紐を引きおろした。天蓋のカーテンが左右に開く。
 エシフはノモクの姿勢をもとに戻して寝台から降り、ランプに火を灯すと、それを手に戻ってきて、寝台の頭側の壁に掛けた。そしてもう一度、ノモクの腰をすくいあげ、両手でノモクの尻をふたつに割った。
「わたしは、この可憐な花のなかに這入っていたのですね」
 ノモクは恥じの部分を見られたくなくて身を捩らせた。しかし無駄な抵抗だった。エシフがシーツのうえに溢れていた砂糖菓子をひとつ、そこへ埋めこんだ。
 ノモクはうめき声を上げた。腰の奥が次第に熱くなってくる。まるで火種を尻の孔から挿しこまれ、それが腰の奥でちろちろと燃えているような感じだった。
 エシフは、ノモクのようすをしばらく見下ろし、それからゆっくりとノモクの腰を降ろした。すでにノモクは、あられも無い姿で悶えている。彼は両膝を立てる力も無く、しどけなく両脚を展げ、そのなかのぺニスを屹立させていた。
 エシフが云った。
「祝福の口吻くちづけをしてさしあげましょう」そして身を屈めながら顔を降ろしてゆく。「あなたがわたしにしたように、この肌のすべてに」ノモクの顔を覗きこむ。「さあ、わたしの名を呼ぶのです。あなたの神の名を」
「エシ、フ」
 ノモクは目を閉じた。唇にエシフの唇が触れるのを感じた。軽い口吻だ。しかも、やわらかい花びらがそっと乗ったような感触だった。
 唇が離れた。
「女と口吻を交わしたことは?」
「あいさつ代わりの口吻なら」
 エシフは何も云わず、もう一度唇を重ねてきた。
 これは……。エシフの唇はとてもやわらかくて、ノモクはその感触にすっかり酔いしれてしまった。エシフはたくましい肉體を持っていて、あの長大なペニスに至っては、硬く燃えるような熱を発していた。けれどもエシフの唇は、やわらかく、人肌の温もりがある。こんなことってあるだろうか。エシフが唇をそっと動かした。つぎは……。下唇をエシフの唇がはさんだ。やさしく引っぱられる。閉じていた唇がほんの少し開かれる。
「あっ」
 突然、エシフの唇が離れた。もう少し口吻の感触を味わいたいと思っていたのに……。
「エボーイ・オワノニーカム」厳かな声が降りてきた。
「エシフ……」ノモクは、その名を口にした。
「おまえに祝福を授けよう」
 唇と唇が重なりあった。エシフの唇が少し開き、ノモクの閉じた唇をエシフの舌が割る。ノモクは祝福を受けるために唇のちからを抜いた。エシフの舌は、まずノモクの上歯の裏をゆっくりとなぞった。右から左に、そして左から右に……。ノモクは焦ったくなって、自分から舌を伸ばした。早く祝福を。
 エシフの舌先が、ようやくノモクの舌先に触れたので、ノモクは顔をもっと近づけようとした。上背があり強靭な肉體のエシフ。勇敢な漁師、美しい奴隷、そして男のなかの男。そんな彼が、ノモクの神となって祝福の口吻を授けてくれている。
 ノモクは両手が縛られているのがもどかしかった。その見事な裸身にすがりつきたい、隅々に手を触れたい、と思った。もう、男同士で、などという恐れはなかった。
 エシフの唇が呼吸のためにほんの一瞬だけ離れ、また口吻が始まった。ノモクは唇を大きく展いてエシフを迎えいれた。エシフの舌がやわらかく絡みついてきて、ノモクは天に導かれるような心地がした。
 これが本当の口吻なんだ……。ノモクは、ゼーゲンに授けられた祝福の口吻を、記憶から消してしまいたいと思った。あれは頬への口吻だった。祭服を着ていた。けれどもゼーゲンから祝福を受けるたびに身も心もこわばるのを感じていた。あれは神への畏敬から来るものだと納得していた。しかしそうでは無かった。
 エシフの舌が、ノモクの舌をやさしく愛撫する。それにあわせてエシフが少しずつ裸身を降ろしてきた。潮の香がノモクのうえに降りそそぐ。ノモクは両脚をエシフの腰に巻きつけた。ペニスとペニスが重なりあう。唇への口吻、祭服のない素裸かの抱擁。これこそが本当の口吻なのだ。
 ノモクは腰を揺らして、ペニスとペニスをこすりあわせた。はじめは小波のようにそっと揺らしていたが、気づけば荒波のように大きくうねらせていた。腰の奥に快楽の源泉のようなものがあって、それがノモクのペニスに熱くたぎるものを送りだそうとして……。
 そのときだった。
 エシフが口吻をやめ、受けとめていたあの肉體の重みが消えた。ノモクは、ぼんやりと目を開けた。顔を起こすと、膝と膝のあいだでエシフが膝立ちになっていた。エシフのペニスが鐘楼のようにそびえ立っている。ずっしりと重たそうな睾丸が、陰嚢のなかで左右交互に上下する。
「エボーイ・オワノニーカム」
「……エシフ」
「わたしのすることを受けとれと云ったはずだ」
「あ……」
 エシフは、もう性奴隷ではなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

禁断の祈祷室

土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。 アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。 それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。 救済のために神は神官を抱くのか。 それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。 神×神官の許された神秘的な夜の話。 ※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

皇帝陛下の精子検査

雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。 しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。 このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。 焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

処理中です...