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第五章 寝台の神話
3 何もご存じないのですね【絡み:エシフxノモク】
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突然、エシフがノモクに巻きつけた両腕の縛をほどいた。エシフにしがみついていたノモクは、一瞬、何が起こったのかわからなかった。戸惑うノモクをよそに、エシフはノモクの手脚をするりとすり抜けて何処かへ行ってしまった。
「エシフ……?」
エシフの肉體の重み、匂い、感触。それまでノモクを支配していたものが、夢のように消えさった。ノモクは、周囲を見廻すために身を起こそうとした。
「王子、申し訳ありません」ノモクの右耳にエシフの声が忍びこんだ。「少し急ぎすぎたようです」少しかすれた官能的な声だった。
ノモクがぞくりとしたつぎの瞬間、シーツに埋もれた彼を掘りおこすように、エシフがそのあいだに辷りこんできた。
「あ」
気づけばノモクは左側をしたにして横向きになっていた。首のしたには、エシフのたくましい腕が差しこまれ、背中にはエシフの厚い胸板が押しつけられている。右脚は持ちあげられて、エシフのがっしりした腰に引っかけられていて……。
無防備になった尻の谷間に、エシフのペニスが挟まっていた。硬い。そして熱を持っている。ノモクは反射的に肛門を窄めたが、エシフのペニスはきっとバターを溶かすようにじっくりと這入ってくるだろう。
ノモクは身ぶるいした。
「王子、物事には順序があります」エシフがなだめるように云った。「ですから、まだ何もしません」しかし思い出したかのように云い直す。「もうしてしまいましたね。ですから、これからは順序どおりに」
エシフの大きな手が、右の内腿をそっと撫であげ、陰嚢の裏側に回った。肛門と陰嚢のあいだに泛ぶ縦筋を、指先の爪でカリカリとなぞる。
ノモクは悲鳴を上げた。自由に動く右腕を伸ばしてエシフを制止しようとしたが無駄だった。振りあげた手は押しよせる快楽に、あたかも蝶のように宙をひらひらと踊るだけだった。
エシフがくすりと笑う。「あなたはご自分の肉體について、まだ何もご存知ないのですね」
それからエシフの手は、ゆっくりと腹へ登ってゆき、そのまま左胸へと移った。エシフが五本の指を猫のように立てて、胸の表面をそっと辷らせる。
ノモクは全身を強張らせた。
「あなたの肉體の声に耳を傾けるのです」エシフは、ノモクの右腕を自分の首にかけた。「こちらの胸も試してみましょう」
エシフの唇が右の乳暈にかぶせられた。
「エシフ、何をするの?」聞こえるか聞こえないかの小声だった。
エシフは猫がクリームを舐めるように、じっくりとノモクの乳首のうえで舌を動かせた。ノモクが声を上げると、反対側の乳首を指の腹で強く捏ねた。
顔を上げてエシフが云った。「この国では、ここを胸イチゴと呼ぶようですが、わたしの生まれた国では、胸の真珠と呼んでいます」左胸の乳首を叮嚀に捏ねあげる。「ほら、どうです?」
ノモクはエシフと女奴隷の交わりを思い出した。もしかして自分の胸も……。ふうふうと喘ぎながら、そっと顔を胸許に向ける。
「まだ少しやわらかいですが、すぐに硬くなりますよ」エシフは親指と人差し指を巧みに動かし、ノモクの乳首を捏ねつづける。「あなたは、とても素直なので教えがいがあります」
「教える?」ノモクは喘ぎながら訊いた。「何を?」
エシフの手が右の乳首に移る。左の乳首はエシフの云うように、すでにつんと硬くなっていた。こんどは右の乳首の番だった。
「わたしの国では、女を識るまえに男同士で教えあうのです」ぞくりとするほど官能的な声だ。「あなたがたの国では、男をすぐに娼館に連れていくようですが」
「男同士で……。それは、ぼくの国も、そうだよ。はじめに娼館の話を聞いて……」
「あなたの身代わりの騎士がいましたよね。彼は女を識って、どうなりましたか?」
ノモクは即答できなかった。ひとつには右の乳首に鋭い衝撃が疾ったからであり、もうひとつには地下の拷問部屋でのギーフとナコシュの醜態を思い出したからであった。
この国の娼館では、毎日あのような男と女の交わりがくり広げられているのだろうか?
それとも彼らは、あのような趣味を持っているだけなのだろうか?
いずれにしても、エシフと女奴隷の交わりのほうが美しい光景に思えたのは、まごうことなき事実だった。
「おや。あなたは左胸よりも右胸のほうが感じるようですね」エシフはノモクの変化に気づいた。「それではもっと試してみましょう」
ノモクは懇願した。「エシフ、もうやめて。男同士で、こんなの変だよ」
「何故です?」エシフは手の動きをとめて訊いた。
「神の意思に反する行為だよ」
「そうでしょうか?」エシフは怪訝そうに云った。「エボーイ・オワノニーカム……」
「エシフ?」
「わたしは、あなたに三度訊きました」エシフはもう一度、その言葉を口にしてから、教え諭すように云った。「汝の神の名を呼べ、という意味です」
ノモクは絶句した。
エシフは続けた。「そしてあなたは、わたしの名を呼びました」低く太い声だ。「ご安心ください。目を閉じて、これからわたしがあなたにすることを、受けとるだけですから」
「エシフ……?」
エシフの肉體の重み、匂い、感触。それまでノモクを支配していたものが、夢のように消えさった。ノモクは、周囲を見廻すために身を起こそうとした。
「王子、申し訳ありません」ノモクの右耳にエシフの声が忍びこんだ。「少し急ぎすぎたようです」少しかすれた官能的な声だった。
ノモクがぞくりとしたつぎの瞬間、シーツに埋もれた彼を掘りおこすように、エシフがそのあいだに辷りこんできた。
「あ」
気づけばノモクは左側をしたにして横向きになっていた。首のしたには、エシフのたくましい腕が差しこまれ、背中にはエシフの厚い胸板が押しつけられている。右脚は持ちあげられて、エシフのがっしりした腰に引っかけられていて……。
無防備になった尻の谷間に、エシフのペニスが挟まっていた。硬い。そして熱を持っている。ノモクは反射的に肛門を窄めたが、エシフのペニスはきっとバターを溶かすようにじっくりと這入ってくるだろう。
ノモクは身ぶるいした。
「王子、物事には順序があります」エシフがなだめるように云った。「ですから、まだ何もしません」しかし思い出したかのように云い直す。「もうしてしまいましたね。ですから、これからは順序どおりに」
エシフの大きな手が、右の内腿をそっと撫であげ、陰嚢の裏側に回った。肛門と陰嚢のあいだに泛ぶ縦筋を、指先の爪でカリカリとなぞる。
ノモクは悲鳴を上げた。自由に動く右腕を伸ばしてエシフを制止しようとしたが無駄だった。振りあげた手は押しよせる快楽に、あたかも蝶のように宙をひらひらと踊るだけだった。
エシフがくすりと笑う。「あなたはご自分の肉體について、まだ何もご存知ないのですね」
それからエシフの手は、ゆっくりと腹へ登ってゆき、そのまま左胸へと移った。エシフが五本の指を猫のように立てて、胸の表面をそっと辷らせる。
ノモクは全身を強張らせた。
「あなたの肉體の声に耳を傾けるのです」エシフは、ノモクの右腕を自分の首にかけた。「こちらの胸も試してみましょう」
エシフの唇が右の乳暈にかぶせられた。
「エシフ、何をするの?」聞こえるか聞こえないかの小声だった。
エシフは猫がクリームを舐めるように、じっくりとノモクの乳首のうえで舌を動かせた。ノモクが声を上げると、反対側の乳首を指の腹で強く捏ねた。
顔を上げてエシフが云った。「この国では、ここを胸イチゴと呼ぶようですが、わたしの生まれた国では、胸の真珠と呼んでいます」左胸の乳首を叮嚀に捏ねあげる。「ほら、どうです?」
ノモクはエシフと女奴隷の交わりを思い出した。もしかして自分の胸も……。ふうふうと喘ぎながら、そっと顔を胸許に向ける。
「まだ少しやわらかいですが、すぐに硬くなりますよ」エシフは親指と人差し指を巧みに動かし、ノモクの乳首を捏ねつづける。「あなたは、とても素直なので教えがいがあります」
「教える?」ノモクは喘ぎながら訊いた。「何を?」
エシフの手が右の乳首に移る。左の乳首はエシフの云うように、すでにつんと硬くなっていた。こんどは右の乳首の番だった。
「わたしの国では、女を識るまえに男同士で教えあうのです」ぞくりとするほど官能的な声だ。「あなたがたの国では、男をすぐに娼館に連れていくようですが」
「男同士で……。それは、ぼくの国も、そうだよ。はじめに娼館の話を聞いて……」
「あなたの身代わりの騎士がいましたよね。彼は女を識って、どうなりましたか?」
ノモクは即答できなかった。ひとつには右の乳首に鋭い衝撃が疾ったからであり、もうひとつには地下の拷問部屋でのギーフとナコシュの醜態を思い出したからであった。
この国の娼館では、毎日あのような男と女の交わりがくり広げられているのだろうか?
それとも彼らは、あのような趣味を持っているだけなのだろうか?
いずれにしても、エシフと女奴隷の交わりのほうが美しい光景に思えたのは、まごうことなき事実だった。
「おや。あなたは左胸よりも右胸のほうが感じるようですね」エシフはノモクの変化に気づいた。「それではもっと試してみましょう」
ノモクは懇願した。「エシフ、もうやめて。男同士で、こんなの変だよ」
「何故です?」エシフは手の動きをとめて訊いた。
「神の意思に反する行為だよ」
「そうでしょうか?」エシフは怪訝そうに云った。「エボーイ・オワノニーカム……」
「エシフ?」
「わたしは、あなたに三度訊きました」エシフはもう一度、その言葉を口にしてから、教え諭すように云った。「汝の神の名を呼べ、という意味です」
ノモクは絶句した。
エシフは続けた。「そしてあなたは、わたしの名を呼びました」低く太い声だ。「ご安心ください。目を閉じて、これからわたしがあなたにすることを、受けとるだけですから」
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