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第五章 寝台の神話
1 わたしは奴隷です【絡み:エシフxノモク】
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尻が引き裂かれるような痛みが、ノモクをもう一度襲った。ノモクは強く両目を閉じ、歯を食いしばった。エシフはしかし、構わず腰を動かしつづけた。
「エシフ……」
「王子、ご安心ください。痛みは、はじめのうちだけです」エシフは奥まで突き刺すと、そこで動きをとめ、肩から両脚を解いて、ゆっくりと顔をおろした。「ああ。可愛い顔が汚れてしまいましたね」
「そこに、ガラスの小瓶が……」
両脚をしどけなく展いたままノモクがこう云うと、エシフは後ろをふり向いて飾り棚に目を遣った。
「なるほど。そう云うことでしたか。ガラスの小瓶に拷問の手引き書……」エシフはもう一度ノモクを見下ろした。「わたしと交わり、そして拷問に掛けて楽しむつもりだったのですね」
「ち、が……う……。君を目覚めさせようと思って、それから……」
「それから?」
エシフが腰を引いた。ペニスがくびれのところで肛門の肉の輪に引っ掛かる。エシフはそこに留まって、腰を小刻みに前後させた。
背筋を疾る快感にノモクはのけ反った。
「君と、一緒に、食事をしようと……。そこの、テーブルに用意して、あるんだ」
ノモクは、右手を伸ばして天蓋のカーテンの向うを指し示した。
エシフは、腰の動きを止めてカーテンを捲った。
「ソルブに聞いたのですね」腰を振りながら上半身を捩って片方の腕を伸ばし、ガラスの小瓶をひとつ手に取った。蓋を外し、その口を精液で濡れたノモクの顔のうえで辷らせる。時間が経って水っぽくなった精液が、さらさらと流れるようにガラスの小瓶に溜められた。「わたしたち奴隷は、これひとつで、パンをひとつもらえるのだと」
「だから君に辱めを与えないように、僕のを……」ノモクは、エシフの手のなかにあるガラスの小瓶を見た。「これで足りるよね? パンを君にあげても好いんだよね?」
エシフは、ガラスの小瓶を飾り棚に戻した。
「薄切り肉の挟まったパンもあるようですね。薄切り肉は、小瓶ふたつが必要です。そしてスープは、小瓶みっつ。あなたはソルブにも?」
ノモクは、何とかしてエシフの誤解を解かなければと思った。
「だからね。君を目覚めさせるために僕が代わりに恥ずかしい思いをして、それから君と一緒に食事をしようと思ったんだ。本当だよ。ねえ、エシフ。お腹空いているよね?」
云い了らないうちにエシフが腰を進めた。ノモクは全身をのけ反らせて、あえぎ声を上げた。腰の奥がじんと痺れてもどかしい。
エシフはノモクを貫いたまま、
「王子、わたしは奴隷です。あなたを悦ばせるためなら何でもいたします。遠回しに云う必要はありません」
「ち、がうってば……」
「あなたは、わたしを受け入れているではありませんか」エシフはノモクの顔を見つめた。「わたしのは、小さくはありません。男でここまで這入ったのは、あなたがはじめてです」
「ねえ、エシフ。聞いてよ」
エシフはそれには応えず、ノモクの腰を両手でつかみ、誇らしげに揺さぶった。「あなたを悦ばせることが出来て光栄です」
ノモクは、あの長大なエシフのペニスが自分のなかで蠢いているという事実に頭が混乱した。
そしてもうひとつの事実……。
王子である自分は、今まさに男奴隷に犯されている。いや、犯されているのではない。快楽を与えられているのだ。現にノモクはエシフに貫かれながらペニスを屹立させ、迫りくる射精感に震えている。
エシフが不意に腰の動きを止めて呟いた。
「あと、小瓶がふたつ必要ですね」
ふと思い出したような口振りだった。
エシフは、両手でノモクの陰嚢を包んだ。そして睾丸が縮みあがり、木の実のように硬くなったそれを、指先で感触を確かめるように転がした。張り詰めていた陰嚢が巧みな手つきでほぐされ、全身から、ちからが抜けてゆく。ノモクは、その蕩けるような感覚に身を委ねた。はあ、とため息が洩れた。
「そう云えば、男のための儀式がまだ途中のままでしたね」エシフの手が陰嚢からペニスに移った。根元からくびれたところまで、ペニスの腹に薄っすらと泛んだ縦筋に親指を押しつけ、這わせるように扱きあげる。幾度もくり返さないうちに、剥けあがった丸みの切れこみから透明な露が滲みでた。「すべて搾りだせば足りるでしょう」
エシフはひとりごとのように云い、それから深い響きのある声でノモクに訊いた。
「王子は、どんな交わりをお望みですか?」
この言葉にノモクは、ぞくりとした。
今、目に映っているエシフの裸身は、どの神話のどの英雄よりも、雄々しく、美しい。まるで生命を吹きこまれた彫像のようだ。彼は、もはや奴隷ではない。男性美の全き象徴であった。たくましい肉體とそれに見合う長大なペニスを持っている。そして自分は、犯されているのではない。祝福された男と、理想とする男と、唯一無二の男と繋がっている。彼の一部となろうとしているのだ……。
ノモクは、ただエシフを見つめた。
エシフが、すべてお見通しですよ、という自信に満ちた顔で微笑んだ。「わたしにおまかせください。あの余興のとき、女奴隷がどんなふうに乱れていたか、あなたはご存知ないでしょうから。わたしだけを見ていましたよね」
「エシフ……」
「王子、ご安心ください。痛みは、はじめのうちだけです」エシフは奥まで突き刺すと、そこで動きをとめ、肩から両脚を解いて、ゆっくりと顔をおろした。「ああ。可愛い顔が汚れてしまいましたね」
「そこに、ガラスの小瓶が……」
両脚をしどけなく展いたままノモクがこう云うと、エシフは後ろをふり向いて飾り棚に目を遣った。
「なるほど。そう云うことでしたか。ガラスの小瓶に拷問の手引き書……」エシフはもう一度ノモクを見下ろした。「わたしと交わり、そして拷問に掛けて楽しむつもりだったのですね」
「ち、が……う……。君を目覚めさせようと思って、それから……」
「それから?」
エシフが腰を引いた。ペニスがくびれのところで肛門の肉の輪に引っ掛かる。エシフはそこに留まって、腰を小刻みに前後させた。
背筋を疾る快感にノモクはのけ反った。
「君と、一緒に、食事をしようと……。そこの、テーブルに用意して、あるんだ」
ノモクは、右手を伸ばして天蓋のカーテンの向うを指し示した。
エシフは、腰の動きを止めてカーテンを捲った。
「ソルブに聞いたのですね」腰を振りながら上半身を捩って片方の腕を伸ばし、ガラスの小瓶をひとつ手に取った。蓋を外し、その口を精液で濡れたノモクの顔のうえで辷らせる。時間が経って水っぽくなった精液が、さらさらと流れるようにガラスの小瓶に溜められた。「わたしたち奴隷は、これひとつで、パンをひとつもらえるのだと」
「だから君に辱めを与えないように、僕のを……」ノモクは、エシフの手のなかにあるガラスの小瓶を見た。「これで足りるよね? パンを君にあげても好いんだよね?」
エシフは、ガラスの小瓶を飾り棚に戻した。
「薄切り肉の挟まったパンもあるようですね。薄切り肉は、小瓶ふたつが必要です。そしてスープは、小瓶みっつ。あなたはソルブにも?」
ノモクは、何とかしてエシフの誤解を解かなければと思った。
「だからね。君を目覚めさせるために僕が代わりに恥ずかしい思いをして、それから君と一緒に食事をしようと思ったんだ。本当だよ。ねえ、エシフ。お腹空いているよね?」
云い了らないうちにエシフが腰を進めた。ノモクは全身をのけ反らせて、あえぎ声を上げた。腰の奥がじんと痺れてもどかしい。
エシフはノモクを貫いたまま、
「王子、わたしは奴隷です。あなたを悦ばせるためなら何でもいたします。遠回しに云う必要はありません」
「ち、がうってば……」
「あなたは、わたしを受け入れているではありませんか」エシフはノモクの顔を見つめた。「わたしのは、小さくはありません。男でここまで這入ったのは、あなたがはじめてです」
「ねえ、エシフ。聞いてよ」
エシフはそれには応えず、ノモクの腰を両手でつかみ、誇らしげに揺さぶった。「あなたを悦ばせることが出来て光栄です」
ノモクは、あの長大なエシフのペニスが自分のなかで蠢いているという事実に頭が混乱した。
そしてもうひとつの事実……。
王子である自分は、今まさに男奴隷に犯されている。いや、犯されているのではない。快楽を与えられているのだ。現にノモクはエシフに貫かれながらペニスを屹立させ、迫りくる射精感に震えている。
エシフが不意に腰の動きを止めて呟いた。
「あと、小瓶がふたつ必要ですね」
ふと思い出したような口振りだった。
エシフは、両手でノモクの陰嚢を包んだ。そして睾丸が縮みあがり、木の実のように硬くなったそれを、指先で感触を確かめるように転がした。張り詰めていた陰嚢が巧みな手つきでほぐされ、全身から、ちからが抜けてゆく。ノモクは、その蕩けるような感覚に身を委ねた。はあ、とため息が洩れた。
「そう云えば、男のための儀式がまだ途中のままでしたね」エシフの手が陰嚢からペニスに移った。根元からくびれたところまで、ペニスの腹に薄っすらと泛んだ縦筋に親指を押しつけ、這わせるように扱きあげる。幾度もくり返さないうちに、剥けあがった丸みの切れこみから透明な露が滲みでた。「すべて搾りだせば足りるでしょう」
エシフはひとりごとのように云い、それから深い響きのある声でノモクに訊いた。
「王子は、どんな交わりをお望みですか?」
この言葉にノモクは、ぞくりとした。
今、目に映っているエシフの裸身は、どの神話のどの英雄よりも、雄々しく、美しい。まるで生命を吹きこまれた彫像のようだ。彼は、もはや奴隷ではない。男性美の全き象徴であった。たくましい肉體とそれに見合う長大なペニスを持っている。そして自分は、犯されているのではない。祝福された男と、理想とする男と、唯一無二の男と繋がっている。彼の一部となろうとしているのだ……。
ノモクは、ただエシフを見つめた。
エシフが、すべてお見通しですよ、という自信に満ちた顔で微笑んだ。「わたしにおまかせください。あの余興のとき、女奴隷がどんなふうに乱れていたか、あなたはご存知ないでしょうから。わたしだけを見ていましたよね」
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