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第三章 海の習い
8 穿つ【絡み:エシフxノモク】
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それが自分の声だとわかっていても、ノモクは湯屋に響き渡る叫び声を、狩りで捕えられた獣の咆哮のように聴き、そして怯えた。
天井から吊るされたランプの灯りが、ノモクの裸かの尻を、仄明るく照らしている。その尻のふくらみのうえに、エシフのたくましい手のひらが、相変わらず凝っと置かれている。ノモクは、声を限りにわめく。それに呼応するように尻の肉の底に手のひらが沈んでゆく。
ノモクが、のたうち回りながら叫んでも、エシフはその手を緩めなかった。ただ、じきに好くなります、と静かに云うだけだった。
ノモクは押しよせる痛みに悶絶しながらも、次第にそれがふしぎな快さへと変化してゆくのを感じた。叫び声は、相変わらず口から出ていたが、そこへ吐息が混じり、そのうちあえぎ声に近くなった。
「王子、遠慮なく声を出してください」
ノモクは、湯屋に反響する自分のあられもない声にはっと我に返り、そして羞恥にまみれた。わめきながら身悶えし、エシフの手のひらから逃れようと暴れているあいだじゅう、尻の谷間も、その中心に穿たれた肉の窄まりも、すっかりエシフに見られていたのだ。太腿は、しどけなく大開けになっている。ノモクは、エシフに気づかれないように閉じあわせようと、その機会を待った。
そこへエシフが手のひらを小刻みに揺すりはじめた。ノモクの心算などお見通しのようだった。
「王子、ちからを抜いてください」
エシフが云った。その声は、湯屋のなかで幾重にも反響した。男らしい低い声がノモクの裸かの尻を共鳴させ、そうして生まれた振動が、無防備な後ろの孔に伝わった。
「あなたは、まだ馬に乗り馴れていないとお見受けします」手のひらを小刻みに揺らしながら、エシフが云った。「いかがでしょうか」
ノモクは、応えることが出来なかった。従騎士としての自尊心が邪魔をしたのではない。新たに尻に加えられた刺激に耐えようと、歯を食いしばっていたのである。
エシフがまた云った。
「鞍に跨るときに、よほど力んでいるのでしょう」
この推察は正しかった。落馬しないように必要以上に両脚で鞍を挟もうとする癖がノモクにはあった。ノモクは、腰を揺すってエシフの問いに応えた。
エシフの手のひらの重みがすっと軽くなった。新たな動きが始まった。
手のひらに誘われて、尻の谷間が展かれ、そして閉じられる。これが何度もくり返される。自分では見ることの出来ない尻の沼地が、何度もランプの灯りに照らされる。エシフは、当然、その部分を何度も目にする。こう考えるだけで、ノモクは、谷底に落ちてゆくような目眩を覚えた。
エシフの手のひらが、尻の面を辷りながら、ゆっくりと側面に移動した。尻の谷間が大きく割られる。
ノモクは、反射的に肛門をキュッと絞った。ソルブの指がここに触れていたのを思い出す。ノモクの意識は、この一点に集中した。そこへエシフの手のひらが尻肉を下から掬いあげるように昇ってきた。
「あ……」
ノモクは、声をあげた。突然、エシフの手のひらが、大きく動きはじめたのだ。自由自在に辷り、気まぐれに留まり、あるいは何らかの意図をもって揉みしだき、摩り、つねったりもした。
こうしてノモクが今まで識らなかった快感が与えつづけられた。指が谷間の奥に潜りこみ、肛門の周辺をかすめ、皺を引っ掻き、会陰の筋を擦ったりした。
これは儀式の一部なのだろうか。それとも疲労した筋肉をほぐしているのだろうか。ノモクは、気を紛らせようと考えを巡らせた。しかしその企ても虚しく、押し寄せる快感はつのるばかりだった。
「王子、ここにいるのは、あなたとわたしのふたりだけです……」
エシフのこの言葉が呼び水となった。自慰とは異う快感だった。もしかしたら、エシフが余興で披露した男女の交わりで得られる快感だろうか? しかしそれは想像の域を越えない。ペニスが、睾丸が、そして肛門が、これでもかと疼く。
ああ、ぼくはもうすぐ射精する……。
ノモクは覚悟した。
そのときだった。
「王子、楽にしてください」
と云って、エシフは、尻への慰撫をいきなりやめて両手を離した。
柄杓に薬湯を汲む音がした。
一方の手が尻の谷間を展き、肛門に薬湯が注がれた。柄杓が高い位置にあって、薬湯は肛門に叩きつけられる恰好となった。二度、三度と流れおち、肛門を穿った。
「いけそうだな……」
エシフはひとりごち、ノモクの肛門に中指を宛てがった。指の腹で肛門を入念に捏ねはじめる。
「エシフ、何をしようとしているの?」
ノモクは間の抜けた質問をした。
「王子、なかを洗います」
いつの間にか、指が軽く挿し込まれている。
ノモクは、これから始まることを思い描いた。息を深く吸い、ゆっくり吐いた。それは本能的な反応だった。
指がさらに挿し込まれる。痛みはなかった。
射精がまた近づいた。
天井から吊るされたランプの灯りが、ノモクの裸かの尻を、仄明るく照らしている。その尻のふくらみのうえに、エシフのたくましい手のひらが、相変わらず凝っと置かれている。ノモクは、声を限りにわめく。それに呼応するように尻の肉の底に手のひらが沈んでゆく。
ノモクが、のたうち回りながら叫んでも、エシフはその手を緩めなかった。ただ、じきに好くなります、と静かに云うだけだった。
ノモクは押しよせる痛みに悶絶しながらも、次第にそれがふしぎな快さへと変化してゆくのを感じた。叫び声は、相変わらず口から出ていたが、そこへ吐息が混じり、そのうちあえぎ声に近くなった。
「王子、遠慮なく声を出してください」
ノモクは、湯屋に反響する自分のあられもない声にはっと我に返り、そして羞恥にまみれた。わめきながら身悶えし、エシフの手のひらから逃れようと暴れているあいだじゅう、尻の谷間も、その中心に穿たれた肉の窄まりも、すっかりエシフに見られていたのだ。太腿は、しどけなく大開けになっている。ノモクは、エシフに気づかれないように閉じあわせようと、その機会を待った。
そこへエシフが手のひらを小刻みに揺すりはじめた。ノモクの心算などお見通しのようだった。
「王子、ちからを抜いてください」
エシフが云った。その声は、湯屋のなかで幾重にも反響した。男らしい低い声がノモクの裸かの尻を共鳴させ、そうして生まれた振動が、無防備な後ろの孔に伝わった。
「あなたは、まだ馬に乗り馴れていないとお見受けします」手のひらを小刻みに揺らしながら、エシフが云った。「いかがでしょうか」
ノモクは、応えることが出来なかった。従騎士としての自尊心が邪魔をしたのではない。新たに尻に加えられた刺激に耐えようと、歯を食いしばっていたのである。
エシフがまた云った。
「鞍に跨るときに、よほど力んでいるのでしょう」
この推察は正しかった。落馬しないように必要以上に両脚で鞍を挟もうとする癖がノモクにはあった。ノモクは、腰を揺すってエシフの問いに応えた。
エシフの手のひらの重みがすっと軽くなった。新たな動きが始まった。
手のひらに誘われて、尻の谷間が展かれ、そして閉じられる。これが何度もくり返される。自分では見ることの出来ない尻の沼地が、何度もランプの灯りに照らされる。エシフは、当然、その部分を何度も目にする。こう考えるだけで、ノモクは、谷底に落ちてゆくような目眩を覚えた。
エシフの手のひらが、尻の面を辷りながら、ゆっくりと側面に移動した。尻の谷間が大きく割られる。
ノモクは、反射的に肛門をキュッと絞った。ソルブの指がここに触れていたのを思い出す。ノモクの意識は、この一点に集中した。そこへエシフの手のひらが尻肉を下から掬いあげるように昇ってきた。
「あ……」
ノモクは、声をあげた。突然、エシフの手のひらが、大きく動きはじめたのだ。自由自在に辷り、気まぐれに留まり、あるいは何らかの意図をもって揉みしだき、摩り、つねったりもした。
こうしてノモクが今まで識らなかった快感が与えつづけられた。指が谷間の奥に潜りこみ、肛門の周辺をかすめ、皺を引っ掻き、会陰の筋を擦ったりした。
これは儀式の一部なのだろうか。それとも疲労した筋肉をほぐしているのだろうか。ノモクは、気を紛らせようと考えを巡らせた。しかしその企ても虚しく、押し寄せる快感はつのるばかりだった。
「王子、ここにいるのは、あなたとわたしのふたりだけです……」
エシフのこの言葉が呼び水となった。自慰とは異う快感だった。もしかしたら、エシフが余興で披露した男女の交わりで得られる快感だろうか? しかしそれは想像の域を越えない。ペニスが、睾丸が、そして肛門が、これでもかと疼く。
ああ、ぼくはもうすぐ射精する……。
ノモクは覚悟した。
そのときだった。
「王子、楽にしてください」
と云って、エシフは、尻への慰撫をいきなりやめて両手を離した。
柄杓に薬湯を汲む音がした。
一方の手が尻の谷間を展き、肛門に薬湯が注がれた。柄杓が高い位置にあって、薬湯は肛門に叩きつけられる恰好となった。二度、三度と流れおち、肛門を穿った。
「いけそうだな……」
エシフはひとりごち、ノモクの肛門に中指を宛てがった。指の腹で肛門を入念に捏ねはじめる。
「エシフ、何をしようとしているの?」
ノモクは間の抜けた質問をした。
「王子、なかを洗います」
いつの間にか、指が軽く挿し込まれている。
ノモクは、これから始まることを思い描いた。息を深く吸い、ゆっくり吐いた。それは本能的な反応だった。
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射精がまた近づいた。
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