[R-18] 奴隷のレッスン:騎士団所属の末っ子王子は、イケメン奴隷に身も心も奪われる

山葉らわん

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第一章 夜を往く帆舟(ふね)

6 みっつの命令

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 何か用事を云いつけない限り、この若い男奴隷は、両脚を折り畳んだ姿勢のままなのだ。ノモクは頭ではわかっていたが、頼み事はすぐには思いうかばなかった。王宮の湯屋では、使用人は着替えを準備すると、「ご用がありましたらお呼びください」と、すぐに湯屋を出ていったからだ。
 ソルブは、ノモクの命令を待っていた。何か罰を受けるようなことをしたわけでもないのに、鞭を打たれるとがびとのように両手を腰の後ろで組んで、っとしている。しかしその姿は、りんとしていた。
「君は、異教徒なの?」
 考えに考えて出た言葉がこれだった。
「はい」ソルブは、ノモクの問いに短くこたえて、続けた。「ご命令を」
 嗚呼、そうだった。この窮屈な姿勢のままでは、かわいそうだ。
「部屋から水を一杯持ってきてくれないかな」
「かしこまりました」
 ソルブが音を立てず、すっくと立上がったとき、一瞬、異教徒のしるしが目の前をぎったので、ノモクは思わず顔を伏せた。こんどは自分のペニスが目に這入った。自分だって硬くなるし、膨らんで勃起する。しかし、ソルブのペニスは、ただぶらさがっているだけの状態ではあったが、自分のものより遥かに立派だった。陽灼けしたように赤黒く、その先端はプラムのように膨らんでいた。
「お待たせしました」
 ソルブが水を持って戻ってきた。杯をノモクに手渡すと、壁側に立てかけられていた木の板のなかから小さいものを取ってきて、ノモクの手前に橋を渡すように乗せた。即席のテーブルが出来上がった。
「ありがとう。気がきくね」
 ノモクが礼を云うと、ソルブは三箇所にわかれて置いてあったランプのひとつを消した。部屋が暗くなった。ノモクは杯を落としそうになった。
 ソルブが浴槽の側に戻ってきて、また同じように両脚を折り畳んだ。
「どうしてランプを消すの?」ノモクは訊いた。
「ご命令をひとつ、いただいたからです」ソルブは、軽くうつむいて云った。
「つまり、僕はここで君に、用事をみっつ云いつけるってこと?」
「さようでございます。最低でもみっつ、ご命令を……」
 ソルブは、残りふたつのランプのひとつひとつに顔を向けた。
「そうしなかったら?」
「罰を受けます」
 そう云われても、自分ひとりで何でも出来るノモクに好い考えは無かった。しかし「ひとりになりたい」と云って、ここからソルブを下がらせれば、彼はあとで罰を受けるのだ。その罰は、自分が手を掛けなくても、自分が与えたことになる。
「あの……。それじゃあ、洗うのを手伝ってくれないかい」
「仰せのとおりに」
 ソルブは杯と簡易テーブルを室内の隅に片付けると、こんどは壁側に立てかけてある大きな板を持ってきた。どうやら浴槽に乗せて長椅子代わりにするらしい。ノモクは立上り、ソルブに背を向けるようにして腰を下ろした。
 尻の左に石鹸と布が、右に柄杓ひしゃくが置かれた。ソルブは浴槽から桶に湯を汲み、ノモクの背中にさらさらと流しかけた。それがすむと、もう一度、浴槽から柄杓に湯を汲み、石鹸と布に湯を含ませ、そして泡立てた。
 ノモクは泡をたっぷりと含んだ布を受けとって、腕を洗いはじめた。ソルブの気配が背後から消えた。両腕と胸を洗いえてノモクがほっとひと息ついたとき、室内がふっと暗くなった。ふたつ目のランプが消されたのだった。
「どうしてランプを消したんだい?」
「王子が恥ずかしそうになさっていたものですから……」ソルブは、いつのまにかノモクの背後に戻ってきていた。「ご迷惑だったでしょうか?」
「い、いや。大丈夫だよ。ただ、吃驚びっくりしただけだから」
「それではお背中をお流しします」
 ソルブは布を受けとると、ノモクのうなじのうえで泡を搾った。背中の窪みに沿って、泡の湯がさらりと流れおちる。その感覚にノモクは全身をぶるっと震わせた。
「王子はとても美しい肌をなさっておられます。布で擦っては、かえって傷がつきます」ソルブは布をもうひと搾りし、泡の湯でノモクの背中全体を温かく濡らした。「男の肌は同じ男の肌で洗うのが、相性も好いと云います」
 ソルブの指が、そろりそろりと背中を撫でた。その瞬間、今まで感じたことのない強烈な快感がノモクの全身をはしった。ノモクは思わず腰をあげた。
「あ」
 ノモクは小声を洩らした。
 腰を上げた瞬間に、尻の双丘のあいだにソルブの指先が辷りこんできたのだ。背中に流した泡の湯のおかげで、指はなめらかに睾丸のすぐ裏まで差しこまれ、引きもどされ、そして谷間の中心で留まった。太く硬い指の腹が、ノモクの肛門を捉えている。
「王子、ちからを抜いてください」
 背中のうえを指が這い進む。軽く爪を立て、くすぐりながら、垢をこそげ落としてゆく。はじめての経験だった。腰の奥に小さな焔が灯されたような気がして、ノモクは思わず呻いた。何とも云えない疼きが、とめどなく続く。背中が自然に左右に揺れる。そよ風を受ける帆舟ふねの帆になって、夜の海に泛かんでいるような感覚がした。
 背中の指が、右のわき腹にするりと移った。耐えがたいむず痒さにノモクは前に倒れ、浴槽の縁に両手をついた。その拍子に腰が持ちあがり、ソルブの指が、それまで触れていた肛門から離れた。人肌から解放されたその部分に、ひんやりとした感覚が生まれる。
「王子、も洗いますか?」
 もう片方の手でノモクのわき腹をこすりながら、ソルブが訊いた。
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