[R-18] 奴隷のレッスン:騎士団所属の末っ子王子は、イケメン奴隷に身も心も奪われる

山葉らわん

文字の大きさ
上 下
4 / 93
第一章 夜を往く帆舟(ふね)

4 一隻の帆舟 ※【地雷:男女絡み】

しおりを挟む
 エシフと女の性技が、ゆるやかにはじまった。
 エシフは女の腰をしっかりと両手で支えている。女はエシフの肩から手をはなして、両脚をエシフの腰にまわし、妖しげに両腕を動かし、腋窩の影を見せつけながら、のけ反るようにして後ろに倒れた。エシフの性毛と女の性毛がひと続きになっている。いつからか、ふたりは繋がっていたのだった。
 女の肩が海の面に浸されると、エシフは繋げた腰を大きく揺らせた。女は両腕を頭の上にあげて手首を交叉させ、その裸身を浜辺に打ちあげられた人魚のようにうごめかせた。燭台の灯りが、絡みあうふたりを艶めかしく照らしている。
 女の豊かな乳房のいただきには、水面に滴を落とした瞬間のように乳暈にゅううんのぼかしが広がり、その滴の跳ね返りが表面に飛び上がろうとしていた。
 エシフはゆっくりと腰を下ろし、両膝立ちになった。女の腰を片腕で支えながら、腰を緩やかに揺らし、もう片方の手を女の乳房へと差しのべていった。乳暈のまわりで指を巧みに動かす。すると泛びあがれずにいた水滴は、次第に面にせりあがり、やがてエシフの指先にあやつられて、丸い真珠へと姿をかえた。
 エシフの指づかいによって、もう片方の乳房からも真珠が誕生した。騎士たちの溜め息が、そこかしこから、洩れる。エシフが上体を屈めて左右の真珠を交互に口に含むと、女の唇から官能的な歌が流れはじめた。
 エシフが上体を起こす。白い布を手繰りよせ、両手でさっと扇いで、はためかせた。うえからすっぽりと被るようにして、女に重なる。海嘯のしたで、漁師と人魚が睦みあいをはじめた。それは穏やかな動きではなかった。逆流する波から逃れようとする激しい動きだった。エシフは、女のうえでき、海鳴りのような呻き声をあげた。その声は天井と壁に共鳴し、荘厳な倍音を轟かせた。
 ゼーゲンが詠唱をとめた。
 女の声がそれを引きついで、エシフの声と美しいハーモニーを紡ぎはじめた。
 エシフの腰の動きに、海嘯は、勢いを失いつつあった。重なりあうエシフと女の腰の一部を覆い隠すだけになった。エシフは女の上にすっぽりと覆いかぶさり、緩やかに腰を数度揺らすと、すばやく身を翻して女を自分の上に乗せあげた。
「おおっ!」
 騎士たちの嘆声が女の媚態に向けられた。
 女は、エシフの腰に跨るようにして、上体を艶めかしく揺らした。長い髪を悩まし気に搔きあげ、丸みのある双肩を、あるいは豊かな乳房を手で撫でさすり、腰をくねらせた。官能的に蠢く女のしたで、エシフは、っと彼女を支えつづけた。
 ノモクは女の裸体ではなく、エシフの裸体のその隅々に目をはしらせていた。エシフの肉体の動きは、荒々しいときも穏やかなときも、そのしなやかさを失ってはいなかった。そしてエシフの声に耳を奪われた。ノモクにはまだそのような経験はないが、娼館帰りの先輩騎士たちが自慢気に語って聞かせる娼婦との行為――それは彼らの武勇伝から想像する男女の営みにすぎないが――で発せられる、快楽の、慾情の、堕落の声ではなかった。それよりもっと崇高な、生命の、精神の、清廉の声だった。
「もっとよく御覧になれるようにいたしましょう」
 ゼーゲンがノモクに囁いた。エシフの裸体に心を奪われていたノモクは、何も考えず頷いた。ゼーゲンは席を立つと、燭台を手に海原のなかへった。そして燭台を高く掲げた。三本の蝋燭の焔が、星になった。
 エシフと女は、いっそう帆舟ふねだった。女が風を受ける帆のように、たわみ、揺れ、煽られようとも、エシフはびくともしない。強靭な帆柱マストで女をしっかりと繋ぎとめ、あやしなだめるように帆舟ふね全体を揺らしていた。
 帆舟が、三つ星に導かれるようにして、ノモクの前にゆったりと近づいてくる。波を乗りこえ、大きく跳ねた。ノモクは裸かの甲板に目を落とした。胸の中央から帆柱の土台へと、筋肉の溝が真っ直ぐに伸びている。深く筋の刻まれた腹から先の暗がりで、もうせんのような性毛と綿毛のような性毛とが、複雑にもつれあっていた。
 ノモクはふと周囲を見まわした。暗黒の夜だった。目の前のすべてが海だった。帆舟をはさむように大きな船が泛んでいる。松明を灯して船乗りたちが、帆船を見ている。ひそやかな息遣い、荒々しい息遣いが、方々から聞こえる。船乗りたちの何人かが、船の陰で、しきりに手を動かしている。うめき声があがる。声のすぐ側の松明の灯りが消える。やがて左右の松明の灯りがすべて消えた。
「王子、お楽しみはこれからでございます」
 ゼーゲンが、ゆったりとした口調で云った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

禁断の祈祷室

土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。 アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。 それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。 救済のために神は神官を抱くのか。 それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。 神×神官の許された神秘的な夜の話。 ※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

皇帝陛下の精子検査

雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。 しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。 このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。 焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

処理中です...