[R-18] 火消しの火遊び:おっさん消防士はイケメン俳優に火をつける

山葉らわん

文字の大きさ
上 下
70 / 90
第六章 親分はボディガード

窓を開けて

しおりを挟む
 深夜三時を回ったころ、健悟はとうとう寝るのをあきらめた。それまでスマホ二台を交互に弄りながら、この一日、柳川や小雪とやり取りしたLINEのメッセージを読みかえして、水上にしてやった儀式を忘れようとしていた。思い出すだけでもヒヤヒヤものだ。相棒はやる気満々だったが、健悟は理性でその衝動を抑えたのだった。
 素っ裸かの水上に訓練を与えながら、同時に頭に甦ってくる柳川の素っ裸かを忘れようとした。うまくやれそうだったが、なかなかそうはいかなかった。背恰好も年齢もふたりは近く、また軀の反応も——若い男なんかみんな同じようなものだとわかっていても——変わらなかった。唯一異なる水上の声に耳を傾けなければ、北海道にいるはずの柳川と戯れているような錯覚さえ起きるほどだった。
 集中放水から二分後——水上は、健悟の手にふさがれた口から、くぐもった声を上げ、と同時に鏡面を派手に汚した。
「親分、気持ちよかったっす!」水上は、あっけらかんと笑った。
「ああん? それじゃあ訓練になんねえだろ。もう一発だ」健悟は、こんどは水上を四つん這いにさせた。
 水上は、はいっ、と快活に返事して、健悟の指令に従った。何もかも丸見えだ。情けない姿であるはずのに、それでも清々しく見えるのは、彼の若さゆえだろうか。健悟は、シャワーを冷水に変えると、シャワーヘッドを水上の股のあいだに差し入れ、下から勢いよく放水した。水上は、後ろから健悟に見られているのにも関わらず、身を捩り、尻を派手に振りたてた。
 ったく、色気のないやつだ。これが柳川だったら……。
 結局、四つん這いでもまだ若い水上の相棒はおさまるようすもなく、最後に仰向けに寝かせてトドメを刺してやったのだった。
 風呂から上がり、健悟は脱衣場でそそくさと着替えると、まだタオルで股間の水気を拭っていた水上の肩を小突いて、
「おめえは、ああやって派手にケツ振ってるから五分ともたねえんだよ」
「でも親分みたいに年代物じゃないっすから」水上は照れくさそうに頭を掻いた。
「ちっ。酒じゃあるまいし」健悟は鼻を、ふんっ、と鳴らした。
「甘い匂いがするんすよね、親分って」水上は鼻を、くんくん、と鳴らした。「立派な酒樽ぶら下げてますもんね……」
「飲ませてやろうか?」
「悪酔いしそうなんで、遠慮しておくっす」
 健悟が吹き出し、水上もつられて笑った——。
 健悟は、ベッドに寝転がったまま両腕の匂いを交互に嗅いだ。
 なるほど、自分でもわかるくらいに雄のフェロモンが駄々洩れになっている。個室には空調が効かせてあるが、全身が熱く燃え滾るような気がしてならない。
 ベッドから起きあがって窓辺まで行き、カーテンを開き、換気のために窓を開けた。
 外はまだ真っ暗だ。生温い風が、すうっ、と這入ってきて、室内の空気をかき混ぜながら混じりあう。いつもならそろそろコンビニの配送車が近くを通る時刻だが、今のところ辺りはひっそりと静まりかえっている。
 健悟はズボンの股間に手をやった。

 ——おい、相棒。まだ起きてんのかよ。さっさと寝やがれ。
 ——ムラムラがおさまらねえんだよ。云わせんな。
 ——風にあたって頭冷やすんだな。

 風呂に這入るときのように、活動服のズボンを、下着と一緒にずり下ろした。貞操帯から自由になった相棒が思いっきり伸びをする。そこへ待ってましたとばかりに生温かい夜風の舌がねっとりと舐めあげる。ちっ、逆効果だったか。相棒はますます猛々しくなって、ちょっとやそっとのことでは寝てくれそうにない。

 ——おい、健悟。あの写真があっただろ。柳川が送ってきたやつ。
 ——塔子とのツーショットか?
 ——ホテルの風呂で撮ったやつに決まってんだろ。

 確かにあれなら使だ。
 健悟は腰から上を後ろに捻って手を伸ばし、枕許のスマホを手に取った。柳川とのLINEのやり取りを開き、その写真をタップした。男子中学生や男子高校生が、修学旅行の風呂の時間に仲間内のノリで撮るような可愛らしいものではない。女性誌のセックス特集にサービスで附いてくる、イケメン俳優やアイドル歌手がセミヌードで撮ったグラビアに匹敵するものだ。健悟なら流出させることはない、と柳川が信頼しているからこそのセクシーショットが送られてきたのだった。

 > 親分、ソープランドってこんな感じですか?

 この無邪気なメッセージに健悟は、あらためて吹きだしてしまった。可愛いやつだ。明後日、帰ってきたら……。
 健悟は、柳川のセクシーショットを目に焼き付け、それから相棒を握りしめた。少しずつ手筒を上下に動かしながら気分を高めてゆく。いい具合だ。は窓の外にしよう。
 突然、窓の外で男の呻き声がした。それは健悟が窓辺に歩を進めようとしたのとほとんど同時だった。
 健悟は手作業を続けながら、顔だけをそっと窓の外に出して周囲を窺った。呻き声の主は、左にみっつ離れた部屋の隊員だった。彼は窓の外に下半身をすっかり出して、健悟と同じように手筒を激しく動かしていた。上体を反らしているので顔は見えないが、部屋割りが決まっているので誰かはすぐにわかった。

 ——水上のやつ……。

 健悟も限界が来ていた。水上にバレないように窓から離れた。柳川のセクシーショットを思いだし、今しがた目にした水上の姿を柳川のそれに塗りかえる。

 ——柳川、いくぞ!

 心のなかでこう叫んで健悟は達した。ブッ、という鈍い音と倶に夥しい量の白濁液が迸った。それは長い弧を描き、月の光に照らされて銀色に輝いた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...