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第五章 ワン・モア・チャンス
12 康太、あーんしろ
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——今夜はとりあえず一緒に寝るだけ。そういうことでいいんだよ……ね?
康太は自問自答した。大樹はいつの間にか寝息を立てている。これで貫通式は、完全にお預けだ。
——この先、もしそうなったら、森先輩、きっとやさしくしてくれるよ……ね?
深いため息が洩れる。
——あっ!
康太は股間に勃然としたものを感じた。大樹に背後から抱きしめられて、あれこれ考えているうちにこうなってしまったのだ。ムズムズして落ち着かない。かといって、動くわけにもいかない。尻の谷間には大樹のバズーカ砲がすっぽりと納まっていた。
——でもどうしよう……。
康太は下着のなかに右手を辷りこませて、その状態を確認した。硬くなっている。康太は、ひとまずポジションを整え、下着から右手を抜いた。
『……夢精すんなよ……』
大樹のあの声がまだ耳に残っている。ここは大樹のベッドだ。一緒に寝てほしい、とお願いした以上、汚してはいけない。ただでさえ、一度、やってしまっている。それも大樹の腹のあたりに出してしまっていた。
——とにかくコイツを鎮めなくちゃ。
康太はもう一度、右手を下着のなかにもぐりこませた。キュウキュウとせりあがり、胡桃のように硬くなった二球を、引っぱりながら揉みほぐしてゆく。ときおり声を上げそうになるが、鼻から息を吸い口からゆっくり吐きだすことで康太は気を紛らせた。
大樹を起こさないよう指を動かしながら、これからのことを考える。
——そうだ! 森先輩の背中を流すときに球磨きをしてみよう!
風呂場で泡まみれになって戯れあったのを思い出す。シャカシャカだってやったじゃないか。あのとき大樹は、たくましい胸を触らせてくれた。
——今井先輩に云われて、とかなんとか云えばさせてくれるかも。そしてそのまま、バットも磨きますとか云って……。
オリエンの最終日、大浴場で武志の球磨きをしているところも、武志のバット磨きをしているところも、その一部始終を大樹に見られている。大樹がそのさなかに声を掛けて中断させたのは——もしかするとあの時点ですでに部屋割りは決まっていたのかもしれない。
『おれの可愛い後輩だ。森、こいつの貫通式を頼んだ』と武志。
「そこまでだ。あとはおれがやる』と大樹。
おそらくそんなやりとりだったのでは?
——考えすぎかな……ふぅ、でも……。
康太はさっそくシミュレーションしてみた。今自分は壁ドンの状態で大樹に囲われている。まずは大樹の胸でシャカシャカをする。泡だらけの両手を腹に向って下ろしてゆきながら、ごく自然にしゃがんでゆく。目の前に現れた大樹の叢でさらに泡立てて、八分立てになったら球磨きだ。白い繭がふたつ出来たらつぎは——大樹のものが三大バズーカ砲の頂点に相応しい姿形となってゆく。大樹は、ときおり気持ちよさそうに甘ったるい呻き声をあげる。
そしてついに完全体となったそれが目の前に現れる。
『康太、もういいぞ。立って壁に両手をついて尻を突きだせ』
『は、はい……』
『いや、ちょっと待て。ちゃんと洗ってるなら舐めても平気だよな?』大樹はシャワーで泡を流した。『いきなり尻は無理だろう? 康太、あーんしろ』
『あーん……』
ここで妄想がぶつんと切れた。アダルト・ビデオでも観たことのないベタすぎる展開に一気に現実に引き戻されたのだった。それと呼応するように、康太の下着のなかも落ち着きを取り戻した。
——もう寝よう。待っていても今夜は何も起こらないし。
康太は、胸から腰に回された大樹の腕に注意しながら、右手を下着から出した。そして犬笛を握った。まだ吹いたことはないけれども、それは今ではお守りのようになっている。
——マイナス・ワンで計算が合わないのは、これのせいかな。
そうかもしれないし、そうではないかもしれない。いつもひとつ多く身につけていると指摘されている。いずれにしても答えあわせは、大樹が目覚めてからだ。
康太は考えるのをやめた。
そのときだった。
それまで康太を抱きしめていた大樹の右腕が動き、康太が動けるほどの緩みが生じた。康太は顔だけふり返って大樹の顔を見ようとした。するとそれとほぼ同時に大樹が、ううん、と寝言を口にしながら康太に顔を近づけてきた。康太が慌てて顔を元に戻すと、大樹は頬ずりをしながらより一層康太を引き寄せるようにして抱きしめなおした。そればかりか、大樹の右脚が康太の右脚に巻きつけられた。背後から完全にロックされている。康太は、尻の谷間に大樹の存在をしっかりと感じた。
——あっ……。
大樹のものはただそこにあって、動くことも形が変わることもない。しかしそのひと塊が、そこだけ特に熱を発しているような気がしてならない。ゆっくりと熱が伝わり、尻の中心からじっくりと全身が温められてゆくのを康太は感じた。
——歴代の彼女さんたちも、こんな気持ちだったんだろうなあ。
いつ迫られるかもしれない。けれどもこの温もりを感じていたい。ドキドキとポカポカが天秤にかけられて、ゆらゆらと上下している。
——森先輩、歴代の彼女さんたちとどんなふうに……。
康太は怖くなって、犬笛をしっかりと握りしめた。
康太は自問自答した。大樹はいつの間にか寝息を立てている。これで貫通式は、完全にお預けだ。
——この先、もしそうなったら、森先輩、きっとやさしくしてくれるよ……ね?
深いため息が洩れる。
——あっ!
康太は股間に勃然としたものを感じた。大樹に背後から抱きしめられて、あれこれ考えているうちにこうなってしまったのだ。ムズムズして落ち着かない。かといって、動くわけにもいかない。尻の谷間には大樹のバズーカ砲がすっぽりと納まっていた。
——でもどうしよう……。
康太は下着のなかに右手を辷りこませて、その状態を確認した。硬くなっている。康太は、ひとまずポジションを整え、下着から右手を抜いた。
『……夢精すんなよ……』
大樹のあの声がまだ耳に残っている。ここは大樹のベッドだ。一緒に寝てほしい、とお願いした以上、汚してはいけない。ただでさえ、一度、やってしまっている。それも大樹の腹のあたりに出してしまっていた。
——とにかくコイツを鎮めなくちゃ。
康太はもう一度、右手を下着のなかにもぐりこませた。キュウキュウとせりあがり、胡桃のように硬くなった二球を、引っぱりながら揉みほぐしてゆく。ときおり声を上げそうになるが、鼻から息を吸い口からゆっくり吐きだすことで康太は気を紛らせた。
大樹を起こさないよう指を動かしながら、これからのことを考える。
——そうだ! 森先輩の背中を流すときに球磨きをしてみよう!
風呂場で泡まみれになって戯れあったのを思い出す。シャカシャカだってやったじゃないか。あのとき大樹は、たくましい胸を触らせてくれた。
——今井先輩に云われて、とかなんとか云えばさせてくれるかも。そしてそのまま、バットも磨きますとか云って……。
オリエンの最終日、大浴場で武志の球磨きをしているところも、武志のバット磨きをしているところも、その一部始終を大樹に見られている。大樹がそのさなかに声を掛けて中断させたのは——もしかするとあの時点ですでに部屋割りは決まっていたのかもしれない。
『おれの可愛い後輩だ。森、こいつの貫通式を頼んだ』と武志。
「そこまでだ。あとはおれがやる』と大樹。
おそらくそんなやりとりだったのでは?
——考えすぎかな……ふぅ、でも……。
康太はさっそくシミュレーションしてみた。今自分は壁ドンの状態で大樹に囲われている。まずは大樹の胸でシャカシャカをする。泡だらけの両手を腹に向って下ろしてゆきながら、ごく自然にしゃがんでゆく。目の前に現れた大樹の叢でさらに泡立てて、八分立てになったら球磨きだ。白い繭がふたつ出来たらつぎは——大樹のものが三大バズーカ砲の頂点に相応しい姿形となってゆく。大樹は、ときおり気持ちよさそうに甘ったるい呻き声をあげる。
そしてついに完全体となったそれが目の前に現れる。
『康太、もういいぞ。立って壁に両手をついて尻を突きだせ』
『は、はい……』
『いや、ちょっと待て。ちゃんと洗ってるなら舐めても平気だよな?』大樹はシャワーで泡を流した。『いきなり尻は無理だろう? 康太、あーんしろ』
『あーん……』
ここで妄想がぶつんと切れた。アダルト・ビデオでも観たことのないベタすぎる展開に一気に現実に引き戻されたのだった。それと呼応するように、康太の下着のなかも落ち着きを取り戻した。
——もう寝よう。待っていても今夜は何も起こらないし。
康太は、胸から腰に回された大樹の腕に注意しながら、右手を下着から出した。そして犬笛を握った。まだ吹いたことはないけれども、それは今ではお守りのようになっている。
——マイナス・ワンで計算が合わないのは、これのせいかな。
そうかもしれないし、そうではないかもしれない。いつもひとつ多く身につけていると指摘されている。いずれにしても答えあわせは、大樹が目覚めてからだ。
康太は考えるのをやめた。
そのときだった。
それまで康太を抱きしめていた大樹の右腕が動き、康太が動けるほどの緩みが生じた。康太は顔だけふり返って大樹の顔を見ようとした。するとそれとほぼ同時に大樹が、ううん、と寝言を口にしながら康太に顔を近づけてきた。康太が慌てて顔を元に戻すと、大樹は頬ずりをしながらより一層康太を引き寄せるようにして抱きしめなおした。そればかりか、大樹の右脚が康太の右脚に巻きつけられた。背後から完全にロックされている。康太は、尻の谷間に大樹の存在をしっかりと感じた。
——あっ……。
大樹のものはただそこにあって、動くことも形が変わることもない。しかしそのひと塊が、そこだけ特に熱を発しているような気がしてならない。ゆっくりと熱が伝わり、尻の中心からじっくりと全身が温められてゆくのを康太は感じた。
——歴代の彼女さんたちも、こんな気持ちだったんだろうなあ。
いつ迫られるかもしれない。けれどもこの温もりを感じていたい。ドキドキとポカポカが天秤にかけられて、ゆらゆらと上下している。
——森先輩、歴代の彼女さんたちとどんなふうに……。
康太は怖くなって、犬笛をしっかりと握りしめた。
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