[R-18] おれは狼、ぼくは小狼

山葉らわん

文字の大きさ
上 下
25 / 83
第三章 貫通式

5 風呂掃除

しおりを挟む
〈兄:ウィルフリードSide〉



そっか。バルドリックだけじゃなくて、ルイーザもエルを守る覚悟を決めていたんだね。
なんだ。そっか。僕だけじゃなかったんだ。

「はっ…、ははっ。なんだ。そっか。ははっ」

僕はエルが大好き過ぎて、いつの間にか“エルを護るのも、護れるのも僕だけ”って思い込んでいたみたいだ。そんな訳ないのにね。

「あらん?ウィルちゃんの表情か戻ったみたいでよかったわんっ♪
あっ、ウィルちゃん。因みにあたくしはエルちゃん大好きなお友達よん。改めてよろしくねん?生意気ボーイ♪」

エミリーの“生意気ボーイ”と言う言葉にイラッとし、思わず睨んでしまう。

「あらぁ~っ?あらあらぁ~んっ♪悔しかったら、あたくし以上に強くなってご覧なさいなっ☆そしたらその喧嘩をあたくしが買ってあげるわぁ~ん♪お~ほっほっほ~っ!!」

ビキッ 自分の額に青筋が立つのがわかった。

「ええ、そうですね。僕が今の貴方の年齢になるまで四半世紀はかかりますが、まぁ、その時はよろしくお願いしますね?」

「あぁぁぁんっ!?!?何だとこのクゾガキぃ~っ!!!!」

僕とエミリーの視線にバチバチッと火花が散る。

「はいはい、そこまで」

今まで僕達のやり取りを見守っていたお母様が、パンパンと手を叩きながら、話に割り込んてくる。

「ねぇ、ウィル。因みになんだけど、お母様はエルちゃんを産んだ、たったひとりの母親よ。よろしくね?」

お母様が可愛らしく小首を傾げ、からかってくる。

「ぐ…っ!!申し訳ありません。お母様…」

「あらぁ~っ、なんの事かしらぁ~?」

「あははっ。これはウィルの負けだね」

つい先程まで暗かった雰囲気が、お父様とお母様、そして悔しいけどエミリーのおかけで明るくなった。
セバスやベアティ、デルミーラにアメリアとアンネリースまで、いつ間にかクスクスと笑っている。

「私達は、自分達なら“エルの心も体も護れる”と、傲っておごっていたのかもしれないね。
シロガネ殿に言われた事を、再度噛み締め、もう二度とこんな事が起こらないようにしよう。皆、いいね?」

「かしこまりました。お父様」

「おうっ!!任せとけっ!!」
「お任せくださいませ。お父様」

僕の返事の後に、バルドリックとルイーザが返事をする。

「さぁ、明日からの事だけどね、王都での滞在期間は1週間だけにしようと思うんだ」

「あなた…、大丈夫ですの?」

お父様の急な提案に、お母様は戸惑いの色を見せる。

「大丈夫だよ。元々、ウィルフリードやバルドリック、ルイーザにお茶会やサロンの場数を踏ませようと、多めの日程にしていたに過ぎないからね。
だけど、エルは王都に不安を感じているだろう?そんな王都での生活は、エルにとって負担になるだけだからね。
他の貴族に早く帰る理由を聞かれたら、エルには申し訳ないけど、“末の娘の体調が悪い”という事にしておこう」

お父様のエルをダシにする様な発言がちょっと見過ごせなくて、思わず冷たい視線を向けてしまう。
だけど、早く帰る事に関しては賛成だ。
僕は他の貴族の子息や令嬢と過ごすより、エルと過ごす時間を優先したい。

本当は、何者にも傷つけられない様に、僕の部屋に閉じ込めてしまいたいけど、エルは籠の鳥じゃない。それに、いつも元気に外で遊ぶ姿を見るのが僕は好きなんだ。
そんなエルの自由を護る為には、僕自身の心と体の強さが必要だ。
強さを求めるのは今までと変わらないけど、それだけに固執して、本来の“エルを護るため”という目的を見失わないようにしないとね。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

処理中です...