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17 約束の百日目
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そうか。あのときからずっと、彼は私を見ていてくれたのか。
私は泣きそうになりながら、「これからよろしくお願いいたします」と頭を下げる。
下げた頭を戻すと、リナートは安堵したような、とても幸せそうな笑みを浮かべていた。
「……私、できることなら百日前に戻って、あなたに酷いことを言った自分の口を塞いでしまいたいわ」
私は両手で顔を覆って、リナートに零す。
リナートはそっと私の手をどけると、頬に触れて自分のほうへ向かせた。
ドン、と花火が鳴って、私たちの顔を色鮮やかに染める。
互いに絡み合う視線を恥ずかしいと思う一方で、なぜかリナートから目を離すことが出来ない。
「では、私があなたの代わりに今、その口を塞いでも構いませんか?」
私は返事の代わりに、そっと睫毛を下ろした。
***
生誕祭の次の日、私たちは必要各所への公式的な婚約発表を行い、正式な婚約者同士となった。
結婚式は六カ月後になるのだが、リナートは公爵家に慣れるためという名目で、私の公爵家への早めの転居を父に願い出た。
「アイズノウン伯爵。これから私は繁忙期に入ってしまい、オレリア嬢との密なる時間を持つことが難しくなってしまいます。そのため是非オレリア嬢を、私の屋敷に住まわせていただけないでしょうか?」
リナートの願い出に、父はあっさりとこれを承諾する。
「確かに、リナート卿はいつも忙しくしているからな。娘の気が変わっても困るし、わかった、許可しよう。ただし……」
結婚するまでは娘の純潔を守るようにとしっかり釘を刺し、気付けば私はリナートのお屋敷へと転居が決まった。
嫁入り前の娘を成人した男と一緒に住まわせるなんて、どうやら父は、本当にリナートを信頼しているか、逃してはいけない大きな魚だと思っているようだ。
「ただいま帰りました、オレリア嬢」
「リナート様、私たちはもうすぐ結婚するのですから、普通に名前で呼んでくださって構いませんよ」
「ありがとうございます、オレリア。ではあなたも、これからはリナートとお呼びください」
「はい、リナート様……じゃないですね、リナート」
リナートは夕飯前に帰宅すると、まず私の部屋を訪れる。
そして一緒に食事をして、今日の出来事を話して、別れて、それぞれの部屋で眠る。
日中リナートがいない時は、公爵家のことについて公爵夫人や執事から色々と教わったり、外出をしてキャロットと遊んだりすることが多かった。
一緒に生活をするようになってわかったことは、リナートは意外と朝が弱いということ、そしてお酒に強いということ、そしてキスをすることがとても好きだということだった。
私は泣きそうになりながら、「これからよろしくお願いいたします」と頭を下げる。
下げた頭を戻すと、リナートは安堵したような、とても幸せそうな笑みを浮かべていた。
「……私、できることなら百日前に戻って、あなたに酷いことを言った自分の口を塞いでしまいたいわ」
私は両手で顔を覆って、リナートに零す。
リナートはそっと私の手をどけると、頬に触れて自分のほうへ向かせた。
ドン、と花火が鳴って、私たちの顔を色鮮やかに染める。
互いに絡み合う視線を恥ずかしいと思う一方で、なぜかリナートから目を離すことが出来ない。
「では、私があなたの代わりに今、その口を塞いでも構いませんか?」
私は返事の代わりに、そっと睫毛を下ろした。
***
生誕祭の次の日、私たちは必要各所への公式的な婚約発表を行い、正式な婚約者同士となった。
結婚式は六カ月後になるのだが、リナートは公爵家に慣れるためという名目で、私の公爵家への早めの転居を父に願い出た。
「アイズノウン伯爵。これから私は繁忙期に入ってしまい、オレリア嬢との密なる時間を持つことが難しくなってしまいます。そのため是非オレリア嬢を、私の屋敷に住まわせていただけないでしょうか?」
リナートの願い出に、父はあっさりとこれを承諾する。
「確かに、リナート卿はいつも忙しくしているからな。娘の気が変わっても困るし、わかった、許可しよう。ただし……」
結婚するまでは娘の純潔を守るようにとしっかり釘を刺し、気付けば私はリナートのお屋敷へと転居が決まった。
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「リナート様、私たちはもうすぐ結婚するのですから、普通に名前で呼んでくださって構いませんよ」
「ありがとうございます、オレリア。ではあなたも、これからはリナートとお呼びください」
「はい、リナート様……じゃないですね、リナート」
リナートは夕飯前に帰宅すると、まず私の部屋を訪れる。
そして一緒に食事をして、今日の出来事を話して、別れて、それぞれの部屋で眠る。
日中リナートがいない時は、公爵家のことについて公爵夫人や執事から色々と教わったり、外出をしてキャロットと遊んだりすることが多かった。
一緒に生活をするようになってわかったことは、リナートは意外と朝が弱いということ、そしてお酒に強いということ、そしてキスをすることがとても好きだということだった。
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