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「……ん、はぁ……」
「気付いたか、セス」
「……ジーク……?」
髪を濡らした、やたら顔の良い美青年が、ぴちゃぴちゃと舌先を伸ばして私の股の間を舐め回していた。
どうやら私が気を失っている間に、ジークは風呂に入って身を清め、伸び放題だった髭を剃ったらしい。

「……何をしているんだ……」
「膣と感度のチェックだ。きちんと膣分泌液は働いている」
「そうか」
そう言えば、身体の隅々までチェックさせて欲しいと言われていたなと思い出す。

「……」
本当に、女になっている。
不思議な気持ちで、胸を揉んだ。
柔らかい……きちんと乳首まで勃っている。
それはそうか。
産まれた子供に乳を与える役目を担っているのだから。

それにしても。
「ジー、ク……」
ちょっと執拗過ぎないか!?
私は、少し癖の残るジークの濡れた髪を掴んだ。
ジークが顔を埋めている私の股間からは普段ぶら下がっていたものが消えて、やたらすっきりとした印象だった。


「身体は大丈夫か?痛いところは?」
「ない」
ジークに問われ、反射的に答える。

痛いところはなくとも、違和感しかない気もするが。
心なしか、背が縮んだ気もするし、手や尻の感覚が何かおかしい。
きちんと触覚はあるのに、全身に肉一枚分増えた気がする。

「いつまで弄っているつもりだ、ジーク」
ジークが触れた部分が熱を持ち、汁気たっぷりの水音が部屋に響いて何だか妙な気分になってくる。
「セスがメスイキするまで」
「……は?」
「ほら、見ろよこれ。俺、アカデミー時代からセスの裸にはやたらと勃つ癖に、女にはぴくりともしないから、男が好きなんだと思ってたんだけど」
唾液と愛液で濡れた私の下半身に、ぐちゅ、と熱を持ったジークの息子が押しあてられた。

元気そうじゃないか。……ん?何故だ!?
女には勃たない、ジークはそう言っていた筈。

「好きだったのは、男じゃなくてセスだったみたいだ」

頭か混乱する。
ジークが私を好きだった?
いやまあ、親友としてはお互い相思相愛で間違いないが、そういう意味・・・・・・で好きだったと??

「……ちょっと待ってくれないか」
「いや無理。もう無理。セスが起きるまですんごい我慢した、俺。挿入れたい」
「ジーク、落ち着け……っ!?!?」
その時、ジークの熱杭が私の陰核をずりずり、と擦り上げた。
ビクン、と身体に痺れる感覚が走り、私は未知の快感に固まる。

「好きだった相手が裸でおっぱい見せつけながらおまんこトロトロにして準備万端にしてるんだぜ?セスも男だったから、わかるだろ?」
わからないでもないが、やはり私にはわからない。
私と元妻は政略結婚だったし、はしたない格好をした女性から誘われた時も、襲いたいと思ったことがない。

私が正直にそう口にすれば、ジークはむしろ嬉しそうに笑う。
「そりゃお前……誰かを好きになったことがないってことだな」
「……」
私は元妻を愛していた。間違いなく。

そう口にするのは、自分に告白をしたジークに言うのが憚られたのか、それとも。

ジークは口にしなかった私の想いを汲み取ったかのように囁く。
「セスのそれは、家族愛なんだよ。誰か一人を熱烈に欲するような激しいものじゃなくて」
「……そう、かもな」
ジークに言われ、今までずっと気付かなかった……気付くつもりもなかった自分に気付いてしまう。

「セスが、本気で誰かにのめり込むまででいいから。少しだけ、俺にも時間をくれないか?」
「あっ……!」
ジークが、亀頭をくぷ、くぷ、と私の女性器に食い込ませる。
……本当に、女性器が私の身体に存在していることが、不思議で堪らない。

「セスにしか勃たないんだ、俺。今セスに挿入出来なかったら、一生童貞確定だ。可哀想だと思わないか?」
アカデミー時代からずっと部屋に引きこもって研究ばかりする奴だったから童貞だろうとは思っていたが、本当に童貞だったとは。

「もしこれで子供出来たら喜んで責任とるし。金は十分稼ぐし。浮気の心配もないし。結構お買い得だと思わないか?」
畳み掛けるように言われ、私は何からどう答えるべきかで悩んで結局口を開けない。

というより、先程から親指でくりくりと男性器の名残りのような陰核を弄られ続けて、考えることに集中出来なかった。


「身体の相性が良かったら、でもいい。全部セスの言う通りにするから……っっ!!」
ジークから、ありったけの想いが込められたお願いを真正面から受けてしまった私は、白旗を上げた。


女体化した私との結婚やセックスをしてくれる男が目の前にいたのだ。一つ目の関門はクリアしたのだから、次の関門……ジークに抱かれることに、私が嫌悪感を抱かないかどうかを試せば良い。
ただ、それだけだ。


私は、腹を括った。
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