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2 犬を拾いました
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ここが地球ではないとわかったのは、おばあちゃんと一緒に薬を卸しに行った街で、遠目に人間以外の種族を見た時だ。
犬の耳と尻尾を生やした歩く人間を最初に見た時は、コスプレかと思った。
おばあちゃんに笑って報告したら、『それはこの国の王族か貴族だ』と教えて貰った。
確信したのは、世界地図を見た時だ。
この世界にも魔法みたいなものはないようだけど、他の国も人虎や人豹、人熊など、主に肉食動物の獣人がそれぞれの国を治めているらしい。
そんな異世界だが、きちんと犬もいる。
おばあちゃんは犬好きで、街のいたるところにいる野良犬に餌を与えながら、「私に何かあったら、首都にいくんだよ」と残される私と野良犬の心配をしていた。
そんなおばあちゃんは、私が異世界に降り立ってから三年経った時に、眠るように亡くなった。
私はおばあちゃんのお墓を作り、おばあちゃんの仕事を引き継ぐ形でその街に留まり続けたが、そんな私とポポだけの生活に、ある日異変が起きた。
「ポポ? あまり遠くまで行っちゃ駄目だよ」
ある日、薬草を摘みに行った森で、ポポが何かに導かれるように森の奥深くまで行ってしまったのだ。
慌てて追いかけた私は、一匹の怪我をしたハスキーのような犬を発見した。
真っ白なハスキーは、背中に矢が突き刺さっており、そこだけが真っ赤に染まっている。
最初は私が近付くことに威嚇をしていたハスキーも、ポポがその頬をひと舐めしてワンワンと吠えると、大人しくなった。
まさかのトイプードルがハスキーに先輩風を吹かせたのだろうか、と思いながらも私はそのハスキーを背負って家まで連れて帰りロロと名付けると、結構献身的に世話をして、なんとか回復させるまでに至った。
おばあちゃんと私とポポの二人と一匹の生活は、私とポポとロロの、一人と二匹の生活へと変化した。
ロロはとても賢く、私とポポの話をよく聞く子だった。
お風呂に入れた時に暴れたのも最初だけで、暴れるだけ時間が伸びるよ、と優しく注意するだけでそれ以降はじっと大人しくしてくれるような子だった。
気付けば時折ふといなくなることもあるけれど、そういう日は大抵、狩ってきた獲物を口に咥えて夕方には帰ってきた。
そんな生活が、一年続いた。
犬の耳と尻尾を生やした歩く人間を最初に見た時は、コスプレかと思った。
おばあちゃんに笑って報告したら、『それはこの国の王族か貴族だ』と教えて貰った。
確信したのは、世界地図を見た時だ。
この世界にも魔法みたいなものはないようだけど、他の国も人虎や人豹、人熊など、主に肉食動物の獣人がそれぞれの国を治めているらしい。
そんな異世界だが、きちんと犬もいる。
おばあちゃんは犬好きで、街のいたるところにいる野良犬に餌を与えながら、「私に何かあったら、首都にいくんだよ」と残される私と野良犬の心配をしていた。
そんなおばあちゃんは、私が異世界に降り立ってから三年経った時に、眠るように亡くなった。
私はおばあちゃんのお墓を作り、おばあちゃんの仕事を引き継ぐ形でその街に留まり続けたが、そんな私とポポだけの生活に、ある日異変が起きた。
「ポポ? あまり遠くまで行っちゃ駄目だよ」
ある日、薬草を摘みに行った森で、ポポが何かに導かれるように森の奥深くまで行ってしまったのだ。
慌てて追いかけた私は、一匹の怪我をしたハスキーのような犬を発見した。
真っ白なハスキーは、背中に矢が突き刺さっており、そこだけが真っ赤に染まっている。
最初は私が近付くことに威嚇をしていたハスキーも、ポポがその頬をひと舐めしてワンワンと吠えると、大人しくなった。
まさかのトイプードルがハスキーに先輩風を吹かせたのだろうか、と思いながらも私はそのハスキーを背負って家まで連れて帰りロロと名付けると、結構献身的に世話をして、なんとか回復させるまでに至った。
おばあちゃんと私とポポの二人と一匹の生活は、私とポポとロロの、一人と二匹の生活へと変化した。
ロロはとても賢く、私とポポの話をよく聞く子だった。
お風呂に入れた時に暴れたのも最初だけで、暴れるだけ時間が伸びるよ、と優しく注意するだけでそれ以降はじっと大人しくしてくれるような子だった。
気付けば時折ふといなくなることもあるけれど、そういう日は大抵、狩ってきた獲物を口に咥えて夕方には帰ってきた。
そんな生活が、一年続いた。
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