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マーギアー様との、初デートの日。
観劇や闘技場なんかの大衆娯楽に行った方が良いか悩んだけれど、マーギアー様が待ち合わせ場所に現れた瞬間、デートの目的はショッピングに決定した。
とは言え、勘違いだったら申し訳ないので念のため、マーギアー様に質問して確認する。
「マーギアー様、私とデートした後は今日もお仕事でしょうか?」
マーギアー様が、私とのデートに魔導師様達が使用する普段使いの黒いローブで現れたからだ。
「い、いえ……すみません……私は、これしか……外で着られるものがなくて……」
おろおろした様子で答えて下さったマーギアー様に安堵する。良かった、お仕事が忙しい最中に無理矢理時間を割かせた訳ではないらしい。
相変わらず目の下の隈は凄いが、それでも普段より嬉しそうな様子が伝わってくる気がするのは、気のせいではないと願いたかった。
一級魔導師であるマーギアー様は王室から渡された特別なローブをお持ちで、城に行く時にはそれを使用する。流石にそれは細部まで凝らした金糸が目立つから、普段使いのローブにしてくれたのだろう。
「では今日は、マーギアー様の私服を私が選びたいです!」
「……私の……でしょうか……?」
「はい」
「……フィーユさんの……ではなく……?」
「はい。……駄目でしょうか?」
私が聞くと、マーギアー様は背筋をビシッと伸ばしておっしゃられた。
「い、いいえっ……フィーユさんが、それで良ければ……ぜ、是非……よろしく、お願い致します……」
私はその回答に、満面の笑みを浮かべる。
「では早速、マーギアー様の私服を見に行きましょう♪」
「マーギアー様……足、長いですね……」
「そ、そう……なのでしょうか……?」
とある男性用のショップにて。
一級魔導師であるマーギアー様に既製品は失礼かと思いながらも、支払いを考えると仕立てのショップに入るのは勇気が出ず、結局無難に人気のお洒落な店舗を選んで入った。
マーギアー様のローブを無理矢理剥ぎ、ああでもないこうでもない、とトップスやらパンツをコーディネートしていったのだが、マーギアー様はスタイルがとんでもなく良い事が発覚。途中から、私とショップの店員さんが興奮しながらマーギアー様を存分に着せ替え人形として一緒に楽しんでしまいました。
「お客様は丈をカットしないでそのまま使用出来ますね!」
「じゃあ、これとこれを」
私が勝手に選んだので服の購入費を全額ないし半分は出すつもりでいたが、マーギアー様はそれを許さなかった。
散財させるつもりはなかったけれども、一級魔導師であるマーギアー様が着るにはむしろ安い部類に入るかもしれないので、有り難く甘えた。……甘えたというのも変だけど。
早速試着室で着替えて貰い、素敵なマーギアー様が更に素敵なマーギアー様に変身する。
ローブは紙袋に入れて頂き、私が選んだマーギアー様をしみじみ眺めた。
普段黒のイメージが強いので、そこからは逸脱しなかった。
トップスは深緑のラインが襟から服の正面を通って裾まで入っており、見返しの部分や袖を折ると同じ色が現れる。
ドンキー襟もマーギアー様の小顔を引き立たせて最高だ。
パンツもシャープなラインシルエットのものを選んで、ロングブーツにインして貰った。
……ヤバい、好み過ぎる。
「……変じゃ……ないでしょうか……?」
ウェーブのかかった長い前髪の隙間から、オッドアイがこちらを見ながら不安げに揺れる。
「ローブ姿のマーギアー様も素敵ですが、私服姿のマーギアー様もとても素敵だと思います」
本心だ。
正直、ローブで隠されていたスラッとした長い足で颯爽とモデルの様に歩かれてしまったなら、ライバルが増えそう。
「……あ、ありがとうございます……お世辞でも、とても……嬉しい、です……」
はにかむように微笑んで頬を染めるマーギアー様が可愛すぎる。私が「手を繋いでも良いですか?」と聞けばこくりと頷いてくれた。耳まで赤くなったのが、更に可愛かった。
マーギアー様の私服を私が見繕ったり、私の趣味の便利掃除グッズを見て回ったり、ちょっとお洒落なカフェに入ったりして過ごしただけで、あっという間に時間は過ぎ去った。
マーギアー様も疲れただろうに、終始ニコニコして私にお付き合いして下さった。
デート中、マーギアー様に対して胸がキュンキュンして仕方ない。初恋でもあるまいに。そう自嘲しながらも、胸の高鳴りを抑える事は出来なかった。
「夕飯は、我が家にいらっしゃいませんか?」
私が日が傾きかけた頃にそうお誘いすると、マーギアー様は少し固まってから、ゆっくり頷いて下さる。
それは、拒否や躊躇というより緊張からくるものだとわかるから、私は安心した。
「……フィーユさんが、お疲れでなければ……」
「昨日から仕込んであるので、帰ったら温めて並べるだけです!大丈夫ですよ」
「……でしたら、是非……」
二人で仲良く手を繋いだまま、ワインだけ二人で選んで帰宅する。初めて手を繋いだ時はぎこちなかったマーギアー様も、私との距離感になれてきたみたいで心中にまにました。
端から見れば、恋人の様に見えるのだろうか。……いや、一応恋人の筈なんだけど。
狭いがこざっぱりしている私の部屋は、友人を呼んでも元彼達にも、癒されるし安心感があると定評だった。
カントリー調だがごちゃごちゃしない様に必要最低限の小物を置き、植物は好きなので多めに配置している。
「ここが……フィーユさんのお部屋……な、なんか凄く良い香りがしますね……」
玄関で立ち止まり、一向に入室しようとしないマーギアー様の背中を押して部屋の中へと案内した。
椅子に座って頂くと、マーギアー様はわかりやすくキョロキョロと物珍しそうに室内を見回しており、そんな様子を見ているこちらが和んでしまう。
「少しこちらでお待ち下さい」
「……はい……」
昨日仕込んだ牛頬肉のブラウンシチューに火を入れてから、朝準備しておいた二人分のアンティパストミストを冷蔵庫から取り出し、グラスを用意してワインをあける。
「どうぞ、先に……」
頂いていて下さい、と言おうとしたが、遠慮の塊であるマーギアー様が先に飲み食いする訳がない、と思った私はひとまず自分も乾杯して口をつける事にした。
「今日は楽しかったです」
「……わ、私も本当に……夢の様な気分でした……」
前菜を食べて、マーギアー様にもすすめる。
「……フィーユさんが、これを作ったのですか……?」
「はい」
「……食べるのが、勿体ない、ですね……」
「残された方が泣きますよ?」
私が笑ってそう言えば、そ、そうですよね!と勢い良く口にして下さった。嫌いなものではなかった様で、安心する。
少し二人で前菜をつまみながら飲んで、席を離れてガーリックライスだけ作った。
しっかり温まったブラウンシチューと一緒に、テーブルに運ぶ。
「あ、ありがとうございますっ……」
「お口にあえば良いのですが」
「い、頂きます……」
マーギアー様には特別苦手な食べ物がない、と他の魔導師様方から情報を仕入れてはいたが、実際マーギアー様が幸せそうに一口一口しっかり味わいながら食して下さるのを目にするまで不安だった。
美味しいです、最高です、と繰り返し誉めて下さるマーギアー様が我が家にいる事に何だか不思議な気持ちを感じながらも、外では聞けなかった事をやんわりと切り出した。
「それで……マーギアー様、睡眠不足は大丈夫ですか?」
「……え?」
「毎晩、私のせいで睡眠時間が削られているのですよね?」
私が核心に触れると、マーギアー様はわかりやすくワインを溢した。
「わ、わ、すみませんっ……」
「シミになりますから、一回脱いで下さいませんか?」
「は、はい……」
マーギアー様にブランケットを渡し、脱いで下さった服の染み抜きをした後、ハンガーに掛けて乾かしながら再度話を振る。
「結局、私は毎晩何をされているのでしょうか?」
これは、責めているのではなく純粋な疑問だった。話せる範囲で良いので詳しい説明を求めると、マーギアー様はしばらく悩んだ後、意を決して話だして下さった。
「じ、自分は……精神干渉に特化した魔術師なのです……理由は話せませんが……フィーユさんには、睡眠不足に陥らせる呪術を掛けてしまったのです……」
「え?」
睡眠不足?毎日ぐっすりしっかり寝ていますけど……と、言い掛けて、毎晩マーギアー様にされるまで決して眠れない事を思い出す。
「どんな呪術も、掛ける際には解除の方法を設定しておくのですが……それが、たまたま今回……」
マーギアー様は、そのまま顔を真っ赤にさせて、俯いてゴニョゴニョしてしまう。
「性的に、絶頂する事なのでしょうか?」
「そ、そうなんです……!本当に、申し訳ありません……!!」
私は、首を振った。
「毎晩、手間を掛けさせてすみません」
しかし、私を絶頂させるだけでそんなに大変なのだろうか?「それで、毎晩寝不足に?」
今度はマーギアー様が首を振った。
「いえ……フィーユさんの元に意識を送るのは簡単なのですが……毎日……異空間を作り、そこにフィーユさんの意識と、自分の意識を引っ張り込んでいたので……それで……少し疲れてしまったのです……」
恥ずかしながら、と困った様にマーギアー様はおっしゃったが、聞いてるだけでとてつもなく大変そうだ。全く知識のない私がそう思ったのだから、もし魔導師様方が聞いたらどんな反応をなさるのだろう?
「後三週間、は流石のマーギアー様でも体調を崩されるのではないでしょうか?」
どうか、無理だと言って欲しい。
「……はい……しかし、フィーユさんに掛かっている呪術はまだ解けていないので……」
本当にすみません、とマーギアー様が頭を下げるので、私はマーギアー様の膝の上にある手に自分のそれを重ねた。
ワインの酔いを期待したが、喉がカラカラに乾いている……緊張しているのを自覚しながら、意を決して言葉を紡ぐ。
「……では、毎晩……私の傍にいて、二人で快眠を目指しませんか?」
初めは意味のわからなかったマーギアー様は、口をぽけ、と広げた。恐らくきょとん、としているのだろう。
しかし、意味が伝わったのか、急にぼぼぼ、と頬を染め、「えええっ……!?」
と叫んで椅子から立ち上がる。
私の手が、マーギアー様の手から離れてしまった。
「マーギアー様、私達お付き合いをしているという事ですし。そ、そういう関係になっても、良いのではないかと……マーギアー様さえ、お嫌でなければ」
「いいい嫌だなんてっ……」
マーギアー様は首をぶんぶん、と振った後、「ほ、本当に良いのですか……?」「後で、困ったりしませんか……?」「あ、相手を間違えていませんか……?」と、暫く脳内会議を繰り広げていらっしゃる様子の沈黙と質問を繰り返した。
私は座ったまま、再び立ち上がったままのマーギアー様の手を強く握る。
「私は、マーギアー様と……結ばれたいと、思って、おります」
言った後、流石に恥ずかしくて顔を覆った。
マーギアー様の様な純朴な方に女である私からこんな事を言うなんて、嫌われてしまわないだろうか?淫乱だと思われないだろうか?
嫌な事ばかり考えが及び、発した言葉は訂正出来ない事に泣きたくなる。
しかし、マーギアー様はそんな私の頭を抱えるようにそっと抱き締め、
「う、嬉しいです……私は、いえ、私こそ……フィーユさんと、そうなれたら……私は、フィーユさんを、お慕いしています……」
とおっしゃって下さったのだった。
***
ベッドへと移動した私達は、お互いの想いを確かめ合うかの様に、濃厚なキスに溺れた。
「んふぅ……」
「……、フィーユ、さん……」
キスをしながら、マーギアー様は恐る恐る私の身体に触れる。心配しなくても、私はマーギアー様とのキスだけで感じて、既に蜜口は淫水で満たされ零れていた。
お互いの服を脱がせ合い、身体のぬくもりを確かめ合う。
するする、とここ一週間受け続けた愛撫とそっくりな手つきで指先が私の太腿を這い、泉に到達する。
湿った恥毛をかき分け、マーギアー様の指先が膣内につぷりと埋め込まれれば、私の身体は期待で震えた。
挿入された指は、膣内をくちゅくちゅ、とかき回しながら私の弱点を確かめる。
一週間、何度も何度も絶頂させてくれた指は、自分のものであるかの様に、内部を知り尽くしていた。
マーギアー様は指を一度抜き、まとわりついた私の愛液をペロリと舐め、「フィーユさんの味がする……」と嬉しそうな声をあげる。
私は恥ずかしくて、声が漏れない様に口元を両手で抑えていた。
「嬉しいです……自分指にフィーユさんの愛液がまとわりついた感触がして……思わず舐めても……いつもは何の味もしないので……当然なのですが」
そして「直接舐めても良いですか?」と聞かれてしまい、私は「そんな事は、聞かないで下さい……」と半泣きで答える。
「では、失礼致します……」
マーギアー様が私の両足を開脚させ、更に潤いを湛えた泉がよく見える様に指で襞を左右に押し広げる。
「これがフィーユさんの、おまんこ……」と呟かれ、ゴクリと喉を鳴らしたのはどちらだったのか。
「フィーユさんが、私の愛撫でこんなに感じて下さるなんて……」そう言いながら、マーギアー様はしっかりと口で蜜壷を覆うように塞いで膣内を味わう様にすすり上げる。
じゅる、じゅるっ!じゅじゅじゅううう……っっ!!
「んんっ……!」
マーギアー様の唇が膣の上に存在する秘豆を掠めて、私の腰が跳ね上かった。
「はぁ、はぁ、フィーユさんの、お汁……啜っても、啜っても、溢れてきます……!!」
興奮したマーギアー様の声が聞こえ、私の胸も喜びに溢れる。
マーギアー様が私の身体に欲情して下さるのが、心から嬉しい。もっと、私を欲しがって欲しい。
今までは、マーギアー様の声を、指を、気配を、感じていながらも全く目にうつす事が出来なかった。
手を伸ばせばマーギアー様に触れる事が出来、また抱き締める事すら出来る。
嬉しさで、涙が眦に滲んだ。
クリトリスをペロペロと舐め上げられながら指をつぷりと一本いれられ、そのまままさぐられる。
ぐちゃぐちゃ、ぐちょ、という湿った音が、部屋の中に響いた。
「はぁ、はぁ……フィーユさんっ……」
「マーギアー様……」
もう、辛い。
一週間昂らせたまま挿入させて貰えない身体は、マーギアー様のペニスを待ちわびていた。
これ以上、待てない。
「マーギアー様、ごめんなさい……」
私が謝ると、マーギアー様がぴたりと固まり、私を凝視する。マーギアー様の前髪の隙間から見えるオッドアイと、視線が交わった。
「もう、限界なんです。……早く、マーギアー様に、入れて欲し……」
ずん!!と。
私が懇願した瞬間に、自分の下半身にマーギアー様の肉欲が最奥まで分け入った。
「ひゃん!ぁん!!あぁん!!」
「フィーユさん!フィーユさん……っっ!!好きですっ!!」
拙くピストンされる腰は、私を気遣いながらも、めちゃくちゃに蹂躙していく様で。
額に汗をかきながら、何の技量もなく抽送を繰り返すマーギアー様が愛しくて、その綺麗な瞳を隠す前髪を両手で左右に撫で付けた。
私を真っ直ぐに貫く、視線。
金と緑の煌めきが、私の心を撃ち抜いた。
マーギアー様は、私の右手をそっと口元にまわして、手のひらに口付ける。
「……続け、ます」
そう宣言をしたマーギアー様は、今まで身体を繋げられなかった分を取り戻すかの様に、何度も何度も私を絶頂させ、自分も私の膣内で解き放った。
幾度も体位を変え、マーギアー様の肉棒がその役目に満足する頃には、空は白み始め、私は喘ぎ声すら出なくなっていて。
私達は繋がったまま、二人して幸せな睡眠を貪るに至ったのだった。
***
それから、私がマーギアー様の呪術を受けてしまった日から、ようやく1ヶ月が経とうとしていた。
「……やっと、フィーユさんから呪術が……抜けました……」
マーギアー様は、ホッとした様に私に告げる。
「ではこれで、マーギアー様の睡眠不足は解消ですかね?」
私がそう問うと、マーギアー様は「……それは、どうでしょう……?」と首を傾げて微笑んだ。見えないオッドアイは優しく細められているに違いない。
私達が初めて身体を繋げてから毎晩、私の家かマーギアー様の部屋で交わったまま眠る生活を続けた結果……マーギアー様の目の下の隈はなくなった……という事はなく。
マーギアー様だけでなく、私まで睡眠不足に陥るという残念な結果になっていた。
毎日強く拒めず、何だかんだで流され朝まで濃厚な性交渉をしてしまう私も悪いのだけれども、まさかマーギアー様が絶倫で、三度の飯よりセックスが好きだとも、睡眠欲より性欲の人だとも思っていなかった。
どちらかの仕事に支障をきたす手前で、何とかしなければ……!!
強く拳を握った私の耳元で、マーギアー様が囁いた。
「今日も、フィーユさんを……朝までしっかりと可愛がりたいです……」
睡眠不足な魔導師様は、相変わらず健在なのでした。
観劇や闘技場なんかの大衆娯楽に行った方が良いか悩んだけれど、マーギアー様が待ち合わせ場所に現れた瞬間、デートの目的はショッピングに決定した。
とは言え、勘違いだったら申し訳ないので念のため、マーギアー様に質問して確認する。
「マーギアー様、私とデートした後は今日もお仕事でしょうか?」
マーギアー様が、私とのデートに魔導師様達が使用する普段使いの黒いローブで現れたからだ。
「い、いえ……すみません……私は、これしか……外で着られるものがなくて……」
おろおろした様子で答えて下さったマーギアー様に安堵する。良かった、お仕事が忙しい最中に無理矢理時間を割かせた訳ではないらしい。
相変わらず目の下の隈は凄いが、それでも普段より嬉しそうな様子が伝わってくる気がするのは、気のせいではないと願いたかった。
一級魔導師であるマーギアー様は王室から渡された特別なローブをお持ちで、城に行く時にはそれを使用する。流石にそれは細部まで凝らした金糸が目立つから、普段使いのローブにしてくれたのだろう。
「では今日は、マーギアー様の私服を私が選びたいです!」
「……私の……でしょうか……?」
「はい」
「……フィーユさんの……ではなく……?」
「はい。……駄目でしょうか?」
私が聞くと、マーギアー様は背筋をビシッと伸ばしておっしゃられた。
「い、いいえっ……フィーユさんが、それで良ければ……ぜ、是非……よろしく、お願い致します……」
私はその回答に、満面の笑みを浮かべる。
「では早速、マーギアー様の私服を見に行きましょう♪」
「マーギアー様……足、長いですね……」
「そ、そう……なのでしょうか……?」
とある男性用のショップにて。
一級魔導師であるマーギアー様に既製品は失礼かと思いながらも、支払いを考えると仕立てのショップに入るのは勇気が出ず、結局無難に人気のお洒落な店舗を選んで入った。
マーギアー様のローブを無理矢理剥ぎ、ああでもないこうでもない、とトップスやらパンツをコーディネートしていったのだが、マーギアー様はスタイルがとんでもなく良い事が発覚。途中から、私とショップの店員さんが興奮しながらマーギアー様を存分に着せ替え人形として一緒に楽しんでしまいました。
「お客様は丈をカットしないでそのまま使用出来ますね!」
「じゃあ、これとこれを」
私が勝手に選んだので服の購入費を全額ないし半分は出すつもりでいたが、マーギアー様はそれを許さなかった。
散財させるつもりはなかったけれども、一級魔導師であるマーギアー様が着るにはむしろ安い部類に入るかもしれないので、有り難く甘えた。……甘えたというのも変だけど。
早速試着室で着替えて貰い、素敵なマーギアー様が更に素敵なマーギアー様に変身する。
ローブは紙袋に入れて頂き、私が選んだマーギアー様をしみじみ眺めた。
普段黒のイメージが強いので、そこからは逸脱しなかった。
トップスは深緑のラインが襟から服の正面を通って裾まで入っており、見返しの部分や袖を折ると同じ色が現れる。
ドンキー襟もマーギアー様の小顔を引き立たせて最高だ。
パンツもシャープなラインシルエットのものを選んで、ロングブーツにインして貰った。
……ヤバい、好み過ぎる。
「……変じゃ……ないでしょうか……?」
ウェーブのかかった長い前髪の隙間から、オッドアイがこちらを見ながら不安げに揺れる。
「ローブ姿のマーギアー様も素敵ですが、私服姿のマーギアー様もとても素敵だと思います」
本心だ。
正直、ローブで隠されていたスラッとした長い足で颯爽とモデルの様に歩かれてしまったなら、ライバルが増えそう。
「……あ、ありがとうございます……お世辞でも、とても……嬉しい、です……」
はにかむように微笑んで頬を染めるマーギアー様が可愛すぎる。私が「手を繋いでも良いですか?」と聞けばこくりと頷いてくれた。耳まで赤くなったのが、更に可愛かった。
マーギアー様の私服を私が見繕ったり、私の趣味の便利掃除グッズを見て回ったり、ちょっとお洒落なカフェに入ったりして過ごしただけで、あっという間に時間は過ぎ去った。
マーギアー様も疲れただろうに、終始ニコニコして私にお付き合いして下さった。
デート中、マーギアー様に対して胸がキュンキュンして仕方ない。初恋でもあるまいに。そう自嘲しながらも、胸の高鳴りを抑える事は出来なかった。
「夕飯は、我が家にいらっしゃいませんか?」
私が日が傾きかけた頃にそうお誘いすると、マーギアー様は少し固まってから、ゆっくり頷いて下さる。
それは、拒否や躊躇というより緊張からくるものだとわかるから、私は安心した。
「……フィーユさんが、お疲れでなければ……」
「昨日から仕込んであるので、帰ったら温めて並べるだけです!大丈夫ですよ」
「……でしたら、是非……」
二人で仲良く手を繋いだまま、ワインだけ二人で選んで帰宅する。初めて手を繋いだ時はぎこちなかったマーギアー様も、私との距離感になれてきたみたいで心中にまにました。
端から見れば、恋人の様に見えるのだろうか。……いや、一応恋人の筈なんだけど。
狭いがこざっぱりしている私の部屋は、友人を呼んでも元彼達にも、癒されるし安心感があると定評だった。
カントリー調だがごちゃごちゃしない様に必要最低限の小物を置き、植物は好きなので多めに配置している。
「ここが……フィーユさんのお部屋……な、なんか凄く良い香りがしますね……」
玄関で立ち止まり、一向に入室しようとしないマーギアー様の背中を押して部屋の中へと案内した。
椅子に座って頂くと、マーギアー様はわかりやすくキョロキョロと物珍しそうに室内を見回しており、そんな様子を見ているこちらが和んでしまう。
「少しこちらでお待ち下さい」
「……はい……」
昨日仕込んだ牛頬肉のブラウンシチューに火を入れてから、朝準備しておいた二人分のアンティパストミストを冷蔵庫から取り出し、グラスを用意してワインをあける。
「どうぞ、先に……」
頂いていて下さい、と言おうとしたが、遠慮の塊であるマーギアー様が先に飲み食いする訳がない、と思った私はひとまず自分も乾杯して口をつける事にした。
「今日は楽しかったです」
「……わ、私も本当に……夢の様な気分でした……」
前菜を食べて、マーギアー様にもすすめる。
「……フィーユさんが、これを作ったのですか……?」
「はい」
「……食べるのが、勿体ない、ですね……」
「残された方が泣きますよ?」
私が笑ってそう言えば、そ、そうですよね!と勢い良く口にして下さった。嫌いなものではなかった様で、安心する。
少し二人で前菜をつまみながら飲んで、席を離れてガーリックライスだけ作った。
しっかり温まったブラウンシチューと一緒に、テーブルに運ぶ。
「あ、ありがとうございますっ……」
「お口にあえば良いのですが」
「い、頂きます……」
マーギアー様には特別苦手な食べ物がない、と他の魔導師様方から情報を仕入れてはいたが、実際マーギアー様が幸せそうに一口一口しっかり味わいながら食して下さるのを目にするまで不安だった。
美味しいです、最高です、と繰り返し誉めて下さるマーギアー様が我が家にいる事に何だか不思議な気持ちを感じながらも、外では聞けなかった事をやんわりと切り出した。
「それで……マーギアー様、睡眠不足は大丈夫ですか?」
「……え?」
「毎晩、私のせいで睡眠時間が削られているのですよね?」
私が核心に触れると、マーギアー様はわかりやすくワインを溢した。
「わ、わ、すみませんっ……」
「シミになりますから、一回脱いで下さいませんか?」
「は、はい……」
マーギアー様にブランケットを渡し、脱いで下さった服の染み抜きをした後、ハンガーに掛けて乾かしながら再度話を振る。
「結局、私は毎晩何をされているのでしょうか?」
これは、責めているのではなく純粋な疑問だった。話せる範囲で良いので詳しい説明を求めると、マーギアー様はしばらく悩んだ後、意を決して話だして下さった。
「じ、自分は……精神干渉に特化した魔術師なのです……理由は話せませんが……フィーユさんには、睡眠不足に陥らせる呪術を掛けてしまったのです……」
「え?」
睡眠不足?毎日ぐっすりしっかり寝ていますけど……と、言い掛けて、毎晩マーギアー様にされるまで決して眠れない事を思い出す。
「どんな呪術も、掛ける際には解除の方法を設定しておくのですが……それが、たまたま今回……」
マーギアー様は、そのまま顔を真っ赤にさせて、俯いてゴニョゴニョしてしまう。
「性的に、絶頂する事なのでしょうか?」
「そ、そうなんです……!本当に、申し訳ありません……!!」
私は、首を振った。
「毎晩、手間を掛けさせてすみません」
しかし、私を絶頂させるだけでそんなに大変なのだろうか?「それで、毎晩寝不足に?」
今度はマーギアー様が首を振った。
「いえ……フィーユさんの元に意識を送るのは簡単なのですが……毎日……異空間を作り、そこにフィーユさんの意識と、自分の意識を引っ張り込んでいたので……それで……少し疲れてしまったのです……」
恥ずかしながら、と困った様にマーギアー様はおっしゃったが、聞いてるだけでとてつもなく大変そうだ。全く知識のない私がそう思ったのだから、もし魔導師様方が聞いたらどんな反応をなさるのだろう?
「後三週間、は流石のマーギアー様でも体調を崩されるのではないでしょうか?」
どうか、無理だと言って欲しい。
「……はい……しかし、フィーユさんに掛かっている呪術はまだ解けていないので……」
本当にすみません、とマーギアー様が頭を下げるので、私はマーギアー様の膝の上にある手に自分のそれを重ねた。
ワインの酔いを期待したが、喉がカラカラに乾いている……緊張しているのを自覚しながら、意を決して言葉を紡ぐ。
「……では、毎晩……私の傍にいて、二人で快眠を目指しませんか?」
初めは意味のわからなかったマーギアー様は、口をぽけ、と広げた。恐らくきょとん、としているのだろう。
しかし、意味が伝わったのか、急にぼぼぼ、と頬を染め、「えええっ……!?」
と叫んで椅子から立ち上がる。
私の手が、マーギアー様の手から離れてしまった。
「マーギアー様、私達お付き合いをしているという事ですし。そ、そういう関係になっても、良いのではないかと……マーギアー様さえ、お嫌でなければ」
「いいい嫌だなんてっ……」
マーギアー様は首をぶんぶん、と振った後、「ほ、本当に良いのですか……?」「後で、困ったりしませんか……?」「あ、相手を間違えていませんか……?」と、暫く脳内会議を繰り広げていらっしゃる様子の沈黙と質問を繰り返した。
私は座ったまま、再び立ち上がったままのマーギアー様の手を強く握る。
「私は、マーギアー様と……結ばれたいと、思って、おります」
言った後、流石に恥ずかしくて顔を覆った。
マーギアー様の様な純朴な方に女である私からこんな事を言うなんて、嫌われてしまわないだろうか?淫乱だと思われないだろうか?
嫌な事ばかり考えが及び、発した言葉は訂正出来ない事に泣きたくなる。
しかし、マーギアー様はそんな私の頭を抱えるようにそっと抱き締め、
「う、嬉しいです……私は、いえ、私こそ……フィーユさんと、そうなれたら……私は、フィーユさんを、お慕いしています……」
とおっしゃって下さったのだった。
***
ベッドへと移動した私達は、お互いの想いを確かめ合うかの様に、濃厚なキスに溺れた。
「んふぅ……」
「……、フィーユ、さん……」
キスをしながら、マーギアー様は恐る恐る私の身体に触れる。心配しなくても、私はマーギアー様とのキスだけで感じて、既に蜜口は淫水で満たされ零れていた。
お互いの服を脱がせ合い、身体のぬくもりを確かめ合う。
するする、とここ一週間受け続けた愛撫とそっくりな手つきで指先が私の太腿を這い、泉に到達する。
湿った恥毛をかき分け、マーギアー様の指先が膣内につぷりと埋め込まれれば、私の身体は期待で震えた。
挿入された指は、膣内をくちゅくちゅ、とかき回しながら私の弱点を確かめる。
一週間、何度も何度も絶頂させてくれた指は、自分のものであるかの様に、内部を知り尽くしていた。
マーギアー様は指を一度抜き、まとわりついた私の愛液をペロリと舐め、「フィーユさんの味がする……」と嬉しそうな声をあげる。
私は恥ずかしくて、声が漏れない様に口元を両手で抑えていた。
「嬉しいです……自分指にフィーユさんの愛液がまとわりついた感触がして……思わず舐めても……いつもは何の味もしないので……当然なのですが」
そして「直接舐めても良いですか?」と聞かれてしまい、私は「そんな事は、聞かないで下さい……」と半泣きで答える。
「では、失礼致します……」
マーギアー様が私の両足を開脚させ、更に潤いを湛えた泉がよく見える様に指で襞を左右に押し広げる。
「これがフィーユさんの、おまんこ……」と呟かれ、ゴクリと喉を鳴らしたのはどちらだったのか。
「フィーユさんが、私の愛撫でこんなに感じて下さるなんて……」そう言いながら、マーギアー様はしっかりと口で蜜壷を覆うように塞いで膣内を味わう様にすすり上げる。
じゅる、じゅるっ!じゅじゅじゅううう……っっ!!
「んんっ……!」
マーギアー様の唇が膣の上に存在する秘豆を掠めて、私の腰が跳ね上かった。
「はぁ、はぁ、フィーユさんの、お汁……啜っても、啜っても、溢れてきます……!!」
興奮したマーギアー様の声が聞こえ、私の胸も喜びに溢れる。
マーギアー様が私の身体に欲情して下さるのが、心から嬉しい。もっと、私を欲しがって欲しい。
今までは、マーギアー様の声を、指を、気配を、感じていながらも全く目にうつす事が出来なかった。
手を伸ばせばマーギアー様に触れる事が出来、また抱き締める事すら出来る。
嬉しさで、涙が眦に滲んだ。
クリトリスをペロペロと舐め上げられながら指をつぷりと一本いれられ、そのまままさぐられる。
ぐちゃぐちゃ、ぐちょ、という湿った音が、部屋の中に響いた。
「はぁ、はぁ……フィーユさんっ……」
「マーギアー様……」
もう、辛い。
一週間昂らせたまま挿入させて貰えない身体は、マーギアー様のペニスを待ちわびていた。
これ以上、待てない。
「マーギアー様、ごめんなさい……」
私が謝ると、マーギアー様がぴたりと固まり、私を凝視する。マーギアー様の前髪の隙間から見えるオッドアイと、視線が交わった。
「もう、限界なんです。……早く、マーギアー様に、入れて欲し……」
ずん!!と。
私が懇願した瞬間に、自分の下半身にマーギアー様の肉欲が最奥まで分け入った。
「ひゃん!ぁん!!あぁん!!」
「フィーユさん!フィーユさん……っっ!!好きですっ!!」
拙くピストンされる腰は、私を気遣いながらも、めちゃくちゃに蹂躙していく様で。
額に汗をかきながら、何の技量もなく抽送を繰り返すマーギアー様が愛しくて、その綺麗な瞳を隠す前髪を両手で左右に撫で付けた。
私を真っ直ぐに貫く、視線。
金と緑の煌めきが、私の心を撃ち抜いた。
マーギアー様は、私の右手をそっと口元にまわして、手のひらに口付ける。
「……続け、ます」
そう宣言をしたマーギアー様は、今まで身体を繋げられなかった分を取り戻すかの様に、何度も何度も私を絶頂させ、自分も私の膣内で解き放った。
幾度も体位を変え、マーギアー様の肉棒がその役目に満足する頃には、空は白み始め、私は喘ぎ声すら出なくなっていて。
私達は繋がったまま、二人して幸せな睡眠を貪るに至ったのだった。
***
それから、私がマーギアー様の呪術を受けてしまった日から、ようやく1ヶ月が経とうとしていた。
「……やっと、フィーユさんから呪術が……抜けました……」
マーギアー様は、ホッとした様に私に告げる。
「ではこれで、マーギアー様の睡眠不足は解消ですかね?」
私がそう問うと、マーギアー様は「……それは、どうでしょう……?」と首を傾げて微笑んだ。見えないオッドアイは優しく細められているに違いない。
私達が初めて身体を繋げてから毎晩、私の家かマーギアー様の部屋で交わったまま眠る生活を続けた結果……マーギアー様の目の下の隈はなくなった……という事はなく。
マーギアー様だけでなく、私まで睡眠不足に陥るという残念な結果になっていた。
毎日強く拒めず、何だかんだで流され朝まで濃厚な性交渉をしてしまう私も悪いのだけれども、まさかマーギアー様が絶倫で、三度の飯よりセックスが好きだとも、睡眠欲より性欲の人だとも思っていなかった。
どちらかの仕事に支障をきたす手前で、何とかしなければ……!!
強く拳を握った私の耳元で、マーギアー様が囁いた。
「今日も、フィーユさんを……朝までしっかりと可愛がりたいです……」
睡眠不足な魔導師様は、相変わらず健在なのでした。
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