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ヴォルに距離を置きたいと言われたマリーナは、何も言えずに踵を返して、ヴォルの家を飛び出てきてしまった。
今は、気分を落ち着かせる為に、露天風呂に浸かりながら色々と思いを巡らせている。
(少し距離を置こうと言われてしまった……)
流れる涙は、とぷん、と湯船に潜ることでなかったことにした。
(やっぱり、群れに戻ることにしたのかな?)
群れに戻って、他のオーク達と一緒に女性を攫い、襲って犯すのだろうか。
(全く想像付かない……)
マリーナが襲われた時、ヴォルは明らかに男達に対して怒ってくれていた。理性的な彼の性格からすると、やはり群れに戻るという線はほぼない気がする。
(じゃあ、あの女オークの誘いが魅力的だった、とか?)
確かに、ヴォルは「女性を襲うのが嫌だ」と言っていた。逃げ惑い、泣き叫ぶ女性を力尽くでどうこうしたくない、と。
であれば、ヴォルを堂々と受け入れる姿勢を見せた、彼女のような女性はまた別なのだろう。
(……あれ?でもそれって……)
自分でも良くない?と、マリーナは気付いた。
マリーナが、堂々とヴォルに好きだと告白して、自分を伴侶にしてくれとお願いしたならば。
他種族ということであの女オークよりはハンデがあるかもしれないが、少なくとも、ヴォルが嫌がるような状況にはならないと、気付いて貰える。
(……襲って下さいと言ってるようで、なんか恥ずかしいけど……!!)
しかし、マリーナから動かなければ、心優しいヴォルが手を出すとは思えなかった。
(このままの関係が続くなら告白なんか出来なかったかもしれないけど、どうせ距離を取られることが決まっているなら……)
話は別だと、マリーナは気合いを入れて湯船の中で立ち上がった。
湯気が立ち上り、冷たい外気が肌を撫でる感触が気持ち良い。
その時、ガサ、と音がした。
巨大な何かが動くような音で、マリーナはよく知っている馴染んだ音だ。
「ヴォルさん?」
しかし、現れたのはヴォルではなかった。
「……女。女だ……」
「ぐへへ、丁度良い。群れに連れて帰ろう」
ヴォルより一回り小さなオークが二体、マリーナに向かって突進してきたのだった。
今は、気分を落ち着かせる為に、露天風呂に浸かりながら色々と思いを巡らせている。
(少し距離を置こうと言われてしまった……)
流れる涙は、とぷん、と湯船に潜ることでなかったことにした。
(やっぱり、群れに戻ることにしたのかな?)
群れに戻って、他のオーク達と一緒に女性を攫い、襲って犯すのだろうか。
(全く想像付かない……)
マリーナが襲われた時、ヴォルは明らかに男達に対して怒ってくれていた。理性的な彼の性格からすると、やはり群れに戻るという線はほぼない気がする。
(じゃあ、あの女オークの誘いが魅力的だった、とか?)
確かに、ヴォルは「女性を襲うのが嫌だ」と言っていた。逃げ惑い、泣き叫ぶ女性を力尽くでどうこうしたくない、と。
であれば、ヴォルを堂々と受け入れる姿勢を見せた、彼女のような女性はまた別なのだろう。
(……あれ?でもそれって……)
自分でも良くない?と、マリーナは気付いた。
マリーナが、堂々とヴォルに好きだと告白して、自分を伴侶にしてくれとお願いしたならば。
他種族ということであの女オークよりはハンデがあるかもしれないが、少なくとも、ヴォルが嫌がるような状況にはならないと、気付いて貰える。
(……襲って下さいと言ってるようで、なんか恥ずかしいけど……!!)
しかし、マリーナから動かなければ、心優しいヴォルが手を出すとは思えなかった。
(このままの関係が続くなら告白なんか出来なかったかもしれないけど、どうせ距離を取られることが決まっているなら……)
話は別だと、マリーナは気合いを入れて湯船の中で立ち上がった。
湯気が立ち上り、冷たい外気が肌を撫でる感触が気持ち良い。
その時、ガサ、と音がした。
巨大な何かが動くような音で、マリーナはよく知っている馴染んだ音だ。
「ヴォルさん?」
しかし、現れたのはヴォルではなかった。
「……女。女だ……」
「ぐへへ、丁度良い。群れに連れて帰ろう」
ヴォルより一回り小さなオークが二体、マリーナに向かって突進してきたのだった。
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