セフレ、のち、旦那

イセヤ レキ

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それから更に三日が過ぎて、金曜日。
元気な子供達を相手にする仕事で日中は色々忘れていられるけれども、夜になると身体が疼いてしまい、どうしても士楼を思い出してしまう。
自分で思っていたより彼に依存していたんだなと、私は改めて思い知った。


それより、いよいよ明日は久しぶりの実家だ。
私の写真を撮って先方に送るらしいけど、どんな格好の写真を撮るつもりなんだろう?
スタジオに連れていかれて着物……なんてことは流石にないだろうから、少し上品な感じの私服で良いんだろうか。それとも、スーツを持って行くべきだろうか?リクルートスーツしか持ってないけど。


私が手荷物の中身で悩んでいると、スマホが震えた。
チラリと目を向けると、「ハク:急で悪いんだけど、今から会え……」とお知らせ画面が出ていてドキリと心臓が跳ねた。


……え?いやだから、何で士楼からの連絡でドキリ??
セフレだった時は気安すぎて、胸が高鳴るなんてこともなかったのに。

それを私は、セフレとはいえ別れた相手から連絡きたからだ、と納得の答えを見つけてから、スマホに手を伸ばして士楼からのメッセージを開いた。

ハク:急で悪いんだけど、今から会えないか?セックスなしで、ただ話がしたいんだけど

私はそのメッセージを目にして固まった。
セックスなしで、と書かれていたのに安堵の気持ちと、ほんの少しがっかりする気持ちが混じって、自分の我が儘さに呆れる。
ただ、話がしたいんだけど、と書かれているのには、大きな不安が押し寄せた。

セフレ関係で大事なのは、普通のお付き合いと同じく別れ方だ。
別れ方が下手だと、どんなセフレであっても泥沼化してしまったり、執着されたりしてしまう。


大事なのは、お互い別れに納得することだ。

士楼との別れは悪くはない……つまり揉めていないと思っていたけど、それはこちらの勝手な思い込みだったのだろうか?


私は少し悩んだ。
別れたのだから、無視するのは簡単だ。だけど、無視することで相手を傷つけることも簡単なんだ。
良好な関係だった士楼とは、今更拗らせたくないと思う。
そして、別れたとは言え士楼を傷つけたくないとも。

躊躇しつつ、「どうかした?明日朝早いから、あまり時間は取れないけどそれでいい?」と返せば、直ぐに既読がついて、士楼からは「勿論、それでいい。何時ものファミレスで大丈夫か?」と再びメッセージが送られてきた。

「OK。今から準備して向かうね。四十五分位で着くと思う」

本当は、明日の午後から実家に向かうから時間的にも余裕はあるのだけど、そう伝えておけば、士楼はセックスする時でも時間を気にしてくれたし、場合によってはセックスをやめて、ただお喋りをする為だけに会ってくれた。

士楼が指定してきたのはファミレスで、大抵昼間に長話したい時は喫茶店、夜に長話したいときはファミレス、ヤり目的の時はバーか飲み屋、と大抵行く場所が決まっていた。


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