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この男は、自分を「ハク」と名乗っていた。
とある映画が好きなのかと思っていたが、しろう→しろ(白)→ハク、という訳だったんだなと納得する。
「美味しそうな名前」
「きび団子?きびしか合ってねーじゃん」
「でも直ぐに答えたってことは、よく言われたんでしょ」
「まーね」
「字はどういう漢字なの?」
「こう」
ハク……しろうは、ベッドサイドに置いてあった紙とペンを引き寄せ私の右側に寝転んで、少し特徴的な角ばった字でさらさらと名前を書く。
上にのし掛かっていた男が退いたので、私もくるりとうつ伏せてそれを左隣から覗き込んだ。
吉備永 士楼
「4月生まれか」
「まーね。で、お前は?」
「私は、こう」
その男から紙とペンを奪い、男の名前の下に自分の名前を書く。
宇内 ありか
「うない、ありか?」
「そう」
「ありか……ないか……どっちつかずだな」
「昔、クラスメイトの男子にそうからかわれた記憶がある」
「悪かったよ。ああ、だからリカね」
「うん」
リカとは、私がセフレに名乗る仮名だ。
士楼は紙とペンをベッドサイドに戻して、うつ伏せに両頬杖をつく私の肩に自分の腕を回した。
「俺、おま……ありかのことなーんも知らなかったわ」
「お互い様でしょ」
自宅の観葉植物の話とか、最近出た新商品のコンビニデザートの話とか、好きな動画の話とかは沢山したけど。
「んじゃ、最後に楽しみましょうか、ありかさん」
「そうしましょうか、士楼」
「……何でお前は呼び捨てなんだよ、俺のが先輩だと発覚したのに」
「そういう士楼だって、名前知ったのにお前って呼んでるし」
「確かに。ごめん、ありか」
「許そう」
私がそう偉そうに言えば、士楼は笑って私の髪をぐしゃぐしゃに撫で回す。
「ちょ、髪型崩れるから!」
今日は折角シャワーの後ブローしたのに、と私は口を尖らせる。
「どうせ今から髪型崩れることするから」
「確かに」
お馬鹿なセフレの関係は凄く心地好くて。
士楼は笑いを引っ込め、私を抱き寄せると息もつけない程の荒いキスをした。
とある映画が好きなのかと思っていたが、しろう→しろ(白)→ハク、という訳だったんだなと納得する。
「美味しそうな名前」
「きび団子?きびしか合ってねーじゃん」
「でも直ぐに答えたってことは、よく言われたんでしょ」
「まーね」
「字はどういう漢字なの?」
「こう」
ハク……しろうは、ベッドサイドに置いてあった紙とペンを引き寄せ私の右側に寝転んで、少し特徴的な角ばった字でさらさらと名前を書く。
上にのし掛かっていた男が退いたので、私もくるりとうつ伏せてそれを左隣から覗き込んだ。
吉備永 士楼
「4月生まれか」
「まーね。で、お前は?」
「私は、こう」
その男から紙とペンを奪い、男の名前の下に自分の名前を書く。
宇内 ありか
「うない、ありか?」
「そう」
「ありか……ないか……どっちつかずだな」
「昔、クラスメイトの男子にそうからかわれた記憶がある」
「悪かったよ。ああ、だからリカね」
「うん」
リカとは、私がセフレに名乗る仮名だ。
士楼は紙とペンをベッドサイドに戻して、うつ伏せに両頬杖をつく私の肩に自分の腕を回した。
「俺、おま……ありかのことなーんも知らなかったわ」
「お互い様でしょ」
自宅の観葉植物の話とか、最近出た新商品のコンビニデザートの話とか、好きな動画の話とかは沢山したけど。
「んじゃ、最後に楽しみましょうか、ありかさん」
「そうしましょうか、士楼」
「……何でお前は呼び捨てなんだよ、俺のが先輩だと発覚したのに」
「そういう士楼だって、名前知ったのにお前って呼んでるし」
「確かに。ごめん、ありか」
「許そう」
私がそう偉そうに言えば、士楼は笑って私の髪をぐしゃぐしゃに撫で回す。
「ちょ、髪型崩れるから!」
今日は折角シャワーの後ブローしたのに、と私は口を尖らせる。
「どうせ今から髪型崩れることするから」
「確かに」
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士楼は笑いを引っ込め、私を抱き寄せると息もつけない程の荒いキスをした。
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