溺愛カルテット

イセヤ レキ

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さん・トリオ

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「瑠衣、飲み過ぎ」
「いーのー!!ここには昌也しかいないしー!!」
はぁ、とため息をつく昌也は無視して何本目かの缶チューハイをプシュ、とあける。
「大体さ、さっきまで私にガンガン酒勧めてたの誰よ?」
「それは、目の前に見たくもない光景が広がってんのに祝福しなきゃならなかったからだろ。今は二人ともいないし、瑠衣お酒強くないんだからさ。明日仕事あるだろ?」
「ざーんねーんでーした!明日は穂希の誕生日だから、空けておいたんだもんねー!!」
「全くたちの悪い酔っぱらいだな」
昌也は私が空けた缶を手際良く片付けていく。
文句を良いながら、何個目かの柿ピーをぽいと寄越してくれた。
「明日はね、手作りでケーキ作る予定でさ。穂希の誕生日プレゼントとは別にね。けどさ、もうケーキもプレゼントいらないって事だよね?」
「……」
「あのプレゼント、高かったのにいいいい━━━━━っっ!!返品したいな、出来るかな♪」
「前向きな検討で何より」
テレビも付けず、昌也は私の愚痴を延々と聞いてくれる。
本当に良い奴だ。顔は怖いのに。
「……沢山時間かけて探したのになぁ……」
「……」
「乙女の時間返せよ、穂希のヤロウ」
「凹むのか怒るのかどっちかにすれば?」
それもそうだね。……けど、本当は。
「寂しい……」
「何が?」
「何がかな?何だか寂しい。昌也、慰めてよ」
「ハイハイ、よしよし」
「頭撫でるな。アンタにーちゃんか」
私の上には出来の良い三人の兄がいる。
ブラコンでもシスコンでもないのだが、コミュニケーションの一つとして頭を撫でる事はお互いしょっちゅうしている。
「瑠衣のにーちゃんと比べたら俺その辺の石ころだな」
「は?そんな事ないでしょ。その辺の……チンピラ?」
「ひでー言い様だな、オイ」
「顔が怖いから♪」
「全く酔っぱらいが……」
「昌也、はぐらかさないでよ」
「あぁ?」
昌也がわざと怖い顔で言うから、思わず笑ってしまった。
「ね、慰めてってば」
「本当にたちが悪い酔っぱらいですことー」
「ね、昌也」
私が顔を近付けると、昌也は嫌そうな顔をした。
「お前、ふざけるなよ」
「ふざけてないよ」
「穂希と月に、当て付けか?」
驚いた。
「そんなつもりは全くなかった……けど、私の周りにいるの昌也しかいないし」
男は絶ってるし、職場も女性だらけだ。
「お前なぁ……本当、ふざけてる」
昌也が珍しくイライラした感じで、自分の頭をくしゃくしゃとした。
「そっか。昌也にも選ぶ権利はあるよね。ごめんごめん」
「そうじゃなくて……っ!!」
「ん?」
「絶対、後悔するかんな」
「する訳ないじゃん。昌也だし」
昌也は驚いた顔をした。
「昌也だよ?酷い事は絶対しないし、こんな事で一方的に縁を切る様な事もしないし、むしろ責任とるとか言いそうだし、凄い尽くしてくれそうだし………あれ?もしかして昌也、優良物件?」
私がケラケラ笑って言うと、昌也はス、と表情を無くした。

あ。しまった。

私はどうやら、温厚な昌也さんを怒らせてしまったらしい。

「ごめ……」
酔いに任せて絡みすぎた事を謝ろうとした。
けど、出来なかった。

「ん……っ!!ふ、んん……!!」
頭を、抱えられて。
貪るようなキスの洗礼を受けたから。



♪♪♪♪♪♪



穂希君が、初めて友達以上の距離に入ってくる。

スキンシップの激しい瑠衣ちゃんから何度も抱き締められた事があったけど、身体に回された両腕は、細身である筈なのに比べるまでもなく男を感じさせるがっしりとしたものだった。

「ほ、穂希君。もう離れて?もう無理ぃ……」
恥ずかしくて、必死で距離を取ろうとしたら、むしろ更にきつくホールドされた。
「月。好きだよ」

どくん、と胸が音をたてる。

「今は俺の事好きじゃなくて良い。……けど、昌也を諦めたら俺を見て欲しいと思ってる」
何で、穂希君みたいな人がそんな言葉を私に言えるんだろう?
「穂希君……」
何も言えない。言葉が見つからない。
私は抵抗をやめて、穂希君の腕の中で力を抜いた。
すると逆に、穂希君はパッと私から離れてくれた。
ホッとした気持ちと、ほんの少しの寂しい気持ち。

「月、今日は俺といてくれる?誕生日に月とお酒を飲みながら過ごせたら、こんなに嬉しい日はないからさ」
ニコ、と微笑みながらそんな事をお願いされて、私は深く考えずに答えてしまった。
そんな事で喜んで貰えるならと。
「勿論、良いよ。今日は沢山飲もう!オールでお付き合いするよ」
既に酔った頭で、私はそう答えた。
穂希君はとても嬉しそうに笑って……けど、その瞳は獰猛な獣の様に光っていた。


「月、大丈夫?」
頭がふわふわする。ここどこだっけ?
「あついぃ……」
「熱いの?……服、脱ぐ?」
「うん」
脱ぎたい。特にブラ脱いで、楽になりたい。
部屋着どこぉ?

クスリと笑われた気がする。
「部屋着はないよ。けど、ガウンならある。ガウンの方が楽だから、そっちに着替える?」
「うん」
「月、自分で出来る?」
「うん」
「うん、って言いながら寝そうだね」
「……うん……」
もう、目があかない。眠い……
ぷち、ぷち、とシャツのボタンが取られた気がする。
肌が外気に触れて、スースーして気持ち良い。
「きもち……」
「ブラも取るよ?」
「……ん……」
はらり。胸が楽になる。
「……寒くない?乳首たってる」
胸の先っぽを、パクリと咥えられて、くすぐったさに身を捩る。
「ん……、くす、ぐった……」
すると今度は、乳首が上下に揺らされた。
「……あそば、ないでよぉ……」
こっちは眠いのに……
「月の胸、触りたい」
「……」
眠い……まぶたがかない……もう会話出来ない……
誰と話してるんだっけ……ここ……何処だっけ……
そっと身体が持ち上がる感覚と、そのままユラユラ揺らされる感覚。再び降ろされる感覚がして、恐らくベッド的な物に寝かされた。

ありがとう。

もう、そんな言葉も出てこない。
眠い……




ちゅ、ちゅぱ、ちゅぱ、じゅるるる……
くちゅ、くちゅ、ちょろちょろ、ぐちゅぐちゅ……

………

ぶちゅ、ぶちゅ、くにゅ、くにゅ
ちゅぷ、ちゅぷ、ずぞぞぞ……

………?

下半身から鈍い感覚が訪れて、意識が浮上した。
けれどもその意識はどろどろの眠りにまだ半分侵されていて、何もわからない。
「……ん……」

ぐちょ、ぐちょ、ぐちょ……ずずぅ
何かが擦られて、ジンジンしてる。
これは……
「き、もち……」
「月?気持ちい?」
「ん……」

足の間がジンジンしてるのに、何故か足を必要以上に開いている気がしたので閉じようとした……けど、力が入らない。
何だかスースーするし。
スースーするのに、柔らかいモノが股を行き来する度に水音が跳ねるのは何でだろ?

ぴちゃ、ペロペロ、くちゅくちゅ……
「ふぅん♡」
あれ?今の声、なんだろ??

じゅるるる、ぐにゅ、ぐちゅ
「んぁ♡」
「月、もっとしていい?」
「ん♡」
もっと気持ち良く?……なりたいかも

ぐい、と開いた足が更に拡げられた。
やだ、もしかしてカエルみたいになってない?
一生懸命目を開けようとするんだけど、開かないし動けない。
「これが……月の……ああ、綺麗だ」

私はカエルになっているのに、何故だか誉められて笑いが漏れる。
ふふ。

「月?笑ってる?……これからもっと、気持ち良くしてあげるからね」
ひたり、と何かが股に触れた。
ミシリ、と何かがわけいってくる。

え、何だか怖い。
けど、変わらず瞼は動かないままだ。

ミシリ、ミシリ……
「……ゃ、やだぁ……」

怖い。私は誰と何をしてるの?

「大丈夫だよ」
ミシリ、ミシリ、ミシリ……
「ぃや、ぃやぁ」
「……一気にいった方が良いかな」

ズズン!!!

痛い!!
いたいよぉ……
「いたいぃ……」
開かない瞼の眦から、ポロポロと生温かい水が流れていく。
あ、涙で目が暖かくなった。

ジクジク痛かった股の間が徐々に痛くなくなってくると、私は違和感に気付いた。
両足を抱えあげられて、私……何してるの?
何されてるの??
この、埋まってる感覚はなぁに?

「……そろそろ、動くよ……凄い、気持ちい……」
ずるっ
「!!」
痛っ!!
ばちゅん!ずっ!ばちゅん!ずっ!ばちゅん!

埋まっているものが、出たり入ったりしてる。
もしかして……私、エッチ、しちゃってる?

ばちゅん!ぐりっ
「んはぁ♡」
痛かっただけなのに、一瞬身体に電撃が走ったかの様。
「……ここ?」
ぐっちゅぐっちゅ、ぐりぃ♡ぐり、ぐりぃ♡
「ぁん♡ふぁん♡」
ああ、何だか気持ち良くて反応してしまう。

「月……っ!!」
「ふぁ♡ん、んんっっっ」

何度も何度も何度も、気持ち良いところを突かれる。
私は、少しでも気を緩めればあっさりと飛ばしそうになる意識を必死で手繰り寄せながら、相手にすがりついた。

「月、可愛い」
掠れた低いバリトンが、熱い吐息に変換されながら私の耳朶を震わす。

「可愛いよ……っく、凄い締まった、今すぐ中に出しそう」
貴方は、誰?
少なくとも、私の大好きな人ヒトではないよね?
だって、私の大好きな人ヒトは、私にそんな事を言わないだろうから……


「あっ!!く………そ、出る、中に出す………!!」
「ぇ?ぁ、ああん♡」
どくん、と。
私の下半身に温かいものがブワリと広がった。
あれ?ゴムつけててもこんな風に感じるもの??
これってもしかして、ナカ出しというやつでは……??

私の疑問は、直ぐに硬度を取り戻した剛直に再びピストン運動を開始される事により中断を余儀なくされ、何度も何度もその白濁液を胎内で受け止める事となった。
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